事業用太陽光発電の設置費用の内訳|価格を抑えて導入する5つの方法
工場やオフィスなど、自社の建物で使用する電力を太陽光発電で賄う「自家消費」のニーズが高まっており、企業が導入するケースが増えています。しかし、企業が太陽光発電を導入する際には、やはり設置費用が気になるところです。
電気代節約に繋がる一方で、高額な設置費用がネックとなり導入に踏み切れないといった声も少なくありません。導入可否を正確に判断するためにも太陽光発電設備の導入にかかる相場を把握しておくことは重要なポイントです。
今回の記事では、企業が太陽光発電を導入するにあたって、設置費用の内訳や相場について詳しく解説します。これから太陽光発電の導入を検討している企業は、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてみてください。
目次
太陽光発電の設置にかかる概算費用

はじめに、企業が太陽光発電を導入した場合にどの程度の費用が総額としてかかるのか、概算費用の相場を解説します。
自家消費を目的とした太陽光発電を導入する場合、工場・介護施設・ビル・住宅など建物の規模や面積、予測される電力消費量によっても設置費用は大きく異なります。そこで、今回は5つの導入パターンに分けて概算費用の相場を算出してみましょう。
経済産業省は「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」という報告書のなかで、「事業用太陽光発電のシステム費用」を公表しています。
これは全国に導入された太陽光発電設備の設置費用を平均し、1kWあたりの費用を算出したものです。2021年度に設置された太陽光発電は、10kW以上の場合、平均値としては1kWあたり25.0万円、中央値では24.2万円の設置費用であることがわかっています。
以下で示す概算費用は、施設の規模や面積ごとの設置容量モデルに設置費用の平均値である25.0万円を掛け合わせた金額です。(10kW未満の住宅用の平均値は28.0万円)
施設の種別と内訳 | 設置容量 | 設置概算費用 |
---|---|---|
工場(大規模) | 200kW | 5,000万円 |
工場(中小規模) | 100kW | 2,500万円 |
介護施設 | 20kW | 500万円 |
ビル | 30kW | 750万円 |
一般住宅 | 5kW | 140万円 |
太陽光発電の設置費用の内訳

太陽光発電設備の設置にかかる概算費用のなかには、太陽光パネルやパワーコンディショナーのような機器類の本体価格だけでなく、工事費や設置用の部材費なども含まれています。
それぞれの費用の内訳はどのようになっているのかを紹介するとともに、万が一太陽光発電設備が壊れてしまったり、不具合を起こしてしまったりした場合の修理費用などについても紹介しましょう。
10kW以上の事業用の場合、上記で紹介した1kWあたりの平均費用25.0万円のうち、設備費や工事費を含めた内訳は以下のようになっています。
費用の種別 | 平均価格 | |
---|---|---|
設備費 | 太陽光パネル | 11.1万円 |
パワーコンディショナー | 3.3万円 | |
架台 | 3.6万円 | |
その他 | 1.7万円 | |
工事費 | 7.8万円 | |
設計費 | 0.2万円 | |
値引き | ▼2.6万円 | |
計 | 25.0万円 |
上記のとおり、設置費用の総額のうちおよそ半分は太陽光パネルにかかるコストとなっていることがわかります。
蓄電池を設置する場合、別途費用が必要
上記の太陽光発電設備の設置費用に含まれない項目として「蓄電池」があります。
太陽光発電設備は非常用電源として活用できますが、日中の晴天時以外は発電できません。蓄電池があれば、太陽光パネルで作った電気を蓄電池に貯めておけるため、夜間や悪天候のタイミングで停電が起きても電気を使うことができます。
2022年11月現在、産業用蓄電池の費用はかなり大きく、数百万円や1千万円を超えるものもあります。そのため、企業であっても100万円から300万円あたりの家庭用蓄電池を導入して、最低限の電力バックアップ体制をとるケースもあります。
太陽光発電の初期費用の相場
太陽光発電は一般住宅はもちろん、企業の工場や社屋にも設置できます。当然、一般住宅と工場・社屋では発電規模や初期費用が大きく異なります。そこで、太陽光発電設備の初期費用相場として個人と法人それぞれのパターン別に解説します。
住宅屋根に太陽光発電設備を設置する場合
自家消費を前提とした一般住宅の場合、太陽光発電に必要な電力量は5kW程度とされています。
そして、経済産業省が公表した「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」では、10kW未満の住宅用太陽光発電において、設備の初期費用の平均は1kWあたり28.0万円となっています。これを掛け合わせると以下の金額が初期費用の相場となります。
もちろん、住宅の規模や屋根の大きさ、設置条件によっては5kW以下で済むケースもあれば、余剰電力を売電する前提で考えれば5kW以上が必要になるでしょう。まずは上記の金額を基準にしながら、導入規模に応じて設置容量を当てはめて考えてみましょう。
工場や社屋の屋根に太陽光発電設備を設置する場合
次に企業の場合ですが、工場や社屋の規模はさまざまで、一般住宅よりも多様なパターンが考えられます。
10kW以上の事業用太陽光発電では、設備費用の平均は1kWあたり25.0万円です。たとえば、中小規模の工場では設置容量が100kW、大規模な工場では200kW程度というケースが考えられます。それぞれのパターンに応じて初期費用を算出すると以下の金額となります。
■工場(中小規模)
25.0万円×100kW=2,500万円
■工場(大規模)
25.0万円×200kW=5,000万円
また、ビルや社屋の場合には、企業規模や建物の大きさにもよりますが10kWから30kW程度のパターンが多いです。仮に30kWの電力量で導入したと仮定すると、初期費用は以下の金額となります。
25.0万円×30kW=75万円
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太陽光発電のランニングコストについて
企業が太陽光発電で電気を賄う「自家消費」では、電気代などコストの削減に貢献できます。その一方で、太陽光発電設備そのものにランニングコストがかかることも事実です。たとえば以下のような項目があります。
- 点検費用
- 清掃費用
- 税金(固定資産税や所得税)
- 各種保険 など
以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
関連記事:太陽光発電の維持費(ランニングコスト)はどれくらい?費用の内訳を解説
設置費用を抑えて太陽光発電を設置するには?

企業が太陽光発電を導入する際、初期費用を抑えるためにできる施策をお伝えします。
補助金を活用する
太陽光発電の導入には、国からの補助金制度があり、利用できれば大幅に設置費用を抑えられます。
また、各自治体ごとに太陽光発電に関する補助金制度を設けていることがあります。建物の所在地を管轄する自治体に、使える補助金があるか問い合わせてみることをおすすめします。
国の補助金制度
国が主導する補助金制度にはさまざまなものがあります。たとえば2022年度から開始の「需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」の対象となれば、設備導入費用の2分の1が補助されます。
自治体が独自に実施している補助金制度
太陽光発電設備を全国に導入するために、国だけでなく自治体も補助金制度を用意しています。2022年6月現在、事業用太陽光発電関連の補助金を設けているのは東京都・大阪府のみですが、ここ数年の脱炭素の風潮を踏まえると、今後は他の自治体でも補助金制度が設けられる可能性があると予測されます。
以下の記事で、国や自治体の補助金紹介や、補助金を使っての太陽光発電で気をつけるべきことを解説しています。
税制優遇を活用する
中小企業が自家消費を目的とした太陽光発電設備を導入する際、即時償却などの税制優遇を受けることも可能です。
設備費用を初年度に損金として一括計上することで、その年の法人税を大きく節税することが可能です。
税制優遇には、適用条件が設けられております。詳しくはお問い合わせください。
事業所の新設と同時に設置する
太陽光発電を導入するタイミングでいえば、既設の建物に後付けするより、新設の建物に導入するほうが費用が抑えられる傾向にあります。その理由は以下のとおりです。
- 太陽光パネルありきで建物の設計ができるため、効率の良い配置ができる
- 建築工事に使用している足場や重機を利用できるため、工事費の軽減ができる
- 設備の配置に融通がきくため、配線設備などに余分な費用がかからない
- 固定資産税の特例(建物に対する固定資産税が最大3年間ゼロになる)を受けられる場合がある
もし、工場や事業所を新設する予定があり、太陽光発電にも興味がある企業様は、建設のタイミングで一緒に導入するほうがお得といえます。
複数業者から見積もりをもらう
適正価格での導入には、複数業者の比較(相見積もり)が有効です。太陽光発電システムの価格や工事費は、依頼する業者によって異なります。
設置費用が高すぎて損をするのはもちろん良くありません。しかし、あまりに設置費用が安い場合も、保険などで別途費用がかかるとか、設計や部材の耐久性に問題があるといったケースがあり注意が必要です。
とはいえ、業界のことをあまり知らないお客様が適正価格を判断するのは難しいです。そのため、複数業者を比較することが有効です。
設置費用を抑える業者選定のポイント
設計力・施工力のある業者に工事を依頼することは品質だけでなく、費用面でもメリットがあります。
- 余分な費用の削減:適切な部材選定や設備の配置ができる
- 重機のレンタル費用削減:架台やパネルを設置する効率が良く、必要以上に重機を使わない
- 人件費削減:設置条件に関わらず柔軟に工事の段取りができる・施工工程が分業化され効率的な人員配置ができる
工事費はとくに、業者によって差が出るところです。太陽光発電の施工を依頼する場合は、施工業者の技術力にも着目してみるとよいでしょう。
太陽光発電設備の初期費用が無料で導入できる方法を活用する
どうしても太陽光発電に対して、会社の現金を支払うことが難しい場合は、設置にかかる初期費用が無料で導入できる仕組みを利用する方法もあります。
- PPA:自社購入に比べて電気代削減メリットは薄いものの、初期費用をかけずに導入し、契約期間中はメンテナンス費用もかからない導入方法です。
- 割賦販売契約:自社の予算に合わせた支払い期間を設定でき、採算が合いやすい導入方法です。初期費用をかけずに導入できるうえ、税制優遇の対象となる可能性があり、適用できれば大幅な節税となります。
- リース:リースでの導入において、太陽光発電が対象となる補助金があるため、それを適用できればリース料が安価に導入できる可能性があります。
会社から現金を出さずに設置できる仕組みとして「融資・割賦販売契約・リース・PPAモデル」があります。これらの仕組みを活用するメリットは、以下4点です。
- 自社の電気代削減や売電によって経済的なメリットが出る(導入方法ごとの差はあります)
- 一括支払いによるキャッシュアウトが発生せず、銀行融資枠が温存できる
- CO2排出量を減らし、脱炭素経営の一環として役立てられる
- CSR(企業の社会的責任)を果たす活動として対外的に発信できる
長期的な視点でみれば、一括支払いで太陽光発電を導入することが、いちばん費用面のメリットが出ます。しかし、会社の財務状況によってはこれらの方法によって導入するメリットが大きい場合もあるでしょう。
上記の初期費用無料の仕組みのうち「割賦販売契約・リース・PPA」について、以下の記事で解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
太陽光発電の設置で元は取れる? 成功事例を紹介
太陽光発電はけっして安くはない費用をかけて導入するため、設置費用の元が取れるかどうかを不安に思われる経営者・担当者の方も多いでしょう。
結論からいえば、企業が太陽光発電を導入した費用の元をとることは十分可能です。当社の導入事例では、設置費用を平均5年から10年で回収するケースが多いです。
ハウスプロデュースの設置費用への向き合い方
太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」では、お客さまが設置費用をできるだけ抑えつつ導入し、設置後もメリットを感じていただけるよう、設計・調達・施工・アフターフォローまで向き合います。
見積もり上の設置費用は、業者ごとにさまざまです。正直にいえば、ハウスプロデュースの設置費用は必ずしも「どこよりも安い」とはいえません。しかし、私たちはそのぶん「費用対効果」を重要視しています。たとえば架台やケーブルにしても、メーカーや組み方によって費用が変わりますし、強度が強く発電効率が良いケーブルを使えば、そのぶん費用がかかります。
設置費用が安いに越したことはありませんが、私たちはそれ以上に「何年で投資費用を回収できるか」「20年・30年後にいちばんメリットが出る設計・部材選定の組み合わせはどれか」を追求しています。
また、お客さまの不安を解消するための「レスポンスの早さ」もハウスプロデュースが心がけている部分です。当社で設置いただいたお客さまのなかには「価格以上に対応力が決め手となりハウスプロデュースへ導入を依頼した」という声をくださった方もいます。
太陽光発電の導入を検討している企業の経営者・責任者の方は、ぜひハウスプロデュースへお問い合わせください。
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