日本の企業による環境問題への取り組み事例4選|活動のメリットも解説

「最近、脱炭素という言葉をよく聞くが、自社もやるべきなのか?」
「やらないといけないと思うが、何をしたらよいかわからない」

経営者や設備責任者のなかには、このような悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?

今回は、そのような方の参考となるような、日本企業による環境への取り組み事例をご紹介します。ぜひ、自社の取り組みの参考にしてください。

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日本企業の環境への取り組み事例

さっそく、環境への取り組みを推進する企業の事例をみていきましょう。

森永製菓株式会社の環境への取り組み

環境汚染物質の管理・削減

森永製菓株式会社は「大気汚染等の公害や自然環境・生態系の破壊を防ぐ」ことを、環境に対する基本的な考え方としています。実際に、以下3つの活動を行っています。

  • 大気汚染物質の排出抑制:工場部門のボイラーをすべて都市ガス燃料仕様に変更し、窒素酸化物や二酸化炭素の排出を削減しています。そのほか、営業車に低排出ガス車を導入し、取引先にも敷地内でのアイドリングストップを要請しています。
  • 水質汚濁防止:工場部門すべての排水処理設備に対して、自社で水質管理基準を設定し、定期的な管理を行っています。
  • 化学物質の管理:ISO14001を活用したり、「PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)」にもとづいて化学物質を管理したりして、安全の徹底と排出量の削減を推進しています。

生態系の保護

森永製菓株式会社は、生物多様性の保全や生態系の保護のために、以下5つの活動を行っています。

  • 森永製菓グループ調達方針の制定:会社独自の調達方針を取り決め、地球環境に配慮した原料の調達活動を行っています。
  • RSPOへの加盟:2019年10月から「RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパ―ム油のための円卓会議)」に参加しています。
  • FSC®認証紙の使用:適切な管理をされた森林や供給源から製造されたFSC®認証紙の使用へ移行しています。
  • サステナブルカカオ豆:自然と子どもを守りながらカカオ農家の繁栄を促進を反映するというビジョンを持つ「ココアホライズン財団」に認証されたカカオ豆を使用しています。
  • 伊賀・エンゼルの森自然体験:三重県の「伊賀・エンゼルの森」で環境教育NPOと共同で、環境を守ることの大切さを子どもたちに教える活動を行っています。

水資源の有効利用

森永製菓株式会社は、水資源の有効利用にも努めています。国内外の事業所において、WRI(世界資源研究所)が定めた基準をもとに水ストレス評価を行い、水ストレスの高い地域を特定したうえで、効率的な利用に努めています。

(※水ストレス:水使用において、日常生活に不便を感じる状態。よく使われる指標では、生活・農業・工業・エネルギー・環境に使われる水資源量が1人あたり1,700㎥ / 年を下回ると「水ストレスがある状態」とされる。)

キッコーマングループの環境への取り組み

CO₂の排出量の低減

キッコーマングループでは、二酸化炭素削減のための活動を、すべての工場・事業所で推進しています。以下のように、各部門での取り組みや、第三者の評価を軸としています。

生産部門
  • 重油ボイラーよりも二酸化炭素の排出量が少ないガスボイラーに変更
  • 冷却能力の高いターボ冷凍機を導入
  • 太陽光発電設備の導入
物流部門
  • 物流体系を見直し、トラック走行の無駄を削減
  • 低燃費型トラックや低排出ガス車の導入
  • エコドライブの推進
オフィス部門
  • 冷暖房の室温管理やクールビズ
  • 照明機器の間引きや不使用時の消灯
  • 社内会議のテレビ会議化や社用車のエコ化 など
社外評価システムの活用
  • 社外評価制度の1つであるCDP*などを活用し、自社の活動の向上に努め

(※CDP:ロンドンに事務所を置く非営利団体CDPがと機関投資家が連携して運営するプロジェクト。主要国の時価総額上位企業に対して、環境戦略や温室効果ガスの排出量の開示を求める。)

関連記事:工場の省エネ対策やCO2削減方法をご紹介|コスト0円で始められるPPAも解説

排出される副産物や廃棄物の削減と再生利用

キッコーマングループは、製造の過程で排出される副産物や廃棄物の削減や再利用を推進しています。

たとえば、しょうゆの生産で発生する「しょうゆ粕(かす)」を、燃家畜用飼料として利用するほか、紙製品化して名刺に利用しています。

そのほか、豆乳の製造において発生する「おから」を食品原料として利用したり、工場からの排水を浄化する際の副産物である「汚泥(おでい)」を農家用の肥料として提供したりしています。

用水使用量削減と水環境の保全

キッコーマングループでは「水」を貴重な社会の資源として認識し、有効に使用するために下記2つの取り組みを行っています。

取り組みの1つは、用水の使用量削減です。ある工場では、製造時の冷却工程で使用したきれいな用水を、場内の洗浄用水として再利用しています。

もう1つの取り組みは、水環境の保全です。排水の水質基準を厳しく設定し、工場周辺の水環境を守ろうとしています。ある工場の排水処理施設では、オゾン反応装置を搭載して排水を浄化してから河川に放出しています。

ISO14001の認証を取得

ISO14001(アイエスオーいちまんよんせん)は、自社の活動による環境負荷を最小限にするように定めた仕様書です。キッコーマングループは、1997年に日本の食品業界ではじめてISO14001の認証を取得した企業でもあります。

2011年6月には、国内主要事業所を対象としてISO14001の一括認証を取得するなど、環境保全をより一層推進する体制を整えています。

ISO14001とは|取得のメリットと環境マネジメント事例の紹介
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味の素グループの環境への取り組み

環境に配慮した容器や包装資材

味の素グループは、顧客の「環境にやさしい商品を購入したい」というニーズに応える商品づくりを推進しています。おもに以下の取り組みがあります。

  • 独自の環境マーク表示:「味なエコ」という独自の環境マークを作り、このマークが表示されていれば「環境に配慮した商品である」ことをわかりやすく伝えています。
  • 新ペットボトルの使用:主力のコーヒー商品すべてに、使用済みペットボトルを再度ペットボトルにするリサイクル方式で作られた「フレンドリーボトル」を使用しています。
  • 植物由来プラスチックを活用:商品の包装材料に植物由来の「バイオマスプラスチック」を活用することで、二酸化炭素の排出を抑制しています。

原料を無駄なく活かす製品づくり

味の素グループでは、商品の原料を無駄なく使い切る工夫をしています。例として、以下3つの原料をみていきましょう。

  • カツオ:そのまま商品化できない部分(頭・骨・内臓など)も、調味料の材料・飼料・肥料として使用しています。
  • キャベツ:キャベツの芯や外側の葉などで肥料を製造し、野菜を育てるために活用しています。
  • 大豆:グループの商品「大豆油」の製造過程で発生する「ミール(搾りかす)」を飼料・大豆たんぱく製品・しょう油や味噌の醸造として活用するなど、無駄なく大豆を使い切っています。

地球にやさしい資源開発

味の素グループのもう1つの取り組みは地球にやさしい資源開発です。

  • カツオの生態調査:主力製品に欠かせないカツオ資源を守るため、生態調査を行いカツオの回遊経路・水温・水深のデータなどを収集しています。
  • 地球にやさしい畜産を広げる:豚や鶏のエサに、自社で開発した飼料用アミノ酸を配合して栄養素のバランスを整えます。飼料効率がよくなり、排泄物から発生する温室効果ガスの削減に貢献しています。
  • 生態系を守る新コンクリートを開発:自社のアミノ酸を混ぜた新しいコンクリートを開発しています。このコンクリートを海などにいれると、海藻が育ちやすく、貝や魚が集まることが実験で分かっています。これを活かして海や川の生態系保護に繋げています。

キヤノングループの環境への取り組み

地球温暖化の防止

キヤノングループは、地球温暖化の原因とみられる二酸化炭素の排出量削減に向けて、製品のライフサイクル全体で取り組んでいます。

  • 省エネルギーに配慮した製品設計:オフィス機器や医療機器などに、消費電力量や二酸化炭素排出量が少ない技術を搭載しています。
  • 工場やオフィスでの省エネルギー活動:生産拠点の設備や空調の省エネルギー化・1つの工場だけでなく工業団地を巻き込んだ省エネルギー活動・環境価値の購入・社用車の電気自動車化・ハイブリッド化を行っています。
  • 再生可能エネルギーの活用:海外の事業所を中心に、太陽光発電設備や電気自動車の充電設備を設置しています。
  • 物流部門の二酸化炭素削減:物流ルートを見直し、効率化することで二酸化炭素の排出量削減を目指しています。
  • 自然災害リスクへの対策:災害監視を行うネットワークカメラの導入や、洪水リスクのある地域では高台に工場を移転するなどの対策をしています。

省資源・リサイクル・廃棄物削減

キヤノングループは、限りある資源の有効利用と廃棄物削減のための活動を推進しています。

  • 資源循環の取り組み:自社製品において、資源を繰り返し使用する「製品 to 製品」を追求しています。
  • 製品の再出荷:使用済み複合機のリマニュファクチュアリング(使用済み製品を分解・清掃し、新品同様の品質まで回復させて再出荷すること)を推進しています。
  • 消耗品のリサイクル:回収したトナーカートリッジを拠点に集め、メンテナンス後に新しい製品の部品として再使用するなどのリサイクル活動をしています。
  • 廃棄物削減の取り組み:廃棄物の発生を抑制・廃棄物の再利用・廃棄物の再資源化を推進しています。
  • 水資源使用の効率化:製造過程で使用する水の量を効率化し、各地域の取水制限を超えないように管理しています。

有害物質使用削減

キヤノングループは、地球環境や人体の健康に配慮し、化学物質を徹底管理しています。

  • 製品中の化学物質を管理:製品に含まれる化学物質には厳しい基準を設定し、基準に則した製品開発を徹底しています。
  • 生産工程における化学物質の管理:化学物質を「Aランク:使用禁止」「Bランク:排出削減」「Cランク:規制対象」の3つに分類し、レベルに応じた対策を行っています。

生物多様性の保全

キヤノングループは、森林資源や生物多様性を守るために、自然保護活動を行っています。

  • グループ共通の方針を掲示:グループ共通の「生物多様性方針」を掲げて、さまざまな生物多様性保全活動を行っています。
  • 自然共生に向けた取り組み:たとえば野鳥の保護活動や海草植え付け活動など、世界各地のステークホルダーと自然共生に向けて取り組んでいます。
  • 森林資源の持続的活用:木材製品の調達に関する方針を策定し、環境に配慮された供給源の原材料から作られた用紙の使用を推進しています。

企業が環境問題に対して取り組むメリット

企業が環境問題に取り組むメリットを挙げていきます。

1.企業の評価が上がる

社会への貢献のために環境問題に対する活動を行っている企業は、事業以外の部分でもイメージが向上していきます。そうなれば「ここの商品・サービスを使いたい」と思う消費者の獲得に繋がるほか、環境活動を重視する投資家からの評価も上がるでしょう。

2.新しいビジネス機会の創出

環境保全活動を通して、さまざまな企業・業界と接点を持つきっかけに繋がります。

今まで環境への取り組みは大企業が率先して行うイメージがありましたが、トヨタやAppleが取引先にも環境活動を求める動きを見せるなど、中小企業にとっても関連度が高い活動となっています。

自社の環境保全活動が後押しして、新たな取引機会を得る可能性が今後は大きくなるでしょう。

3.メディア露出の可能性を広げる

環境保全活動を行ったうえで広報活動も積極的に取り組めば、新聞・雑誌・インターネット・テレビなどのメディアで取り上げられる機会づくりに繋がります。

はじめは比較的小規模のメディアへの掲載でも、それが他のメディアからの取材などに繋がる可能性があります。

4.優秀な人材確保の可能性を広げる

環境への取り組みは就活生にとって重要な応募基準となっています。2020年に行われた、全国の中・高・大学生を対象とした意識調査(*)では、約半数の47.2%が「環境問題や社会問題に取り組んでいる企業で働く意欲がある」と答えています。

SDGsやサステナビリティがトレンドとなったことで若者世代の環境への意識は高いため、「取り組んでいる感」だけのPRは逆効果でしょう。環境活動で実績を作ることが、就職希望者の増加と優秀な人材確保に繋がる時代となっています。

(*参照元:若者の意識調査(報告)PDF46P|日本総合研究所)

自家消費型太陽光発電による環境への取り組み

ここまで日本企業による環境への取り組みをご紹介してきました。

これから環境経営・脱炭素経営に取り組みたい企業におすすめの方法の1つが「自家消費型太陽光発電」です。

太陽光発電で作られる電気のような「再生可能エネルギー」は、現在の主流である化石エネルギーよりも温室効果ガスの排出をぐっと抑えられる、クリーンなエネルギーです。

環境に配慮した経営と電気代削減をしながら、SDGsへの取り組みとしてもアピールできることから、自社の屋根・空きスペース・自社保有の土地に太陽光発電を導入するケースが増加しています。

関連記事:太陽光発電のCO2排出削減量ってどのくらい?|火力発電との比較や環境面以外の導入効果

【当社事例あり】太陽光発電は電気代削減としても効果的

企業が太陽光発電システムで作った電気を事業所内で使用すれば、環境面だけでなく電気代削減の方法としても効果的です。

とくに、2022年は燃料費の高騰や慢性的な電力供給不足などにより、電気代が大きく値上げされています。太陽光発電によって、電力会社から購入する電気量を減らせば、大幅な電気代削減に繋がります。

関連記事:《2022年》電気代値上げの3つの要因|高騰はいつまで?

電気料金の値上げは単価でみれば少額ですが、電気使用量が大きい企業にとってはそれが数十万円から数百万円の電気代上昇となることも十分考えられます。

太陽光発電はけっして安い設備投資ではありませんが、当社事例では7〜8年で初期費用を回収する予定のお客さまが多いです。電気代に悩む企業の方は、ぜひコスト削減の選択肢の1つとして検討いただきたいシステムです。

まとめ

今回ご紹介した事例は、いずれも有名企業のものです。しかし、国として「2050年に温室効果ガス排出実質ゼロ」を目標としていることもあり、これからは中小企業にも環境への取り組みが求められる時代です。

今回の事例を参考に、自社で可能な範囲から取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、脱炭素経営に向けた方法の1つである「太陽光発電」の設計・調達・施工までをワンストップでご依頼いただけます。

ハウスプロデュースでは、電気料金明細などをご用意いただければ、無料で導入効果のシミュレーションを行なうことも可能です。太陽光発電システムを用いた脱炭素経営についてご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者:太陽光設置お任せ隊(株式会社ハウスプロデュース)

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太陽光発電EPC事業者として全国6,500件以上の産業用太陽光発電の企画提案・設計・調達・施工・保守管理を自社一貫体制で手がける株式会社ハウスプロデュースの記事編集チームです。現在、第一種電気工事士・第三種電気主任技術者・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザー等有資格者が在籍しており、一次情報や専門家からの取材を基に「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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