太陽光発電の「自家消費率」とは?|電気代の削減効率を上げる方法

企業や家庭が、建物(工場・オフィス・住宅など)に太陽光発電システムを設置し、発電した電気を自分たちで使用することを”自家消費”と呼びます。

自家消費を行うことで、電気料金の削減やCO2排出量の削減などの効果が得られます。また、その効果を高めるためには「自家消費率」を高めることが重要です。

今回は、太陽光発電の効果に大きく影響を与える「自家消費率」について詳しく説明します。

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自家消費率とは?

太陽光発電の「自家消費率」とは、太陽光発電システムで作った電力のうち、実際に使用する電力の割合を意味します。

昨今では、固定価格買取制度(FIT)による電力の買取価格が低下する一方で、企業が負担する電気代は年々上昇しています。

この状況下では、単に太陽光パネルを多く取り付けて発電量を上げるよりも、自家消費率を高めて効率的な電気代の削減に注力する方が、太陽光発電の経済的メリットを最大化することに繋がります。

太陽光設置お任せ隊は、単純にパネルをたくさん載せるのではなく、最適な自家消費率を考慮した設計をおこないます。無料でお見積もりを承りますので、お気軽にご相談ください。⇒導入効果や費用などのご相談はこちらから

太陽光発電における自家消費率の重要性

そもそも、太陽光発電では発電した電気を100%自家消費することはできません。

工場やオフィスなどの建物では、休業日のように日中でも電力を使用しない時間帯があります。その間に太陽光発電システムがいくら発電しても、電力を使用していない以上は自家消費ができません。

たとえば、年間100,000kWhを発電できる太陽光発電システムを設置した場合、建物の実際の電力使用量が50,000kWhであれば、残りの50,000kWhは自家消費できず捨てることになります。

これは、設備投資にかけたコストの半分が無駄になっていることを意味します。

このような無駄を防ぐためには、建物の電力使用量を正確に把握して、それに見合った太陽光発電システムの設備容量になるような設計をする必要があります。

自家消費率を高めて電気代の削減効率を上げる方法

それでは、実際に太陽光発電の自家消費率を高める方法について解説します。

電気使用状況に合わせて設備容量を設計する

工場や倉庫など同じような外観の建物であっても、「何を作っているか」「電力をもっとも使用する時間帯はいつか」など、企業ごとに電気の使い方はさまざまです。

また、太陽光発電システムの発電能力は、設備の規模だけでなく、その地域の日照量によっても異なります。

そのため、太陽光発電システムの自家消費率を高めるためには、建物ごとの日照条件や電気使用状況を細かく分析して、最適な設備容量を計算する必要があります。

太陽光パネルの角度やストリングを工夫する

太陽光発電は、極力少ない太陽光パネル枚数でより多くの発電を行うほうが、設備にかかるコストを抑えて投資効果を高めることができます。

太陽光発電システムは、太陽光パネルの角度やストリングを工夫することで、発電効率を底上げできます。

(※ストリング:複数の太陽光パネルを直列に組み合わせたもの)

一般的に、太陽光パネルは地面に対して30度の角度がもっとも発電効率が高いとされています。

もともと適度な傾斜がある屋根であれば、太陽光パネルの角度を調節する必要はありません。しかし、陸屋根など水平角度の屋根に設置する場合は、架台の角度を調節して太陽光パネルを30度に近い角度に傾けて設置させる必要があります。

また、ストリングを構成する際のケーブルの配線方法を最適化することでも、発電ロスを抑えて発電効率を高めることができます。

太陽光発電はストリングの繋げ方ひとつで発電効率が大きく変わる|セル・モジュール・アレイとの違いも解説

蓄電池を追加する

太陽光発電システムに蓄電池を組み込むことで、自家消費率を効率的に高めることが可能です。

太陽光発電システムは、名前のとおり太陽光を電力に変換するため、夜間や雨天では発電が行えません。
しかし、蓄電池を併設していれば、余った電力を蓄えておくことができます。

蓄電池に蓄えられた電力は、日中の電力需要が高い時間帯に放電し、使用することができます。これにより、通常は無駄になる電力を自家消費用として利用することができます。

太陽光発電と蓄電池を併用するメリットとデメリットを易しく解説

発電モニターとEMSを搭載する

発電モニターは、太陽光発電システムの発電量と自家消費の状況をリアルタイムで監視できます。日々の発電パターンを分析することで、発電量が最大になる時間帯を特定できます。

エネルギーマネジメントシステム(通称、EMS)は、工場やビルなどの施設においてエネルギー使用状況を詳細に把握し、最も効率的なエネルギー利用をサポートするシステムです。

EMSを導入することで、施設全体の電力使用状況を可視化し、管理、分析、制御を行うことが可能になります。

発電モニターとEMSを組み合わせることで、太陽光発電システムが最も発電している時間帯に合わせて、電力使用量が多い作業を行うなどの計画を立てることが可能となります。

これにより、太陽光発電システムの自家消費率を最大限に高めることができます。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは|基礎知識や市場規模を解説

後から太陽光パネルを増設する

太陽光発電のシミュレーションは、過去数十年の気象データに基づいた高度な計算を用いて、再現性の高い予測データを提供します。

しかしながら、シミュレーションには100%の正確性はありません。稼働後は、期待よりも少ない発電量になる可能性があります。

そのような場合、太陽光発電の自家消費率を高めるために、後から太陽光パネルを追加し、発電量を増やすことが可能です。

増設を前提にシステムを導入し、シミュレーションの予測通りに発電するか試験運用を行った後に増設を行うことも可能です。

太陽光発電の増設とは?メリット・注意点・費用・実際の効果まで徹底解説

電力需要が少ない場合は売電を視野に入れる

電気使用量が比較的少ない建物、例えば物流倉庫などで、太陽光発電の経済メリットを最大限に引き出すには、自家消費と売電を組み合わせることが有効です。

固定価格買取制度(FIT)による買取価格は年々低下しているものの、売電可能な電力量が多い場合は、依然として利益を生み出すことが可能です。

ただし、現行のFITでは、設備容量が10kW以上50kW未満の太陽光発電システムを用いて売電を行う場合、太陽光発電による電力の30%以上を自家消費するシステム(自家消費率30%以上)であることが必要です。

自家消費率30%のイメージ
10kW以上50kW未満では、自家消費率30%以上が必要

このため、電力消費が少ない建物の場合は、この条件を満たすことが難しい場合があります。

一方、50kW以上の設備容量を設置できる場合は、自家消費率30%以上の要件が不要となり、発電した電力を全量売電することが可能です。
(設備容量50kW以上の太陽光発電システムを建物の屋根に設置するためには、約10,000㎡の面積が必要です)

また、2024年度のFIT改正では、屋根設置型の太陽光発電システム(工場や倉庫など)の電力買取価格を1kWhあたり12円まで引き上げることが決まっています。

2024年度FITに新たな方針。工場・倉庫など屋根置き太陽光発電の買取価格を引き上げ

自家消費率の最大化を実現した太陽光発電を設置します。

太陽光発電システムにおいて、自家消費率は重要な指標の一つです。
高い自家消費率を実現することで、より少ないコストで効率的に発電を行い、太陽光発電への投資効率を高めることができます。

太陽光発電の自家消費率を高めることは、主に以下のメリットに繋がります。

  1. 少ない投資金額で利益を最大化できる
  2. CO2排出量の削減効率が高まり、脱炭素に大きく貢献する
  3. 停電時でも使用できる電力量が増加する

ハウスプロデュースでは、これまでに6,500件以上の太陽光発電システムの導入実績がございます。

お客様の太陽光発電システム導入時には、電力使用状況を詳細に分析し、自家消費率を最大限に高める設計を提供します。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース広報部

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当社は、産業用太陽光発電システムのEPC工事を専門に手がけています。経験豊富な電気工事士やエネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材を基に、EPC事業者としての「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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