エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは|4種類の概要と市場規模

多くのエネルギーを消費する時代である今、エネルギーコストの削減対策として注目されているのが「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」です。

今回の記事では、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の概要や種類、市場規模、メリット、デメリットについてご紹介していきます。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは

はじめに、「エネルギーマネジメント」と「エネルギーマネジメントシステム」の違いを明確にしましょう。

「エネルギーマネジメント」とは、住宅、工場、ビルなどの建物や施設におけるエネルギー利用状況を把握し、効率的にエネルギーを使用するために改善していく活動のことです。

「エネルギーマネジメントシステム(以下EMS)」は、最適なエネルギー活動をサポートする設備のことです。人の手だけでは把握が難しいエネルギー使用状況を、情報通信技術によって「見える化」することで、データ分析や効率的な機器の制御といった全般的なエネルギーマネジメントが可能になります。

EMSは管理する建物によって、おもに「BEMS」「HEMS」「FEMS」「MEMS」「CEMS」という種類に分けられます。それぞれの特徴を下記で解説します。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類

BEMS(ベムス)

BEMS(Building and Energy Management System)は、オフィスや商業ビルなどのエネルギーを管理するEMSです。建物内のセンサーがエネルギーデータを活用し、ビルの省エネを実現します。

国としても、一次エネルギー消費量がゼロになる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の普及を目指しており、BEMSはそのためにも重要なシステムと位置づけられています。

BEMSについては以下の記事で詳しく説明していますので、こちらもぜひご覧ください。

HEMS(ヘムス)

HEMS(Home Energy Management Service)は、住宅のエネルギーを管理するEMSです。

HEMSと電気機器をネットワークで繋ぐことで、室内のエネルギー使用状況をタブレットやパソコンの画面で確認できるため、効率的なエネルギー使用の助けになります。また、電化製品とネットワークを連携していれば、外出先から家電を操作できます。

FEMS(フェムス)

FEMS(Factory Energy Management System)は、工場を対象とするEMSです。 受配電設備だけでなく、生産設備のエネルギーも管理できる特徴があります。

資源エネルギー庁が公開している資料に、バイオマス発電設備とFEMSを同時導入した製紙工場では、既存の発電設備とバイオマス発電設備の発電バランスが最適化され、電力会社から購入する電力量の大幅削減に成功した事例が掲載されています。

FEMSについては以下の記事で詳しく説明していますので、こちらもぜひご覧ください。

MEMS(メムス)

MEMS(Mansion Energy Management System)は、マンションの建物内のエネルギーを対象とするEMSです。

マンション内の電力消費量などを計測・見える化し、空調や照明設備の制御などを行います。通常のマンションでは、各居住者が個別に電力会社と契約しますが、MEMSを導入するスマートマンションでは、全入居者が一括で電力会社と契約します。HEMSを同時導入すれば、電気料金の削減が強化されます。

CEMS(セムス)

CEMS(Community Energy Management System)は、ここまで紹介してきた建物を対象んしたEMSよりも広範囲に渡る地域対象とするEMSです。BEMS・FEMS・HEMSなどの個々のEMSを包括する仕組みとなります。

資源エネルギー庁が公開している事例として、宮城県の「第二仙台北部中核工業団地」でトヨタ自動車を核として計7社が集まっていることが紹介されています。

その全7社にCEMSを設置して、エネルギー需給バランスをシステムが監視し、エネルギーの最適化を図りながら各社へ効率的にエネルギーが配分される仕組みを構築しました。その結果、工業団地(地域)レベルでエネルギーコスト削減を達成しています。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の市場規模

EMSは、労働効率化へのニーズの高まりやエネルギー需給調整ビジネスの広がり、エネルギー自家消費ニーズの高まりによって、今後も普及が進むと想定されています。

富士経済が行ったEMS関連市場の調査(調査期間:2019年4月から8月まで)では、EMSの国内市場が2030年に1兆7,134億円(2018年度比で194%)に達する見込み であると発表されています。

そのうち、「EMSシステム」の増加率は2018年度比で111%程度とみられており、特別大きい訳ではありません。では何が伸びていくかというと、「EMS関連設備」や「EMS関連サービス」です。

「EMS関連設備」は、EMSそのものではなくEMSと連携する設備のことで、たとえば蓄電池、V2H、再生可能エネルギー発電設備などが挙げられます。「EMS関連サービス」は、設備のサブスクリプションビジネスや、データ取引などがあります。

2030年度のEMS関連設備とEMS関連サービスの市場規模は、2030年度には2018年度比で約2倍の1.6兆円程度になると予測されています。割合ではEMS関連設備は2018年度比で188%、EMS関連サービスは225%と予測されており、さらなる拡大が見込まれるでしょう。

画像引用元:富士経済グループ|エネルギーマネジメントシステム、関連設備・サービス市場を調査

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の具体的な内容

画像引用元:me-eco|me-ecoとは

エネルギーの使用状況を見える化する

EMSは、私たちが普段使用しているエネルギー(電気・ガス・水など)を分析するシステムを導入し、ネットワークを経由してパソコンやタブレットの画面上にデータやグラフで反映します。

このようにエネルギーの使用状況を「見える化」し、分析・改善を行う環境を整えてくれます。

エネルギーの使用状況を分析する

EMSを導入し、エネルギーの使用状況を「見える化」することで、「いつ」「どこで」「どのくらい」エネルギーが使われているのかを把握し、「どこが改善できるか?」を分析することが可能になります。

削減できる設備を見つける

分析に寄って改善するポイントが明らかになれば、エネルギー削減に向けた具体的な取り組みを行いましょう。「見える化」のおかげで、取り組みの効果を視覚的に確認できるため、EMSを導入すれば分析と改善のサイクルを積み重ね、効率的なエネルギー削減が可能になります。

エネルギーマネジメントシステムのメリット

経営者に成果を説明しやすい

EMSは経営者に成果を説明しやすいため、エネルギー削減の計画・実行・評価がスムーズに行えることがメリットの1つです。

EMSの表示は、エネルギー使用状況や削減率などがデータやグラフを用いてわかりやすくまとめられており、グラフの印刷やデータのCSVファイル化も可能です。

また、経営者から結果が共有されることで、企業全体の省エネ意識の向上も見込めます。

エネルギー効率の悪い機器を特定できる

EMSは、建物別や機器別でエネルギー使用状況を把握できるため、エネルギー効率の悪い機器を特定しやすいメリットがあります。

改善対象の機器がわかれば、機器の買い替え・稼働時間の短縮・代替機器の考案など、改善のプランが立てやすく、スピード感を持ってエネルギー効率化の活動が行えます。

補助金制度が活用できれば初期費用を抑えられる

EMSには補助金制度があり、活用できれば初期費用を大幅に削減できます。

一般社団法人 環境共創イニシアチブが実施する「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」は、EMSを導入した上で要件を満たせば、最大で費用の2分の1の補助金が得られます。

2020年度の公募は終了していますが、例年5月から6月にかけて公募が行われています。また、事業規模が大きく単年での実施が難しい場合は、複数年度での申請も可能です。EMSの導入を検討している企業の方は、この補助金の動向をチェックすることをおすすめします。

エネルギーマネジメントシステムのデメリット

初期費用が高額

EMSのデメリットの1つは、決して安くはない初期費用がかかることです。

小規模事務所への導入でも250万円以上、導入範囲が広い場合やEMS関連機器を同時導入する場合は、1,000万円以上の費用がかかる可能性があります。 商業施設や学校、病院などであれば、条件によって1,000万円から8,000万円程度の費用が想定されます。

大規模な工場や多数の大型機器を保有している事業所の場合は、1億円を超えることもあります。また、現状の設備がEMSに対応しておらず買い替える場合、新しい機器の費用が加算されます。

初期費用の回収にどれくらいの期間を要するのかをよく検討する必要があります。

EMSの運用には専門知識が必要

もう1つのデメリットは、EMSの専門知識がないと効果的な運用が難しい点です。担当者がエネルギー管理に詳しくない場合、データ収集をしても分析や施策の決定などが効果的に行えずEMS導入の効果を感じにくいおそれがあります。

メリットが多いEMSですが、現状の設備や担当者のエネルギー管理に対する研修や、専門家への相談の必要性の有無などを考慮した上で導入計画を立てることが必要です。

まとめ

今回は、エネルギーマネジメントシステム(EMS)についてご紹介してきました。

エネルギーの使用状況を見える化し、効果的な削減に繋げるEMSは、今後も市場が大きくなることが予想されています。

IT技術の向上にともない、さらに効率良くエネルギーを管理しコスト削減に繋がるEMSが登場することでしょう。自社のエネルギー使用状況に合わせて、EMSの導入計画を立ててみてはいかがでしょうか。

太陽光設置お任せ隊では、EMSと連携することで効果的に電気料金の削減が見込める「自家消費型太陽光発電」をおすすめしております。自家消費型太陽光発電に関する詳しい情報は、以下のページからご覧ください。

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