自家消費型太陽光発電の設置費用の内訳やランニングコストを解説

自宅または自社で使用する電力を自前で賄う「自家消費型太陽光発電」のニーズが高まっており、電気代削減を目的として導入するケースが増えています。

しかし、太陽光発電は単にパネルを設置して終わりではなく、ほかにもさまざまな機器を導入しなければなりません。太陽光パネルの本体価格だけを参考に予算を組んでしまうと、工事の見積もりをした際に想定外の費用が加算され困惑することも考えられます。

そこで今回の記事では、自家消費型太陽光発電を導入するにあたって、太陽光パネルも含めてどのような機器を準備しなければならないのかを紹介するとともに、設置費用やランニングコストについても詳しく解説します。

これから太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてみてください。

自家消費型太陽光発電を導入する際の費用と内訳

自家消費型太陽光発電では、どのような機器を揃える必要があるのか、そして、導入時にかかる費用の内訳についても解説します。

大前提として、自家消費型太陽光発電の規模によって導入コストは変動します。たとえば、100平方メートル程度の小規模なオフィスと、1,000平方メートルを超える工場では発電規模が異なり、規模が大きくなればなるほど導入コストが高くなるのは当然のことです。

そこで今回は、経済産業省の調達価格等算定委員会が2020年に発表した「令和2年度の調達価格等に関する意見」という資料のデータをもとに、2019年設置案件の50kWから100kW規模の平均値から1kWあたりの単価に換算したうえで紹介します。

太陽光発電設備ごとのkW単価

(画像一部引用:令和2年度の調達価格等に関する意見|経済産業省)

1. 太陽光パネル

太陽光パネル

(画像引用:NQ-254BM|シャープ)

太陽光発電設備になくてはならない存在なのが太陽光パネルです。

家屋の屋根やビルの屋上、空き地などに設置されている光景を見ることも多くなりました。パネル本体の単価は、1kWあたり平均8.4万円程度です

2. パワーコンディショナー

パワーコンディショナー

(画像引用:JH-45HB3|シャープ)

通称「パワコン」と呼ばれる機器です。太陽光パネルで発電した電気は直流電流であり、このまま一般用の電源として使用することはできません。

パワーコンディショナーは電気を直流から交流へと変換する役割を果たしており、太陽光発電にはなくてはならない存在です。パワーコンディショナーの単価は、1kWあたり1.9万円程度です。

3. 架台

架台

(画像引用:陸屋根施工|TAKAMIYA)

太陽光パネルを屋根や屋上などに設置する際、パネルを固定するための台です。パネルの枚数に応じて架台は増やす必要があるほか、設置箇所に応じて架台の材質なども異なります。架台の単価は、1kWあたり2.3万円程度です。

4. 発電モニター

発電モニター

(画像引用:モニタ|Panasonic)

太陽光パネルで発電された電力量、および施設内での消費電力量などを可視化するためのモニターです。

また、万が一発電システムに異常や故障が発生した場合に、それを通知する役割も果たします。発電モニターを含む機器類は「その他の機器」として分類されており、1kWあたり2万円が平均値となっています。

5. 設置工事

設置工事

(当社の設置工事現場)

太陽光パネルを架台へ設置し、パワーコンディショナーや発電モニターなどを接続、施設内へ電気を引き込むための一連の作業にかかる費用は、1kWあたり10万円から12万円程度となっており、導入コストのなかでもっとも多くの割合を占めています。

6. 保険

突風や落雷、大雪などによって太陽光発電システムが倒壊したり、周囲の住居や施設へ破損した部品が飛散する危険性もあります。そのような事態に備えて、自家消費型太陽光発電を導入する際には保険へ加入するのが一般的です。

太陽光発電設備向けの保険としては、おもに「火災保険」と「動産保険」がありますが、火災保険の場合は導入コストの1.5%から2.5%、動産保険の場合は2.5%から3.5%が相場となっています。

これを1kWあたりのコストに換算すると、火災保険は4,000円から6,000円、動産保険は6,000円から9,000円程度となります。

7. 接続箱(ケーブル類)

接続箱(ケーブル類)

(画像引用:[PVT-R_PV-R] 太陽光発電システム用 接続箱(最大入力電圧DC750V 対応)|日東工業)

太陽光パネルとパワーコンディショナー、発電モニターなどの機器同士を接続する際のケーブルをまとめておく役割を果たすのが接続箱です。これは、発電モニターを含む「その他の機器」として分類され、コストの内訳のひとつにカウントされています。

ここまで挙げてきた内訳をまとめると、50kWから100kW規模の自家消費型太陽光発電では、1kWあたりの導入コストは以下のとおりとなります。

太陽光パネル 8.4万円
パワーコンディショナー 1.9万円
架台 2.3万円
発電モニター・接続箱などの機器 2.0万円
設置工事 10.0~12.0万円
保険・その他 1.6万円
値引き -2.4万円
24.1万円

自家消費型太陽光発電のランニングコストについて

自家消費型太陽光発電は、自前で電力を賄えるためランニングコストの削減に貢献できます。その一方で、太陽光発電設備そのものを維持していくためのコストがかかることも事実です。

もし、太陽光発電で削減できた電気代よりも、設備のランニングコストのほうが高くなるようでは導入メリットが見いだせません。そこで、太陽光発電にはどの程度の維持費がかかるのか見ていきましょう。

太陽光発電にかかるランニングコストの内訳

太陽光発電にかかるランニングコストの内訳は、おもに点検費用と清掃費用が挙げられます。

点検費用

50kW以上の産業用太陽光発電システムは、定期的な法定点検が義務付けられており、1回の点検で1〜3万円程度のコストがかかります。

100kW以上の大規模な太陽光発電となると、さらに費用は高額となり、個別に見積もりを依頼する必要があるでしょう。

なお、50kW未満の太陽光発電の場合、法定点検は義務付けられていませんが、国は4年に1回の定期点検を推奨しています。

清掃費用

太陽光パネルの表面に汚れが付着していると、発電効率が低下することがあるため定期的な清掃が不可欠です。

一般的には、高圧洗浄機を使用したり、専用の洗浄剤を使用したりするなどして清掃を行います。点検と合わせて清掃を行ってくれる業者もありますが、別途料金が発生するケースが多いため注意しましょう。

清掃費用の相場としては、50kW以下の小規模な太陽光発電であれば一式で5万円程度、それ以上の規模になるとパネル1枚あたり500円から1,000円程度の費用が加算されます。

税金

企業として自家消費型太陽光発電を設置した場合に発生する税金は以下です。

  • 固定資産税:太陽光発電は償却資産とみなされ、固定資産税が発生します。太陽光発電の耐用年数は、導入目的によって変動します。
  • 所得税(FIT利用の場合):FIT(固定価格買取制度)を利用して売電を行なう場合、所得税に影響する可能性があります。

税金が太陽光発電の導入の障壁とならないよう、国は固定資産税が減免になる制度や設備費用を即時償却できる制度を設けています。

入るべき保険

導入費用の内訳でも紹介したとおり、太陽光発電は「火災保険」や「動産保険」への加入がおすすめです。保険料は導入コストに応じて変動しますが、仮に1,000万円の導入コストがかかった太陽光発電の場合には、年間の保険料は以下のとおりです。

  • 火災保険(導入コストの1.5%から2.5%):15万から25万円
  • 動産保険(導入コストの2.5%から3.5%):25万から35万円

(※費用や保険会社などによって変動することがあります)

売電するより自家消費した方が良い理由

太陽光発電には自家消費を前提とした「自家消費型太陽光発電」と、発電したエネルギーを電力会社へ販売する「投資型太陽光発電」があります。

しかし、2021年現在では、投資型よりも自家消費型のほうがメリットが大きく、コスト面から考えても自家消費型を選択する企業が多いです。

2021年現在の買電価格

自家消費型太陽光発電のほうがメリットが大きい理由を一言でいえば、「買電価格よりも売電価格のほうが安い」ことが挙げられます。そのため、電気を売るよりも、電力会社から購入する電気の料金を減らしたほうがお得です。

たとえば、東京電力の「従量電灯B」で契約している場合、使用電力量に応じて以下のように電力量料金単価が変わります。

1kWhあたり料金(税込)
電力量料金 第1段階料金(120kWhまで) 19.88円
第2段階料金(120kWhから300kWhまで) 26.48円
第3段階料金(300kWh超え) 30.57円

2021年現在の売電価格

では電気を買うのではなく、電力会社へ売った場合の価格はどうなのでしょうか。2021年度の1kWhあたりの調達価格は、以下のとおりです。

  • 10kW未満:19円
  • 10kW以上50kW未満:12円
  • 50kW以上250kW未満:11円

2012年の10kW未満の売電価格は42円であったことを考えると、ここ10年で半値以下に下落していることがわかります。このような傾向は今後も続いていくと見られています。

先述した東京電力の「従量電灯B」では、いちばん安い電気料金単価でも19.88円/kWです。つまり「11円や12円で電気を売るよりも、19.88円で買うはずだった電気を削減する」ほうがメリットが大きくなるのです。

FIT(固定価格買取制度)や売電価格については、以下の記事でも解説していますので、こちらもぜひ参照ください。

投資型太陽光発電から自家消費型太陽光発電へ切り替えは可能?

これまで投資型太陽光発電として運用してきたシステムを、自家消費型太陽光発電へ運用を切り替えることは可能です。具体的には、パワーコンディショナーなどで発電したエネルギーを制御し、電力会社へ供給するのではなく自家消費用に切り替えます。

ただし、太陽光発電設備について変更や追加が必要な場合には、「変更認定申請」「事前変更届出」「事後変更届出」などの届出が求められるケースもあるため注意しましょう。

自家消費型太陽光発電のその他のメリット

自家消費型太陽光発電は、コスト面でのメリット以外にもさまざまな利点があります。企業にとって具体的にどのようなメリットが考えられるのか、2つのポイントを紹介しましょう。

電気自動車の充電スタンドにも使える

電気自動車の充電スタンドにも使える

世界的な脱炭素化の流れもあり、欧州をはじめとした自動車メーカーは今後、ガソリン車からEV(電気自動車)への転換を図っていくとしています。

EVが普及し始めると、充電スタンドとよばれるEV専用の充電設備を導入することが不可欠となりますが、自家消費型太陽光発電があれば、EVで使用する大量の電力も自前で用意できるようになるでしょう。

その結果、これまで以上にランニングコストの大幅な削減も期待できます。

災害時に役立つ

地震や台風といった自然災害が発生した時、長時間にわたる停電が起こる可能性も考えられます。停電が長期化すればするほど、事業に与える被害も甚大で、多くの損害を受ける可能性があります。

しかし、自家消費型太陽光発電の設備や蓄電池を導入すれば、万が一の時でも最低限の電力は確保でき、BCP対策に大きな効果を発揮します。

まとめ|費用面以外のメリットも考慮して設置を検討しよう

自家消費型太陽光発電はランニングコストの削減に効果を発揮しますが、一方でメンテナンスコストがかかることも念頭に置いておかなければなりません。

また、導入時には、太陽光パネル以外にもパワーコンディショナーや架台、発電モニターなど、さまざまな機器のコストもかかり、発電規模が大きくなればなるほど導入コストも増大します。

コスト面のメリット・デメリットばかりではなく、BCP対策をはじめとしたその他のメリットも考慮しながら、自家消費型太陽光発電の導入に向けて検討してみてはいかがでしょうか。

導入メリットや電気代削減、節税効果などを詳しく解説

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 執筆者
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太陽光設置お任せ隊編集部
太陽光発電及び屋根工事のプロとして全国で5,000件以上の産業用太陽光発電の企画・設計・施工管理を手がける太陽光設置お任せ隊の記事編集チーム。豊富な実績より培ったノウハウと専門家からの取材に基づいた情報を初めての方でも分かりやすくお伝えします。現在、第一種電気工事士・宅地建物取引士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザー等有資格者が在籍。
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