【2023年最新】中小企業経営強化税制は太陽光発電も対象!即時償却で大幅節税
コスト削減や環境対策の一環として、自社の施設・駐車場・私有地などを利用して、太陽光発電を導入する企業が増えています。
CO2削減への流れからも、国や全国の自治体では企業の太陽光発電導入支援として「中小企業経営強化税制による税制優遇」が実施されています。
中小企業経営強化税制は、設備投資を実施する中小企業が、設備取得額の即時償却または10%(7%)の税額控除を適用できる税制優遇制度で、太陽光発電設備も対象です。
目次

【2023年4月追記】中小企業経営強化税制の適用期間が2年延長
2023年4月に中小企業庁が発行した資料では、中小企業経営強化税制の適用期間が2025年(令和7年)3月31日までとされています。
改正前の適用期間は2023年3月31日までとなっていため、2年間の延長が決まったことになります。税制を活用しつつ設備投資をしたい企業にとっては朗報となりました。
(参照元:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き)|中小企業庁)
税制優遇で太陽光発電の投資回収を短縮
太陽光発電では、導入する設備規模によって異なりますが、数百万円〜数千万円の初期投資が必要になり、投資回収は8年から12年程度になるケースが多いです。
しかし、太陽光発電を導入する際に今回ご紹介する税制優遇をうまく活用することで、初期投資の回収期間を3年から4年程度早めるケースもあります。
中小企業経営強化税制(設備投資減税)とは?
中小企業経営強化税制は、太陽光発電設備(特定の設備)を導入した際に「税額控除」または「即時償却」の税制支援が受けられる制度です。
中小企業経営強化税制における節税メリット
-
- 即時償却
- 設備費用の全額を初年度に一括償却
-
- 税額控除
- 設備費用の税額を最大10%控除(※1)
- 資本金3,000万円以下の場合(3,000万円超~1億円以下の場合、設備費用の7%が税額控除の対象となる。)
上記のどちらか選択して適用できるため、企業の金銭的負担を軽減できます。
【令和5年度】中小企業経営強化税制は適用期限どうなる?
中小企業強化税制は過去数回の延長が繰り返されており、冒頭でお伝えしたとおり、現行制度の適用期日は2025年度(令和7年)3月31日までとなっています。
また、この適用期日は「申請の期限」ではなく「認定の期限」を指しているため、申請書類の作成や認定までの期間など時間を考慮したうえで準備する必要があります。
対象設備の太陽光発電は「自家消費率50%以上」
「中小企業経営強化税制」では、発電した電気をすべて自家消費する太陽光発電、または余剰売電を行う場合は「自家消費率50%以上」の太陽光発電が対象設備となります。
そのため、売電を主目的とした全量売電の太陽光発電は適用対象外となります。
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中小企業経営強化税制の「税額控除」と「即時償却」
上述の通り、中小企業経営強化税制は税額控除」と「即時償却」のいずれかを適用できます。それぞれメリットや条件が異なるため詳しく解説します。
優遇措置1.「税額控除」
税額控除では、設備費用に対して課税される税金が控除される税制優遇です。また、企業の資本金・出資金によって以下のように控除率が異なります。
-
- 資本金3,000万円未満の企業の場合
- 設備費用の10%を税額控除
-
- 資本金3,000万円超〜1億円未満の企業の場合
- 設備費用の7%を税額控除
税額控除はどちらも適用年度の法人税額または所得税額の20%が上限になります。
優遇措置2.「即時償却」
即時償却とは、設備費用の全額を初年度に経費として計上できる税制優遇です。
即時償却を行うことでで、その年の法人税を大きく節税できます。
減価償却した場合
通常、設備を導入して経費を計上する場合、設備費用を耐用年数に応じて、「1年目」「2年目」「3年目」…費用を分割して計上します。

通常、太陽光発電の課税方法は、上記の「減価償却」が適用されます。
- 太陽光発電の耐用年数は諸条件によって異なります。
即時償却した場合
即時償却では、設備費用の「全額」を1年目にまとめて一括で計上することができます。

「1年目」に設備費用の全額まとめて経費として計上することで、「1年目」に得た利益を圧縮してその年の税金を大幅に軽減することが可能です。
そのため、即時償却は「投資回収を早めたい」「すぐに別の設備投資も行いたい」といった場合に選択されることが多いです。
即時償却と税額控除どちらを選ぶべき
まず、税額控除と即時償却のメリットとデメリットは以下になります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
税額控除 | 最終的な納税額が減る | 利益が出ていない場合は節税効果が少ない |
即時償却 | 早期にキャッシュを回収できる | 最終的な納税額は減らない |
最終的な節税額は「税額控除」が大きいです。しかし、設備の取得金額や資金繰りの状況などを踏まえ、初年度の大幅な節税に繋がる「即時償却」を選ぶケースが多いようです。
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中小企業経営強化税制の対象企業
中小企業経営強化税制のおもな適用条件は以下の3つです。
- 青色申告者であること
- 個人事業主または中小企業等であること
- 対象業種であること
対象条件1.「青色申告者」であること
過去に税務署に青色申告し、承認を受けている必要があります。
対象条件2.個人事業主または中小企業等であること
ここでいう「中小企業等」とは以下の条件に該当する事業者を指します。
- 資本金が1億円未満の企業
- 常時使用する従業員数が1,000人未満の企業
- 中小企業に該当する協同組合等
ただし、下記のいずれか条件に当てはまる場合は、適用の対象外となります。
- ひとつの大規模法人(※1)から2分の1以上の出資を受けている法人。
- ふたつ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている法人。
「大規模法人」下記のいずれかに該当する法人を指します。
- 資本金または出資金が1億円以上
- 資本金または出資金を持たない法人の内、常時使用する従業員数1,000人以上
- 前3事業年度の所得金額の平均額等が15億円を超える法人
協同組合の適用条件
下記の条件に該当する協同組合は「中小企業に該当する協同組合等」に該当するため、適用対象となります。
- 資本金1億円未満
- 常時使用する従業員100人未満
- 卸売業に属する事業を主にしているもの
対象条件3.対象業種であること
事業内容によっても対象条件が定められています。
太陽光発電の場合、「発電した電気をどのような事業で使用する」かによって判断されます。
製造工場に太陽光発電を導入する場合には「製造業に使用する電気を創る機械」に該当するため、対象業種となります。
中小企業経営強化税制では、以下が対象業種となります。
電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)、等は対象外となります。
中小企業経営強化税制の対象設備
中小企業庁が提示する対象設備には、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)の2種類あり、それぞれ手続きや仕組みが変わってきます。
類型 | 生産性向上設備(A類型) | 収益力強化設備(B類型) |
---|---|---|
要件 | 生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 |
確認者 | 工業会等 | 経済産業省等 |
対象設備 | 機械装置(160万円以上/10年以内) | 機械装置(160万円以上) |
- 太陽光発電は「機械装置」に該当します。
「A型類」「B型類」どちらを選ぶべきかも重要なポイントです。
太陽光発電は「A型類」を選ぶ企業が多い
A型類・B型類どちらも受けられる税制優遇は同じです。
しかし、「B型類」は経済産業局の確認等が必要になり、手続きが煩雑になるため「A型類」を選択する企業が多いです。
ただし、「A型類」の対象設備は「10年以内に販売開始された設備」と限定されるため、そうでない場合は「B型類」を選択する必要があります。
A型類を利用するまでの手順
- 設備ユーザーがメーカーに証明書の発行依頼
- 設備メーカーが工業会に証明書の発行申請
- 工業会が証明書発行
- 取得した証明書を添付した計画申請書を主務大臣に申請
- 計画の認定
認定を受けた設備は、他の税法上の要件を満たせば、税制上の優遇措置の適用を受けられます。
B型類を利用するまでの手順
- 申請書を作成
- 公認会計士か税理士が事前確認を受け「事前確認書」をもらう
- 「申請書」と「事前確認書」を経済産業局に持参
- 投資計画が適切だと判断されれば1ヶ月以内に「確認書」が発行される
- 取得した「確認書」を添付した計画確認書を主務大臣に申請
- 計画の認定
設備の取得時期にも注意
A型類・B型類ともに中小企業経営強化税制における適用期限(令和7年3月31日)までに、認定を受ける必要があります。
A型類の場合、工業会から証明書を発行してもらうまでに約2ヶ月かかります。B型類の場合、「経済産業局による確認書」の発行までに約1ヶ月が目安です。
また、期限が近づけば申請が立て込むことも予想されるため、さらに余裕を持って準備し始める必要があります。
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中小企業投資促進税制との違い
中小企業強化税制と名称も内容も似た制度として、「中小企業投資促進税制」があります。
中小企業投資促進税制の概要

こちらは機械装置など設備の取得や製作をしたとき、取得費用の30%に相当する特別償却、あるいは7%の税制控除を利用できる制度です。
中小企業投資促進税制の目的は「中小企業の生産性向上等」です。太陽光発電は中小企業のコスト削減に役立つため、事業に使用していれば中小企業投資促進税制の対象になります。
また中小企業投資促進税制は、自家消費率が問われません。そのため、余剰売電を行う場合は「自家消費率50%未満」の太陽光発電も対象設備に含まれます。
中小企業投資促進税制は、中小企業経営強化税制と同様、2023年3月31日で終了する予定でしたが、適用期限が2年間延長され2025年3月31日まで延長されます。
中小企業投資促進税制の対象者
中小企業投資促進税制の対象者は、青色申告書を提出する中小企業等のうち、下記いずれかの要件を満たす企業・個人です。
- 資本金あるいは出資金の額が1億円以下の法人
- 資本金あるいは出資金がない法人、かつ常時使用する従業員が1,000人以下
- 常時使用する従業員が1,000人以下の個人事業主
- 中小企業協同組合、商工組合、商工組合連合会等
ただし、下記に該当する法人は対象外です。
- 「資本金あるいは出資金の額が1億円超の法人、あるいは資本金か出資金がない法人のうち常時使用する従業員が1,000人超の法人」から、全出資金の2分の1以上の出資を受けている子会社
- 2社以上の「資本金あるいは出資金の額が1億円超の法人、あるいは資本金か出資金がない法人のうち常時使用する従業員が1,000人超の法人」から全出資金の3分の2以上の出資を受けている子会社
中小企業が太陽光発電で使えるその他の税制
- 固定資産税の特例
- カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象事業者
固定資産税の特例
正式には「生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置」といいます。
固定資産税に関する税制は以前から存在していたのですが、2022年度までは基本的に黒字企業を対象とした制度でしたが、2023年度からは「赤字黒字を問わず設備投資に伴う負担を軽減する固定資産税の特例措置」行う方針で新設されました。
本制度は、まず「先端設備導入計画(中小企業が設備投資をして生産性向上を図るための計画)」を市区町村に認定される必要があります。
その後、計画に基づいて一定の設備を新規取得した場合、その設備にかかる固定資産税の課税標準が3年間、2分の1に軽減されます。
また、従業員に対する賃上げ方針の表明を計画内に記載した場合は、2024年3月末までに取得した場合は5年間、2025年3月末までに取得した場合は4年間にわたって3分の1に軽減されます。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制
「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」達成に向けて創設された税制優遇です。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の具体的な税制措置の内容は、下記の通りです。
項目 | 生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備 | |
---|---|---|
対象設備 | 機械装置・器具備品・建物附属設備・構築物 | |
適用要件 | 3年以内に炭素生産性を10%以上向上 | 3年以内に炭素生産性を7%以上向上 |
措置内容 | 特別償却50%または、税額控除10% | 特別償却50%または、税額控除5% |
上記のような税制を活用することで、太陽光発電を導入する際の費用対効果をより高められます。導入の際は、税制にも詳しい太陽光業者に相談してみることをおすすめします。
2年で初期投資回収。税制優遇を利用した太陽光発電の導入事例
当社において税制優遇を活用した太陽光発電導入事例をご紹介します。

- 導入の目的
- 設備投資による節税対策と継続的なランニングコスト削減
- 導入の成果
- 経営力向上計画に係る固定資産税の特例措置の活用により、新設倉庫の固定資産税負担が3年間免除
年間約40万円の電気料金を削減
飲料品等配達販売などを行う「株式会社ナカヱ」様の事例では、固定資産税の特例に認定されたため、対象設備の固定資産税が3年間免除となりました。
これにより、 太陽光発電にかかった初期費用を約2年という短期間で回収が見込まれています。
初期費用回収後も太陽光発電によるコスト削減やCO2削減効果は継続するため、費用対効果を高められたケースとなりました。
太陽光発電は節税以外のメリットもある
本記事では企業・法人が太陽光発電を導入することで適用可能な税制優遇を紹介していますが、ここからは太陽光発電そのもののメリットを解説していきます。
電気代削減
企業が自社の建物の屋根や遊休地に太陽光発電設備を導入し、発電した電気を自ら使用すれば、電力会社から買う電力量が減るため自社の電気代削減に繋がります。、設置条件が次第では、従来の電気代の30%から50%程度の電気料金を削減できます。
また、2022年春以降は化石燃料価格の高騰などが影響し、電気代が急上昇しています。太陽光発電によって電力会社への依存度を下げていれば、影響を受けて電気代が上がってしまうリスクを低減できます。
関連記事:太陽光発電で企業・法人の電気代削減
CO2排出削減
工場を持つ製造業では、自社のCO2排出量がどうしても多くなりがちです。昨今の脱炭素の風潮からすれば、近いうちにCO2排出量に対して課税されたり、規制の対象になったりということが予測されます。
太陽光発電は火力発電と異なり、発電の過程で排出するCO2の量がほぼありません。そのため、導入した企業の脱炭素経営に大きく貢献します。近年は、大手企業だけでなく、、大手企業と関わりのある中小企業にも脱炭素に関わる取り組みが求められています。その一環として、太陽光発電を行う企業が増えています。
非常用電源の確保
「自立運転機能」が付いたパワーコンディショナーを採用すれば、停電が発生した時でも太陽光発電の電気を利用できます(※日中で晴れの場合)。
また、蓄電池を導入して電気を貯めておけば、夜間や悪天候の日にも一部の電気を使用できます。ただし、製造機械のように多くの電力を使用する設備をまかなうほどの蓄電池は高額です。そのため、家庭用規模の蓄電池を設置し共用部のみの電気をバックアップする使い方が2021年時点では現実的です。
今回のまとめ
中小企業経営強化税制の適用期限は、2025年度(令和7年)3月31日までとなっております。
また適用期限は「認定の期限」となります。準備から認定を受けるまでに、最速でも2カ月から3カ月かかることが想定されますので余裕をもって取り組むことを推奨します。
自社で太陽光発電を導入する際は、これら税制優遇の活用も視野にいれておくことで、、太陽光発電の回収期間をグッと短縮することができます。
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