太陽光発電に適した屋根や設置場所を紹介|リスクや注意点も解説

電気代削減や環境対策の一環として、住宅や事業所の屋根を活用して太陽光発電を設置したいというニーズが高まっています。

太陽光パネルの効率は、設置場所・方角・角度などによって大きく影響を受けるため、どのような屋根に設置するかは慎重に検討する必要があります。

この記事では、太陽光発電に適した屋根の条件・設置のポイント・屋根設置における注意点ついて詳しく解説します。自社施設の屋根に太陽光発電システムの導入を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

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太陽光発電に適した設置場所の条件

太陽光発電は、パネルの設置場所によって発電効率が大きく異なります。また、設備を導入する際は、発電効率だけを考えるのではなく周辺環境への配慮も欠かせません。

ここでは、太陽光発電の導入に適した土地はどのような場所なのか解説します。

1. 日射量が多いエリア

日射量が多い発電所

太陽光発電の性質上、1日の日射量が多い場所が発電効率が高く、太陽光パネルの設置に適しています。

日本列島の中でもエリアによって日射量は異なります。南にいけばいくほど気温が高く、日射量も多いイメージをもつ方も多いと思いますが、たとえば6月から7月頃の梅雨時には降水量が増える地域もあります。

そのため、関東や東北地方、北海道でも南方の地域より日射量が多いケースもあります

2. 気温が安定した地域

じつは、札幌と那覇ではそれほど太陽光パネルによる発電量に差がないことをご存知でしょうか。

1年を通して気温が安定して温かい沖縄のほうが発電量が多そうに思えますが、太陽光パネルは気温が一定以上まで上がると、熱くなりすぎて発電効率が低下するという特徴を持っています。

札幌以外では仙台なども発電量が高めの地域であり、夏場の気候が穏やかで梅雨の影響を受けにくい地域は、北日本でも安定した発電量が見込めます。

3. 高い木や建物などで日陰を作られにくい場所

木が周りに生えている発電所

もともと日射量が多いエリアであったとしても、周囲に高い樹木やビルがあると、毎日決まった時間に影ができ、実質的な日射量は低下してしまいます。

そのため、太陽光発電を導入する際には、周囲に高い樹木などがなく、1日を通じて安定して太陽の光が当たる場所を選ぶことが大前提となります。

4. 住宅街や海から離れた地域

周囲に住宅などの建物が密集している場所に太陽光パネルを設置すると、パネルから反射した太陽光によって周辺住民から苦情やクレームなどが発生するリスクがあります。

住宅街の場合、導入時には周囲に高いビルやマンションが建っていなくても、数カ月後、数年後には環境が変化していることも考えられます。

また、海から離れた場所が良い理由としては、潮風に長期間さらされていると、金属製の部品やパネルの一部が塩害によって腐食し、設備の耐久性が低下するリスクがあるためです。

ただ、塩害に強い仕様になっている太陽光パネルも販売されているため、それらの製品によって対策が可能です。

太陽光発電と相性が良い屋根の3つの特徴

昨今の主流である「自家消費」では、多くの場合、太陽光パネルを屋根に設置します。太陽光発電の設置と相性が良い屋根の特徴を3つご紹介します。

南に向いている屋根

太陽光パネルの方角ごとの発電効率
太陽光パネルの方角ごとの発電効率

太陽が東から昇って西に向かって沈んでいくことと、日本が北半球に位置していることから、日中でもっとも日光が当たる時間が長いのは南の方角になります。

東西南北の各方角で太陽光パネルを設置した際の発電量の違いは下記の通りです。

方角 発電量
南向き 96%〜100%
西向き 82%~85%
東向き 82%~85%
北向き 50%~56%

もっとも発電できるのは「真南」に向いている屋根ですが、南西や南東であっても十分に発電が可能です。

一方、太陽光発電と相性が悪いのは日光が当たる量が少ない北向きの屋根になります。自宅や事業所の屋根がどの方向に向いているのか、事前に確認しておきましょう。

なだらかな傾斜がある屋根

太陽光発電と相性が良い屋根の特徴その2は、なだらかな傾斜があることです。

太陽光パネルは真上を向いているよりも一定の角度がついている方が日光が当たりやすく発電量が増加します。

理想の屋根の角度は「30度」になりますが、急勾配な屋根や平坦な屋根であっても、架台の角度を調整することで太陽光パネルの角度を30度に近づけて補うことができます。

正方形または長方形の形状をした屋根

太陽光発電と相性が良い屋根の特徴その3は、正方形や長方形など整った形状をした屋根です。

太陽光パネルは、どのような配置(レイアウト)で設置するかによっても発電効率が変化します。

そのため、正方形や長方形などの形状であれば、太陽光パネルを自由に配置しやすく、発電効率が高く見た目もキレイに設置することが可能です。

形状が特殊な屋根でも太陽光パネルを設置することは可能ですが、形状が複雑かつ面積が狭い屋根には設置できない場合があります。

屋根の形状に沿った太陽光発電の設置方法

ここまで太陽光発電システムと相性の良い屋根の特徴を3つお伝えしました。 続いて、屋根の形状の種類と太陽光発電を設置する際に工夫するポイントを紹介します。

屋根の種類
屋根の種類
  1. 切妻屋根(きりつまやね)
    太陽光パネルを2面の屋根板に設置できるため、両面が東向き西向きでも問題ありません。また、片面が北向きでも反対方向の南向きの面に太陽光パネルを設置することで十分な発電量を確保できます。
  2. 片流れ屋根
    北向きの片流れの場合は太陽光パネルの発電量が低くなるケースがありますが、南向きの片流れ屋根は、一面に太陽光パネルを搭載できるため設置枚数を増やすことで発電量を補うことができます。
  3. 寄棟屋根(よせむねやね)
    1面あたりの屋根面積が比較的小さいことが特徴ですが、北面以外の方角に太陽光パネルを設置することで十分な発電量が確保できます。
  4. 陸屋根
    傾斜がなく工事やメンテナンスがしやすいメリットがある一方、屋根が水平になっており雨水が溜まりやすいため、太陽光パネルの設置工事では防水シートなどの雨漏り対策を施す必要があります。
  5. 無落雪屋根(スノーダクト)
    屋根の端から中心にかけて逆方向に傾斜をつけることで、屋根に積もった雪の外側への落雪を防ぐように設計されています。太陽光発電との相性に関しては、主に積雪地域へ設置することが想定されますので、毎年の積雪量を考慮して設置を検討する必要があります。

上記以外にも屋根の形状には種類があります。太陽光パネルを取り付ける際は、屋根の形状や特性を生かした配置で設計を施す必要になります。

屋根の材料と太陽光発電との相性

屋根に使用されている素材(屋根材)によっては、太陽光パネルが設置出来ない場合があります。下記は、一般的に普及している屋根材の種類と太陽光発電の設置可否をまとめた表です。

屋根材 設置可否 条件・理由
瓦屋根
プレスセメント瓦屋根 劣化が激しい場合は不可
住宅用平型スレート屋根 スリットがあるものは不可
住宅用波型スレート屋根 不可 劣化が激しい場合は不可
プレスセメント瓦屋根 金属を固定できないため
シングル材 スリットがあるものは不可
金属横葺屋根
金属心木なし瓦棒
金属心木あり瓦棒
金属心木なし瓦棒
金属折板屋根 素材により一部不可
銅板葺屋根 不可 架台と屋根の接触部が腐食しやすいため
波板葺屋根 不可 設置強度不足のため
草木系素材 不可 設置強度不足のため
重ね葺屋根 不可 金具を固定できないため

上記は一例です。設置不可の屋根材の場合でも補修工事などを施すことで、太陽光発電を設置できる状態にすることが可能です。詳しくはお問い合わせください。

屋根に太陽光発電を設置する際の注意点

太陽光発電と相性の良い屋根の種類を説明しました。ここからは、実際に太陽光発電を屋根に設置する際に、とくに気をつけたい注意点をお伝えします。

注意点1.屋根に太陽光パネルを設置するための面積が必要

太陽光発電の発電量は、屋根の方角や形状も重要という話をお伝えしてきました。

そのうえで、太陽光発電を屋根に設置する際に最初に確認したいことは「そもそも、屋根に太陽光パネルを設置するための面積があるのか?」ということです。

一般的な太陽光パネル1枚あたりの面積は約1.7㎡、1枚あたりの最大出力は0.35kW(350W)です。

仮に、太陽光発電システムの最大出力が100kWの場合のパネル枚数と屋根面積を求める場合、計算式は下記のとおりです。

  1. 100kW(最大需要電力※1) / 0.35kW(太陽光パネル1枚の最大出力) = 約286枚(必要な太陽光パネル枚数)
  2. 1.7㎡(太陽光パネル1枚の面積) × 286枚(必要な太陽光パネル枚数) = 486㎡(必要な屋根の面積)※2

※1最大出力(太陽光発電システムが一度に発電できる最大の電気量)
※2実際の必要面積や性能は製品などにより異なりますので参考としてご確認ください。

家庭用太陽光発電システム(最大出力10kW未満)の導入であれば、1kWあたり10㎡から15㎡が目安です。たとえば5kWの容量を設置する場合、50㎡から75㎡程度の面積があれば問題ありません。

一方、企業の場合は、産業用太陽光発電システム(最大出力10kW以上)になるケースが多いため、それ以上の面積が必要となります。

たとえば、設備容量100kWの太陽光発電を設置したい場合では、先ほど計算したように500㎡(テニスコート2面分ほど)の屋根面積が必要となります。

ただし、実際には太陽光パネル同士で一定間隔を設けたり、メンテナンスを行う際の作業スペースも確保しなくてはならないため、上記の計算結果の約2倍程度(800㎡~1000㎡)の屋根面積が必要になります。

注意点2.屋根の耐荷重を考慮する必要がある

太陽光パネルを屋根に設置する際は、屋根の耐荷重を考慮する必要があります。太陽光パネルの重さは1枚あたり約15kgあります。

仮に、70kWの太陽光発電システムを屋根に設置する場合、

70kW(最大出力)÷ 0.35kW / 枚= 200枚(必要パネル枚数) 200枚 × 15kg = 3,000kg※1
※1実際の重量は製品や架台(約7kg/㎡)等の固定具の有無などによって異なりますので、参考としてご確認ください。

上記の計算式のように、約3tの負荷が屋根にかかることになります。また、屋根に太陽光パネルを固定するためにが必要となる場合はさらに重量が増加します。

屋根面積が大きいからといって、屋根の耐荷重を超えて太陽光パネルを設置してしまうと、雨漏りのリスクや建物の耐震強度に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、屋根にどの程度の太陽光発電システムを設置できるか判断するためには、電気工事だけでなく建築分野のノウハウも必要となります。

また、特別高圧など大規模な太陽光発電設備を設置する場合では、一級建築士などの専門家が建物の構造計算を行う必要があります。

注意点3.屋根工事に精通した業者を選定する

太陽光パネルを屋根に設置する際、多くの方が気にされるのが雨漏りのリスクです。

昨今では「キャッチ工法」や「グリップ工法」など屋根に穴を開けずに太陽光パネルを固定する方法が可能ですが、屋根材によっては屋根に穴を開けてボルトで太陽光パネルを固定する必要があります。

このような場合、コーキング材や防水シートを塗布して、ボルト穴からの浸水を防ぐための防水加工を施す必要があります。また、屋根の一部が老朽化していれば補修工事も必要になります。

一般的な太陽光発電業者の場合、屋根工事に関する知識やノウハウまで持っているというケースは少ないです。防水加工が甘くなったり、屋根の劣化を見逃してしまい、太陽光発電を設置した後に雨漏りなどのトラブルに発展する可能性が高くなります。

そのため、屋根への太陽光発電の設置を検討する際は、屋根工事にも精通した業者を選定しましょう。

太陽光発電を屋根に設置するまでの流れ

太陽光発電を屋根に設置するまでの流れ

太陽光発電を屋根に設置する場合、発電システムの規模によっても異なりますが、小規模なオフィスや住宅の場合は3日から4日程度で施工が完了します。契約から引き渡しまでどのような流れで進むのか、それぞれのステップに分けて紹介しましょう。

1. 現地調査から契約

建物の立地や屋根の状態、屋内への配線引き回しルートの確認、蓄電池やパワーコンディショナーなどの設置場所なども含めて現地調査を行います。そのうえで、自社に適した規模のシステムを選定し正式に契約を結びます。

2. 架台の設置からパネルの取りつけ

取りつけ作業の当日は、屋根のどの部分に太陽光パネルを設置するかを決めた後、ポイントに合わせて架台を設置します。その後、太陽光パネルに配線を繋ぎながら架台へ設置していきます。

太陽光発電の規模が大きくなればなるほど、架台と太陽光パネルの設置には工数を要します。

3. 周辺機器の設置

屋根や屋上へ太陽光パネルの設置が完了したら、パワーコンディショナーや蓄電池などの周辺機器を設置し、屋内へ電気を引き込むため分電盤との接続工事を行います。この時、一時的に停電させてからの作業となるため、その間は社内で電気を使用できません。

4. 動作確認・引き渡し

一連の作業が完了したら、システムが通常どおり機能しているかを確認するためデータを測定し、問題がなければ工事完了・引き渡しとなります。

なお、小規模であれば施工完了までの期間で3日から4日と紹介したのはあくまでも施工作業から引き渡しまでの日数であり、商談や契約、現地調査までを含めるとそれ以上の日数を要します。

また、太陽光パネルや周辺機器などの在庫状況によっては、取り寄せに日数がかかる場合もあるため、事前に施工業者へ確認しておきましょう。

契約までの流れに関しては、こちらの記事で解説しています。

関連記事:自家消費太陽光発電の設置までの流れや手続き|問合せ前の準備を解説

太陽光発電で屋根が傷むリスクはある?

太陽光発電システムの設置によって屋根が傷む可能性はあります。

先述したように、 太陽光パネルは1枚あたり約15kgの重さがあり、それを複数敷き並べるので、住宅や事業所の屋根にはつねに重量がかかります。

もし住宅や事業所の屋根が太陽光パネルを載せられる強度があるか心配な場合は、補強工事をしたり、耐久可能な分だけ設置したりするなどの対策があります。

太陽光発電で屋根が傷む要因

  • 設置業者の知識不足
    太陽光パネルを屋根に設置するためには、「穴をあけて取り付け用の金具で固定」するケースが多数です。業者によっては屋根または太陽光発電に対する知識が少なく、屋根を傷めるミスをしてしまうことが散見されます。
  • 防水処理が甘く雨漏りが起きる
    太陽光パネル設置には「屋根に穴をあける」作業が伴います。ここで防水塗装をきっちり行えば雨漏りする心配はないのですが、これも業者の知識不足やミスによって、雨漏りが発生するリスクがあります。
  • 屋根の劣化が進んでいる
    太陽光パネルの設置は屋根に少なからず負担を与えるため、屋根の劣化がすでに進んでいた場合は、工事がきっかけで雨漏りなどのトラブルに繋がりかねません。

上記のような屋根の傷みのリスクを減らすためには、太陽光発電と屋根構造の双方のノウハウを保有している業者へ依頼することが重要です。

屋根に太陽光発電を設置するなら専門家に相談!

太陽光発電と屋根工事の相性を考慮する際には、屋根の形状や向きに合わせた効率的な配置、対荷重や防水処理の必要性を理解することが重要です。

そのため、太陽光発電を導入検討する企業は「太陽光発電と屋根工事に精通した」業者を選ぶことがおすすめです。

株式会社ハウスプロデュースは、累計5,000件以上の太陽光発電施工実績と、累計12,000件以上の屋根修繕実績を持つ施工会社です。

一級建築士による耐震チェック・雨漏り対策のための防水加工・屋根の強度と遮熱性能を高める塗装などを含めた幅広いご提案が可能です。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
全国累計5,000件以上の産業用太陽光発電システムのEPC工事(提案・設計・施工管理・O&M)を手掛ける当社の広報チーム。現在、第一種電気工事士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなど有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材で得た情報に基づき、EPC事業者として「現場から得たノウハウ」を反映させたコンテンツ作りに注力。
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