蓄電池を使ったピークカットとピークシフトのメリットとデメリット
近年、火力発電燃料のLNGの不足などによって電気代の高騰が続いています。 経営者にとって電気料金を削減することは会社の利益に直結します。 企業の電気代削減は、いかに安く電気を調達できるかがポイントです。
今回は、企業の電気代削減に関わる蓄電池と太陽光発電を使ったピークカットとピークシフトについて解説します。
目次
電力のピークカットとは?
「ピークカット」とは、1日の中でもっとも電力需要が多い時間帯における電力(ピーク電力)の電力購入量(電気使用量)を抑える(カットする)ことで電気代を下げる技術です。
代表的なピークカットには、蓄電池を使う方法と太陽光発電を使う方法、またはどちらも併用する方法があります。 このピークカットを行うことで、無理な節電を行うことなく電気使用料金と基本料金を削減できます。
電力のピークシフトとは?
「ピークシフト」とは、電力需要が少ない時間帯の電気を貯めておき、電力需要が多い時間帯にその電気を使用して電気代を下げる手法です。
たとえば、昼間の電気使用量が多い工場や事業所の場合、電気使用量の少ない早朝などに電力会社または、自家消費型太陽光発電で調達した電気を蓄電池に貯めておき、昼間に貯めていた電気を使用します。
このように電気使用の時間を物理的に移動(シフト)させることで、1日の電気使用量を減らすことなくピークカット同様の効果が得られます。
蓄電池を使ったピークカット・ピークシフト
続いて、蓄電池を使ったピークカット・ピークシフトを行い1日の電力使用量を標準化することで、電気代を削減できる仕組みを解説します。

(画像引用元:中部電力ミライズ|電気料金の計算方法)
電力会社から購入している電気料金の内訳は大きく分けて、「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」で構成されています。 そのうち、「基本料金」は、電力会社で30分ごとに計測される平均電力使用量(デマンド値)の最大値「最大デマンド」によって決まります。

(画像:株式会社ダイヘン|蓄電池によるピークカットをもとに自社作成)
つまり、普段の業務の中でたった30分間でもいつもより多くの電気を使用してしまい過去12カ月間の最大デマンドを更新してしまえば、その後の最低でも1年間は割高な基本料金を支払い続けることになります。
そこで、蓄電池を使用して電力使用量がひっ迫する時間帯に合わせて蓄電池に貯めておいた電気を放電して、ピーク時の購入量を抑え、最大デマンドを下げることで基本料金の上昇を防ぎます。
電気料金の安い時間帯に電力を貯める
電気料金は市場の電力需要によって使用料金単価が変動します。 電力がひっ迫しやすい昼間時間は電気料金単価が割高に、電力の需要が少なくなる夜間や早朝は割安に設定されています。
たとえば、東京電力エナジーパートナーの契約電力500kW以上(高圧季節別時間帯別電力)を確認してみると、電力需要がもっともひっ迫する昼間(夏季)の電気料金は18円54銭/kWh、夜時間では12円77銭/kWhに設定されています。
蓄電池のピークシフトによる電気代削減は、この時間帯による電気料金の差額を利用します。 あらかじめ電気料金の安い夜の電気を購入して蓄電池に貯めておき、電気料金の高い昼間にそれを放電することで、差額の約5円8銭×昼間に使用した電力量分の電気料金の削減になるのです。
太陽光発電で蓄電池に電力を貯める
自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用することで、太陽光発電で作った電気を使い、使い切れず余った電気を蓄電池に充電できます。
割高な昼間の電気を太陽光によって調達し、夜間の電力は蓄電池からの電気を使用することで1日の電力購入量を最小限に抑えられます。
[cta_battery]自家消費型太陽光発電で蓄電池を併用するメリット
夜間や曇りの日などの発電できない場合でも電気が使える
自家消費型太陽光発電は雨や夜間などには、発電できません。しかし蓄電池を併用することによって、発電量が落ちた時でも蓄電池に貯めておいた電気を使用できます。この結果、自家消費型太陽光発電と蓄電池の導入前と比べて、電力会社から購入する電力量が減り電気代が低くなります。
また、設備稼働状況や、天候などの要素から日によって電気の発電量や使用量、使用時間帯も流動的になるため、蓄電池による柔軟な電力供給によって繊細なデマンド調整ができるメリットもあります。
災害などの非常時に利用できる
自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用して電気を貯めておけば、災害により電気供給が止まった場合でも電気を使えます。
2018年9月6日の北海道胆振東部地震によって、稚内市内が広域停電に見舞われましたが、市が保有している大規模太陽光発電設備に産業用蓄電池が併設されていたため、近隣の公園や球場などに電力を供給できたことから、災害対策としての有効性が示されています。
過積載で電気が無駄なく使える
過積載とは、ソーラーパネルを通常のパワーコンディショナの定格出力容量を超えた枚数で設置して発電量を増加させる設置方法です。 通常の場合、パワーコンディショナの定格出力を超えた発電分に関してはピークカット電力として使用することなく捨ててしまうことになります。
しかし、蓄電池があれば本来捨ててしまうピークカット電力を蓄電池に貯めておけます。
また、普段は電気使用量が少ない場合や小規模事業所などは、固定価格買取制度(FIT)の認定を受け余剰売電可能な自家消費型太陽光発電にすることで、ピークカット電力を蓄電池に貯めて無駄なく売電することが可能です。
自家消費型太陽光発電で蓄電池を併用するデメリット
メンテナンスが必要
安全な運用のために、産業用蓄電池は選任された電気主任技術者の監督のもと、定期的なメンテナンスの実施が電気事業法などの法律で定められています。また、使用環境や運用期間によって蓄電池の性能が落ちていくため、寿命を迎えた時点で交換しましょう。
自家消費型太陽光発電に関しても、ソーラーパネルやパワーコンディショナなどの定期的な設備のメンテナンスが必要です。 特に、パワーコンディショナの寿命は10年から15年程度ですが、補償期間内でなければ有料での修理・交換になってしまいます。
設置スペースを確保する必要がある
自家消費型太陽光発電を導入するためには、敷地内に設置のためのスペースが必要になります。敷地内に空き地などがあればソーラーパネルを野立て設置できますし、事業所の屋根に十分なスペースがあれば屋根に設置することもできます。
産業用蓄電池を設置する場合は、蓄電容量によって本体の大きさが異なりますが、設置するために、ある程度広いスペースを確保する必要があります。
たとえば、パナソニックが提供する公共・産業用蓄電池(15kWh)では、蓄電池の本体サイズが「幅800mm×奥行750mm×高1880mm」の仕様になっています。 さらに蓄電池やパワーコンディショナを室内に置く場合には、排熱・換気のための設備も設置する場合があります。
まとめ
蓄電池を用いたピークカット・ピークシフトによって、1日の電気使用を標準化することで電気代の基本料金を下げられます。
また、自家消費型太陽光発電と蓄電池を利用することで、電力会社から購入する電気を減らして基本料金だけでなく電気使用料金も下げられます。 太陽光発電によって発電した電気も蓄えられますので、雨の日や夜間、停電時の非常用電源としても活用できます。
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業様の工場など自社施設の電気代削減・停電対策に向けて自家消費型太陽光発電の導入支援を行っております。
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