電力ピークシフトで電気代が下がる理由|太陽光発電と蓄電池が有効

近年、企業が負担している電気代は上昇傾向にあります。 経営者や経理担当者の方々にとって、会社の電気代は「まだまだ全然高いな」と感じることは少なくないでしょう。

企業の電気代は、電力の調達方法や使い方によっても負担額に大きな影響を及ぼします。 今回お伝えする「ピークシフト」を理解して事業に取り入れることで、会社の電気代は現状よりもさらに削減できます。

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「ピークシフト」に混在する2つの意味

「ピークシフト」とは、エネルギー用語の1つで、節電や省エネの話によく出てくる言葉です。 ピークシフトには「節電対策で使われる場合」と「太陽光発電設備で使われる場合」によって2つの意味があります。

インターネット上などではこれらの意味がよく混在して使用される場合があります。 どちらのピークシフトも目的は同じ電気料金削減ではありますが、その手段が異なります。 まずはピークシフトを理解するために、それぞれの違いから解説します。

節電対策におけるピークシフトの意味

節電対策におけるピークシフト

ピークシフトとは、1日24時間の中で電力消費が多い時間帯から電力消費が少ない時間帯に、電力の消費を移動・分散させる技術です。 おもに、契約電力(最大デマンド)の超過防止や電気の基本料金の値下げを目的として導入されます。

「節電対策におけるピークシフト」とは、電力消費が多くなる時間帯に特定の電気機器の「出力を弱める」「使用を制限する」などを行い電力使用を抑え、代わりに電力使用の少ない時間帯で使うことです。

太陽光発電と蓄電池で行うピークシフトの意味

ピークシフトを行うためには、蓄電池などで消費電力が少ない時間帯に電気を貯めておき、消費電力が多い時間帯に貯めていた電気を使用しましょう。 消費電力が少ない時間帯に充電した電気を電力ピーク時に放電することで、最大デマンドを抑制(ピークカット)して電気の基本料金を下げられます。

また、電力会社から買った電気を蓄電池に貯めるだけでなく、ソーラーパネルで発電した電気を蓄電池に貯めておき、電力ピーク時にその電気を使用することもできます。 このように太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、ピークシフトを行うことも可能です。

電力ピークシフトで電気代が下がる理由|太陽光発電と蓄電池が有効

ピークシフトのメリット

電力量料金単価が安い時間帯に電気を使うことができる

昼と夜

電力量料金単価(消費電力1kWhあたりの値段)は、基本的に電力需要の増減によって変動します。

単位 料金(税込)
基本料金 1kW 1,716円
電力量料金 ピーク時間 1kWh 20.52円
昼間時間 夏季 19.81円
その他季 18.38円
夜間時間 12.77円

(出典)業務用季節別時間帯別電力プランの単価:東京電力エナジーパートナーHP)

電力需要が増加する昼間の時間帯は電力量料金単価が高く、需要が減少する朝や夜間時間は単価が低く設定されています。 特に、夏季の昼間は電力需要がひっ迫するため、1年でもっとも高い単価に設定されている場合が多いです。

このような理由で1日の電力使用量が同じでも、電気を使うタイミングによって電気代に開きが生じます。

上記の料金表では、昼間時間(夏季)の消費電力645kWhは、夜間時間の消費電力1,000kWhとほぼ同じ電気使用料金です。 この時間帯によって電力量料金単価が変動する仕組みを利用してピークシフトを行うことで電気代を下げることができます。

基本料金を抑えることができる

デマンドの仕組み

高圧受電の場合、契約電力によって基本料金が決定します。 契約電力とは、電力をデマンド値(30分間で消費した平均電力量)として記録し、直近12カ月でデマンド値がもっとも高い値(最大デマンド)によって決定します。

仮に、何らかの理由によって過去1年間でたった30分間に普段よりも多くの電気を使ってしまえば、向こう1年間は割高な基本料金を払い続けることになります。 そのため過去1年間の最大デマンドを更新しないようピークシフトを実施することで、契約電力に基づく基本料金を下げることができます。

また、正確なピークシフトを実行するために、EMS(エネルギーマネジメントシステム)やデマンド監視装置などを導入して電力使用状況を「見える化」してコントロールする必要があります。 これをデマンドコントロールといいます。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは|基礎知識や市場規模を解説 デマンドコントロールとは|電気代が抑えられる理由と太陽光との関係を解説

ピークシフトの導入方法

ピークの時間帯に使う電力を減らし別の時間帯に使う

ピークシフトの仕組み

消費電力がピークに達する時間帯から、その他の時間帯に消費電力を分散できれば、より安価に電力を調達できます。また、デマンド上昇を抑え、基本料金を下げることができます。

ピーク時間帯に使う電力を減らして別の時間帯に使う方法として例を挙げてみます。

たとえば、冷房設備に電力を多く消費する冷蔵倉庫では、夜間は通常よりも低い温度に設定しておき、昼間は倉庫内のモノに影響が出ない程度に温度設定を少し高くしておくことで、冷房設備にかかる負荷が抑えられ、昼間の消費電力を削減できます。

ピークシフトを行うことによって全体の電気使用量を変えずに、電気使用料金を下げることができます。

蓄電池を使う

蓄電池システム

ピークシフトの手段として蓄電池を活用する方法もあります。蓄電池は電力会社から送られる電気を貯めておくことができます。

たとえば、電力量料金単価の安い夜間に蓄電池を充電しておき、昼間の時間帯に合わせて蓄電池に貯めていた電気を使用します。すると実質、夜間の電力量料金単価で電力を調達できたこととなり、その分の電気使用料金を削減できます。

また、ピーク時の消費電力を蓄電池による放電で一部まかなうことで、デマンド値の抑制を図り基本料金の削減にも寄与します。

太陽光発電を使う

自家消費型太陽光発電

太陽光発電を導入することで、自社で消費する電気を自社で作ることができます。この仕組みを自家消費型太陽光発電といいます。一般的な工場など、事業所では昼間の電力使用がピークに達しますので、ソーラーパネルによって発電した電気を使って電気代削減に繋げます。

また、ソーラーパネルで発電された電気は蓄電池に貯めておくことができます。太陽光発電と蓄電池を併用することで、ピークカットと同時にピークシフトも行えるようになります。

たとえば、ソーラーパネルをあえて多めに設置しておきます。 そうすることで、本来であれば無駄になってしまうピークカット電力を蓄電池に貯めておき、その電力をピークシフトできます。

ただし、自家消費による過積載にはソーラーパネルを積む屋根の耐荷重や電気使用状況を十分に考慮する必要があります。

ピークシフトの導入例

自販機のピークシフト

自販機の写真

野外に設置された自販機は気温が上昇する夏場の昼間には多くの電力を消費します。

電力量料金単価が安価な夜間時間に収容商品を5℃以下まで集中冷却して保冷しておくことで、電力需要ピーク時間帯(8時から22時)を含めて最長16時間もの間、冷却用の電力を完全に停止しても品質を保ったまま冷たい飲み物を提供できます。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社が展開する自販機では、このようなピークシフト技術を取り入れることで、夏季日中の消費電力を最大時95%削減に成功しています。

(参考:日本コカ・コーラ|ピークシフト自販機

パソコンのピークシフト

一般的にオフィスにおける電力需要ピーク時は、全体の電力需要に対してパソコンの電力消費が約10%を占めています。日本の大手電機メーカー株式会社東芝のノートPC(dynabook)には充電式電池(内蔵バッテリー)を活用したピークシフト 技術が搭載されています。

電力供給の少ない時間帯に内蔵バッテリーに電力を貯めておきます。 そして、電力需要のピーク時間(13時から16時)にAC電源からの電力供給をストップして、バッテリー駆動に自動的に切り替えることでピークシフトを行っています。

PCによるピークシフトのメリットは、ソフトウェアさえ用意すれば、ピークシフト機能を実装できるため設備投資がかからないことです。

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まとめ

ソーラーパネルの写真

企業の事業活動にとって電力調達は必要不可欠です。 ピークシフトを事業の一部に取り入れることで、より安価な電力調達が実現します。

また、電気代削減というメリットだけでなく、改正省エネ法が定める「電気需要平準化」の実施義務要件の施策としてピークシフトを取り入れる企業が増加しています。

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

本記事でご紹介した、太陽光発電と蓄電池によるピークシフトを考慮したプランもご相談いただけます。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース広報部

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当社は、産業用太陽光発電システムのEPC工事を専門に手がけています。経験豊富な電気工事士やエネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材を基に、EPC事業者としての「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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