自然エネルギーの特徴と種類|再生可能エネルギーとの違いとは?

世界各国が脱炭素社会に向けて本格的な対策に乗り出しており、そのなかでも自然エネルギーが注目を集めています。自然エネルギーに、地球環境に優しいクリーンなイメージを持つ方は多いでしょう。

しかし、具体的にどのような特徴や種類があるのか、また再生可能エネルギーとどう違うのか、きちんと理解していますか? この記事では、自然エネルギーの特徴や種類、再生可能エネルギーとの違いなどについて解説します。

自然エネルギーとは?

自然エネルギーとは?

自然エネルギーとは、その名のとおり自然現象から得られるエネルギーです。自然エネルギーはおもに太陽光、地熱、水力、風力によって作り出されます。

自然エネルギーと再生可能エネルギーの違い

自然エネルギーと再生可能エネルギーは、一般的に以下のように定義されています。

  • 再生可能エネルギー消費しても補充が定常的に期待できるエネルギーのこと。枯渇しないのが特徴。
  • 自然エネルギー 定期的に補充が可能なエネルギーのうち、自然現象を利用するもの。化石資源を除く生物由来の有機性資源を利用する「バイオマス」「温度差」「濃度差」は自然現象ではないため、通常は自然エネルギーに含まれません。

それぞれの定義から、自然エネルギーは再生可能エネルギーの一種だとわかります。そして再生可能エネルギーは自然現象に限らず繰り返し発生させられるという点が、自然エネルギーと異なります。

再生可能エネルギーについては、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご覧ください。

再生可能エネルギーの種類と特徴|メリットデメリットや企業の取組を解説

自然エネルギーの特徴

これまで十分に普及してこなかった自然エネルギーですが、気候変動の問題が注目されるにつれ、その優れた特徴が取り上げられるようになりました。自然エネルギーが持つ3つの特徴を見てみましょう。

環境負荷が少ない

化石燃料の燃焼によりエネルギーを得るには二酸化炭素の排出が不可避であり、それが地球の気候変動を引き起こしています。これまで排出されてきた二酸化炭素の90%以上が、化石燃料の燃焼によるといわれているほどです。

これに対して自然エネルギーは、いくら使っても枯渇せず、エネルギーを作り出す際も基本的に二酸化炭素を発生させないため、環境へ与える負荷が少ないと言えます。

地球上どこにでも存在しているため枯渇しない

数100万年の時間をかけて地下に堆積した化石資源は、いつか枯渇します。日本ではエネルギーの87.4%(2017年時点)を化石燃料により作り出していますが、化石燃料は場所に依存しているため、エネルギー供給にはさまざまな不安要素があります。

特に原油の埋蔵量が集中している中東諸国への依存度は非常に高く、2015年時点で日本は石油を99%輸入に依存していましたが、中東諸国はそのうちの85%を占めていました。1970年代に2度にわたって起きたオイルショックの歴史が示すとおり、中東情勢は日本のエネルギー供給に大きな影響を与えます。

それに対して、自然エネルギーは地球上どこにでも存在します。太陽光は地球上のほぼどの場所でも降り注ぎますし、他の自然エネルギーも地球のさまざまな場所に広く存在します。化石燃料を用いるように大規模な発電はできませんが、小規模分散設備を利用して地域や個人が主体になって安定的なエネルギー供給を確保できるのです。

発電コストが安くなっている

これまで自然エネルギーがなかなか普及しなかった大きな原因は、高い発電コストにあります。しかし、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告によると、2010年から2017年までの7年間に再生可能エネルギーの発電コストは大幅に低下し、世界平均で太陽光は73%、陸上風力は23%下落しました。

2017年時点で化石燃料の発電コストは1キロワット時当たり約5円から17円だったのに対し、太陽光は約10円、陸上風力は約6円に下がりました。自然エネルギーが化石燃料と比較して発電コストが高いのはもはや過去のものになりつつあります。

自然エネルギーの種類とメリット・デメリット

自然エネルギーの種類とメリット・デメリット

自然エネルギーとしておもに用いられる、太陽光・風力・水力・地熱それぞれのメリットとデメリットを取り上げます。

(※バイオマスも自然エネルギーの一つとされることもありますが、本記事では除外します。)

太陽光発電

メリット

  • 基本的に場所に依存しないため導入しやすい
  • 太陽電池を繋げたソーラーパネルは屋根や壁などに設置できるため、広大な土地を必要としない
  • 電源として使用する際は送電設備が不要で必要ないため、山奥や農地など遠隔地でも利用可能
  • 蓄電池に充電しておけば、災害時には非常用の電源として使用できる
  • 余った電気を電力会社に売ることもでき、経済的なメリットも大きい

デメリット

  • 気象条件や日照時間に左右される
  • 太陽光パネルや設置工事費は欧米と比べて1.5倍~2倍と高く、メンテナンスにも費用がかかる

太陽光発電の導入方法のなかでも、自社で電気を使用する「自家消費型太陽光発電」について以下のページでご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【徹底解説】自家消費型太陽光発電のメリット・デメリット・注意点・導入方法 太陽光発電のPPAモデルとは?メリット・デメリットや契約時の注意点を解説

風力発電

メリット

  • 風が吹けば時間を問わずに1日中発電可能
  • 発電設備の大型化により、風力発電のコストは大幅に低減している。ヨーロッパ諸国では、発電電力量の30%から40%を風力発電が占めている国もある
  • 陸上だけではなく、海域を利用した洋上風力発電も可能

デメリット

  • 日本ではコストが高止まりしている。2018年2月時点の日本の風力発電のコストは13.9円/kWhで、世界平均8.8円/kWhの約1.6倍
  • 洋上風力は長期間にわたる海域の使用が必要なため、短期間の占有許可では導入ができない
  • 発電所を設置するにあたり、環境影響評価(環境アセスメント)の手続きに通常3年から4年かかり、導入が容易ではない

水力・中小水力発電

メリット

  • 日本では明治期より水力発電が始まり、技術やノウハウの蓄積がある
  • 風力や太陽光発電のように気象条件に左右されず、安定した電力の供給が可能
  • 一度発電所を作れば長期間発電が可能
  • ダムなどの大規模水力発電だけでなく、中小水力発電なら開発できる地点が数多く残されている

デメリット

  • 未開発地点は山間部や河川の上流にあるため、建設コストが高い
  • 建設予定地の河川状況について長期調査、地域住民の理解や水利権の調整などが必要なため、導入に時間がかかる

地熱発電

メリット

  • 日本は火山帯に位置するため、利用可能な地熱エネルギーが豊富にある。その資源量は世界第3位
  • 昼夜を問わず、安定した供給が可能
  • 発電後の熱水を発電所近くの農業ハウスなどでも利用できるため、所在地域にもメリットがある

デメリット

  • 建設のためには周辺の自治体や温泉関係団体などとの十分な話し合い、利害調整、協定締結などが必要なうえ、環境に及ぼす影響を調査・モニタリングするための時間が必要

自然エネルギーの利用状況

自然エネルギーの利用状況

世界的に見れば以前に比べコストも低減してきた自然エネルギーですが、世界および日本での利用の現状はどうでしょうか?

世界での利用状況

国際的な自然エネルギー政策ネットワーク組織「REN21」が2020年6月に発表した報告によると、世界における自然エネルギーの発電量は大幅に増大しています。しかし、2013年から2018年のエネルギー総需要は毎年4%増加しており、その効果は相殺されているといわざるを得ません。

またIEA(国際エネルギー機関)は新型コロナウイルスによる世界的な経済活動の停滞により、2020年のCO2の排出量は最大8%減少すると予測しています。ただし、パリ協定の目標を達成するためには2020年に行われたようなロックダウンを10年間続けてもまだ足りない状態です。

日本での利用状況

2018年の日本全体の電源構成において、自然エネルギーを含む再生可能エネルギーの割合は15.3%でした。数値からみても、日本において自然エネルギーが主力とはいえない状況です。

前述したように世界平均と比較すると、国内の自然エネルギーの発電コストは割高です。自然エネルギーの発電設備の建設は地理的条件に大きく左右されるため、一概に欧米諸国と比較はできません。

日本は平野部が少ないため、それがコスト高に繋がっているという指摘もあります。また、地震や台風に耐えうる設備を建設するために、工事費が割高になるという要因もあるでしょう。

一方で、発電設備をめぐる流通構造や、非効率な商慣行がコスト削減を阻害しています。自然エネルギーのさらなる普及のためには、まだまだ改善すべき課題があります。

まとめ

再生可能エネルギーの一つであり、自然現象を利用して発電する自然エネルギーには多くのメリットがあります。

一方で設備の建設までに時間がかかることや、国内ではまだまだコストが高いことが化石燃料に替わって普及していくのを妨げています。ただ、この分野での技術は絶え間なく進歩していますので、引き続き注目していく必要があるでしょう。

関連記事:中小企業が脱炭素経営に取り組むべき理由|自社のCO2排出削減が経営課題の解決に

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
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