高圧の太陽光発電で自家消費するには?|低圧との違いや必要な設備、導入事例を紹介
大規模な法人施設や公共施設など高圧受電契約をしている建物に太陽光発電を設置して自家消費を行う場合、法令に沿った管理や特殊な電気工事が必要となるなど、低圧と比べて導入ハードルが飛躍的に上昇します。
そのため、実績とノウハウが浅い業者などでは、「停電が頻発するようになった」「発電量が全然出ていない」「補助金の対象から外された」などトラブルや重大な事故につながるリスクが高くなります。
そこで今回は、高圧規模の自家消費型太陽光発電を導入する際に、気をつけておくべきポイントやメリットやデメリットについて解説していきます。
自社の施設に自家消費型太陽光発電の導入を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
太陽光発電の低圧・高圧・特別高圧の違い
太陽光発電は、設備の出力によって低圧・高圧・特別高圧の3つの電圧区分に分けられ、必要設備や保守管理、また設備導入に関わる法律やルールにも違いがあります。
設備の出力によって区分が分けられている
太陽光発電は、出力によって以下の3つに区分が分けられます
- 低圧
定格出力が50kW未満の太陽光発電 - 高圧
定格出力が50kW以上2,000kW未満の太陽光発電 - 特別高圧
定格出力が2,000kW以上の太陽光発電
低圧区分は、一般家庭規模の電圧区分であり、コンビニや飲食店の店舗などの小規模店舗の場合も低圧区分である場合が多いです。
高圧以上の区分では、キュービクル(高圧受電設備)が設置されている施設になります。<.p>
工場・倉庫・介護福祉施設・マンション・ビル・スーパーマーケット・病院・学校など商業施設や公共施設などである場合が多いです。
低圧と比べて、法律上のルールが追加される
高圧区分は、電気事業法において「自家用電気工作物」とされています。また、定格出力以外に「交流電圧で600Vを超える」「直流電圧で750Vを超える」という条件も定められています。
さらに低圧と異なり、経済産業省によって決められた基準に沿ってシステムの維持管理や点検を行う必要があるなど、複数の法律上のルールが定められています。
高圧用の設備や手続きが必要となる
高圧の太陽光発電を導入するためには、管轄の消防署に保安規定の提出が必要になります。
高圧施設で太陽光発電の自家消費をするには
高圧施設で「自家消費型太陽光発電」を行うために必要な設備や、なぜそれらが必要なのか解説していきます。
キュービクルとの接続工事が必要になる

高圧契約をしている建物では、キュービクルと呼ばれる変圧器の設置が必要です。
出力が50kW以上2,000kW未満の太陽光発電は高圧で系統連系をする必要があるため、キュービクルと接続して降圧しなければなりません。
高圧施設では配電網から6,600Vで電気を引き込み、キュービクルによって100Vや200Vに電圧を低下させて使用します。
自家消費型の太陽光では逆潮流を防止する設備が必要
高圧に限った話ではないですが、太陽光発電システムを導入して発電した電力をすべて自社施設で使用する「自家消費」を行う場合、余った電力が系統側へ流れないようにする必要があります。
しかし、休業日などに発電した電力を自社で使い切れない場合は、対策無しでは余った電力が系統側へ流れる「逆潮流」が起きてしまいます。
この逆潮流を防ぐために、自家消費型太陽光発電では「RPR(逆電力継電器)」という設備の設置が必要になります。
関連記事:逆潮流と自家消費型太陽光発電の関係|対策すべき理由や発生防止方法
トラブル防止や、発生時に対応するための設備も必要
高圧施設の太陽光発電システムで漏電などのトラブルが起きた場合に、施設内の電力設備やその他の設備に影響を及ぼさないための対策も大切です。
そのため、安全装置として「OVGR(地絡過電圧継電器)」や「ZPD(零相電圧検出装置)」の設置が必須となります。
業者選択を間違えると重大な事故にもつながる
高圧受電設備への自家消費型太陽光発電の導入は、どちらの分野にも精通した知識がなければ設計ができないため、非常に高度なノウハウが必要になります。
また、既存のキュービクルに対して太陽光発電を接続するためには、既存のキュービクルの改造工事が必要となる場合があります。
そのため、依頼する太陽光発電業者が十分なノウハウを持っていなければ、
- 導入費用が高額になるキュービクルの入れ替えを提案される
- 想定外の停電が頻発する
- 発電不良など重大な事故を引き起こしてしまう
などのトラブルの可能性が高まります。
そのため、高圧施設への自家消費型太陽光発電の導入には必ず、下記の2点を抑えている業者を選定しましょう。
- 自家消費型太陽光発電の設計が可能な第一種電気工事士が所属している業者
- 高圧施設への自家消費型太陽光発電の導入実績を持つ業者
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高圧施設の太陽光発電で自家消費するデメリット・メリット
高圧施設で自家消費型太陽光発電を導入するデメリット・メリットを挙げていきます。
高圧連系のデメリット
- 太陽光パネル・パワーコンディショナーの容量が増えるほか、キュービクルなどの設置により低圧より費用が高くなる。
- メンテナンス費用や電気技術主任技術者の委託などで、ランニングコストも高くなる。
- 保安規定への届け出や電気主任技術者の専任など、低圧に比べて手続きは複雑になる。
高圧連系のメリット
- 設備の出力が大きく発電量が多いため、電気代削減効果が高い。
- 低圧に比べると、1kWあたりのシステム単価が安くなる傾向にある。
- 1kWあたりの費用が安く発電量が多いため、長期的な経済的メリットが大きくなりやすい。
高圧・特別高圧の太陽光導入で必要になる費用
高圧・特別高圧連係の自家消費型太陽光発電を導入する際に必要になる費用と金額の目安は以下のとおりです。
- キュービクル設置費用 100万円〜
- 電気技術主任技術者への委託費 年間6万円〜(50kW〜100kW規模の場合)・年間100万円〜(500kW〜1,000kW規模)
- 電力会社への協議申請 22万円
上記のとおり、高圧の太陽光発電を導入した場合、50kW〜100kW規模なら低圧に比べて128万円程度(500〜1,000kW規模なら222万円程度)の追加費用が発生します(※金額は目安です)。
また、太陽光パネルの枚数が多くシステム費用やメンテナンス費用も高くなるため、導入は自社の状況も踏まえて検討しましょう。
しかし、先述したように高圧の発電量なら大きな電気代削減効果が見込めます。
当社の施工事例では、7〜8年程度で初期費用を回収し、その後も20年から30年は稼働し続ける見込みのケースが多数です。
費用面がどうしてもネックになる場合は、初期費用をかけない太陽光導入モデルを検討するのも1つの手です。
関連記事:PPAの仕組みとメリットデメリット|初期費用0円で太陽光発電を導入できる3つの方法
高圧規模の太陽光発電導入事例
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)による、高圧規模の太陽光発電導入事例をご紹介します。
金属加工工場への導入事例

導入先 | 株式会社特殊金属エクセル 様 |
---|---|
都道府県 | 埼玉県 |
システム容量 | DC容量:581.4kW |
- 導入目的
- 製造コスト削減に加えて、早期の再エネ導入による脱炭素促進で業界リードを目指したい
- 導入効果
-
- 全国事業所の合計消費電力のうち約9%(60万kWh)を削減
- 製造過程におけるCO2排出量を年間300t削減
- 遊休地や駐車場のスペースを有効活用
水産加工工場への導入事例

導入先 | 株式会社瀬戸水産 様 |
---|---|
都道府県 | 神奈川県 |
システム容量 | DC容量:75.75kW |
- 導入目的
- 工場のBCP対策や、電気代削減によるランニングコストの削減を主な目的として導入。
- 導入効果
-
- 工場の電気使用量が約30%減
- 燃料価格高騰による電気代上昇を回避
まとめ
本記事のまとめは以下のとおりです。
- 太陽光発電は、その出力により「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類に分類される。
- 高圧施設での太陽光導入は、キュービクルなどの設備が必要。
- 高圧設備との接続が必要になるため、専門的なノウハウを持っている業者への依頼がおすすめ。
- 高圧はシステム容量が大きいため低圧より導入費用が高くなるが、設置後の電気代削減効果が大きく早期の投資回収が可能。
自家消費型太陽光発電を設置することで、電気代削減やCO2排出削減、非常用電源の確保などさまざまな効果が得られるため、注目度が年々上がっています。
とくに2022年度は電気代の高騰が社会問題となりました。コスト削減の面でも、今後の設備投資の選択肢として検討すべき商材といえるでしょう。
法人施設・公共施設の太陽光発電導入は専門家にご相談ください
自家消費型太陽光発電の導入を検討している方は、太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)の太陽光発電設置サービスがおすすめです。
創業から28年、太陽光発電の施工において累計5,000件以上の実績を積み、また自社でも太陽光発電所を保有することで効率の良い設計のノウハウを蓄積してきました。
小規模から大規模まで多数のシミュレーション経験があるほか、第一種電気工事士の有資格者が社内に在籍しておりキュービクルの改造工事にも対応可能ですので、大規模な法人施設・商業施設、また学校などの公共施設への導入を検討されるお客さまからも多数のお問い合わせをいただいております。
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