【2023年版】エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは|基礎知識や市場規模を解説

2022年は、ウクライナ情勢や円安などの要因で燃料価格や電気代が高騰し、多くの家庭・企業に経済面で影響を与えました。

そのような状況下でコストを抑えるためには、いかに効率良くエネルギーを使用するかが重要です。そこで、エネルギー使用状況の「見える化」によって生産性向上に繋がる「エネルギーマネジメントシステム」の注目度が高まっています。

この記事では、2023年以降のコスト効率化に役立つエネルギーマネジメントシステム(EMS)の概要や種類、市場規模、メリット、デメリットについてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは

エネルギーマネジメントシステム(以下EMS)」は、最適なエネルギー活動をサポートする設備のことです。

人の手だけでは把握が難しいエネルギー使用状況を、情報通信技術によって「見える化」することで、データ分析や効率的な機器の制御といった全般的なエネルギーマネジメントが可能になります。

ちなみに「エネルギーマネジメント」とは、住宅、工場、ビルなどの建物におけるエネルギー利用状況を把握し、効率的なエネルギー使用に向けて改善していくマネジメント活動そのもののことです。両者を混同しないよう注意しましょう。

EMSは管理する建物によって、おもに「BEMS」「HEMS」「FEMS」「MEMS」「CEMS」という種類に分けられます。それぞれの特徴を下記で解説します。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類

BEMS(ベムス)

BEMS(Building and Energy Management System)は、オフィスや商業ビルなどのエネルギーを管理するEMSです。建物内のセンサーがエネルギーデータを活用し、ビルの省エネを実現します。

国としても、一次エネルギー消費量がゼロになる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の普及を目指しており、BEMSはそのためにも重要なシステムと位置づけられています。

BEMS(ベムス)とは?|エネルギーの見える化で省エネ対策|メリットや導入事例を紹介

HEMS(ヘムス)

HEMS(Home Energy Management Service)は、住宅のエネルギーを管理するEMSです。

HEMSと電気機器をネットワークで繋ぐことで、室内のエネルギー使用状況をタブレットやパソコンの画面で確認できるため、効率的なエネルギー使用の助けになります。また、電化製品とネットワークを連携していれば、外出先から家電を操作できます。

FEMS(フェムス)

FEMS(Factory Energy Management System)は、工場を対象とするEMSです。受配電設備だけでなく、生産設備のエネルギーも管理できる特徴があります。

工場は電力使用量が大きい建物ですので、エネルギー効率の悪い機械を買い替えたり、ムダなエネルギー消費を制御したりすることで、大幅な省エネや電気代削減に繋がります。

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MEMS(メムス)

MEMS(Mansion Energy Management System)は、マンションの建物内のエネルギーを対象とするEMSです。

マンション内の電力消費量などを計測・見える化し、空調や照明設備の制御などを行います。通常のマンションでは、各居住者が個別に電力会社と契約しますが、MEMSを導入するスマートマンションでは、全入居者が一括で電力会社と契約します。

CEMS(セムス)

CEMS(Community Energy Management System)は、ここまで紹介してきた建物を対象にしたEMSよりも広範囲に渡る地域対象とするEMSです。

たとえば宮城県の「第二仙台北部中核工業団地」では、トヨタ自動車を核として計7社が集まっており、その全7社にCEMSを設置して、エネルギー需給バランスをシステムが監視し、各社へ効率的にエネルギーが配分される仕組みが構築されています。

エネルギーマネジメントシステムが注目される背景

エネルギーマネジメントシステムが注目を集める理由・背景について解説していきます。

電気代の値上がり

エネルギーマネジメントシステムが注目された背景の1つが、2011年から2015年頃まで続いた電気代高騰です。

東日本大震災の影響で東京電力が被害を受けたことや、原子力発電所の停止によって電力受給のバランスが変化したことで、電気代が大幅に上昇しました。

これにより、電力消費量が多い工場やビルなどで電気代削減・省エネの取り組みが広がり、選択肢の1つとしてエネルギーマネジメントシステムに注目する企業が増加しました。

2022年にはふたたび家庭・企業ともに電気代が高騰したため、省エネへの意識の高まりとともにエネルギーマネジメントシステムが再度注目されました。

業務効率化や生産性向上が重要な時代になっている

日本は労働人口の減少が続いており、とくに地方では人手不足に悩む企業が少なくありません。そこで業務効率化の一環としてエネルギーマネジメントシステムが注目されています。

たとえば工場などのエネルギー管理は、従来、人が測定と管理を行ってきましたが、少ない人員で効率的に業務を回すためには、エネルギー管理のデジタル化・自動化が必要です。

最近のエネルギーマネジメントシステムは、「エネルギー使用量の予測」や「エネルギー需要に合わせて供給設備の稼働をコントロール」するなと、さまざまな機能を持つ商品が実用化されており、高度なエネルギー管理・生産性向上に繋がります。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の市場規模

EMSは、労働効率化へのニーズの高まりやエネルギー需給調整ビジネスの広がり、エネルギー自家消費ニーズの高まりによって、今後も普及が進むと想定されています。

富士経済が行ったEMS関連市場の調査(調査期間:2019年4月から8月まで)では、EMSの国内市場が2030年に1兆7,134億円(2018年度比で194%)に達する見込みであると発表されています。

そのうち、「EMSシステム」の増加率は2018年度比で111%程度とみられており、特別大きい訳ではありません。では何が伸びていくかというと、「EMS関連設備」や「EMS関連サービス」です。

「EMS関連設備」は、EMSそのものではなくEMSと連携する設備のことで、たとえば蓄電池、V2H、再生可能エネルギー発電設備などが挙げられます。「EMS関連サービス」は、設備のサブスクリプションビジネスや、データ取引などがあります。

2030年度のEMS関連設備とEMS関連サービスの市場規模は、2030年度には2018年度比で約2倍の1.6兆円程度になると予測されています。割合ではEMS関連設備は2018年度比で188%、EMS関連サービスは225%と予測されており、さらなる拡大が見込まれるでしょう。

画像引用元:富士経済グループ|エネルギーマネジメントシステム、関連設備・サービス市場を調査

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の具体的な内容

画像引用元:me-eco|me-ecoとは

エネルギーの使用状況を見える化する

EMSは、私たちが普段使用しているエネルギー(電気・ガス・水など)を分析するシステムを導入し、ネットワークを経由してパソコンやタブレットの画面上にデータやグラフで反映します。

このようにエネルギーの使用状況を「見える化」し、分析・改善を行う環境を整えてくれます。

エネルギーの使用状況を分析する

EMSを導入し、エネルギーの使用状況を「見える化」することで、「いつ」「どこで」「どのくらい」エネルギーが使われているのかを把握し、「どこが改善できるか?」を分析することが可能になります。

削減できる設備を見つける

分析に寄って改善するポイントが明らかになれば、エネルギー削減に向けた具体的な取り組みを行いましょう。「見える化」のおかげで、取り組みの効果を視覚的に確認できるため、EMSを導入すれば分析と改善のサイクルを積み重ね、効率的なエネルギー削減が可能になります。

エネルギーマネジメントシステムのメリット

省エネにより、エネルギーコストが削減できる

先述したように、建物内のエネルギー使用状況がグラフやチャートで可視化されるため、空調や照明など、どこの電力を節電できるかが把握できます。
たとえば下記のような対策が打ちやすくなります。

  • エアコンを稼働する時間をずらす
  • エネルギーの無駄が発生している照明をセンサー式にする
  • 大型の機械を複数同時に動かさず、部署間で稼働時間を調整する

さらに、制御機能がついたエネルギーマネジメントシステムを導入すれば、時間によって空調温度のムラが出るのを防いだり、工場機械の圧力・風量などを最適値に制御したりなどの活用が可能になり、さらなる省エネ効果が期待できます。

エネルギー効率の悪い機器を特定し、適切な時期の買い替えができる

EMSは、建物別や機器別でエネルギー使用状況を把握できるため、エネルギー効率の悪い機器を特定しやすいメリットがあります。

改善対象の機器がわかれば、機器の買い替え・稼働時間の短縮・代替機器の考案など、改善のプランが立てやすく、スピード感を持ってエネルギー効率化の活動が行えます。

補助金制度が活用できれば初期費用を抑えられる

EMSには補助金制度があり、活用できれば初期費用を大幅に削減できます。

経済産業省の「先進的省エネルギー投資促進支援」では、エネルギーマネジメントシステム導入のうえ下記の要件を満たせば補助金が交付されます。

  • 省エネ率:30%以上
  • 省エネ量:1,000kL以上
  • エネルギー消費原単位改善率:15%以上

補助金の下限額は「事業を実施する年数 × 100万円」で、上限額は「1事業年数あたり15億円(最大30億円)」となります。

2022年(令和4年)の公募期間は2022年5月25日から6月30日でしたので、補助金の募集がある場合は2023年(令和5年)もそのあたりの期間で募集される可能性が高いです。

(参照元:先進的省エネルギー投資促進支援 公募情報|一般社団法人 環境共創イニシアチブ)

経営者に成果を説明しやすい

EMSは結果が「見える化」されるため、経営者に成果を説明しやすく、エネルギー削減の計画・実行・評価がスムーズに行えることがメリットの1つです。

EMSの表示は、エネルギー使用状況や削減率などがデータやグラフを用いてわかりやすくまとめられており、グラフの印刷やデータのCSVファイル化も可能です。

また、経営者から結果が共有されることで、企業全体の省エネ意識の向上も見込めます。

エネルギーマネジメントシステムのデメリット

初期費用が高額

EMSのデメリットの1つは初期費用がかかることです。

小規模事務所への導入でも250万円以上、導入範囲が広い場合やEMS関連機器を同時導入する場合は、1,000万円以上の費用がかかる可能性があります。 商業施設や学校、病院などであれば、条件によって1,000万円から8,000万円程度の費用が想定されます。

大規模な工場や多数の大型機器を保有している事業所の場合は、1億円を超えることもあります。また、現状の設備がEMSに対応しておらず買い替える場合、新しい機器の費用が加算されます。

初期費用の回収にどれくらいの期間を要するのかをよく検討する必要があります。

EMSの運用には専門知識が必要

もう1つのデメリットは、EMSの専門知識がないと効果的な運用が難しい点です。担当者がエネルギー管理に詳しくない場合、データ収集をしても分析や施策の決定などが効果的に行えずEMS導入の効果を感じにくいおそれがあります。

メリットが多いEMSですが、現状の設備や担当者のエネルギー管理に対する研修や、専門家への相談の必要性の有無などを考慮した上で導入計画を立てることが必要です。

EMSと組み合わせて省エネに繋がる太陽光発電も注目

EMSと組み合わせた企業の省エネ方法として注目されているのが「自家消費型太陽光発電」です。

太陽光パネルで発電した分の電気を自社で使用すれば、そのぶん電力会社から電気を買わずに済むため、大幅な電気代削減に繋がります。

太陽光発電によってそもそもの電気代を削減しつつ、エネルギーマネジメントシステムで効率的にエネルギーを活用すれば、さらにコスト削減効果が高まるでしょう。

自家消費型太陽光発電は、ほかにもCO2排出量削減に繋がるほか、節税非常用電源としての効果があり、自社の事業所を持つ企業での導入が普及しています。

太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」では、企業向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。無料で導入効果のシミュレーションを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

今回は、エネルギーマネジメントシステム(EMS)についてご紹介してきました。

エネルギーの使用状況を見える化し、効果的な削減に繋げるEMSは、今後も市場が大きくなることが予想されています。

IT技術の向上にともない、さらに効率良くエネルギーを管理しコスト削減に繋がるEMSが登場することでしょう。自社のエネルギー使用状況に合わせて、EMSの導入計画を立ててみてはいかがでしょうか。

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
全国累計5,000件以上の産業用太陽光発電システムのEPC工事(提案・設計・施工管理・O&M)を手掛ける当社の広報チーム。現在、第一種電気工事士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなど有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材で得た情報に基づき、EPC事業者として「現場から得たノウハウ」を反映させたコンテンツ作りに注力。
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