日本でも脱炭素社会への転換が進む中、企業による再生可能エネルギーの活用が注目されています。なかでも、自社の建物の屋根や駐車場に太陽光パネルを設置し、発電した電力を自社で使用する「自家消費」への関心が高まってきています。
この記事では、太陽光発電で自家消費を行うための手続きや設置までの流れ、また、設置前に確認すべき重要な点を詳しく解説します。導入を検討中の事業者様は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
太陽光発電で自家消費を行うための手続きと設置までの流れ
太陽光発電を設置して自家消費を行うための手続きと流れについて解説していきます。
まずは「お問い合わせ」
太陽光発電で自家消費を行うために、まずは自家消費に対応できる太陽光発電業者を探して相談します。
施工会社と提携している販売店や、システムの販売から設置工事まで対応できる施工業者など、1社で提案・設計・製品調達・施工まで完結できる業者への依頼がおすすめです。
現地調査を依頼する
太陽光発電の現地調査は、地盤や周辺状況の確認のために非常に重要です。具体的には、以下の項目を確認します。
- 設置場所の周辺状況の把握
- 屋根の形状・状態・設置可否の確認
- 想定される太陽光パネルの角度や向きを確認
- 配線や周辺機器の配置の確認
電気を自分の設備で使うための配線が必要ですので、発電所の設計前には必ず専門家による現地調査を行いましょう。
見積りの作成を依頼する
設計に基づいて、見積りの作成を依頼しましょう。見積りの内容に不明点などがあれば、担当者と納得いくまで相談しましょう。この時、業者を比較検討する際には、レスポンスの早さや対応の丁寧さも重要なポイントです。
ご契約
導入計画や見積り内容を承諾したら、契約手続きを行います。現地調査や見積り作成は契約前に行うため、基本的には無料です。
当社では、精密なミュレーションのもと、お客様にとって太陽光発電による収益性が低いと判断された場合は、お客様に率直にお伝えしております。
施工開始
いよいよ施工を開始します。工場の屋上などの場合、日中の稼働状況に合わせて施工日程を調整する必要があるため、業者とよく相談しましょう。
施工中も、現場スタッフとお客様がしっかりとコミュニケーションを取りながら設置を進められるよう配慮してくれる業者選定が重要です。
完工チェック
発電所が完成したら、入念な完工チェックを行います。問題がなければ、発電所の引き渡しとなります。
【容量別】自家消費を行うための手続き
太陽光発電を設置する際は、発電容量ごとに手続きが一部異なるため、それについて確認していきます。
低圧区分
低圧区分(出力10kW以上50kW未満)は、電気事業法では「小規模事業用電気工作物」に分類されます。他の区分と異なり、電気主任技術者の選任や保安規定の届出が免除されます。
ただし、2023年3月20日より、設備の稼働前に経済産業省が定める技術基準に適合していることを自ら確認し、その結果を届けることが義務化されました。また、2021年4月1日より、事故報告についての制度が改正されました。これにより、低圧区分の発電所においても、事故が発生した際には管轄の産業保安監督部へ報告することが義務付けられています。
高圧区分
高圧区分(50kW以上2,000kW未満)は、電気事業法では「電気工作物(発電所)」に分類され、設備の適切な運用や安全管理が求められます。そのため、保安規定の作成と電気主任技術者を選任し、経済産業省の監督部へ届け出る義務があります。
社内に電気主任技術者がいない場合は、外部への委託が可能です。
特別高圧区分
特別高圧区分(2,000kW以上)の太陽光発電設備を設置する場合、設置工事の30日前までに工事計画届出書を届ける必要があります。また、発電所の出力が5,000kW以上の場合は、電気主任技術者を外部委託できないため、社内で選任する必要があります。
(参照元:太陽電池発電設備を設置する場合の手引き|経済産業省)
太陽光発電の自家消費を行う手続きに必要な資料
電気料金明細書
太陽光発電で自家消費を行う場合、建物で使用している電力量に合わせた最適な設置容量を算出する必要があります。そのため、以下の情報が必要になります。
- 契約している電力会社
- 電力契約の内容
- 使用電力量
これらの情報は、電気料金明細書に記載されています。
直近12カ月のデマンドデータ
直近12カ月のデマンドデータがあれば、どの月・時間帯でどれくらい電力を使用しているのか把握できます。この数値によって提案方法が異なります。デマンドデータは、契約している電力会社から入手できます。
屋根図面
屋根図面を提出していただければ、より正確なシミュレーションが出せます。
航空写真を利用して太陽光パネルのレイアウトを作成することも可能ですが、直近2年以内に建設された建物は航空写真に写らないため、屋根図面の提出を依頼させていただきます。
屋根図面は、建物の建設の際に取得していますが、もし紛失している場合は、建物の設計業者から入手可能です。
単線結線図
単線結線図とは、電気の接続関係や、全体的な設備内容を示した図のことです。電力の配線状況を把握し、適切な設計を考えるために役立ちます。
低圧の場合は、お客様ご自身またはハウスメーカーにお問い合わせ下さい。高圧以上の場合は、保守点検者または電気主任技術者から取得可能です。
現地調査をする前に確認していただきたい事項
屋根材の種類
はじめに、屋根材の種類を事前に確認しておきましょう。
スレート屋根や折半屋根は、強度や形状が太陽光パネルの設置に適していることが多く、設置事例も豊富です。トタン屋根やリフォームで二重になった屋根などは、強度が低く設置が難しくなります。この時は、屋根に関する工事が別途必要になることがあります。
ケーブルの配線ルートの確認
分電盤、太陽光パネル、パワーコンディショナーのケーブル配置は、設備や費用に大きく影響します。そのため、事前に確認が必要です。
具体的には、以下の2点について検討する必要があります。
- パワーコンディショナーの設置場所
- パワーコンディショナーは、分電盤と太陽光パネルの間に設置されます。設置場所が遠いと、ケーブルの太さや長さ、価格が高くなります。また、発電効率も低下します。
- 設計どおりに施工できるか
- 希望のパワーコンディショナー設置場所で、設計どおりに施工できるのかを事前に確認しておきましょう。
希望の設置場所が、屋根裏や外壁に近い場合などは、施工に制限がある場合があります。太陽光発電の導入を検討されている方は、ぜひ事前にこれらの点について検討しておきましょう。よりスムーズに工事を進めることができます。
設置場所までの搬入通路
設置場所までの搬入経路をご確認いただく目的は以下のとおりです。
- 建物周辺の道路はトラックが通れるのか確認するため
- トラックで敷地内に入れるのか確認するため(スペースや内輪差)
- どうしても設置場所から離れた場所に止める必要がある場合の人手・費用を検討するため
また、搬入の際は一時的に建物を停電状態にする必要があります。低圧(10kW以上50kW未満)なら1時間程度、高圧(50kW以上2,000kW未満)なら半日以上が目安です。
補助金取得
「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」をはじめ、自家消費型太陽光発電の導入に国や各自治体の補助金制度を活用できます。
自ら補助金の調査を行う場合、申請までに時間や手間がかかったり、自社で適用可能か判断がつかなかったりということが起こり得るため、当社では太陽光発電設備を導入する場所ごとに、使える補助金の調査・取得申請サポートを行っています。
建物(屋根)への重量計算
太陽光パネルを設置する際には、建物の屋根にどれだけの重さを載せられるかを計算する必要があります。
建物の屋根は、そもそも太陽光パネルを載せることを想定して設計されていないため、この計算によって「本当に設計どおりの容量を設置できるのか」を確認しておくことが重要です。ただし、設計会社に依頼すると費用がかかるため、施主様が自ら計算するケースも少なくありません。
当社はお客様に最適な太陽光発電の自家消費を提案します
自家消費用の太陽光発電システムは、お客様ごとに設置条件が大きく異なります。当社・ハウスプロデュースは、豊富な経験と実績を活かし、それぞれの条件において最適な設置プランをご提案いたします。
- 提案
- 営業戦略から契約スキームの立案を行います。当社は、顧客ニーズに合わせた提案が行えるよう、営業のノウハウを育成しています。また、設計・調達・施工管理部門と連携をとりながらプロジェクトを構築・推進します。
- 設計
- 太陽光発電設備の強度設計などを熟知した設計部門が、安全性・効率・コストを考慮して最適なシステム設計を行います。また、耐震補強工事・屋根修繕工事で培った建築の構造に対するノウハウを活かして、安全性と発電効率に優れた設計を実現します。
- 調達
- プロジェクトのご予算・納期・仕様に合わせて、各メーカーから見積もりを取り、適切な資材を発注します。また、資材は適切なタイミングで現場に納入します。より好条件で資材を調達するために、メーカーごとの特徴や資材の特性・品質を踏まえて調整を行います。
- 工事
- 労働災害の撲滅に努め、完全ゼロ災害の業務完了・引き渡しを常とします。工事が効率よく安全に行えるよう、施工管理部門の推進のもと現場の統括を行います。施工の進捗は報告書としてまとめ定期報告を行い、運用後のメンテナンスを迅速に実施できるよう各種書類を提出します。また、施工中に発見された建物の不備等もご報告させていただきます。
- 保守管理
- 当社では、自社責任施工に勤めております。万が一、当社の施工瑕疵によってシステム不良など損害が生じた場合、その損害を保証いたします。また、運用後に不具合等が生じた場合、責任を持って対処に努めます。