カグラベーパーテック株式会社

【ガス機器製造工場】倉庫棟と事務所棟への自家消費型太陽光発電システム導入

業種 高圧ガス機器製造業
施設 高圧ガス機器製造工場
所在地 兵庫県
設置場所 屋根
パネル積載面積 約900m²
ソーラーパネル 324枚 (型番:NER144M450C-MC【倉庫棟】DC容量54kW【事務所棟】DC容量91.8kW)
導入の目的
CO₂排出とエネルギーコストの削減。また、災害時でも自前で電力を確保できるようBCP策定の一環として役立てたい。
導入の成果
・年間の電気代を約185万円削減(全体の消費電力の71%相当)
・非常用電源として活用
・年間のCO₂量を約81t削減。(約32,400㎡の森林が年間で吸収するCO₂量に相当)

INTERVIEW
お客様インタビュー

今回のインタビューはカグラベーパーテック株式会社(本社:兵庫県尼崎市)の製造工場(有馬工場)と隣接する事務所棟と倉庫棟(兵庫県西宮市)への自家消費型太陽光発電システム導入についてのインタビューにご協力いただきました。

自家消費型太陽光発電を導入したきっかけや、実際の運用効果、脱炭素への具体的な取り組みに関して貴重なお話をお伺いすることができました。

カグラベーパーテック
カグラベーパーテック株式会社 有馬工場 太陽光パネル設置後の屋根上写真

カグラベーパーテック株式会社について

カグラベーパーテック
有馬工場の風景 事務所棟(右)倉庫棟(左)

今回、自家消費型太陽光発電システムを導入したカグラベーパーテック株式会社では、業界シェア60%を誇るLPガス用ベーパーライザー(強制気化装置)を主力製品とする各種高圧ガス機器の開発・製造・販売をはじめ、高圧ガスプラント事業(設計・施工・法定検査)やBCP対策で引合の増えている非常用発電機事業などを展開しています。

国内外に複数の拠点をもち、今回太陽光システムを設置した有馬工場では年間1,000台以上のベーパーライザーが作られています。

自家消費型太陽光発電を導入した「きっかけ」

カグラベーパーテック

記者:本日はよろしくお願いします。
まず、はじめに自家消費型太陽光発電を導入したきっかけについて教えてください。

宮寺氏:よろしくお願いします。

太陽光発電の設置については、実は2012年頃に取引先から一度提案を受けたことがありました。その時は電力の買取単価(FIT制度)が高い時代だったこともあって、売電を目的とした太陽光発電の導入で提案を受けていました。

ただし、当時はまだ倉庫棟が建っていない時で、事務所棟のみへの設置への費用対効果の面と屋根に太陽光パネルを載せるという耐荷重の不安もあり、その時は提案をお断りすることになりました。

たしかに、太陽光パネルを屋根に設置する場合は建物の耐震荷重などが気になりますよね。 当社でも特に大規模な施設に導入する際などでは耐荷重の計算も行った上で導入するケースがあります。

宮寺氏:ベーパーライザーは安定した事業ではありますが、今後の会社の発展も考え、新たに新規事業の検討を開始していこうという流れになりました。

弊社はロゴマークに「ECO FRIENDLY ~もっともっと環境に優しい企業を目指す~」を掲げており、「脱炭素」をキーワードに脱炭素EXPO等、環境に関わる展示会を訪問し、太陽光発電ビジネスに興味を持ちはじめました。

最初は自社に導入するという目的ではなく、事業用太陽光はベーパーライザーの主要ユーザーである工場への設置が主体の為、「自社の営業マンパワーやネットワークを活用して太陽光ビジネスができないか」と考えていました。

その後御社を含めていろいろな会社から太陽光業界の説明を受けていくうちに、自社にも十分なメリットが出ると考えて本格的に導入の検討を開始しました。

仮に将来的に当社がお客様に太陽光発電を提案する立場になった時に自社で導入していないことには話になりませんからね。

ECO FRIENDLY
画像引用元:コーポレートブランド|カグラべーパーテック株式会社(ECO FRIENDLY ~もっともっと環境に優しい企業を目指す~)

最初は新規事業として太陽光発電に興味を持たれていたのですね。ちなみに今回は建物の耐荷重については懸念はなかったのでしょうか?

松本氏:ベーパーライザーは安定した事業ではありますが、今後の会社の発展も考え、新たに新規事業の検討を開始していこうという流れになりました。

耐荷重の懸念については太陽光発電を設置している建物をよく見かけるようになっていましたのであまり神経質にならないようにしましたが、念のため、当社の建物の設計を依頼している建築士の方に計算を依頼し、問題ないことを確認しました。

また現場確認の際、貴社の担当者さんに屋根に登ってもらい、問題無いかの調査もしていただき、詳しく説明していただいたので、安心して導入を進めることができましたね。

実は倉庫棟の屋根には遮熱シートが設置されており、そのままでは太陽光パネルを設置できない状態だったのですが、貴社で屋根工事も行えるということだったので太陽光パネルの設置工事と同時に遮熱シートの撤去もお願いしました。

ありがとうございます。

昨今ではドローンで屋根を調査する業者も増えてきていますが屋根の状態を細かく調査するには職人の目で直接確認する必要がありますからね。

遮熱シートの撤去も太陽光パネルの設置もどちらも屋根に登って作業するため足場を組む必要があるので、同委に進められることでコスト削減につながりますね。

自家消費型太陽光発電の費用や導入効果について

カグラベーパーテック取材風景

今回は事務所棟と倉庫棟の2箇所に自家消費型太陽光発電を導入させていただきましたが、導入後の効果はどうでしょうか?

松本氏:太陽光発電の運用を開始したのは2023年3月からまだ日も浅いことからまだ効果は実感できていません。

ただし発電量のグラフを確認すると、平日の工場稼働時間帯はほぼ太陽光発電でまかなえている印象です。

シミュレーション上では、工場と事務所の消費電力の約71%を自家消費でき、年間約185万円の電気代削減が見込まれています。

設置費用が約2000万円だったため、約10年で投資回収ができる見込みです。

今回は残念ながら補助金を申請する期間に間に合いませんでしたが、それでも10年で投資回収ができれば設備投資としては優秀だと思います。

今はどこも電気代が高騰している状況ですから、もし今以上に電気代が上がっていくような状況になれば、実質的な投資回収はもう少し短かくなるでしょう。

※インタビュー後日にカグラベーパーテック株式会社様よりご提供いただきました電気代支払い記録より抜粋
導入前の電気代(2022年) 導入後の電気代(2023年) 前年同月比の電気代の変化
4月 369,964円 309,605円 60,359円(19.5%)
5月 292,750円 211,540円 81,210円(27.7%)
6月 289,556円 176,799円 112,757円(63.7%)

では、電気代以外に実感した効果や導入後の変化などは何かありましたか?

宮寺氏:太陽光発電の導入をきっかけに組織体制の見直しができたことですね

以前まで、工場内の機器や設備の定期的な更新やメンテナンスが発生した際に「それは松本さんの担当だよね」という曖昧な雰囲気がありました。

そこで本年4月より「環境・安全管理部」という部署を立ち上げ、松本を責任者として、当社の環境面における活動や機器・設備の維持管理を実施していくこととしました。

「環境・安全管理部」ではどのようなことを行っているのでしょうか?

松本氏:主に「脱炭素に関わる活動」「危険予知・事故防止活動」です。太陽光を導入しただけでは効果が見えにくいので、新たなツールを導入して社内のCO2排出量削減の可視化の取り組みを進めています。

過去の電気代や営業車両のガソリン代、冷暖房や開発に必要な燃料代等の領収書データを入力し、過去からどれくらいのCO2排出量を削減できたかを計測できるようにしています。

これまでは、CO2の排出計算はどのように行っていましたか?

松本氏:以前はエクセルに個々のデータを入力していましたが、排出量を計算する際の排出係数が変わったりすることもあり、人力での作業は膨大な工数がかかり、自動計算可能なツールの導入が必須でした。

エクセルで作成されたCO2排出データ
エクセルで作成されたCO2排出データ

CO2排出の見える化ですね。

最近では大手企業を中心に取り組まれている印象がありますが、中小企業ではまだまだ環境対策に注力する企業は少ないように思えます。貴社がそこまでの熱意を持ってCO2排出削減に注力する理由を教えていただけますか?

宮寺氏:当社はLPガスに関わる事業を行っており、納品先には脱炭素活動を強化している大手自動車メーカーなども含まれます。今のところ当社への具体的な要求やアクションはありませんが、時代の流れを考慮すると、この先CO2排出量についての情報開示を求められる可能性があると考えています。

その際に最低でも「Scope1」「Scope2」だけでもすぐに提示できるようにしたいと考えています。

※「Scope」とは温室効果ガス計測と報告のための国際基準のひとつであり、企業が発生する温室効果ガス排出の範囲を示します。脱炭素を進めるうえで重要な概念であり、各企業はScopeの理解と取り組みの推進が求められています。
Scope1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 Scope1及びScope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

たしかに脱炭素社会の流れでは、大手企業を中心に自社のサプライチェーン企業の評価に環境負荷に関する基準が設けられる可能性は高いですね。

今回の太陽光発電の導入は、貴社にとって電気代削減だけではなく、組織体制の健全化やScopeへ取り組むきっかけにも繋がったのですね。

松本氏:太陽光発電もそうですが、照明のLED化などの過去からの取り組みや、更なる電気代高騰といった社会的背景もあります。その中で、当社のCO2排出量がどのように変化しているのかを観測できることは今後の楽しみでもありますね。

まずは過去からの取り組みによるCO2排出量の変化を見て、CO2削減量を比較するための基準年度の設定や具体的なCO2削減の目標値を決めていくことが今後の課題です。

自家消費型太陽光発電の業者選びについて

太陽光パネル取り付け作業中の写真
太陽光パネル取り付け作業中の写真

太陽光発電についていろいろとお話いただき、ありがとうございます。導入にあたって業者の選定には苦労されたかと思いますが、実際には何社ほど比較されましたか?

宮寺氏:展示会やセミナーに参加して、貴社を含めて6社から提案を受けることになりました。最終的には貴社ともう1社の2社で悩みました。

業者選定にあたって、貴社が重要視していたことはありますか?

宮寺氏:やはりレスポンスの速い業者さんが良いと考えていました。太陽光発電の提案を受けている中で、各社さんごとに提案や見積内容が微妙に異なるわけです。

  • 余剰売電と自家消費、どちらが良いのか?
  • 自社の電気設備へはどのように接続するのか?
  • 太陽光パネルやパワコンのメーカーの特徴は?

など、費用対効果に関わることから工事の安全面に関することまで、様々な質問をしました。

その中で、質問の回答が遅かったり、回答が曖昧な業者さんは早々に検討から外させてもらいました。最初のシミュレーションをもらうだけで2週間以上待ったケースもありましたね。

当社を選んでいただいた理由や感じたことについて

パワーコンディショナ
パワーコンディショナ(事務所等外壁)

6社の中から当社をお選びいただいた理由を伺ってもよろしいでしょうか?

宮寺氏:ハウスプロデュースさんは群を抜いてレスポンスが早かったのが好印象でした。

こちらが質問した内容に対して明確な回答で理解しやすいように説明いただけたのでこの業者さんなら信頼して任せられると確信できました。

こちらから催促しなくても新しい提案や計画の進捗報告をマメにしていただけたことも安心につながりましたね。

あとは、自社の次の営業戦略としてLPガス非常用発電機の提案営業を強化していきたいと考えていることも理由の1つです。

LPガス非常用発電機は「高価な蓄電池の代わりになりうる、太陽光発電と親和性のあるアイテム」だと考えています。太陽光発電を導入した後に何かしらお互い営業協力できる関係を持てるくらい信頼できる業者さんが良いと考えていました。

当社は設計・工事・営業の各部隊を内製化して常に連携を図っているので、お客様への対応を早くし、かつ明確な回答ができることも自社の強みであると考えています。実際にご契約いただいた前と後で、当社の印象の変化はありましたでしょうか?

松本氏:契約前の相談事や工事での安全配慮等、こちらでお願いしたい要望事項が多かったこともあって、対面だけでも5回か6回ほど打合せをしていただきこちらの要望通りに進めていただけました。契約前も契約後も一貫して印象は良かったです。

実際に工事が進んでから不安なことはありませんでしたか?

松本氏:予算執行の関係で本年3月中には運用を開始しておきたいと考えていた中で、一部の部材の供給が追い付かない状況で納期が遅れる可能性があると言われ、期日までに工事完了できるか不安でしたが、なんとか3月中の納期に間に合わせてもらえました。

トランスの中に入れる電子ブレーカーのことですね。自家消費型太陽光発電に用いられるブレーカーは少し特殊で、製造できるメーカーが限定されています。

最近では需要が急速に高まっているため、ブレーカーの調達には各社苦労している状況です。

今回は当社とメーカーの長年の信頼関係があったため、継続的に依頼して優先的に納品していただくことができました。

宮寺氏:当社も同時期にベーパーライザーの制御盤に使用されている電気部品が入手しにくい状況が続き、モノ不足という事情は理解できました。とにかく最終的に希望通りの納期に間に合わせていただいたことは感謝しています。

今回の設備導入後に、当社で貴社のPR用のチラシ作成もお手伝いさせていただきましたが、こちらはどのようにご活用される予定ですか?

宮寺氏:まずは太陽光発電の導入に関するPRを含めて、当社とつながりのある企業に対しても太陽光発電の導入を提案していただくために活用できればと考えています。

また、太陽光発電に興味を以っていただいたお客様に当社有馬工場を見学場所として活用いただいても良いと思います。先にお話したCO2排出のデータと共にご説明できると思います。

カグラベーパーテック株式会社の今後の展望について

パワーコンディショナ

本日は貴重なお話を伺わせていただきまして、誠にありがとうございます。

無事、太陽光発電も順調に稼働できているようで、当社としても安心しております。

最後に貴社の今後の展望をお聞かせください。

宮寺氏:まずはCO2排出量の可視化について社内で計画を定め、実行していきたいと思います。またその結果をホームページをはじめとして、社内外へアナウンスしていきたいと思います。

その他はLPガス非常用発電機の販売数を増やしていきたいですね。現在、介護施設や病院、金融機関等BCP対策を重視すべき施設からの問合せが増えてきています。

その中で当社のような中小企業の工場への自家消費太陽光発電の導入を検討されている企業に対し、高価な産業用蓄電池の代替えとして「燃料劣化のないLPガス非常用発電機」をご提案するスキームを検討したいと思います。

たしかに産業用蓄電池はまだまだ高額ですね。国からの補助金もありますが、太陽光発電とセットで導入しても、20年以上の投資回収期間がかかる場合もあります。

宮寺氏:そうですよね。まだ試算はしていませんが、貴社の自家消費型太陽光発電と当社の扱うLPガス非常用発電機をセットで販売できれば、BCP対策にもつながり、投資回収効率も産業用蓄電池よりは早いと思われます。

これは産業用蓄電池と比較しても、お客様の利点が大きい商品になると考えています。

このような形で、常に新しい取り組みにどんどん挑戦していきたいと考えています。

それは面白いですね。もし機会があれば、一度一つのパッケージとして試算してみたいです。

当社としても、太陽光発電を導入していただいた企業様とは、長期的に良好な関係を築いていきたいと考えています。

是非協力できることがありましたら、いつでもご相談ください。

それではインタビューはここまでになります。本日はご協力いただきまして誠にありがとうございました。

宮寺氏、松本氏:こちらこそ、ありがとうございました。

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