株式会社特殊金属エクセル
脱炭素化で業界をリード|年間300tのCO2排出削減と1,000万円の電気代削減
業種 | 金属加工製造業 |
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施設 | 製造工場 |
所在地 | 埼玉県 |
設置場所 | 屋根カーポート |
パネル積載面積 | 約30,000m² |
ソーラーパネル | 1,710枚 (型番:NER120M340C-MB(DC容量:581.40kW)) |
- 導入の目的
- 製造コスト削減に加えて、早期の再エネ導入による脱炭素促進で業界リードを目指したい
- 導入の成果
- 年間消費電力600,000kWh削減(全国事業所の約9%削減)
CO2排出量を年間300t削減(約13,636本の杉の木が1年間で吸収するCO2に相当)
INTERVIEW
お客様インタビュー
近年、「カーボンニュートラル」や「SDGs(持続可能な開発目標)」における取り組みでは「再生可能エネルギーの活用」が社会的に求められています。
とりわけ、自家消費型の太陽光発電システムに多くの注目が集まっています。
本インタビューは、精密金属材料の開発・製造・販売を手掛ける「株式会社 特殊金属エクセル」埼玉事業所・R&Dセンター(本社:東京)所長として務められている松岡様にご協力いただきました。どのような思いで導入に踏み切ったのか、実際の費用対効果、導入に至るまでのプロセスについてご紹介します。
目次
太陽光発電を導入した“きっかけ”

- 本日はよろしくお願いいたします。(記者)
- よろしくお願いいたします。
- この度、太陽光発電を導入するに至ったきっかけを教えていただけますか?
-
きっかけは電気代削減と環境対策です。私のいる埼玉事業所(従業員数170名程度)では生産過程で非常に多くのエネルギーを必要とします。最も大きな製造コストは電気代で、製造工程では常時一般家庭1,000軒分もの電気を消費しています。
さらには、世界的に「二酸化炭素など温室効果ガス削減の取り組み」が加速しています。そのため、「社会的責任を果たすことを目的」としながらも「電気代のコストダウン」ができれば…と考えていました。一言でいえば「一石二鳥」を狙っていました。
- 電気代の削減については省エネ設備など選択肢もありますが、他にも太陽光発電に着目した理由ありますか?
- 製造工場から隣接した場所に将来の増産計画を企図して確保した土地がありました。現在計画中ですが、具体的な活動が進むまでに その土地を有効に活かす方法は無いかと検討していました。 その結果、閃いたアイディアが「太陽光パネルを設置しておき製造工場が建った後はそのパネルを屋根に載せられればベスト」ではないかと考えた次第です。
-
太陽光発電の導入は遊休地の活用も兼ねていたわけですね。
今回は自社での設備購入という形で導入しましたが、PPAモデル(第三者保有モデル)での導入という選択肢もあったのではないでしょうか? -
検討はしましたね。ですが、弊社は非常に多くの電力を使うので、PPAモデルよりも自社保有した方が圧倒的に投資効率が良かったので。
当たり前ですが、業者を挟めばそれだけ自分たちが得られるコストメリットは小さくなってしまいますから。
-
たしかに、費用対効果を考えるならベストな選択だと思います。
太陽光発電の導入理由には、環境についての取り組みとしても着目されていましたね。 - 地球温暖化対策が企業の使命と広く認知される前から、弊社では環境対策にも手を入れてきました。昨今では、その機運もさらに高まっていて、弊社の取引先で「RE100」に加盟されたクライアント様も出てきています。
-
RE100は最近注目されていますからね。
やはり製造業全般で脱炭素への機運が高まっているのでしょうか? -
現時点で、すべての製造業が積極的にCO2削減に取り組んでいるわけではありません。ですが、弊社の場合、多くの業界と関わりがあるのですが、主力の電子部品は自動車をはじめ様々な製品に使用されていますから、とくに業界の流れについていく必要があると考えています。
先日、自治体向けの展示会にもお邪魔しましたが、今は各市町村でもエネルギー削減計画の策定が求められていることから地元企業の取組みに、ますます注目度が高まっているように感じました。
実際の導入効果について

- 太陽光発電を導入して、どのくらいの導入効果が見込めていますか?
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国内全事業所トータルで1年間に平均で700万kWhの電力を使っているので、そのうち約9%(60万kWh)を太陽光発電で削減できる見込みです。CO2で換算すると300トン※の削減を見込んでいます。
それで年間にかかる電気代に置き換えると約1,000万円のコスト削減が見込まれています。- 約13,636本の杉の木が1年間で吸収するCO2に相当
- 御社として費用対効果としてはどのくらい見込めていますか?
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設置費用は補助金も充てて、実質負担は2/3くらいでしょうか。順当に発電してくれれば電気料金にして年間1,000万円はコスト削減できる見込みなので、数年で投資回収できる見込みです。
太陽光発電設備自体は、30年くらいはもちますから、他の設備投資と比較しても費用対効果は良いと思いますね。
- 環境対策で太陽光発電以外に大きく役立ったものはありますか?
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弊社でも「毎年1%ずつCO2を削減しよう」という形で地道に改善活動を行ってきたのですが、効果が実感しにくいため、なかなか根気が必要です。それに、省エネ設備はあくまでエネルギーの効率化なので、生産量が増えればその分、CO2を増やすことになります。
もちろん改善活動は必要ですが、がんばった分の効果が出づらくなっているのも事実です。 一方、太陽光発電で自家消費した場合、発電システムが我々に代わって仕事をして、意図した目的通りにCO2排出量を減らしてくれるので、苦労なく期待した効果が得られます。
- CO2削減で、具体的な目標はお持ちですか?
- 鉄鋼業界は概ね20~30%削減を目標としている企業が多いのですが、我々はそれ以上に削減し、業界をリードして行きたいと思っています。
太陽光発電の導入に向けた取り組み

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太陽光発電の効果についていろいろ伺いましたが、次に太陽光発電の導入に至るまでのプロセスをお聞きしたいと思います。
実際どのように進められたのか、また印象に残っていることを教えてください。 -
太陽光発電の知識にも乏しかったので、役場やメーカー等、関係各所との調整はなかなか難しかったですね。建築確認申請や消防署への確認等、多岐にわたりました。
とくに大変だったことは、補助金で定められた工期内で工事を完了する事でした。
仕様の変更があると、準備していた書類の差し替えが発生しますし、申請期限までに進めておかないといけない工程の調整などもあり、スムーズに事が運ばず苦労しましたね。
- なるほど、補助金の申請はどのように進めていきましたか?
- 1つずつハードルを越えていきました。今回、補助金申請手続きを1から経験できて、学んだことがたくさんあるので、来年度の補助金についても、ハウスプロデュースさんにサポートしていただきながら申請の準備をしています。
-
来年度はさらに良い形で補助金を活用していただけるようにサポートさせていただきます!
太陽光発電の導入では社内で反対意見などはありませんでしたか? -
弊社としても大きな試みとなるので、社内では不安の声もありました。
また、過去に別の事業で太陽光発電を導入したことがあったのですが停電時に期待していた効果が得られず「そもそも太陽光で発電した電気が工場で問題なく使えるのか?」といった根本的な疑問の声もありましたね。
ですが、ハウスプロデュースさんには「ゼロベース」からでも理解しやすい資料や、サポート含めて柔軟に対応して頂いたので社内からの不安の声も払拭することが出来ました。
当社をお選びいただいた理由

- 太陽光発電の導入においては、業者選定も1つの課題だと思います。何社ほど検討されていましたか?
- 10社ぐらいですね。まずは見積もりを出してもらいました。最初はだいたい1kWあたり約20〜23万円スタートでしたが、他社に相談してみると18万円のところもあったり、今度は15万円も出てきたり…。相場がバラバラなので、価格だけで差別化を図るのは少しリスクも感じますね。
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確かに、「使用設備」「設置条件」「企業努力」はもちろんですが、近年では半導体不足の問題も相場に影響がありますね。
そんな中で、弊社をお選びいただいた決め手は何でしたか? -
他社さんと同じように相談を行いましたが、とにかく「スピーディで柔軟な対応」に好感を持ちましたね。
やはり慣れないことなので不安なことだらけで、聞きたいことは山ほどありました。1つ質問して回答いただいても「それに関連した別の疑問」がどんどん出てくるわけです。仮に、1つの質問で3日かかっているようでは、正直遅いと感じてしまいます。
しかし、ハウスプロデュースさんのレスポンスは分単位です。他社と比べて圧倒的に早く、実際に工事計画が進んでからも「ここまで対応してくれるの」と思うほどでした。
当然、価格も魅力的ではありましたが、決めては対応力です。ここまでスピードを持って誠心誠意取り組んでくれるなら「ハウスプロデュースさんにしよう!」と決断しました。
-
ありがとうございます。
対応力について特に好感を持っていただけたようでしたが、具体的にどのような対応に好感をもっていただけましたか? -
特に記憶に残っているのは年末のことですね。補助金の絡みで工期が厳格に決まっていたのですが、その時はコロナ禍で世界的にも半導体が不足の問題で、一部資材がどこのメーカーからも入ってこなくなってしまって。
そんな時に、担当者さんが「松岡さん直談判に行きましょう!」と言ってくれて、15時位にアポ取りを始めて、確約貰えていなかったのにも関わらず、メーカー本社に出発しました。
メーカー本社に着いたら「責任者は今、別の製造工場にいます」と言われて、すぐさまレンタカーを借り、夜な夜なその工場にお邪魔し、話を聞いていただきました。そのメーカーさんもいきなりの訪問に対し、とても真摯に受け止めて頂き、我々の願いを叶えてくださいました。とても感謝しています。
ちなみに「クリスマスイブの出来事」でした。(笑)
- 半導体不足の影響はどのメーカーも争奪戦ですからね。クリスマスイブ… それは大変でしたね。
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ここまで対応してくれるって、なかなかそんな会社ないじゃないですか。でも、あの日直談判に行ってなかったら間違いなく間に合っていませんでした。
ハウスプロデュースさんのすごい所は顧客の思いを叶えたいという意志です。
顧客の願いを自分事に捉え自分達が得しない事でも最前を尽くしてがんばってくれる。事務スタッフ、工事監督、電気主任の方も、皆さんがチームとして顧客の夢を実現しようと全力を尽くしている姿に熱い想いを感じました。
それが、価格にも、スピードにも、対応力にも表れています。だからハウスプロデュースさんを選んだのです。これからもずっと信じて付き合える同士だと思っています。
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弊社としましても、現場の社員の頑張りはもちろん、松岡様に積極的ご参加いただけたおかげで今回の計画が実現できたと感じております。
それで、ご検討から導入までどのくらいの期間がかかりましたか? -
契約から半年ぐらいで完成に至りました。2019年10月ぐらいに業者選定を始めて、2020年2月に問い合わせました。
そこからは迅速に進み、すぐに補助金の申請をして翌年には完成したって感じでした。
太陽光発電の導入で感じた
メリット・デメリット

- 実際に導入してみて、良かった点と悪かった点はありますか?
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多くのエネルギーを使う環境負荷が高い企業であるが故「我々は何をして行くべきなのか?」と思いを馳せていた所がありましたが、逆に今では太陽光発電が自信となり、我々の武器にもなっています。
悪かった点は特にないですが、もし強いて言うなら、申請等に関する関係各所とのコミュニケーションに時間と労力を取られてしまったことですね。
ハウスプロデュース始め、設計士さん、メーカーさん、役所・消防署の方々、皆さんの協力なくして、このゴールはありませんでした。その意味でも皆さんにはとても感謝しています。
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規模が大きなるほど、社外との連携が重要になりますね。
では、今回の導入への取り組みに際して、社内外での雰囲気や社員の気持ちなどに変化はありましたか? -
CSRに関する研修は毎年行っているのですが、太陽光パネルを導入してから社員の意識がさらに高まった気がします。
一般社員からも「CO2削減量の目標はどのくらいなのか?」といった質問まで来るようになりましたし、弊社に入社される方の志望理由の1つにSDGsへの配慮を挙げている方もいらっしゃいました。
脱炭素に対する業界の動向について
- 地球温暖化対策として挙げられている「脱炭素」についてはいかがでしょうか?
- 製造業界全体でいえば、対策についてまだまだ検討中といったところが多いですね。 もちろん、弊社の取り組みについて聞かれる機会は増えました。電子部品業界は明確に打ち出していますが、我々もほかに何ができるのか模索中です。
- 実際、今回のような太陽光発電導入を含めた脱炭素への取り組みについて、RE100加盟企業側からの強い要望や指令・通達などはありましたか?
- 「環境に配慮した取り組みは行っていますか?」といったアンケートはありました。今後は、具体的に「〇〇%」といった目標などを強く求められたりするようになるのかもしれませんが、現時点でそのような要請はありません。
- なるほど。それでは、今回の太陽光発電の導入については要請や指示に関係なく、特殊金属エクセルさんが自主的に取り組まれたものなのですね。
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そうですね。節電をメインに考えつつ、環境対策をセットで行おうと考えた結果、費用対効果の高い太陽光発電の導入に至ったわけです。
ですが、RE100に加盟している企業などは「サプライチェーンが与える環境負荷の改善に取り組む必要」もあるわけです。現時点で具体的に要請などはないものの、いつでも対応できるという体制を取っておくことが重要だと感じます。
今後の展開について

- それでは最後に、特殊金属エクセルさんの今後の展開について教えてください。
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まずは太陽光パネル設置数の増設です。国内全拠点に可能な限り拡張していくつもりで、直近では埼玉工場の二次工事や、福井県・長野県での導入も視野に入れています。
太陽光パネルを設置する拠点を増やしていき、蓄電池も導入しやすい環境になれば、停電といった有事のときにサーバー電源として活用することも検討したいです。こうすることで、止まらない製造工場を作り上げ、有事の時でもお客様の元に製品が届けられる様にしたいですね。
そして今後EV車が増えてきたら、駐車場にも設置することで、太陽光発電で充電できるようにして従業員のみんなに喜んで貰いたいですね。もちろん、いま挙げた目標には多くの課題があると思いますが、今回の成功体験から「本気でやればできる」そんな自信につながった気がします。
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特殊金属エクセル様が良き事例となって、導入企業がますます増えると良いですね。
本日はありがとうございました。 - ありがとうございました。