コラム

病院の省エネ対策アイデア|病院特有の電気消費の解説と4つの施策

病院にとって重要なことの1つは、患者が安心して治療を受けられる環境を提供することです。そのためには、院内設備に電気が安定供給されることが不可欠ですが、病院の経営を続けるためにはコスト削減もおろそかにできません。

今回の記事では、病院特有の電気消費の特徴と省エネ施策について解説します。

病院の電力消費量の特徴

空調と照明の電力消費量が多い

財団法人省エネルギーセンターの調査によると、病院の用途別電力使用比率は、空調と照明で約70%を占めています。

病院空調はICUやMRI室で使用されているものを含め24時間連続稼働系統が多く、手術室や無菌病棟でも高いレベルで空気を清浄するシステムが導入されてるため、一般的な建物と比べて電力消費量が多いです。

また、年間を通じて冷房が使用されるエリアや、照明が24時間使用されている部屋も多いことが、空調と照明の電力使用量を引き上げています。

病院の用途別電力使用比率

画像引用:医療施設のエネルギー消費量削減|メディカルコミュニケーションオンライン

止められない設備が多い

病院は患者のために、24時間稼働させておかなければならない設備や医療機器を多く導入しています。

病棟内やICUにはもちろん、一部の設備・機器は緊急で搬送されてくるけが人や病人に適切な治療ができるように、常に待機させておかなければいけません。

また、いつ襲ってくるか分からない災害に備えている病院もあり、電源を切れない設備・機器が多いといえます。

他の業種より電力消費量が多い

事務所や百貨店、スーパー、ショッピングセンターの電力消費は、基本的に営業時間内だけであるのに対し、病院は24時間稼働し続けています。

しかも、院内には夜間も電源を停止できないMRIのような高度医療機器も多くあり、電力消費量を押し上げています。

ホテルも24時間稼働していますが、財団法人省エネルギーセンターの調査によると、病院の電力消費量はホテルを上回っています。

ビルにおける業種別エネルギー使用の実態

画像引用:病院の省エネルギーポイント|財団法人省エネルギーセンター

部門間の電力消費量の差が大きい

先ほど、病院は24時間稼働し続けていると紹介しましたが、すべての部門が24時間稼働しているわけではありません。厚生労働省の資料「病院における省エネルギー実施要領」によると、病棟やエレベーターなどの共有エリアを除けば、夜間は基本的には稼働していません。

しかし、手術部や放射線部、特殊治療室を含む中央診療部門は、昼間のみの稼働であるにもかかわらず、全体の約30%の電力を消費しています。それに対して、厨房は18時間稼働しているものの、消費電力は全体の5%に過ぎません。

病院内部門別エネルギー消費の特徴

厚生労働省「部門構成とエネルギー消費の特徴」を元に作成

部門別の電力消費量の特徴と省エネ対策

ここまで、病院全体での電力消費の特徴を見てきましたが、次に病院の部門別の電気消費量の特徴を紹介します。

病棟は空調の電力消費量と水の消費量が多い

病棟は、面積が大きく24時間稼働しているため、特に空調設備による電力消費量が多いです。そのため、療養環境には十分配慮しつつ、病棟を暖め過ぎたり冷やし過ぎたりしないよう、適切な温度設定によって省エネを心がけましょう。

可能なエリアは窓を開けて温度調節を行う、シャワーや給水の使用時に水圧や水温に注意するといった省エネ対策を取り入れましょう。

外来部門は人の出入りが多く空調の負担が大きい

外来部門は、病棟と比べて日中しか使用されません。しかし、人の往来が激しく外気が入って来やすいため、空調のエネルギー効率が下がり、空調への負担が大きいといえるでしょう。

そのため、少しでも空調の負担を減らすことが対策のカギとなります。たとえば、入口付近に風除室をもうけるなどして、外からの風が直接入らないようにする対策が取れます。

また、季節や診療科目によっては、患者数の増減に合わせて窓を開けて外気を取り入れる、照明も時間帯や人数によって調節するなどの対策が可能です。

診療部門は滅菌用の蒸気のために熱と水の消費が多い

診療部門は稼働時間こそ短いものの、エネルギー量比率や熱消費量が大きいエリアです。この理由は、滅菌のために使われる蒸気の発生です。また、滅菌用の機器に必要な電気量もエネルギー量の増加に影響を与えています。

さらに、MRIなど夜間も継続して稼働している高度医療機器もエネルギー消費量が多くなる要因の1つです。診療部門では、洗浄作業も多く水の消費量も他の部門と比べて多くなりがちです。

省エネ対策としては、夜間や休日に電源を停止できる機器がないか再度見直しをする、医療道具の洗浄や滅菌は効率的に行うなどが挙げられます。たとえばオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)に詰め込み過ぎない、事前の洗浄をしっかり行ってから滅菌するなど、効率的な方法を取り入れましょう。

管理部門はコンピューター用の電力消費量が多い

管理部門ではオフィスと同じように、コンピューターなどのOA機器の使用が中心で、病院全体に占める電力使用量は10%弱です。

医事や医局などを含む管理部門の省エネ対策は、基本的にオフィスと同じです。OA機器のつけっぱなしを避け、空調や電灯はこまめに消しましょう。

また、できるだけ室内を適温に保つために、窓のブラインドを効果的に利用したり、会議室など人がいない場所から退出する時は空調停止や消灯を徹底したりと、基本的な対策が大切です。

病院で効果が高い省エネ対策

病院は照明が多いのでLED照明器具で電力消費量を抑える

院内には照明が多く稼働時間も長いため、LED照明器具で電力消費量を抑えることで全体のコストを削減できます。

LEDを使った電球は、これまでも病院の照明で使用されてきました。その理由は、省エネ性に優れ寿命が長いだけでなく、省エネ法の省エネ基準の対象だったからです。

それに対して、LED電灯器具は対象からは外れていました。原因として、LED電灯器具の普及が遅れていたことや、省エネ性能を測定する基準が確立されていなかったことなどが挙げられます。

しかし、2019年4月に施行された新しい省エネ基準でLED電灯機器も対象となったため、今後は病院の照明にLED電灯器具も導入し、電力使用量を抑えるといいでしょう。

患者に最適な室内温度を維持するために空調自動管理システムを導入する

病院において、空調は全体の電力使用の中でも大きな割合を占めています。現在使用している空調機器が古くなりエネルギー効率が下がっている場合、省エネ対応の新しい設備に交換すればランニングコストは下がります。

しかし、長期的には空調コストの大幅な削減になりますが、病院で使用している空調機器の数は膨大なため多額の初期投資が必要です。

そこで、すぐに空調機器の入れ替えができないとしても、患者さんにとって最適な室内温度を維持するために空調自動管理システムの導入を検討しましょう。

空調機器は設置している場所によって温度設定が異なるケースや、病棟ではスタッフに加えてさまざまな症状を抱えた患者さんがいるため、体感温度はそれぞれ大きく異なります。

1つずつ操作を行うのは困難なため、空調自動管理システムを活用して快適な温度設定やスケジュール管理を一括で行えるのが大きなメリットといえます。さらにシステムを導入するだけで利用できるので、初期費用も抑えられます。

蒸気の消費が多い病院ではボイラーの運用を見直す

ボイラーの使用でエネルギーが多く消費されますので、蒸気消費が多い病院ではボイラー運用は注目すべきポイントです。

ボイラーの使用に関して見直せる点の1つは台数で、消費される蒸気に対して設置台数が多いとボイラーが頻繁に着火と消火を繰り返す状態に陥ります。つまり、運用効率が下がり、エネルギーに無駄が生じているため、院内で消費される蒸気量に見合う台数なのか検討してみましょう。

また、ボイラーのスチームトラップ(ボイラー内の弁の役割をもつ)が故障していたり、蒸気が漏れたりしていると、エネルギーの無駄が生じます。定期的にボイラーを保守点検し、正常に機能しているか確認しましょう。

エネルギーマネジメントシステムの導入で電気の使用状況を見える化する

電気やエネルギーは目に見えないため、省エネ対策を講じてはいても、その効果はなかなか把握できません。対策を立てるにあたって、現状を知るためにも「見える化」が必要です。

エネルギーマネジメントシステムを導入して、電力の使用状況をグラフや数値によって可視化すれば、院内の「どこで」「いつ」「どのように」「どのくらい」電気が使われているのか、現状の把握が容易になります。さらに、省エネ対策の効果測定にも非常に有用といえるでしょう。

このシステムを利用することにより、病院経営における限りある資金の中で、効率的に省エネ対策を進める優先順位を見極めることができます。

まとめ

病院の電力消費の特徴と、省エネ対策についてご説明しました。病院は、その特殊性から、一般的なオフィスや工場などとは異なる省エネ対策が求められます。

数値やグラフなどで可視化するなどして現状を把握し、できる分野から省エネ対策を始めてみるのはいかがでしょうか。

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