企業の電気代高騰に太陽光発電は効果的?|相性の良い事業所の特徴を解説
2022年の急激な電気代高騰は、多くの家庭・企業に大きな影響を与えました。
電気代高騰に対する対策はさまざまなものがあり、そのなかの1つとして「太陽光発電による自家消費」があります。
本記事ではおもに事業者の方向けに、太陽光発電が電気代高騰対策として効果的な理由や導入費用のモデルケースなどをわかりやすく解説していきます。
目次
太陽光発電が電気代高騰の対策に効果的な理由

家庭や事業所などの屋根・駐車場・遊休地に太陽光発電システムを設置して、発電した電気を建物に供給して使用する仕組みを「自家消費型太陽光発電」といいます。
発電した電気を建物で使う=自家消費した分の電気は無料ですので、その分電力会社から高い電気を買わずに済むため、電気代削減に繋がります。
どれくらい電気代が下がるかは設置条件によって異なりますが、年間の電気代を30%以上削減することに成功したケースも多数あります。

数年前までは、太陽光で発電した電気を電力会社に売却することで収益化するメリットが大きかったです。
しかし、売電価格が低下傾向であり、かつ電気代が高騰する状況では、電気を売るより「電力会社から買う電気の量を減らす」というアプローチのほうが経済的なメリットが出やすいです。
近年の電気代高騰の理由
2022年は電気代高騰が社会的な問題となりましたが、じつはそれ以前から日本の電気代は上昇傾向が続いています。
近年、電気代の高騰傾向が続いている理由を解説していきます。
燃料価格の高騰
日本では、以下のような要因が重なったことで、火力発電に使用する燃料価格が高騰しました。
- 新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞
- 石炭・石油から天然ガスへの切り替え、需要増加による価格上昇
- ロシア・ウクライナ情勢により化石燃料の輸出が制限され価格が高騰
- 2022年の円安の影響
日本は化石燃料の多くを海外からの輸入に依存しているため、火力発電に使用する天然ガス(LNG)や石炭の価格が高騰したことで、それを補うために電気代の上昇傾向が続きました。
2022年は著しく電気代が高騰

2022年はエネルギー大国であるロシアへの経済制裁などの要因で石炭や天然ガスの価格が高騰しました。
火力発電の燃料を海外からの輸入に依存している日本では、電気代に含まれる「燃料費調整額」が高騰し、その影響で全国的に著しく電気代が上昇しました。
たとえば高圧受電契約の2022年1月と2023年1月の全国平均単価を比べると、1kWhあたり11.69円も上昇しています。
仮に、毎月10万kWhの電力を使用する高圧受電の企業があったとすると、1年で1,169,000円、電気代が上昇したことになります。
日本国内の電力供給不足
日本国内では2010年を境に電力供給量が減少傾向にあります。
その理由としては、2011年の東日本大震災のあと多くの原子力発電所が停止したほか、老朽化した火力発電所の停止も進んだことが挙げられます。
電力の需要に対して供給が追いつかないため、電気代を上げることで受給バランスを取る動きがみられました。
再エネ賦課金の上昇

再エネ賦課金とは、火力・水力・風力などの再エネで発電した電気を電力会社が買い取るための費用として、一般家庭や企業の電気代に加算されている料金です。
再エネ賦課金の単価は、2012年度は0.22円 / kWhでしたが、2022年度には3.45円 / kWhまで上昇しています。
工場など電気使用量が多い企業では、再エネ賦課金だけで年間の電気代が数十万円・数百万円上がることになります。
太陽光発電と相性が良い事業所
太陽光発電システムの効果が出やすい設置条件について解説していきます。
日中に多くの電気を使用する
太陽光パネルが効果を発揮するのは、基本的に日中の晴天時です。
そのため、日中稼働または長時間稼働している事業所であれば、電力会社から購入する電力削減量が大きくなり、効率的に電気代削減ができるでしょう。
日照時間が長い

当然のことではありますが、太陽光パネルの性質上、設置場所の日当たりが良いほうがより効果的な電気代削減に繋がります。
周りに高いビルや木、山などがあり影がかからないほうが好条件といえます。
屋根の形状や向きが設置に適している

日本では太陽の軌道を考慮すると、屋根が南向きであるほうが日射量が多く、太陽光発電の効果を発揮しやすいです。
一方、傾斜が北向きの片流れ屋根などは相性が悪く、設置を推奨しないケースもあります。
また、日射量が多くても太陽光パネルの設置に耐えられる強度の屋根でなければ設置が難しいケースがあります。
屋根面積が広い
「屋根面積が広く日中の電気使用量が多い」事業者のほうが自家消費型太陽光発電と相性が良いです。
そのため、工場や冷蔵・冷凍倉庫、大きめの商業施設などは太陽光発電の効果が出やすい傾向があります。
太陽光発電の設置費用モデルケース
設置費用の目安として、当社のシミュレーション事例をモデルケースとしてご紹介します。

・設置容量:34.2kW
・年間消費電力:254,400kWh
・年間発電量:35,860kWh
・導入費用:620万円
・回収年数:約9年
- 電力購入単価19.5円で試算
- 2022年10月時点の価格表記です。為替変動、原材料、設置方法など条件により変動する場合がございます。

・設置容量:70.0kW
・年間消費電力:1,232,098kWh
・年間発電量:86,000kWh
・導入費用:1,225万円
・回収年数:約8年
- 電力購入単価18.26円で試算
- 2022年10月時点の価格表記です。為替変動、原材料、設置方法など条件により変動する場合がございます。

・設置容量:225.0kW
・年間消費電力:5,800,311kWh
・年間発電量:245,021kWh
・導入費用:3,300万円
・回収年数:約7年
- 電力購入単価17.9円で試算
- 2022年10月時点の価格表記です。為替変動、原材料、設置方法など条件により変動する場合がございます。
家庭用の太陽光発電の場合、2022年度の平均的なシステム費用は26.1万円 / kWとされています。
家庭用で一般的な4kWから6kW程度であれば、設置費用は約100万円から150万円程度が目安となります。
事業用の太陽光発電の場合、2022年度の平均的なシステム費用は23.6万円 / kWとされています。
ただし、事業用の場合システム容量が大きくなるほど単価が安くなる傾向があるほか、業者によっても価格帯が変わってくるため、一概に「〇〇kWなら◯◯円」といえないのが現状です。
そのため、複数の業者から見積もりを取って相場感を探っていくことが有効です。その際、価格の安さだけで決めるのではなく、施工品質や製品のクオリティも考慮し、長期的に費用対効果を高められる業者かどうかを重視することをおすすめします。
(参照元:令和5年度以降の調達価格等に関する意見|経済産業省)
長期的には設置費用を上回る電気代削減効果に繋がる
設置費用には、パネル・パワーコンディショナー・架台・配線・施工費用などが含まれます。
また、電気会社への接続費用や保険料、税金なども加算されることがあり、これらの費用を合わせると総額は大きくなる可能性があります。
しかし、太陽光発電システムは30年近い稼働が見込まれ、長期的なコスト削減につながるため、設置費用を上回るメリットがあるといえます。
また、政府や地方自治体からの補助金や助成金を受けられる場合もありますので、設置前に設置業者などに確認することをおすすめします。
当社の太陽光発電設置事例
当社(株式会社ハウスプロデュース)の導入実績より、導入後の費用対効果を踏まえて一部公開いたします。
さまざまな業種・規模のお客さまからご相談をいただき、実際の導入に繋がっています。

株式会社 特殊金属エクセル
- 埼玉県 比企郡
- 設置パネル容量:581.4kW
年間電気代 | 約10,000,000円削減 |
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年間CO2排出 | 約300,000kg-CO2削減 |




導入企業へのインタビュー
株式会社特殊金属エクセル様
電気代を含む製造コストの削減額は、年間1,000万円が見込まれており、大幅なコスト削減事例となっています。
太陽光発電の設置費用が下がるのを待つほうがいい?
結論からいうと、企業が自家消費型太陽光発電でコスト削減をしたい場合は、早めに導入するのが得策といえます。
たしかに投資用太陽光発電が主流だったころは、システム費用が低下するのを待ってから施工を始めることで、利益をアップする手法もありました。
しかし、自家消費の場合は、システム費用の低下を待っている間も自社に高い電気代がかかります。
また、ここ数年は半導体不足が続いており、太陽光発電の需要に対してパネルの供給が追いついていないため、大幅なシステム費用の低下は期待しにくい状況です。
一方、2022年に高騰した電気代は政府の緩和政策で一時的に軽減されますが、政策は2023年9月で終了予定のため、2023年冬以降はまた値上がりする可能性が高いです。
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(画像引用元:令和5年度以降の調達価格等に関する意見(PDF.11P)|経済産業省)
これらの要因を踏まえると、太陽光発電の設置条件に合うのであれば、システム費用の低下を期待するより早めの導入で「今、高い電気代の削減に取り組む」メリットのほうが大きいといえます。
まとめ
本記事のまとめは以下のとおりです。
- 太陽光発電は電気代高騰の対策に効果的
- 電気代はさまざまな要因で値上がりが続いている
- 太陽光発電は長期的にみれば導入費用を大幅に上回る経済的メリットに繋がる
- 設置条件に合うなら早めの導入が得策
2022年からの電気代高騰の流れは一時的に緩和されるものの、2023年秋ごろからまた値上がりする可能性が高いです。
自家消費型太陽光発電で、工場・倉庫・事業所の長期的な電気代削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
自家消費なら太陽光と屋根のプロにご相談ください
太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」は、全国で累計5,000件以上の太陽光発電システム工事の実績があります。
そのなかで培った設計・施工のノウハウを活かし、お客さまごとに最適な太陽光発電システムの導入をご提案いたします。
また、ハウスプロデュースは屋根修繕から始まった会社であり、全国で累計12,000件以上の屋根修繕工事の実績もあります。
「太陽光を検討しているが屋根の強度が不安」といった事業者さまには、屋根強度を高める塗装や屋根修繕のご提案も可能です。
太陽光発電の導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。ご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
ハウスプロデュースにお気軽にご相談ください
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