自社ビルの屋上・壁面・駐車場に太陽光発電|事例や導入メリットを解説

企業の活動拠点となるオフィスビルにおいては、日々の多くの人が電力を消費しており、毎月の光熱費だけでも相当な負担になっています。

また、SDGsや脱炭素への機運の高まりから、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)などのエネルギー効率の優れた建物や再生可能エネルギーを利用した建物への需要が高まっています。

近年、自社ビルの屋上・壁面・駐車場を有効活用して太陽光発電を設置し、発電した電気を自家消費する「自家消費型太陽光発電」が注目されています。ビルオーナーや自社ビルを持つ経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

  • 自社ビルへの太陽光発電導入が増えている理由
  • 自社ビルの屋上や壁面に太陽光発電を導入するメリット
  • 自社ビルに太陽光発電を導入した事例

自社ビルの屋上・壁面・駐車場を活用した太陽光発電の設置方法

自社ビルに太陽光発電を導入する方法として屋上・壁面・駐車場を活用した3つの導入パターンがあります。まずはそれぞれの導入パターンの特徴について解説します。

自社ビルの屋上を活用した太陽光発電

弊社導入事例より

もっともスタンダードな導入方法です。

ビルの屋上は平坦な陸屋根になっているケースが多く安定感があり、太陽光パネルを設置しやすい環境です。

太陽光発電の発電効率を上げるために角度をつける必要があるため、金属やセメント製の架台でソーラーパネルを固定します。

壁面設置に比べて、イニシャルコストを抑えて設置することが可能です。

自社ビルの壁面を活用した太陽光発電

太陽光発電の壁面設置
(画像引用元:外壁・窓で発電する外装システム「T-Green® Multi Solar」を開発|大成建設)

近年では、ソーラーパネルの性能向上により壁面への太陽光発電の導入事例も増えています。

イニシャルコストが高くなる傾向はありますが、太陽光発電の導入が困難な高層ビルなどの場合、有効な導入手段となります。また、外壁に設置する「ソリッドタイプ」や透明性が高く窓ガラスとしても活用できる「シースルータイプ」があります。

自社ビルの駐車場を活用した太陽光発電

弊社導入事例より

駐車場への太陽光発電の導入は「ソーラーカーポート」とも呼ばれ、駐車場にカーポートを設置し、そのカーポートの屋根上にソーラーパネルを導入する方法です。

屋上に太陽光発電を設置できるスペースが無い場合や、既に太陽光発電を導入しているが発電量を今よりもっと上げたいなど増設する手段としても有効な導入方法です。

また、EVステーションと組み合わせることで、電気自動車の充電施設としても活用できるため、営業車両をEVに切り替えてソーラーカーポートと組み合わせた導入も増えています。

先述した壁面を活用した太陽光発電の場合もビルの屋上設置が困難な場合に有効だと説明しましたが、壁面への導入は国内での事例が少なく導入コストが高額になりま

自社ビルに太陽光発電を導入するメリット

次項では、自社ビルに太陽光発電を導入するメリットについて解説します。

ランニングコストを削減できる

ビルの中には照明・空調設備・給湯やエレベーターなどさまざまな電気機器が設置されています。

それらに消費される電気を太陽光発電によってまかなうことで、毎月の電気料金を大幅に削減できます。

また、固定価格買取制度(FIT)を活用することで太陽光発電の余剰電力を売電することで得れた売電収益を電気料金に充当することで、発電した電気をフル活用することもできます。

付加価値が付く

建築物を評価する指標としてBELS(建築物エネルギー性能表示制度)というものがあります。新築・既存の建築物において省エネ性能を5段階で評価する認定制度であり、建物の資産価値を示すひとつの指標として用いられています。

BELSでは、建築物の外皮性能と一次エネルギー消費量の2点の性能で評価されており、エネルギー効率化が図れる太陽光発電を導入することで、建物の省エネ性能が向上し建築物の資産評価を高めることができます。

テナント募集で有利になる

ビルオーナーにとって、自身が持つビルに優良な企業にテナントとして入ってもらうことができれば、信頼性の向上や収益の安定化に繋がります。昨今では、SDGsや脱炭素への機運の高まりから「再生可能エネルギーの活用」を推進する企業が急増しています。そのため、自社の拠点を置く建物を選定する際に、家賃や立地だけではなく環境負荷に対しても物件選定の条件に組み込む企業が増えてきています。

当社では、ビルの賃貸者から太陽光発電を導入したいというご相談も急増しております。その場合、ビルの所有者に許可を得る必要があるため、実現できるケースは多くはないものの賃貸者からの再エネニーズが高まってきていることは確かです。

蓄電池と併設して非常用電源として活用できる

太陽光発電システムと蓄電池システムを併用することで、停電下においても電気を使用することができます。太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めておくことで、夜間や雨天での電力バックアップが可能になります。

法人向け太陽光発電のことなら
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ZEBの実装には太陽光発電が必須

太陽光発電システムは、今後の普及が確実な「ZEB(ゼブ)」には欠かせない設備といえます。

ZEBとは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略称で、過ごしやすい空間を維持しつつ、建物で消費する一次エネルギーの収支ゼロを目指す建物です。自社ビルで環境経営を目指す多くの企業が、建物のZEB化に取り組んでいます。

(引用元|環境省ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)

建物内でさまざまな活動をする以上、消費エネルギーをゼロにはできません。しかし、省エネ対策や高断熱化などで消費エネルギーを減らすと同時に、エネルギーを作り出す「創エネ」ができれば収支はゼロが現実的になります。

ビルの「創エネ」には太陽光発電が欠かせません。太陽光発電は再生可能エネルギーの中では比較的場所を選ばずに設置でき、技術的にも汎用化が進んでおり導入しやすいからです。

ZEB化を目指すビルに太陽光発電を設置する場合、補助金が受けられる制度がありますので、利用できれば費用面でもお得に導入できます。

関連記事:ZEBネット・ゼロ・エネルギー・ビルとは?|メリットや補助金を解説

ビル屋上の太陽光設置への補助金制度もある

ビルの屋上へ太陽光発電を設置する場合、補助金制度に採択されれば初期費用を抑えて導入できます。

たとえば環境省の「建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業」では、新築や既存の建物のZEB化や省エネルギー設備・蓄電池などが補助対象となっています。既存の建物のZEB化に向けて太陽光発電設備を導入する場合は、採択されれば導入費用のうち3分の2が補助されます。

設置条件が悪くなければ、補助金なしでも十分な経済的メリットが得られますが、もし採択されれば初期投資の回収期間を大幅に早められるので、補助金の動向もチェックしておくことをおすすめします。

(参考:地域脱炭素移行・再エネ推進交付金|環境省)

ビルへの太陽光発電システム導入事例

実際に、ビルへ太陽光発電を導入し、再生可能エネルギーを活用している事例をみていきましょう。

超高層タワーへの壁面設置事例

(画像引用元|三菱倉庫株式会社

横浜駅東口にある高さ160メートルの超高層タワー「横浜ダイヤビルディング」。こちらも外壁面に日本最大級の建材一体型太陽光発電システムを搭載することで、再生可能エネルギーを活用しています。

蓄電池や省エネ設備と組み合わせRE100を具現化したビル

(画像引用元|大和ハウスグループ

大和ハウスグループは、事業に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す「RE100」に加盟しています。

同グループの事業所「大和ハウス佐賀ビル」は、太陽光発電と蓄電池を併用した電力自立システムを導入し、RE100の取り組みを具現化する形となっています。

ほかにも、太陽熱・井水を利用した空調システムや、エネルギーを適正に制御するシステムなどを組みわせています。 この取り組みにより、以下のような成果を生んでいます。

  • 同規模のオフィスビルに比べて年間で約600万円の電気代削減
  • 太陽光発電と蓄電池により、停電時でも自立して電気が使える
  • 該当オフィスのZEB化を実現

関連記事:RE100とは?加盟する企業のメリット

災害に強く環境にも配慮したZEB化を進めるビル

(画像引用元|環境省ゼブ・ポータル

熊本県熊本市のしらさぎホールディングス株式会社の「白鷺電気工業株式会社 本社ビル」は、2016年の熊本地震をきっかけとして「災害に強いビル・ZEBの導入・働き方改革」の3つのコンセプトを掲げて施工(既設改修)が行われたビルです。

こちらのビルでは地中熱利用換気システム・外断熱・Low-E複層ガラス・直流配電システムなどの設備で一次エネルギー削減率54%を達成し、さらに太陽光発電の導入によって創エネを含んだ一次エネルギー削減率も75%を達成し、Nearly ZEBに認証されています。

自社ビルの太陽光発電システム導入事例

太陽光設置お任せ隊を運営する株式会社ハウスプロデュースでも、自社ビルへの太陽光発電システム導入のご相談を多数いただいております。導入事例として、1件ご紹介します。

オンサイトPPA(初期費用0円)を活用した自社ビルへの導入

ハウスプロデュースでは、中小規模の施設への「オンサイトPPA」による太陽光発電システム導入実績も多数手掛けています。

オンサイトPPAを活用した自社ビルへの導入事例

株式会社石竹さま 本社ビル

本案件では、本社ビルの屋根(約170㎡)のスペースを活用した「オンサイトPPA」での太陽光発電システムを導入しました。

オンサイトPPAは、第三者保有ともいわれており、自社ビル・事業所の屋根などソーラーパネルを設置できるスペースを第三者に提供することで、設備導入にかかる初期費用を負担せず、ソーラーパネルで発電した電気を自社施設で活用できる仕組みです。

ハウスプロデュースでは、オンサイトPPAの導入方法以外にも、初期費用0円で太陽光発電システムを導入していただけるスキームをご用意しております。下記の記事ではその仕組みやメリット・デメリットの比較も解説しております。

太陽光発電のPPAモデルとは?メリット・デメリットや契約時の注意点を解説

自社ビルへの太陽光発電導入お気軽にご相談ください

太陽光設置お任せ隊を運営している「株式会社ハウスプロデュース」は、上記の事例以外にも多数のお客さまの自社ビルへ太陽光発電システムの導入を支援してきました。

建物への太陽光発電導入ではパネルをたくさん設置すればいいというわけではなく、電気の使用状況を踏まえた容量での設計が大切です。

ハウスプロデュースは、お客さまの電気料金明細やデマンドデータなどの書類や現地調査によって「いちばん費用対効果が良くなる設計・部材選定」を追求しています。

無料シミュレーションや、使用できる補助金・税制の調査サポートも行なっております。ご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

失敗しない太陽光発電の相見積もりのポイント3選|当社シミュレーション作成のこだわりも紹介

まとめ

ビルへの太陽光発電システム導入は、近年の社会的要請となっている脱炭素に取り組むだけでなく、コスト削減や社会的な評価の向上としてもメリットがあります。政府としてもビルへの太陽光発電導入を推進していくため、補助金制度があるのも魅力です。

ビルのオーナーや自社ビルを持つ経営者の方は、これからの時代に即したビルの運営に向けて、太陽光発電の導入を検討してはいかがでしょうか。

【徹底解説】自家消費型太陽光発電のメリット・デメリット・注意点・導入方法
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執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
全国累計5,000件以上の産業用太陽光発電システムのEPC工事(提案・設計・施工管理・O&M)を手掛ける当社の広報チーム。現在、第一種電気工事士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなど有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材で得た情報に基づき、EPC事業者として「現場から得たノウハウ」を反映させたコンテンツ作りに注力。
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自社ビルの屋上・壁面・駐車場に太陽光発電|事例や導入メリットを解説
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