自家消費型太陽光発電を導入する前に知っておくべき基礎知識とは? 一連の流れやリスクも解説

工場や店舗など事業所のランニングコスト(電気料金)の節約として、多くの企業に自家消費型太陽光発電が注目されており、導入を検討されている経営者様も多いのではないでしょうか。
自家消費型太陽光発電の導入の検討にあたり、想定していなかったリスクに見舞われないために、基本的な知識や導入までの流れなど最低限抑えておくべきポイントについて解説してきます。
目次
自家消費型太陽光発電の基礎知識

はじめに、自家消費型太陽光発電とは何か、知っておくべき基礎知識や制度の仕組みなどを解説します。
自家消費型太陽光発電とは? 太陽光投資との違い
個人や企業が太陽光発電設備を設置する目的として、大きく分けて2つのパターンがあります。
- 太陽光発電投資=発電した電気を売却して収益を得る
- 自家消費型太陽光発電=発電した電気を使用してコスト削減する
自家消費型太陽光発電とは、個人や企業が自ら太陽光発電設備を保有して発電した電気を自宅や事業所で使用することを目的とした発電システムです。
生活や事業活動に伴い使用される電力の一部を自身が設置したソーラーパネルによる発電によって賄うことで、電力会社に支払っている電気料金を大きく削減することができます。
関連記事:法人向け太陽光発電の比較|全量売電・余剰売電・自家消費の違いを解説
自家消費型太陽光発電設備の設置を検討したらまずチェックすべきこと

コストの削減や省エネ対策の一環として自家消費型太陽光発電の導入を検討する企業が増えています。もし、自社へ導入するとなった場合、具体的にどのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。最低限チェックしておきたい項目を5つ紹介します。
1.電力消費量の確認
自家消費型太陽光発電では、発電した電気を自社で使用(自家消費)することを前提しているため、「いつ・どのくらいの量の電気を消費しているのか?」実際の電力使用状況を把握した上で、どのくらいの規模の太陽光発電設備が必要なのか把握しなければなりません。
デマンドデータを取得し分析することで、現在の電気使用状況の実態を把握できます。
デマンドデータは、契約先の電力会社からもらうことができ、デマンドデータを当社のような太陽光発電システムの専門業者に提示していただくことで、最適な太陽光発電設備の導入規模を把握することができます。
2.太陽光発電設備の設置場所の確認
太陽光発電の発電規模は、ソーラーパネルを設置する枚数に比例します。設置できる面積が広ければ広いほど多くの電力を発電できますが、設置面の方向や角度、周辺の障害物の有無によっても発電効率は変化します。
そのため、太陽光発電の設置に適した土地であるかどうか、建物の屋根や屋上に設置する場合は屋根の面積・形状・傾き・屋根材などを含めて規模を検討する必要があります。
また、屋根に老朽化や経年劣化、過去に雨漏りが合った場合などには、補強工事が必要になる可能性があります。
太陽光設置お任せ隊では、屋根修繕やリフォームなど建物修繕に関しても専門としております。屋根や建物の状態を見極めて建物にかかる重量負荷を考慮した、安全設計で太陽光発電システムを導入いたします。
3.対象となる補助金や助成金制度
自家消費型太陽光発電設備を導入する場合、国や自治体などが実施している補助金・助成金制度の対象となることがあります。
ソーラーパネルなどの設置には導入コストがかかるため、少しでも負担を軽減するために自社で活用できる補助金や助成金制度の有無は確認または設置業者に相談しましょう。
4.全量自家消費型か余剰売電型か
自家消費型の太陽光発電では、発電した電気を自社で100%活用する全量自家消費タイプと、自家消費しきれず余った電力(余剰電力)をFIT制度などを利用して売電する、余剰売電タイプのふたつの導入方法があります。
全量自家消費と余剰売電のどちらが費用対効果に優れているのかは、さまざまな条件によって異なります。一概に、どちらが良いと判断することは難しいですが条件の一例は以下となります。
- 全量自家消費に適した条件
- 年間を通して定常的に電気を使用している
- 再エネ電力の割合を高めたい
- 余剰売電に適した条件
- 消費電力に対して設置スペースが余っている
- 繁忙期と閑散期における消費電力の差が大きい
これらを考慮した上で、現在の電気料金と発電コストのバランスを計算して、全量自家消費タイプか余剰売電タイプかどちらが経済的なのかを確認します。
5.施工業者の選定
太陽光発電の導入にあたり、もっとも重要かつ判断が難しいポイントは施工業者の選定ではないでしょうか?
とりわけ、自家消費型の太陽光発電システムでは、今まで主流とされていた全量売電を目的とした投資用太陽光発電の工事経験やノウハウだけで設計できるようなものではありません。
太陽光発電システムの知識はもちろん、電力使用状況の分析、 設置場所に合わせたシステム設計、補助金や税制優遇、導入に関わる法律の知識など多岐に渡りノウハウを必要とします。
施工業者の判断基準は、需要家の状況に合わせて最適な提案をしてもらえるかが重要なポイントとなります。決して価格だけで判断するのではなく、総合的な視点で判断するほうが、結果として費用対効果が良くなることが多いです。
ウェブサイトのパンフレットや施工実績の紹介や、企業規模なども判断材料になりますが、まずは自社で太陽光発電について基本的なノウハウを蓄積することが重要です。
自家消費型太陽光発電設備の設置までの流れ

自家消費型太陽光発電の導入を決定した後、設置から運用まではどのような流れで進めていくのでしょうか。6つのフェーズに分けて紹介します。
1.概算見積もり
電気料金の明細書や設置場所の図面、写真などをもとに、施工業者が概算見積もりを出します。提出が求められる書類は業者によって異なるほか、問い合わせ後に概算見積もりを出すことなく現地調査後に見積もりを出す業者もあります。
2.現地調査
業者が設置場所へ訪問し、現地調査を行います。太陽光発電設備の設置に適した場所であるかはもちろんですが、屋根の角度や形状、強度なども確認します。また、発電した電力を屋内に引き込む際のルートや配線状況などの確認も行います。
3.本見積もり
現地調査の結果をもとに、設置場所や太陽光発電システムの導入規模、施工方法などを相談のうえ、施工業者側で本見積もりを作成します。
4.契約
本見積もりの内容で問題がなければ契約手続きに入ります。予算がオーバーしていたり、自社が求める発電容量に満たなかったりといった問題が生じた場合には、現地調査後であっても契約を結ぶ前にキャンセルが可能です。
5.施工・工事
契約が完了した後は、現地での工事に入ります。社屋や工場の屋根などに設置する場合には、騒音などによって業務に支障を与えるケースも考えられるでしょう。また、屋内に配線を引き込む工事の際には、一時的に電気を止めなければならないケースもあります。
そのため、工事に着手する前に自社の稼働状況も確認しながら、業務に影響を与えないようスケジュールを組むことが重要です。
6.引き渡し・稼働開始
一連の工事が完了したら、いよいよ引き渡しとなります。太陽光発電システムが正常に作動しているかを確認し、問題がなければそのまま稼働を開始しましょう。
自家消費型太陽光発電におけるリスク

自家消費型太陽光発電は企業にとってさまざまなメリットがありますが、その一方でリスクやデメリットが存在することも事実です。
代表的な例としては、台風や大雨、落雷などの自然災害によって太陽光発電設備が破損するリスクが挙げられます。設備そのものの故障で済めば被害は最小限に留められますが、部品などが屋根から落下し、周辺の家屋や駐車中の車、歩行者などに危害を与える危険性もあります。
このような事態に備え、自家消費型太陽光発電設備を設置する際には企業総合保険や動産総合保険、施設賠償責任保険などに加入しておくことが重要です。
自家消費型太陽光発電で後悔しないために知っておくべきこと

自家消費型太陽光発電の導入にあたっては、上記で挙げたリスク対策以外にも、運用後に後悔しないよう知っておくべき知識もあります。特に重要な3つのポイントに分けて紹介しましょう。
逆潮流対策は不可欠
自家消費型太陽光発電では、ソーラーパネルで発電された電力は配電線を通り、社内の電力として消費されます。いわば電気の流れは一方向であり、ソーラーパネル側に向かって電気が流れることは通常ありません。
しかし、何らかの理由によって電気がほとんど消費されない状態になると、稀に系統(電線)へ電気が流れてしまうことがあります。これを「逆潮流」とよび、最悪の場合機器の故障や感電事故を引き起こしたりする原因にもなります。
逆潮流を防ぐためには、制御装置や監視装置などを設置する方法がありますが、いずれにしても専門性が求められるため、信頼できる施工業者へ相談するようにしましょう。
自家消費型太陽光発電で使用する機器の基礎知識
太陽光発電と聞くと、多くの方はソーラーパネルをイメージすると思いますが、じつはこれ以外にもさまざまな機器が用いられ設備が構成されています。それぞれの機器の名称と、どのような役割を担うのかは基礎知識として覚えておきましょう。
名称 | 役割 |
---|---|
太陽電池モジュール(ソーラーパネル) | 太陽光を電力に変換する装置 |
パワーコンディショナー | 太陽電池モジュールで発電された直流電力を交流電力へ変換する装置 |
蓄電池 | 発電した電力を蓄え、夜間や悪天候時でも利用するための装置 |
キュービクル | 施設内で使用できる電圧へ変換するための装置 |
費用に関すること
太陽光発電設備は、一度設置したからといってメンテナンスフリーで稼働できるものではありません。
また、ソーラーパネルの表面に汚れが付着した場合には発電効率が低下するため、定期的な清掃が不可欠です。また、発電設備の劣化やケースも考えられるでしょう。
さらに、経年劣化による不具合や故障が発生するケースもあるため、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。設備の規模が大きければ大きいほどメンテナンスにかかるコストも増大します。
まとめ
自家消費型太陽光発電の導入にあたっては、設置場所の確認や電力消費量の確認、業者の選定など、押さえておくべきポイントが多数あります。また、けっしてメリットばかりとは限らず、メンテナンスコストの問題や災害対策なども考慮しておかなければなりません。
自社だけでは判断が難しいポイントも少なくないため、まずは複数の業者へ問い合わせを行い、信頼できる業者を選定することからスタートすると良いでしょう。
自家消費型太陽光発電の概要やメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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