【企業向け】自家消費型太陽光発電とは?メリットデメリット・注意点や導入方法
2022年から続く電気代の値上げに収束が見えず、2023年になってからも家庭や法人での電気代負担の増加が問題となっています。
2023年6月1日以降、大手電力会社7社の料金改定により、標準的な住宅における電気代負担が14%から最大42%まで増加することが見込まれています。
電気代の高騰が続くなか、家庭や企業で自家消費型太陽光発電を導入することで電気代の値上げに対策できます。
目次
自家消費型太陽光発電の仕組みとは?

まずは自家消費型太陽光発電の仕組みについて解説します。
自家消費型太陽光発電とは、個人の住宅や企業が所有する事業所の敷地内(屋根・駐車場・遊休地)に太陽光発電システムを設置し、太陽光で発電した電気を住宅や事業所に供給する発電システムです。
具体的には、太陽光パネル・架台・パワーコンディショナ(パワコン)・分電盤・接続箱・ケーブルなどのシステム機器で構成されています。
自社で作り出した電気を自社で利用する仕組みを「自家消費」と呼び、それを太陽光発電で行うことから「自家消費型太陽光発電」という名称で呼ばれるようになりました。
自家消費型太陽光発電の種類
自家消費型太陽光発電の種類について解説します。
自家消費型太陽光発電は設置場所によって「屋根置き型」「ソーラーカーポート」「野立て型」など設備の名称やシステム設計、見た目などが異なります。
屋根置き型(屋根に設置する場合)

屋根置き型は、建物の屋根に太陽光パネルを設置して発電した電気を自家消費します。
家庭用の太陽光発電では住宅の屋根に設置するケースが多いですが、企業の場合は主に屋根の面積が広い工場・倉庫・学校などの法人施設に導入されています。
ソーラーカーポート(駐車場に設置する場合)

ソーラーカーポートは、敷地内の駐車場に太陽光パネルを搭載したカーポートを設置して発電した電気を自家消費します。
住宅用の駐車場にも設置されており、企業の場合は主に駐車場台数が多い大規模な工場・倉庫・商業施設などの法人施設や市民センターや市役所などの公共施設に導入されています。
野立て型(遊休地に設置する場合)

野立て型は、空き地や遊休地に太陽光発電所を設置して発電した電気を自家消費します。
敷地内で余った土地を活用として野立て型で導入される場合や、敷地外の遊休地に設置して遠隔地から事業所に電気を供給する「自己託送」によって導入されています。
自家消費型太陽光発電のメリット
ここまで自家消費型太陽光発電の仕組みや普及した背景について解説しました。
自家消費型太陽光発電の主なメリットは下記の通りです。
- 電気代の削減につながる(電気代対策)
- CO2排出量を削減できる(環境対策)
- 非常用電源として活用できる(BCP対策)
- 税制優遇が使える(節税対策)
- 屋根に遮熱効果が生まれる(断熱対策)
では、実際に企業が自家消費型太陽光発電を導入するメリットをさらに詳しく解説します。
メリット1.電気代の削減

自家消費型太陽光発電の最大のメリットは、太陽光によって発電した電気を無料で使用できることです。
その分、電力会社から購入していた電力量が減り電気代の削減につながります。
電力会社に支払っている電気代の内訳は「基本料金」「電気量料金」「再エネ賦課金」「燃料費調整額」に分けられます。
これらの項目はすべて料金単価が複雑に設定されており、消費電力に比例して料金が請求される仕組みになっています。
例えば、石油価格の値上がりで燃料費調整額が引き上がれば、今までと同じ量の電気しか使っていなくても電気料金が引き上がります。
このように、企業側で電気料金をコントロールすることは非常に困難です。
そこで、自社で使用する電気を自家消費型太陽光発電でまかない、電力会社から購入する電気を減らしておくことで、電力会社の料金単価の引き上げにも対策ができます。
メリット2.CO2排出量の削減

企業による自家消費型太陽光発電の導入は環境対策への取り組みとして対外的なPRにつながります。
ESGやSDGsといった言葉とその重要性は、一般消費者にも認知が広まりつつあります。
そのため、企業として環境対策に取り組む姿勢を示すことで、サービスや商品に対するイメージ向上に繋がりシェアの拡大も見込まれます。
自家消費型太陽光発電による環境対策は主に下記のような法人・企業で取り組まれています。
- ISO14001(環境)の認証取得している法人・企業
- 都道府県のSDGsパートーナー登録制度に登録している法人・企業
- ホームページ等でCO2排出削減を宣言している法人・企業
- 大手サプライチェーンの傘下であり、再エネ導入が求められいる法人・企業
- RE100やRE Actionの加盟企業や、環境保全の取り組みを掲げている法人・企業
ビジネスの差別化が難しい時代だからこそ「選ばれる企業」であるためには利益だけではなく社会的信用を高める経営が求められています。
中小企業が脱炭素に取り組むメリットについては下記のコラムで詳しく解説しています。
(関連コラム:なぜ多くの中小企業がCO2削減に取り組み始めているのか?)
メリット3.非常用電源の確保

昨今、異常気象による地震や集中豪雨などの災害が頻発しており、それにともなう停電リスクも危惧されています。
停電時でも、自家消費型太陽光発電を導入していれば、発電した電気を使用できるため、非常用電源としても活用できます。
また、蓄電池と接続することで太陽光発電の発電量が低下する夜間や雨天でも非常用電源として活用できます。
企業にとって非常用電源の確保はBCP対策の一環としても注目されています。
平時から災害に備えて具体的な対策を取っておくことで、社会的信用の向上にもつながり、万が一にも災害が起きた際は自社のビジネスを守ることにも繋がります。
BCP対策で太陽光発電システムを導入する具体的なメリットについては下記のコラムで紹介しています。
(関連コラム:太陽光発電でBCP対策+経費削減!企業が実践すべき理由とは)
メリット4.節税効果

中小企業等が自家消費型太陽光発電の導入する際に下記のような税制を利用できる場合があります。
中小企業経営強化税制 | 即時償却(設備取得価格の全額を初年度に損金として計上)または、設備取得価格の最大10%の税額控除 |
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中小企業投資促進税制 | 設備取得価格の最大30%の特別償却、または最大7%の税額控除 |
固定資産税の軽減措置 | 最大3年間、対象設備の固定資産税がゼロまたは最大2分の1減免 |
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 | 最大3年間、対象設備の設備取得価格の5%〜10%の税額控除又は50%の特別償却 |
中小企業経営強化税制等の税制支援に関しては自治体によって条件や税率等がことなります。管轄の自治体がどのような支援を行っているかは中小企業庁の「認定支援機関検索システム」で確認することができます。
メリット5.遮熱効果

工場や倉庫などの屋根に自家消費型太陽光発電(ソーラーパネル)を取り付けることで、屋根に当たる日光を遮り一定の遮熱効果が期待できます。
とくに、夏場の工場や倉庫では、空調稼働時でも施設内の温度が40度を超えることも珍しくありません。
自家消費型太陽光発電により遮熱性能を高めることで室内の温度上昇を軽減するため、空調設備の負荷軽減による長寿命化・電気代削減にも繋がります。
自家消費型太陽光発電のデメリット
自家消費型太陽光発電の主なデメリットは下記の通りです。
- 設置スペースが必要になる
- 発電量が天候に左右される
- 初期投資が必要になる
- 定期的にメンテナンスを行う必要がある
- 設置できない施設がある
また、デメリット以外にも導入時に注意するべき点もございますので、そちらも後ほどしっかりと解説します。
デメリット1.設置スペースが必要になる
自家消費型太陽光発電を導入するためには、敷地内に太陽光パネルを設置するスペースを確保する必要があります。
一般的にはスペースを確保しやすい「建物の屋根上」「駐車場」に設置するケースが大半ですが、敷地内または隣接地に余っている土地などにも設置することが可能です。
発電量は太陽光パネルの枚数に依存しますので、消費電力が大きい施設ほど広い設置スペースを確保する必要があります。
太陽光パネルは1枚あたり1.7㎡程度の面積がありますので、50kWの発電システムを設置するためには、およそ400㎡(テニスコート2つ分)の設置面積が必要となります。
太陽光パネルの設置に必要な面積を求める計算方法や考え方については、下記の記事で詳しく解説しています。
デメリット2.発電量が天候に左右される
自家消費型太陽光発電の発電量は天候による影響を強く受けます。
そのため、曇りの時は晴天時に比べて70%から90%低下し、雨天ではほとんど発電できません。
専用のソフトを使用することで、事前にどの程度の発電量が得られるかシミュレーションできますが、天候はコントロールできないため想定よりも発電量が低くなる場合があります。
ただし、太陽光発電の発電量を予測するシミュレーションソフトは、非常に長い期間の気象データをもとに計算できますので、大規模な自然災害や太陽光発電システム自体の異常がなければ、予測を大きく外す可能性は低いとされています。
自社の地域の日照量については、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「日射量データベース 閲覧システム」で調べることができます。
デメリット3.初期費用が必要になる
自家消費型太陽光発電を導入するには、数百万円から数千万円の初期投資が必要になります。
経済産業省の「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」によると、2023年度における出力10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電システムの導入費用の想定額は17.8万円/kWとされています。

太陽光発電のシステム費用は年々低下傾向にありますが、それでも高額な初期費用が必要になります。
しかし、発電した電気を無料で使用できるため、長期的にみれば初期費用を回収し黒字化することが可能です。
しかし、回収期間をどれだけ短くできるかどうかは、「導入費用」「削減効率」「ランニングコスト」「補助金の有無」などあらゆる面を十分に考慮した上で導入計画を策定する必要があります。
実際にどのくらいの費用がかかるかは、設備規模・販売価格・工事内容などによって異なりますので、業者に見積もりしてもらう必要があります。
補助金を活用すれ初期費用を抑えられる
自家消費型太陽光発電の導入は日本政府の政策によっても推進されており、環境省や経済産業省からさまざまな補助金事業が施行されています。
環境省による補助金事業では、設備導入にかかる費用の最大1/3を補助金で賄えるケースもあります。
また、地域によっては自治体の補助金制度を利用できる場合もございます。
2023年度(令和5年度)の自家消費型太陽光発電に関する補助金情報や公募状況については、下記の記事で紹介しています。
デメリット4.定期的にメンテナンスを行う必要がある
自家消費型太陽光発電のメンテナンスを怠ると発電量の低下や故障や重大な事故に繋がる可能性があります。
そのため、専門業者に依頼して定期的な点検やメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスの実施方法については「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」に沿った保守点検を行うことが推奨されています。
メンテナンス費用は、一般的に低圧や高圧と呼ばれる定格出力10kW〜200kWの設備で年間10万円から15万円、特別高圧規模(2GW以上)になると年間100万円から200万円かかる場合があります。
実際のメンテナンス費用についてはメンテナンス内容によって変動するため見積もり段階で業者に確認しましょう。
デメリット5.設置できない施設がある
自家消費型太陽光発電は屋根の面積以外にも屋根の形状や状態によっては設置できない場合があります。
設置に向かない場所と特徴は理由は以下の通りです。
- 旧耐震基準の建物の屋根上
1981年6月より前に建設された建物は新耐震基準が作られる前に建てられており、屋根に搭載する太陽光パネルの枚数によっては重量に絶えきれず建物全体の耐震強度に影響を及ぼす可能性が考えられます。 - 高層ビルや高層マンション
太陽光発電の設置は建築基準法上、建物の高さが算入されるため、地域によっては建造物の高さ制限に引っかかる場合があります。例えば、高層ビルや高層マンションなどには設置が出来ないケースが多いです。 - 影ができやすい場所
太陽光パネルに影がかかることで発電量の低下につながります。そのため日中でも影がかかりやすい場所への設置はおすすめしません。
(関連コラム:太陽光発電に適した設置場所と条件を紹介!屋根に設置できるケースやリスクも解説)
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自家消費型太陽光発電の注意点と解決策

自家消費型太陽光発電は導入目的・電気の利用状況・設備規模・運用方法などに合わせてゼロから設計を考える必要があります。
設計の時点でミスがあると「予期せぬ停電の頻発」や「費用対効果の低下」などのリスクにつながります。
設計には、導入目的・電気利用状況・導入の運用方法などを考慮してゼロから設計を行う必要があります。
さらに、既存の電気設備に接続する必要があるため、非常に高度なノウハウと技術が必要となります。
そのため設計になれていない業者であれは、思いがけない所で設計ミスを起こしてしまう可能性があります。
逆潮流対策が必要になる場合がある
自家消費型太陽光発電の設置には高度な電気工事のノウハウが必要です。
ノウハウが伴わない業者に依頼してしまうと、設備を導入した後に想定外の事態に悩まされることになります。
代表的なトラブルとして挙げられるのが「逆潮流対策に不備があり、停電が頻発するようになった」というケースです。
逆潮流による停電は、余剰売電を行わない「完全自家消費」での設計おいて起こりやすい現象です。そのため完全自家消費型で設備を導入する際は「逆潮流対策」がしっかり施されているかを確認しましょう。
太陽光発電の逆潮流を防ぐにはどうすればいい?
逆潮流とは、通常の電気の流れに対して逆方向に電気が流れる現象です。
通常、電気は電力会社から送電線をつたって家庭や企業に流れています。
しかし、太陽光発電を設置している場合、発電量が施設で使用する電力量よりも上回った際、余った電気が行き場を無くして送電網に戻る場合があります。
このとき、太陽光発電システムに搭載されている逆潮流防止機能がうまく作動できないと、停電を引き起こす可能性があります。
この逆潮流による停電を防ぐためには、発電量と電気の使用状況を考慮した設計に加えて、高圧電力を使用する施設では、RPRなどの機器を取り付けて対応する必要があります。
過剰設計になっていないか確認する
自家消費型太陽光発電は太陽光パネルの枚数が多くなるほど発電量が上がりますが、そのぶん初期投資も高額になります。
導入による費用対効果を高めるには、発電量だけではなく、電気の使用状況(デマンドデータ)を考慮したうえで、最適なシステム容量で設計する必要があります。
そのため、導入の計画段階から複数の施工業者から意見を伺い、それぞれ提案内容を比較検討していくことをおすすめします。
(関連コラム:【2023年】太陽光発電の費用対効果を検証|計算方法やシミュレーションも公開)
業者によって見積金額が異なる
自家消費型太陽光発電はシステム容量や設置場所など条件が同じであっても施工業者によって設置費用が異なります。
そのため最低でも4社以上の見積書を比較することをおすすめします。
4社以上の見積を比較しておくことで、価格の比較だけでなく、見積の項目などを比較して業者に対して「なぜこの価格なのか?」「この設備はどのように必要なのか?」など、より確度の高い質問ができるようになってきます。
自家消費型太陽光発電の4つの導入方法
自家消費型太陽光発電には4つの導入方法があります。
ここでは自家消費型太陽光発電の導入方法の種類とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
自社所有

自社所有とは、企業が自社で設備を購入して事業所の敷地内に設備を設置する方法です。
一般的に普及している自家消費型太陽光発電の多くは自社所有です。
自社所有の主なメリット・デメリットは下記の通りです。
自社所有のメリット |
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自社所有のデメリット |
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自社所有のメリットは、発電した電気を無料で利用できるため最終的に利益が大きいことです。
デメリットは、導入に初期投資が必要になることや、定期的にメンテナンス費用が発生することが挙げられます。
オンサイトPPA

オンサイトPPAは、自社所有に次いで多くの企業が採用している導入方法です。
オンサイトPPAとは、企業がPPA事業者と電力契約を締結することで、企業に代わってPPA事業者が設備を購入して企業の敷地内に設置・運用する導入方法です。
企業側は、太陽光発電によって削減できた電力量に応じてPPA事業者に電気代を支払います。
また、PPA事業者との電力契約の期間中は、設備の所有権は企業側ではなくPPA事業者側になります。
オンサイトPPAのメリット・デメリットは下記の通りです。
オンサイトPPAのメリット |
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オンサイトPPAのデメリット |
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オンサイトPPAのメリットは、自家消費型太陽光発電の初期投資を無料で設置できることに加えて、設備の所有権はPPA事業者にあるため、設備投資による一時的な負債を増やすことなく太陽光発電設備を導入できるので、財務の健全性が維持できます。
デメリットは、PPA事業者が所有する自家消費型太陽光発電から電気を購入する形となりますので、発電した電気を無料で使用できる自社所有と比べて最終的に得られる利益が小さくなることです。
自己託送

自己託送とは、企業が自社で設備を購入して事業所の敷地外に設置する導入方法です。
自己託送は事業所から離れた遠隔地に太陽光発電所を建設し、そこで発電した電気を電力会社の電力網を利用して事業所に送電します。
自己託送のメリット・デメリットは下記の通りです。
自己託送のメリット |
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自己託送のデメリット |
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自己託送のメリットは、事業所から離れた土地を活用できるため、土地の面積が広大であれば大規模な発電が行えることです。
デメリットは、遠隔地から事業所に電気を送電するために非常に大きな電圧を必要とするため、小規模な発電設備での導入ができないことです。
また、電力会社の送電網を利用するため託送料金や計画どおりに発電出来なかった際は、ペナルティ料金が発生する場合があります。
(関連コラム:太陽光発電の自己託送とは?|仕組み・メリット・デメリットを解説
オフサイトPPA

オフサイトPPAとは、企業がPPA事業者と電力契約を締結することで、企業に代わってPPA事業者が設備を購入して企業が所有する土地に設備を設置する導入方法です。
オフサイトPPAは、自己託送の技術にオンサイトPPAの仕組みが取り入れられています。
オフサイトPPAのメリット・デメリットは下記の通りです。
オフサイトPPAのメリット |
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オフサイトPPAのデメリット |
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オフサイトPPAのメリットは、複数の事業所に電気を送電できることや、PPA事業者との協議によって設備費用の負担割合を下げたり設備の管理を任せられることです。
デメリットは、複数の事業所へ送電する必要があるため、1社だけでは導入ができないケースが多いことです。
また、電力会社に託送料金や計画通りに発電できなかった際はペナルティ料金が発生する場合があります。
どの導入方法を選ぶべき?
ここまで自家消費型太陽光発電の4つの導入方法について解説しました。
自己託送とオフサイトPPAに関しては、2023年現在、自社保有・オンサイトPPAに比べて導入ハードルが高く、国内での事例が少ないのが実情です。
一般的に、企業が自家消費型太陽光発電を導入する際は自社保有かオンサイトPPAのどちらかが採用されるケースが多いです。
以下は自社保有とオンサイトPPAのメリットとデメリットを比較した表です。
電気代削減 |
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初期投資やメンテナンス費用 |
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設備の変更・撤去 |
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経費計上等の事務手続き |
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税制優遇や補助金の種類 |
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それぞれのメリットデメリットを比較した上で「導入目的」「運用方針」「経営戦略」「経営状況」をよく考慮して検討する必要があります。
例えば、資金に余裕があり最終的な利益を最優先するなら、無料で電気が使用でき補助金の種類も豊富な自社保有による導入方法がおすすめです。
初期投資による一時的な負債の拡大を抑えることや、再エネ比率の向上を最優先するならオンサイトPPAがおすすめです。
オンサイトPPAの仕組みやメリット・デメリットは下記のコラムで詳しく解説しています。
自家消費型太陽光発電の導入事例
ここまで自家消費型太陽光発電のメリットデメリットや注意点について説明しました。
では、導入した企業が実際にどのくらいのメリットを感じているのでしょうか?ここでは当社(株式会社ハウスプロデュース)の施工事例を紹介します。
製造工場への導入事例

- 導入目的
- 製造コスト削減に加えて、早期の再エネ導入による脱炭素促進で業界リードを目指したい
- 導入効果
- 年間消費電力600,000kWh削減
(年間、約1,000万円分の電気代削減効果) - CO2排出量を年間300t削減
(約13,636本の杉の木が1年間で吸収するCO2に相当)
- 年間消費電力600,000kWh削減
金属材料製工場(埼玉事業所・R&Dセンター)の屋根上・遊休地・駐車場の3エリアに全量自家消費型の太陽光発電を導入した事例です。
太陽光のクリーンエネルギー活用により、年間1,000万円の電気代削減に加えてCO2排出量300トンの削減が見込まれています。
PPAによるカフェ店舗への導入事例

- 導入目的
- SDGsに繋がる活動を通じて、カフェで働く従業員やお客様にも安心して来店していただきたい
- 導入効果
- 初期費用0円で店舗に太陽光発電システムを導入
- 停電下における近隣住民へ一時避難施設として活用
- SDGsと環境配慮への取り組みによるPR効果
カフェ店舗の屋根に「オンサイトPPA」による自家消費型太陽光発電を導入した事例です。
今回の取り組みは、宮崎県南部信用組合(以下、南部信用組合)、PPA事業者、EPC事業者(弊社)の3社協力体制のもと、地元企業の「再生可能エネルギーの導入促進」と「災害による停電時の非常電源の確保」を目的として導入しました。
物流倉庫への導入事例

- 導入目的
- 電力コスト削減とカーボンニュートラルの推進に取り組みたい
- 導入効果
- 年間消費電力を約25%削減
(年間、約460万円分の電気代削減効果) - 年間の温室効果排出量を約154t-CO2の削減
(約10,934本の杉の木の年間CO2吸収量に相当) - 本社物流センターへの遮熱効果
- 年間消費電力を約25%削減
グリーン物流様の導入事例では、本社物流センターの消費電力とCO2排出量の大幅な削減が見込まれています。
物流業界は、製造業と並び効果的なCO2排出削減が求められますので、屋根上の広いスペースを活用して自家消費型太陽光発電を運営することを前向きに検討していただきたい業種の1つです。
自家消費型太陽光発電の導入までの流れ

最後に自家消費型太陽光発電の導入の流れをご紹介します。
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- お問い合わせから概算見積までの流れ
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そもそも自社で設備を導入できるのかを確認する必要があるため、選定した業者に問い合わせが必要です。
業者に設置可否を判断してもらい、同時にどの程度の収益が見込めるのか、概算見積とシミュレーションを作成してもらいましょう。
シミュレーションを作成する際には下記の資料を求められる場合があります。
- 電気料金明細書(直近12ヶ月分)
- 電力のデマンドデータ(直近12ヶ月分)
これらの資料がお手元にない場合は、ご契約中の電力会社から請求できますので、事前に準備しておきましょう。
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- 現地調査から本見積までの流れ
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概算見積とシミュレーションの結果から設備導入の意思が固まってきたら、実際に設備を設置する場所の調査を行います。
現地調査では工事方法・太陽光パネルなどの設置位置・運搬方法などを確認していきます。
現地調査で得た情報をもとに、部材選定や詳細な設計など、導入計画を策定してもらい、改めて正確な見積書とシミュレーションを提示してもらいます。
設計段階では下記の資料の準備が必要となります。
- 屋根図面(屋根置き型の場合のみ)
- 単線結線図
屋根図面がお手元にない場合は建物の設計業者、単線結線図は電気技術者または保守点検者から請求するこが可能です。
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- 契約から引き渡し
改めて提示された見積書とシミュレーションに問題がなく、導入の意思が固まれば業者との契約を進めましょう。
契約後は設備の導入工事が行われ設備の引き渡しとなります。
太陽光発電のことはプロに相談

ここまで自家消費型太陽光発電に関するメリットデメリットや注意点などについて解説してきました。
自社で設備導入を検討されている企業さまにとって、今回お伝えしたことが少しでも参考になれば幸いです。
株式会社ハウスプロデュースでは、企業の太陽光発電の導入に向けてトータルサポートいたします。
ご提案から設計・施工・メンテナンス・アフターフォロー・補助金の調査や申請になどに関してもすべて当社にお任せいただけます。
累計5,000件以上の導入実績から培われたノウハウを活かして、お客様のご要望に合わせて導入計画を策定いたします。
当社は以下のようなご提案・設計・施工は一切行いません。
- 経済合理性が見込めない場合での無理な提案
- 過剰なシステム容量での設計
- 無責任な外部への業務委託
- 引渡後にお客様が困るような設計・施工
上記のポリシーを厳守したうえでお客様に向き合いますので、自家消費型太陽光発電の導入にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
ハウスプロデュースにお気軽にご相談ください
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