高圧の太陽光発電で自家消費するには?導入課題を解消するPPAも紹介

大規模な工場や学校などの「高圧受電契約の施設」に太陽光発電を設置して自家消費するには法令に沿った運用と管理が求められます。

また、低圧受電施設に太陽光発電を導入する場合と比べて、必要となる設備や電気工事の内容が異なり非常に高度なノウハウが求められます。

今回お伝えするポイントを理解していただくことで、太陽光発電の導入後のトラブルを未然に回避しつつ、設備の運用や管理を円滑に進めていただけます。

太陽光設置お任せ隊は、低圧・高圧含めて累計6,500件以上の太陽光導入実績を持つ施工業者です。当社の施工事例はこちらでご覧ください。⇒お任せ隊の施工実例と導入効果を見る

太陽光発電における低圧・高圧・特別高圧とは?

太陽光発電は設備の規模(定格出力)によって「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つの区分に分類されます。

太陽光発電は、この定格出力によって必要となる設備や管理体制などが異なるため太陽光発電を検討されている方も把握する必要があります。

太陽光発電設備は、下記の定格出力に区分して低圧・高圧・特別高圧に分かれています。

低圧(住宅や小規模施設に設置する場合)
定格出力50kW未満の太陽光発電
高圧(工場や学校などに設置する場合)
定格出力50kW以上の太陽光発電
特別高圧(大規模な工場や商業施設など)
定格出力2,000kW以上の太陽光発電

一般的に太陽光発電の定格出力は施設の契約電力に比例します。たとえば、高圧契約の施設であれば高圧規模の太陽光発電設備を導入することが多いです。

ただし、太陽光発電の定格出力に比例して太陽光パネルの枚数が増えるなど設備の規模が大きくなるため、十分な敷地面積が必要となります。

工場の屋根に太陽光パネルを設置するために必要な面積とは?計算方法や注意点を解説

高圧区分は法律上のルールが設定されている

高圧区分は電気事業法において「自家用電気工作物」と定義されています。

電気事業法では、定格出力以外にも「交流電圧600Vを超える」「直流電圧750Vを超える」ものは高圧区分として定められています。

高圧区分の施設に太陽光発電設備を導入する場合、経済産業省が定める基準に沿って設備の安全維持した運用を行うことが法律として定められています。

当社は、企業の太陽光発電システム導入による電気代・CO2削減効果を、無料で概算お見積もりいたします。まずはお気軽にご相談ください。⇒導入効果や費用などのご相談はこちらから

高圧施設で太陽光発電の自家消費をするには?

高圧施設に自家消費型太陽光発電を導入して実際に稼働させるには、キュービクルへの接続工事や管轄の消防署への保安規定の提出など多くのステップがあります。

ここでは、それぞれの必要な工程と理由について解説します。

太陽光発電とキュービクルを接続して降圧する

キュービクル

高圧の太陽光発電で自家消費する場合、太陽光発電とキュービクルを接続して、発電した電気を降圧(こうあつ)する必要があります。

降圧(こうあつ)とは、電力供給のプロセスの1つで、高い電圧を低い電圧に変換する工程をいいます。

高圧契約の施設では、電力会社から非常に強い電圧の電気(例えば66,000V)で供給されています。そのため、高圧受電設備(キュービクル)を用いて、安全レベルの電圧(例えば100V〜200V)まで電圧を下げてから電気を使用しています。

太陽光発電による逆潮流の発生を防ぐ設備を設置する

逆潮流の仕組み
逆潮流の仕組み

自家消費型太陽光発電を導入する際には「逆潮流」の発生を防ぐ設計が必要になります。
「逆潮流」とは、施設の電力消費量に対して太陽光発電の発電量が大きく上回った際に、余った電気が電力系統に逆流する現象をいいます。

基本的に、自家消費型太陽光発電を施設に導入する場合は、発電した電気をすべて自家消費するという目的で電力会社と系統連係を行います。しかし、普段より電気を使用しない日や休業日などがある場合、余分な電力が発生し「逆潮流」を引き起こしてしまう場合があります。

予期せぬ逆潮流が発生してますと、電力会社の設備が電力を遮断してしまい大規模停電に陥る恐れがあります。

そのため、自家消費型太陽光発電の導入では、このような逆潮流の発生を防ぐための「RPR(逆電力継電器)」という特別な設備を設置する必要があります。

逆潮流と自家消費型太陽光発電の関係|対策すべき理由や発生防止方法を解説

負担制御装置付きのパワーコンディショナを設置する

負荷追従制御装置は、電力需要に応じて太陽光発電の発電量を増減させ、電力の需要と供給のバランスを維持する装置です。

建物で使用する電力量と太陽光発電の発電量のバランスは、日中、夜間、平日、週末、季節や天候によって常に変動しています。

このバランスが大きく崩れることで、逆潮流を防ぐためのRPRが作動してしまい、強制的に施設全体が停電状態になります。

この停電を防ぐために、負荷追従制御装置によって常に電力の需給バランスを保つ必要があります。

また、太陽光発電に使用される負荷追従装置付きパワーコンディショナの中には、99%という高い負荷追従率を実現した製品もあり、発電ロスを最小限に抑える効果も期待できます。

太陽光発電による地絡事故を防ぐための設備を設置する

「地絡事故」とは、太陽光発電などの設備から電気が漏電した際に、地面や施設に電気が流れてしまい感電や火災などの自己を引き起こす現象です。

高圧の自家消費型太陽光発電を導入する場合は、電気使用量の測定を行いながらパワーコンディショナを抑制するための装置を設置する必要があります。

「地絡事故」を防ぐために装置としては主に、電気使用量を監視装置に送る「マルチメーター」漏電を感知し回路を守る「OVGR(地絡過電圧継電器)」や「ゼロフェーズ電流検出装置(ZPD)」または、蓄電池などのバックアップ電源などが使用されます。

高圧施設に太陽光発電を導入する場合はノウハウをもった業者に依頼する

高圧施設に自家消費型太陽光発電の導入を依頼する工事業者を選ぶ際は、下記の2つの特徴をもつ業者に依頼しましょう。

  • 第一種電気工事士の有資格者が所属している業者
  • 高圧施設への自家消費型太陽光発電の導入実績がある業者

太陽光発電とキュービクルを接続するなどの高圧区分の電気工事を行うためには、法律上「第一種電気工事士」へ依頼しなければなりません。

また、第一種電気工事士の中でも太陽光発電の接続に伴うキュービクルの改造工事の実績を持つ業者が好ましいでしょう。

太陽光発電を接続する際に既存のキュービクルの容量が不足していた場合、新しいキュービクルの増設を提案されることが一般的です。

しかし、高い技術とノウハウを持った業者であれば、既存のキュービクルの容量を増やす改造工事を提案してくれるケースがあります。

改造工事で容量を増やすことができれば、新しいキュービクルを増設する費用と比べて約半分のコストに抑えることができます。

そのため、依頼する業者が「第一種電気工事士」が所属しているのか?「キュービクルの改造工事」の実績があるのか?など事前に確認しておきましょう。

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高圧施設に太陽光発電で自家消費するメリット・デメリット

高圧施設に自家消費型太陽光発電を導入するメリット・デメリットを挙げていきます。

高圧連系のメリット

  • 設備の出力が大きく発電量が多いため、電気代削減効果が高い
  • 低圧に比べると、1kWあたりのシステム単価が安くなる傾向にある。
  • 1kWあたりの費用が安く発電量が多いため、長期的な経済的メリットが大きくなりやすい

高圧連系のデメリット

  • 太陽光パネル・パワーコンディショナーの容量が増えるほか、キュービクルなどの設置により低圧より費用が高くなる
  • メンテナンス費用や電気技術主任技術者の委託などで、ランニングコストも高くなる
  • 保安規定への届け出や電気主任技術者の専任など、低圧に比べて手続きは複雑になる。

高圧・特別高圧の太陽光導入で必要になる費用

高圧・特別高圧連係の自家消費型太陽光発電を導入する際に必要になる場合がある費用と金額の目安は以下のとおりです。

キュービクル設置費用 150万円〜200万円(改造で済む場合は50万円〜100万円)
電気技術主任技術者への委託費 年間6万円〜(50kW〜100kW規模の場合)
年間100万円〜(500kW〜1,000kW規模)
電力会社への協議申請 22万円

上記のとおり、高圧の太陽光発電を導入した場合、50kW〜100kW規模なら低圧に比べて128万円程度(500〜1,000kW規模なら230万円程度)の追加費用が発生します。

また、太陽光パネルの枚数が多くシステム費用やメンテナンス費用も高くなるため、導入は自社の状況も踏まえて検討しましょう。

高圧の太陽光発電の導入課題を解決するPPAとは?

PPAの仕組み(図解)
PPAの仕組み(図解)

前述した高圧の自家消費型太陽光発電のデメリットを解消する方法として、PPA「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」という仕組みがあります。

PPAは、太陽光発電を導入したい「需要家企業」と電気を販売したい「PPA事業者」の間で電力購入契約を締結する仕組みです。

需要家企業は太陽光発電の設置に必要な敷地をPPA事業者に提供する代わりに、太陽光発電の導入に必要な初期費用やメンテナンス費用、さらに設備の保守管理をPPA事業者に負担してもらうことができます。

PPA事業者は自社が建てた太陽光発電によって作られた電気を需要家企業に購入してもらうことで設備の費用を回収します。

高圧施設に太陽光発電の導入を検討する企業のなかには、低圧と比べて高額な初期費用や設備の保守管理の工数が増えてしまうことを考慮して、PPAによる導入を採用するケースも増えてきています。

PPAに関する詳しい仕組みやメリット・デメリットについては下記のコラムで紹介しております。

【事例あり】PPA太陽光とは?仕組み・メリット・デメリットを解説

高圧規模の太陽光発電導入事例

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)による、高圧規模の太陽光発電導入事例をご紹介します。

金属加工工場への導入事例

特殊金属エクセル様 太陽光パネル設置後
株式会社特殊金属エクセル様 埼玉事業所R&Dセンター 上空のドローン撮影画像
導入先 株式会社特殊金属エクセル 様
都道府県 埼玉県
年間発電量 636,132 kwh
導入目的
  • 製造コスト削減に加えて、早期の再エネ導入による脱炭素促進で業界リードを目指したい
導入効果
  • 当該施設の電気使用量を約10%削減し、年間で約1,000万円の電気代を節約
  • 当該施設におけるCO2排出量を約10%削減し、年間で約300t-CO2の排出を減少

RE100加盟企業を取引先にもつ製造工場が導入を決断した本当の理由

高圧規模の自家消費型太陽光発電導入は専門家にご相談ください

本記事のまとめは以下のとおりです。

  • 太陽光発電は定格出力により「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類に分類される。
  • 高圧施設での太陽光導入にはキュービクルなどの設備が必要。
  • キュービクルとの接続が必要になるため改造工事が行える業者に依頼する。
  • 初期費用・メンテナンス費用や設備の保守管理に課題があれば、PPAによる導入も検討する

自家消費型太陽光発電を設置することで、電気代削減やCO2排出削減、非常用電源の確保などさまざまな効果が得られるため、注目度が年々上がっています。

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)は、創業から29年、太陽光発電の施工において累計6,500件以上の実績を積み、また自社でも太陽光発電所を保有することで効率の良い設計のノウハウを蓄積してきました。

低圧・高圧・特別高圧問わず多数の実績経験があるほか、第一種電気工事士の有資格者が社内に在籍しておりキュービクルの改造工事にも対応可能ですので、大規模な法人施設・商業施設、また学校などの公共施設への導入を検討される方は、ぜひ一度ご相談下さい。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース広報部

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当社は、産業用太陽光発電システムのEPC工事を専門に手がけています。経験豊富な電気工事士やエネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材を基に、EPC事業者としての「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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