【事例あり】倉庫の屋根に太陽光発電を設置する5つのメリットと注意点

工場や倉庫の屋根にソーラーパネルを設置して、自家発電することで「電気料金の削減」「環境負荷軽減」「BCP対策」など企業にとって多岐のメリットが得られます

工場や倉庫の屋根は、比較的面積が広くガルバリウム鋼板やスレート屋根などソーラーパネルの設置に適しているケースが多いため、太陽光発電と非常に相性が良いとされています。

今回の記事では、太陽光発電を倉庫に導入する場合のメリットや注意点について深堀りしていきます。

「自社の倉庫に太陽光発電を検討したい」という方に向けて、費用負担を抑える税制優遇や最新の補助金制度、また倉庫への太陽光発電システム導入事例も公開しておりますので、ぜひ参考にしてください。

2024年度から倉庫屋根での太陽光発電の買取価格が引き上げ

経済産業省は、固定価格買取制度(以下、FIT)における太陽光発電の買取価格に新たな方針を打ち出しました。

2024年度のFITでは、屋根設置型の太陽光発電設備を対象として、平地(野立て)設置した太陽光発電と比べて高い買取価格(12円/kWh)で電気を買い取ることが公表されています。

現在、倉庫への設備導入に関するお問い合わせが急増しております。ご相談はお早めにご相談ください。

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倉庫の屋根に太陽光発電を設置する5つのメリット

太陽光発電の代表的なメリットは「電気料金の削減」ではありますが、倉庫に太陽光発電を設置する場合は、その他にも4つのメリットが存在します。

まずは、倉庫に太陽光発電を設置するメリットをそれぞれ順番に解説していきます。

電気を自家消費して電気料金を削減できる

自家消費の仕組み

倉庫の屋根にソーラーパネルを設置し、太陽光によって発電した電気(再生可能エネルギー)を倉庫内の電気設備へと供給します。

これにより、電力会社から購入している電気を減らして電気代を削減できます。

また、このように自社で太陽光発電発電設備を設けて、発電した電気を自社で活用する仕組みを「自家消費」といいます。

FIT(固定価格買取制度)を活用すれば売電収益も得られる

ひとくちに「倉庫」といっても、企業によって取り扱う製品は大きく異なります。

精密機械・化学薬品を保管する倉庫や、食品・植物を保管する倉庫などは、品質を維持するための温度管理や換気システムなど、空調設備だけでも相当な電力を消費します。

このように消費電力が多い倉庫は、太陽光発電によって発電した電気をすべて自家消費することで、電気代を大きく削減できます。

一方で、温度管理や換気が不要な物流倉庫や貸し倉庫など、照明機器以外はあまり多くの電気を使用しない倉庫では、消費電力が少なく自家消費による電気代削減効果を実感しにくいという課題があります。

そのため、消費電力が少ない倉庫の場合は、FIT(固定価格買取制度※)の認定を受け、太陽光によって発電した電気の一部またはすべてを電力会社へ売却して売電収益を得る導入方法も選択肢の1つとなります。

  • 2021年度以降の太陽光発電の固定価格買取制度では、システム容量10kW以上50kW未満の場合、自家消費率30%以上が条件とされています。システム容量50kW以上の場合は全量売電が可能です。

遮熱効果により夏場の温度上昇を抑える

一般的に、倉庫の屋根はソーラーパネルを取り付けやすい折半屋根(ガルバリウム銅板)やスレート屋根が採用されている場合が多いです。

これらの屋根は軽量で耐久性に優れている反面、屋根に当たる日光の熱による建物への熱伝導率が高いという特徴があります。

そのため、夏場の倉庫内は温度が40度以上になっていることも珍しくありません。

倉庫の屋根全体にソーラーパネルを設置すると、屋根に当たる直射日光を防ぎ、屋根の遮熱効果が高まり、夏場の倉庫内の温度上昇を抑える効果があります。

また、ソーラーパネルの遮熱効果によって空調設備にかかる負荷も軽減されるため、空調設備の長寿命化や、節電効果にも繋がります。

BCP対策によるサプライチェーンリスクの回避

産業用リチウムイオン蓄電池システム「REVOLZA」
産業用リチウムイオン蓄電池システム「REVOLZA」

太陽光発電は、自然災害などによる停電時でも発電した電気を使用できます。また、蓄電池システムと組み合わせることで、雨の日や夜間などでも電気を使用することが可能になります。

地球温暖化の影響によって、自然災害がもたらす経済被害は年々大きくなっています。

とくに日本では地震や台風の被害が多く、停電復旧までに1週間以上の時間を要したり、計画停電が導入されたりするケースが出ています。

昨今では、新型コロナウイルスの影響で製造・物流が滞り、一部の工場や倉庫などの事業所は一時停止を余儀なくされました。

そのような背景からも、サプライチェーンに対するリスクヘッジは「持続可能な企業成長として欠かせない」と考える経営者が増えています。

SDGsや脱炭素経営の推進をPRできる

太陽光発電に関連するSDGsのターゲット

世界的にSDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素への取り組みが注目されるなか、企業の環境対策への取り組みに関心が高まっています。

企業が再生可能エネルギーを利用することは、環境対策の取り組みとしてアピールできるため、他社との差別化を図り企業の競争力を高めることができます。

優遇措置で節税対策ができる

中小企業が倉庫に太陽光発電を設置する場合は、法人税や固定資産税に対して下記の優遇措置を受けられる場合があります。

中小企業経営強化税制

太陽光発電システムを導入し即時償却した例

太陽光発電システム等を新規取得し、指定事業に用いた場合に即時償却、または取得価額の10%の税制控除(※1)のいずれかを適用できます。

※1(税額控除は資本金3,000万円超~1億円以下の法人の場合は取得価額の7%)

関連記事:中小企業経営強化税制は太陽光発電も対象!即時償却で大幅節税

中小企業投資促進税制

中小企業が対象設備(太陽光発電設備の場合は160万円以上。蓄電池含む)を新規取得した場合、取得費用の30%に相当する特別償却(※2)、または7%の税制控除を利用できる制度です。

※2(特別償却は、減価償却費とは別で経費の計上が行えるもので、税額控除は法人税額から税額を直接控除できる)

   
対象者 いずれかを選択して適用
特別償却 税額控除
資本金3,000万円以下の法人 取得費用の30% 取得費用の7%
資本金または出資金を有しない法人
個人事業主
農業協同組合など
資本金3,000万円超~1億円以下の法人 取得費用の30% 適用なし

先端設備導入による固定資産税の特例措置

中小企業などが、市区町村から認定を受けた「先端設備等導入計画」に基づいて、新しく設備を導入した場合、3年間、対象設備の固定資産税が2分の1に軽減(※3)されます。

(※3)(固定資産税の軽減割合や条件は各市町村によって異なることがあります)

倉庫の屋根に太陽光発電を導入する際の注意点

倉庫で太陽光発電を行う場合の注意点を解説します。

建物の築年数によっては導入できない場合がある

設置対象となる倉庫などの建築物が旧耐震基準である場合、屋根への太陽光発電の設置は推奨されていません。

つまり、旧耐震基準から新耐震基準に切り替わった1981年6月1日以降に建築認定申請を受けた建物である必要があります

太陽光発電システムの導入には初期費用が掛かる

発電規模によって金額が異なりますが、設備費や工事費などの初期費用が発生します。また、設置後には定期的なメンテナンスも必要となりますので、ランニングコストも発生します。

しかし、太陽光発電のシステム価格は年々下がっているほか、補助金や税制面での優遇措置によって初期費用を下げることも可能です。

最終的な経済的メリットは自社購入がいちばん大きいですが、近年では導入企業の状況によって柔軟に支払いプランが選びやすくなっています。初期費用や一定期間のランニングコストをかけずに太陽光発電システムを導入できる方法も注目されています。

自家消費型太陽光発電の設置費用と維持費の相場・内訳を解説

補助金で最大1/2の導入費用をカバーできる

近年の日本政府は、国内の主力電源に関して、化石燃料を用いた発電方式から持続可能な再生可能エネルギーへ転換することを図っています。

そのため、国からさまざまな補助金が出ており、企業の太陽光発電や蓄電池システムへの設備投資を推進しています。また、地方自治体の中にも補助金制度を設けているところがあります。

【2023年9月】太陽光発電の補助金(法人・事業用)まとめ|公募状況一覧
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倉庫の屋根を活用した太陽光発電の導入事例

太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」による、倉庫業のお客さまへの太陽光発電設置事例を紹介します。

物流倉庫兼オフィスの屋根への太陽光発電システム導入事例

物流倉庫への太陽光発電の導入事例
  • 導入先
    株式会社ナカヱ 様
  • システム容量
    DC容量:31.50kW
    AC容量:19.80kW
  • 太陽光パネル
    NER120M-375C-MC(84枚)
  • 年間発電量(想定)
    30,810kWh
導入目的
設備投資による節税対策と継続的なランニングコスト削減
導入効果
  • 経営力向上計画に係る固定資産税の特例措置の活用により、新設倉庫の固定資産税負担が3年間免除
  • 年間約47万円の電気料金を削減(自家消費率80%)

一般的に、倉庫への太陽光発電導入は50kWや100kWを超えるような規模のケースが多いなか、本案件は比較的小規模での導入となっています。

このように、当社では設置場所の規模のみにとらわれず、事業所での電気使用状況を踏まえた最適な設計を行います。

【固定資産税最大3年間ゼロ円】物流倉庫へ完全自家消費型の太陽光発電を導入|PRTIMES

物流センターの屋根への太陽光発電システム導入事例

物流センターへの太陽光発電の導入事例
  • 導入先
    グリーン物流株式会社 様 本社物流センター(3温度帯)
  • システム容量
    DC容量:244.16kW
    AC容量:204.75kW
  • 太陽光パネル
    NER144M545B-MD(448枚)
  • 年間発電量(想定)
    275,702kWh
導入目的
電力コスト削減とカーボンニュートラルの推進
導入効果
  • 本社物流センターの年間消費電力を約25%削減
  • 年間で約165tのCO2削減効果 (約11,027本の杉の木が年間CO2吸収量に相当)

倉庫や企業による太陽光発電の導入が拡大する背景

企業が太陽光発電システムを導入し、発電した電力を自ら使用するケースが増加している背景を解説します。

産業用の電気料金の高騰

年度別の電気料金の推移
電気料金平均単価の推移
引用元:日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」|経済産業省 資源エネルギー庁

2010年に東日本大震災が発生してから、原子力発電による電力供給が減少したことにより、わずか4年間で産業用の電気料金が約38%値上がりしました。

その後、原油価格の低下によって一時的に値下がりしましたが、2010年時点での電気料金の水準まで下がることなく、値上がり傾向が続いています。

燃料費調整額の高騰も影響

上記の内容に加え、2021年9月からの液化天然ガスの輸入価格高騰や、2022年2月からのウクライナ情勢によるロシアからの天然ガス供給不足などによって、世界的にエネルギー価格の高騰傾向が続いています。

日本においても、電気代の内訳に含まれる「燃料費調整額」の単価が上昇しています。高圧受電契約における全国の平均電気料金単価では、2022年は2021年に比べて1kWhあたり約5円上昇しており、電気をたくさん使う企業にとってはかなり痛い値上げとなっています。

関連記事:電気代高騰・値上がりが続く要因と企業が行うべき対策

サプライチェーン全体でCO2削減を目指す企業の増加

温室効果ガス(CO2等)が増加することで問題となるのが地球温暖化です。

日本政府は、2050年までに「国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)」とする脱炭素政策を打ち出し、「グリーン成長戦略」など地球温暖化の改善に取り組む企業への支援に力を入れています。

また「企業が事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー化」を目指す「RE100」に加盟する企業が82社にまで増加しています。(2023年9月時点)

RE100に加盟した企業の最終目標は、サプライチェーン全体でのカーボンフリーです。そのため、取引先にあたる中小企業も脱炭素の取り組みが求められるようになるでしょう。

自然災害による停電への備え

日本では近年、気候変動による台風・大雨などの大規模な自然災害が発生しています。近年では以下の事例のような大規模停電が発生しています。

  • 令和元年房総半島台風(15号)(2019年9月)
    2週間以上にわたり最大約93万戸が停電
  • 平成30年台風第21号(2018年9月)
    2週間にわたり最大約240万戸が停電
  • 平成30年台風第24号(2018年9月)
    1週間にわたり最大約180万戸

自然災害に伴い、長期間にわたり電力供給が停止した場合、製品の供給量やサービス停止など事業継続事態が困難となる場合もあります。

太陽光発電システムや蓄電池によって万が一の停電対策を整えておくことで、災害時に最低限の電力を確保したり、企業としての信用性向上やBCP対策強化に繋がったりすることから、導入が広まっています。

太陽光発電でBCP対策+経費削減!企業が実践すべき理由とは

まとめ

倉庫の屋根に太陽光発電を導入することで、エネルギーコストを削減しながら環境対策への取り組みができるため、企業イメージや競争力の向上に繋がります。

また、再生可能エネルギーの普及を国をあげて推進していることからも、環境省や地方自治体によってさまざまな補助金制度や税制優遇が用意されています。補助金や税制優遇で投資回収を早めることができるうちに、導入を検討してみてはいかがでしょうか?

安心施工のハウスプロデュースへお気軽にご相談ください

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。

創業当初から屋根修繕事業も行っており、屋根のノウハウが豊富なため安心して事業所の屋根を預けていただけます。ハウスプロデュースは、現場の状況に応じて対応できるよう、複数の工法に対応しています。

屋根の防水加工と太陽光パネル設置を同時に

  • このような企業におすすめ
    • 屋根の防水加工の補修が必要な時期だ
    • 設置後の雨漏りが心配

屋根に穴をあけない施工方法

  • このような企業におすすめ
    • 軽量鉄骨造の事業所を所有している
    • 中古物件で図面がない

このように、お客さまごとに異なる条件を考慮した設計・部材選定・施工を行う対応力・安心感がハウスプロデュースの強みです。

導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

当社の強み
法人向け太陽光発電のことなら
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執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
全国累計5,000件以上の産業用太陽光発電システムのEPC工事(提案・設計・施工管理・O&M)を手掛ける当社の広報チーム。現在、第一種電気工事士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなど有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材で得た情報に基づき、EPC事業者として「現場から得たノウハウ」を反映させたコンテンツ作りに注力。
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