学校の省エネ3ステップ|省エネ対策メリット・課題・事例を解説

近年では学校に対して高機能・や多機能化が求められており、消費エネルギーが増加傾向にあります。しかし、地球温暖化への懸念や省エネ法によって、学校も省エネ対策が求められています。この記事では、省エネ対策の必要性や文部科学省が掲げる学校の省エネ対策方法などについて解説しています。

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学校における省エネ対策の必要性

学校における省エネ対策の必要性

地球温暖化対策として、世界規模でさまざまな取り組みが行われています。特に日本は石油や天然ガスなど、化石燃料の多くを輸入に頼っており、将来的にエネルギーの安定供給に支障をきたす恐れがあります。さらに化石燃料は限りある資源のため、今後は省エネ化や再生可能エネルギーへの切り替えが重要課題となっています。

このような状況下で、学習環境の改善に向けたエアコンの設置、パソコンやタブレット、プロジェクターといったICT機器の導入など、エネルギー使用量が増加傾向にあります。1つひとつの学校で見れば大きな変化はありませんが、全体で取り組むことで大きな省エネ効果への期待が持てます。

学校の省エネ3ステップ|省エネ対策メリット・課題・事例を解説

省エネ法により学校に求められる目標

省エネ法とは「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の略称で、1979年に制定されました。学校は“工場等(工場又は事務所その他の事業場)”に分類されており、「教育委員会が管理する学校その他の施設全体の年間エネルギー使用量(原油換算値)が1,500kl以上の場合は特定事業者」となります。

対象となる事業者(教育委員会)は目標として、「中長期的に年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減」および「判断基準に基づいたエネルギー管理の実施」が義務付けられます。つまり、教育委員会はエネルギー管理を行う責任者として、各学校と連携を取りながら省エネに取り組まなければいけません。

省エネ法の主な義務

画像引用:学校等における省エネルギー推進のための手引き~省エネのすすめ方・つづけ方~ P2 省エネ法とは?2023年4月に改正し新制度施行予定|規制される分野や内容を解説 学校の省エネ3ステップ|省エネ対策メリット・課題・事例を解説

学校における省エネのメリット

生徒・先生への省エネ教育になる

省エネ法や年間エネルギー使用量から〇%削減には設備の導入が必要など、つい難しく考えてしまいますが、省エネへの取り組みは普段の生活でも大切です。たとえば電気はこまめに消す、水の無駄使いをしないなど、学校が率先して省エネに取り組むことで、生徒や先生も省エネに対する意識が高まります。

後述していますが省エネの一環として、電力の「見える化」を行っていれば、自分が通っている学校ではどれぐらいのエネルギーが使われているのかや、太陽光発電設備を導入している場合は発電量が見られるなど、生きた教材として活用できます。

省エネ効果による経営力強化

省エネ効果で水道光熱費が削減できた場合、老朽化した設備の改善や新たな事業の実施に繋がります。学校によって使用目的は変わってきますが、エネルギーロスの大きい設備を最新型に変える、エコに向けた建物の改修費用として積立資金にするなど、経営力強化が図れます。

省エネ対策への課題

省エネ対策への課題

学校施設は、時代に合わせて高機能・多機能化が求められています。一部の学校では体育館や教室を地域開放による多目的利用もあり、エネルギー使用量が増加傾向にあります。

また、教育委員会では省エネに関する専門部署はなく、一般事務職員が業務の一環として対策を講じています。そのため、省エネ対策への苦慮や各学校との連携不足など、さまざまな課題が残されているのが現状です。

省エネに向けて各学校で必要なエネルギーの「見える化」

各学校のエネルギー使用量を把握

省エネ対策を行うためには、まず各学校のエネルギー使用量を把握する必要があります。「いつ・どこで・どの程度」のエネルギーが使われているのか把握できなければ、改善策を立てられません。

そこでエネルギー使用量の「見える化」を行い、日々の使用量に加えて前年と比べてどの程度増減しているか確認します。その際、各学校のデータを比較し、削減量が多い学校ではどのような取り組みを行っているかを情報共有することも有効です。また、省エネ化に向けたマニュアル作成時にも、見える化で得たデータは活用できます。

電力デマンドコントローラの設置

エネルギー使用量の把握の一環として、デマンドコントローラの設置があります。デマンドコントローラは目標の最大デマンド値を設定し、数値を超えないようアラーム通知や、自動で空調管理などを行ってくれる装置です。

電気の基本料金は「最大デマンド値」で決まるのですが、デマンド値とは30分間の平均使用電力で、最も使用量が多かった30分を最大デマンド値と呼びます。契約更新月から過去1年間で、デマンド値が最も多かった月で契約料金が変わるため、基本料金を上げないために最大デマンド値をできるだけ抑える必要があるのです。

たとえば年間電気使用量の平均値が250kwであっても、8月の最大デマンド値が500kwであれば、8月を基準とした基本料金となります。デマンドコントローラを活用することで最大デマンド値を抑え、電気の基本料金を削減できます。

デマンドの考え方

画像引用:東京電力|デマンドコントロールシステムのご紹介

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文部科学省が掲げる「学校でできる省エネ」取組事例集

文部科学省では、学校で活用できる省エネルギー対策の取組事例集を、Webサイト(https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/green/1319057.htm)で公開しています。ステップ1から3、レベル1から5にわけ、取り組みやすい内容をまとめていますので、できる内容から省エネに取り組めます。こちらでは3つのステップを簡単に紹介します。

省エネに取り組む3ステップ

ステップ1:まずはココからスタート!

ステップ1では、「まずはこれから取り組んでほしい」内容として、すぐに取り組める運用改善や、時間・費用のかからないものが挙げられています。 エアコンの温度調整、照明器具のこまめな消灯、ポスター掲示で省エネの呼びかけなど、シーン別で対策方法が記載されています。教育委員会をはじめ、教員や児童・生徒なども取り組める内容です。

ステップ2:すこし時間をかけてトライ!

ステップ2は、設備の小規模な省エネ改修や、運用までに多少準備期間が必要な事例となっています。 たとえば照明器具の高効率化として省エネタイプの器具に変更する、グリーンカーテンで直射日光を防ぐなど、教育委員会と事務職員等がメインの内容となっています。

ステップ3:地球環境を守るためチャレンジ!

ステップ3では「計画的に取り組んでほしい」として、設備の大規模な省エネ改修や学年または学期単位での準備期間が必要な内容です。

具体的には先述したデマンドコントローラの設置、照明点灯範囲の細分化、調光センサーの設置、断熱効果の高い窓の設置など、大掛かりな省エネ対策となっています。 時間や費用はかかりますが、長期的に見ると省エネ効果が生まれますので、段階的に導入する必要があります。

ZEB化を取り入れたエコスクール

鹿島建設株式会社では、ZEB化を取り入れたエコスクールを展開しています。

ZEBとは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」のことで、“快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物”を指します。

鹿島建設株式会社はこのZEBを発展させた、ZES(ゼロエネルギースクール)を提案しており、学校特有の設備を活かした省エネや、環境教育の視点を取り入れた技術を展開しています。

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立命館中学校・高等学校長岡京新キャンパス

立命館中学校・高等学校長岡京新キャンパスは、最先端のエコキャンパスとして5つの柱を軸に建設されました。

  • 地域性を活かした計画
  • 自然エネルギー利用
  • ピークカットに寄与する電力デマンド低減
  • 災害時の地域貢献と省エネの両立
  • 学校活動と連携した環境への取組み

具体的にはキャンパスの中心となるアトリウム空間に対して、季節に合わせた自然エネルギーの活用と建築対策を組み合わせ、年間エネルギー収支ゼロを目指しています。

その他、太陽光や空気熱など複数の再生可能エネルギーを熱源とするReHP®(リヒープ:再生可能エネルギー利用高効率ヒートポンプシステム)を導入し、年間消費電力量の30%以上の削減とCO2排出量を抑えています。

まとめ

学校における省エネ対策は、快適な教育環境を維持しつつ取り組まなければいけません。しかし、学校が率先して省エネに取り組めば生きた教材となり、地球温暖化対策への意識向上に繋がります。

教育委員会と学校の連携不足や専門家が在籍していないなど、まだ課題は多く残されていますが、文部科学省が掲げる「学校でできる省エネ」では簡単にできる取り組みも紹介しています。すぐにできる省エネからはじめ、段階的に大規模な省エネ対策に講じてみてはいかがでしょうか。

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業・法人向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。省エネに繋がる設備投資の1つとして、学校の運営に携わる方から当社へご相談を受けることも増えてきました。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース広報部

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当社は、産業用太陽光発電システムのEPC工事を専門に手がけています。経験豊富な電気工事士やエネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材を基に、EPC事業者としての「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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