RE100とは?加盟する企業のメリット
世界的に「RE100」という国際イニシアチブが広まってきています。
この流れを受けて、世界的な大企業がRE100に加盟していますが、これはいったいどんなもので加盟するとどんなメリットがあるのでしょうか?
今回はRE100の内容や加盟企業、加盟することで得られるメリットなどについて紹介していきます。
目次
RE100は全て再生可能エネルギーで賄う取り組み
RE100という名前は、「Renewable Energy 100%」の頭文字からとられています。Renewable Energyとは、「再生可能エネルギー」を意味します。
再生可能エネルギーとは、自然界に常に存在するエネルギーです。具体的には以下のものが、再生可能エネルギーにあたります。
- 太陽光
- 水力
- 風力
- 地熱
- バイオマス
RE100はその名のとおり、 事業運営に使うエネルギーの100%を再生可能エネルギーのみで調達しようという試みです。例えば、自社で太陽光発電をして、発電した電気だけで事業運営に必要な電気を全て賄えれば達成率は100%になります。
RE100は、2014年にイギリスで発足しました。RE100は世界に広まっており2019年7月時点では、世界的な企業を中心に187社が加盟しています。
RE100の目的は、脱炭素社会への移行
RE100の目的は、脱炭素社会への移行です。日本でも「FIT制度(固定価格買取制度)」など、再生可能エネルギー普及のための取り組みが行われていますが、現在でも電力のほとんどは火力発電によって賄われています。
経済産業省の資源エネルギー庁の統計によれば、2019年6月分の電力の発電方法の割合は、以下のとおりです。
- 火力発電…77.7%
- 水力発電…12.1%
- 原子力発電…7.5%
- 新エネルギー等(太陽光・風力・地熱・バイオマス・産廃物発電)…5.0%
火力発電では、主に石炭やLNG(液化天然ガス)などを燃料にして発電しています。
石炭などは有限な資源であるため、使い続ければ将来的に枯渇のリスクがあります。さらに、これらを燃料にする火力発電では、二酸化炭素の排出の問題も見逃せません。
その点、再生可能エネルギーは自然界に無限に存在するため枯渇する心配はありません。さらに、発電時に二酸化炭素も排出しないため環境にも優しくなっています。
つまりRE100は、再生可能エネルギーだけで事業運営を行う地球環境に優しいプロジェクトです。
RE100に加盟するための条件とは?
先ほども説明したとおり、RE100にはすでに200近い企業が加盟しています。RE100に加盟できるのは、以下4つのうち1つ以上に該当する企業です。
- 世界的な企業、または国内で認知度や信頼度が高い企業
- 主要な多国籍企業
- 電力消費量が100GWh以上(日本企業は10GWh以上)の企業
- RE100の目的に貢献できる、特徴や影響力を持っている企業
日本企業の場合、これらのうち特に電力消費量が10GWhを超えているかどうかが重視されています。
RE100の加盟企業に求められるもの
RE100の加盟企業は2050年までに、100%再エネ化を達成することが求められます。また、中間目標として各年以下の最低ラインも設けられています。
- 2020年…30%
- 2030年…60%
- 2040年…90%
ただし日本においては、諸外国と比べて再エネ環境が遅れていることを考慮して、これらの中間目標は必須ではなく推奨となっています。
再エネ化の具体的な方法は、以下2種類です。
- 自社で発電した電気を事業に使用する
- 再生可能エネルギーによって発電された電気を、外部から調達する
RE100に加盟している日本の全企業一覧
2019年10月時点での、RE100に加盟している日本企業です。
株式会社リコー | 積水ハウス株式会社 | アスクル株式会社 |
大和ハウス工業株式会社 | ワタミ株式会社 | イオン株式会社 |
城南信用金庫 | 株式会社丸井グループ | 富士通株式会社 |
株式会社エンビプロ・ホールディングス | ソニー株式会社 | 芙蓉総合リース株式会社 |
生活協同組合コープさっぽろ | 戸田建設株式会社 | コニカミノルタ株式会社 |
大東建託株式会社 | 株式会社野村総合研究所 | 東急不動産株式会社 |
富士フイルムホールディングス株式会社 | パナソニック株式会社 | 旭化成ホームズ株式会社 |
第一生命保険株式会社 | 株式会社髙島屋 | 株式会社フジクラ |
ソニーやパナソニック、野村総合研究所など、そうそうたる大企業が加盟企業に名を連ねています。
2018年1月時点では、日本の加盟企業は3社でしたが、2019年12月17日には楽天がRE100への参加を発表し、日本国内で30社目の加盟企業となりました。今後も国内外から加盟が増えていくと予想されます。
EP100、EV100の取り組みも
RE100に関連する国際イニシアチブとして、「EP100」「EV100」があります。
EP100
EP100は、省エネ設備の導入、効率の改善によって、事業でのエネルギー利用効率を大きく引き上げる事を目指す取り組みです。日本からも「NTT」や「大和ハウス」などが参加しています。
EV100
EV100は、2030年までに加盟企業が使用する車両を全て電気自動車(EV)にしようという取り組みです。日本ではイオンモールやアスクルが加盟し、来客用の電気自動車充電設備を設置する取り組みなどを行っています。
RE100加盟企業のメリット
ここまでRE100の内容や加盟企業について紹介してきましたが、RE100は加盟企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、加盟企業のメリットについて紹介していきます。
ESG投資において、投資家からの評価が高くなる
RE100に加盟することの大きなメリットは、「ESG投資」などにおいて、投資家たちからの評価が高くなることにあります。
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(統治)」の頭文字を取ったものです。
ESG投資では、この3つが企業評価の指標となっています。
業績が良くても、環境に配慮しておらず、社会貢献をしていないと見なされた企業はESG投資では評価されません。
ESG投資は、欧米などで広く浸透しており2016年時点で世界の投資額の26.3%を占めています。
そのため経営者たちは、投資家たちから評価されるためにもESGを考慮した経営をする必要があります。
先ほども説明したとおり、RE100は二酸化炭素排出の低減を目指した、地球環境に優しいプロジェクトです。
RE100に加盟すれば、その企業はESG投資でも投資家たちから高い評価を受けられます。
将来的な化石燃料の高騰リスクを回避できる
RE100に加盟することのもう一つのメリットは、将来的な化石燃料の高騰リスクを回避できることです。現在の日本は、石炭などの化石燃料を使った火力発電が中心です。
石炭は有限な資源であるため、使われれば使われるほど、数が少なくなります。数が少なくなれば、将来的な価格の高騰は避けられません。
燃料の価格が高騰すれば、上がった分のお金を支払うのは、電力会社から電気を購入している人たちです。
その点、再生可能エネルギーのみで事業運営ができれば、火力発電をしている電力会社から電気を購入する必要はありません。つまり、化石燃料の価格が高騰しても、その影響を受けません。
また、RE100に加盟すれば、再エネ先進国の企業とも情報交換ができます。
具体的な再エネの進め方などが聞けるのも、日本の企業にとっては大きなメリットです。
RE100は中小企業にとっても重要
RE100の加盟条件を考えれば、中小企業がRE100に加盟するのは難しいと言えるでしょう。しかし、RE100は中小企業にとっても重要です。
なぜなら、RE100の加盟企業のなかには、取引先にも再エネ化を求める企業もあるからです。
例えば、RE100の加盟企業の一つであるイオンは、提携企業にも再エネ化の協力を求めています。同様に、RE100の加盟企業のアップルでは、取引先を選ぶ基準として、その企業が再エネ化に取り組んでいるかを含めると公言しています。
今後、「環境への取り組みが評価され、大手企業からの支援を得られた」という話が出現するのも遠くないでしょう。ビジネスチャンスを逃さないためにも、今後は中小企業でも再エネ化の取り組みが重要になってくるのです。
中小企業の再エネ導入メリット
ビジネスチャンスを逃さないこと以外にも再エネ設備を導入して再エネ化を進めることには、中小企業にとって大きなメリットがあります。ここでは、その主なメリットについて紹介していきます。
J-クレジットとしてCO2削減分を現金化できる
再エネ設備を導入すれば「J-クレジット制度」を利用して、現金を得られます。
J-クレジット制度とは、中小企業などが再エネ設備を導入したり、森林の管理をしたりすることによって、二酸化炭素などの温室効果ガスを削減した際、それを国が「クレジット」として認証する制度です。
このJクレジットは購入希望者に販売できます。
クレジットを購入した企業は、購入した分だけ自社での二酸化炭素の排出量を減らしたと見なされます。これにより、購入側の企業も環境配慮への取り組みを対外的にアピールできるのです。
販売側にはお金が入り、購入側は企業評価が向上するため、J-クレジット制度は双方にメリットのある制度だと言えるでしょう。
温暖化対策への取り組みPRができる
J-クレジット制度を活用することで評価が高くなるのは、購入側の企業だけではありません。むしろ再エネ設備を導入しているクレジットの販売側の企業の方が、対外的な企業の評価は高くなると言えるでしょう。
Jクレジットを販売する側の企業は、再エネ設備を導入している時点で二酸化炭素の排出量の削減、ひいては地球環境に配慮していることになるからです。再エネ設備を導入した企業は、温暖化対策に取り組んでいることをアピールできます。
企業のお客さんに対してはもちろん、先ほど紹介したESG投資においても高い評価と信頼を得ることができます。
新しい取引先の開拓の際、有利になる
再エネ設備を導入していれば、新しい取引先の開拓にも役立つはずです。
先ほども説明したとおり、RE100の加盟企業のなかには取引先にも再エネ化を求めているところもあります。こうした企業と取引したい場合、再エネ設備の導入は十分なアピールポイントになります。
RE100に加盟していない企業が相手でも、再エネ設備があることを話せば相手の企業から好印象を得られる確率は高いと言えるでしょう。
RE100は、世界的な注目を集めている国際イニシアチブです。加盟した企業はESG投資などで高い評価を得られるほか、将来的な化石燃料の高騰リスクにも備えられます。
RE100に加盟できない中小企業も再エネ化を進めることでこうしたメリットを享受できるので、ぜひ再エネ設備の導入を検討してみてはどうでしょうか?
自家消費型太陽光発電の普及も
RE100普及の流れで注目度が高まっているのが「自家消費型太陽光発電」です。自家消費型とは、会社・工場・店舗などの屋根や空いたスペースに太陽光パネルを設置し、発電した電気を自分たちで使用するタイプの太陽光発電です。
自家消費型太陽光発電によって、中小企業は「電気代削減」「税制優遇」「非常電源確保」というメリットを得られ、環境への取り組み評価も上がります。今後、投資型の太陽光発電だけでなく、自家消費型の設置が進むと予想されます。
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