企業のBCP対策は非常用電源の確保が重要|蓄電池導入のメリットも解説
近年の自然災害の状況をみて、企業のBCP対策を強化する意味でも、非常用電源の確保が重要であるという認識が広まっています。
この記事では、非常用電源と関わりの深いBCP対策や、企業が蓄電池を導入するメリットについて解説していきます。
目次
BCP対策で非常用電源確保が重要な理由
BCP対策とは
BCPは、日本語で事業継続計画といいます。BCP対策とは、企業が自然災害・感染症・テロ攻撃などの緊急事態において、事業の被害を最小限に食い止め、早期復旧するための方法や手段を取り決めておくことです。BCP対策のポイントは以下の5つです。
- 優先して継続・復旧させる中核事業を選定する
- 緊急時の中核事業の目標復旧期間を定める
- 緊急時に提供可能なサービス内容について顧客と事前に協議する
- 事業拠点・生産設備・調達先の代替策を用意する
- 全従業員とBCPについてコミュニケーションを図る
BCP対策については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
大規模な災害では電気復旧までに時間がかかる
BCP対策の重要性が高まっている背景として、近年に発生している自然災害の被害規模が大きくなっていることがあります。近年に発生した自然災害の停電状況をみていきましょう。
名称 | 発生時期 | 停電復旧期間 |
---|---|---|
大阪府北部地震 | 2018年6月 | 約2時間 |
西日本豪雨 | 2018年6月末から7月 | 約1週間 |
北海道胆振東部地震 | 2018年9月 | 約2日(期間内にブラックアウトが発生) |
平成30年 台風21号 | 2018年9月 | 約2週間 |
令和元年 台風15号 | 2019年9月 | 約2週間 |
災害の規模や発生地域にもよりますが、ライフラインの中で1番復旧が早い電気でも、復旧に1週間以上を要することが多いことがわかります。規模の大きい自然災害では、電気の復旧だけでも1週間かかることを想定して対策を練る必要があります。
通信手段の確保には電源が必要
特に災害の範囲が広域化した場合は、通信手段の確保が重要です。通信手段があれば、情報の保護や回復・従業員の安否確認・取引先との連絡がしやすくなり、指示伝達や次の行動がスムーズに行えます。
実際に、BCP対策を十分に策定していたものの、通信確保ができなかったために事業の回復が遅れたケースも国内外で発生しています。通信手段を確保するための対策は以下2つです。
- 複数の通信手段を併用する(固定電話・携帯電話・衛生電話・メールなど)
- 複数の通信会社やプロバイダと契約する
また、通信手段を確保し、非常時でも利用するためには、発電機や蓄電池などの非常用電源が必要です。
非常用発電機の種類

非常用電源の1つである非常用発電機は、「ディーゼルエンジン」と「ガスタービンエンジン」の2種類があります。それぞれの特徴・メリット・デメリットをみていきましょう。
ディーゼルエンジン
ディーゼルエンジン非常用発電機は、対応できる出力の範囲が広く種類が豊富なため、非常用発電機として使われるのはこちらが多いです。運転時の注意点として、負荷が低いと煙が出やすいため、出力が大きすぎる種類は選ばないほうが良いでしょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ディーゼルエンジン |
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ガスタービンエンジン
ガスタービンエンジン非常用発電機は、ディーゼルエンジンより小型化が可能で、騒音が少ないタイプです。本体は小型であるものの、燃料消費が多いため、燃料タンクも含めると設備全体が大型化する可能性があります。また、価格はディーゼル型より高額です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ディーゼルエンジン |
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非常用電源になる蓄電池

蓄電池とは
近年、蓄電池を導入している企業が増加しています。
病院などでは、万が一停電した時の備えとして、一定時間自立して電気を供給できる産業用蓄電池が導入されています。
その他にも、自然災害などにより事業所全体が停電した場合に備えて、サーバーの情報を守ったり、通信手段を確保したりするための非常用電源として産業用蓄電池を導入する企業があります。
また、東日本大震災や近年の災害の状況を踏まえ、非常用電源として家庭用蓄電池を導入する家庭も増加しています。家庭用と産業用の違いは、容量・出力・使用可能な機器・価格などです。
蓄電池の種類
リチウムイオン蓄電池
リチウムイオン蓄電池は、小型サイズであることが特徴です。ビルの一角のオフィスや、小規模の事業所など、設置スペースが限られた企業にも導入が可能です。
産業用だけでなく、家庭用でも広く使われています。寿命は6年から10年程度ですが、使用環境により短くなるリスクがあります。また、蓄電池の中では価格が高めです。
鉛蓄電池
鉛蓄電池は、寿命が長いことが特徴で、17年程度もつといわれています。また、他の種類よりも安価なため導入しやすい点がメリットとして挙げられます。そのため、産業用蓄電池の中では1番のシェアを獲得しています。ただし、本体のサイズが大型でスペースをとってしまいます。
ニッケル水素蓄電池
ニッケル水素蓄電池は、従来のニッケルカドミウム電池よりも高容量で、使用持続時間が長く、さらに充電状態から長時間放置しても使用できるなど、さまざまな面で優れています。
課題としては、時間の経過で内蔵電力が消耗しやすいため、寿命が5年から7年と短めであることです。また、「メモリー効果」という、放電中に電圧が低下する現象が起きることも指摘されています。
NAS蓄電池
NAS蓄電池は15年程度の長寿命が特徴です。また、鉛蓄電池よりもエネルギー密度が3倍高く、同じ容量であれば設置スペースが3分の1になるコンパクトさもあわせ持ちます。ただし、NASと水が反応して燃焼を起こす危険性があるため、周辺設備の管理が必要です。
電気料金の安い夜間に電気を貯めておける
蓄電池を導入すると、昼間より料金が安い深夜や早朝の電気を蓄電池に貯め、昼間に放電することで1日の電気購入量を減らせます。これを「ピークシフト」といいます。
たとえば、中部電力の法人向けメニュー「高圧タイムプラン(プランL)」の場合、昼間の料金は19.05円 / kWh、夜間の料金は13.66円 / kWhです。夜間の電気料金が昼間より約6円安く購入できることがわかります。
さらに、重負荷時間(夏季の10時から17時)の料金は22.32円 / kWhであるため、夜間に蓄電池に貯めた電気を重負荷時間に使用すれば、電気料金の高い時間帯の電気の購入を抑制し、節電効果も期待できます。
自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用するメリット

停電時に非常用電源として利用できる
「自家消費型太陽光発電」とは、自社の屋根・空きスペース・所有土地に太陽光発電設備を導入し、電気の自給自足や売電を行う方法です。自家消費型太陽光発電のメリットの1つは、BCP対策においても重要な「停電時の非常用電源」となることです。蓄電池と併用すれば、さらにこのメリットを活かせます。
太陽光発電設備だけでは、夜間や曇りの日は非常用電源として機能しません。しかし、蓄電池を併用していれば、発電した電気を貯めておき、夜間や曇りの日に使用できます。
大規模な事業所の場合、全体の電気をまかなうためには産業用蓄電池が必要ですが、産業用蓄電池は高額であるため導入ハードルが高いデメリットがあります。そこで、家庭用蓄電池でオフィスの一部のみ電気をまかなうことを検討するケースもあります。
蓄電池に電気を貯めておけば発電できない夜間も電気を使える
工場やオフィスなどに自家消費型太陽光発電を設置する場合、太陽光発電設備のみでは、日中かつ晴れでなければ発電できません。ここに蓄電池が加われば、太陽光発電との相乗効果が期待できます。
具体的には、日中に発電した電気や電気料金の安い深夜の時間帯の電気深夜の電気を蓄電池に貯めておくことで、発電できない夜間に電気が必要になった場合や、停電した場合でも電気を使えます。
また電気を蓄電池に貯めておけば、BCP対策にもなります。このように、太陽光発電と蓄電池をうまく組み合わせることで、自社で発電した電気を効率良く使用できます。さらに、デマンドコントロールによって電気契約の基本料金を下げられる可能性があります。
2023年度は蓄電池の導入が補助金採択のポイントになる
企業・法人が太陽光発電を導入する際、政府の補助金制度を利用できれば投資費用回収期間を大幅に短縮できるでしょう。
そして、環境省や経産省が公表した2023年度の補助金の概算要求時点の情報では、2023年度は太陽光発電と同時に蓄電池を導入することが条件となった補助金があります。
政府としてもさまざまな企業・法人が蓄電池を導入し、活用する状況を少しずつ作っていきたいということでしょう。2023年度の太陽光発電の補助金情報は以下の記事をご覧ください。
まとめ
企業・法人が緊急時の対策をしっかり練っても、非常用電源がなければ思うように実行できない可能性があります。BCP対策にはさまざまなものがありますが、電源の確保はまず検討すべきところでしょう。BCP対策は、非常用電源の確保を含めて構築することをおすすめします。
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、非常用電源として活用できる自家消費型太陽光発電や蓄電池のご提案を行っております。自家消費型太陽光発電での災害対策について、以下のページで解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
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