BCP対策とは、自然災害や感染症の流行など、非常時において事業を早期復旧・継続するための行動指針です。BCP対策を行う方法はさまざまですが、なかでも非常時の電気を確保することは重要な課題の1つです。
本記事では、BCP対策における「電気」に話を絞り、非常用電源としてみたときの太陽光発電システムの重要性を解説していきます。
目次
BCP対策の概要
BCP対策(Business Continuity Plan)は、自然災害や感染症の流行・テロなどの非常事態に、企業が事業を継続したり、停止した事業を早期復旧したりするための計画をまとめたものです。
BCP対策が普及したきっかけの1つは、近年の大規模な自然災害です。
2011年3月の東日本大震災が原因で倒産した企業のうち約7割は、直接的に被害を受けていないものの、得意先や仕入れ先が被災したことで間接的に経営不振に陥ったといわれています。
この経験から、政府や自治体が積極的にBCP対策を推進したことで、一般的にも認知が広まっています。
企業がBCP対策に取り組むことが重要な理由
BCP対策を策定することが、企業にとって重要な理由を解説します。
災害発生時は復旧までに時間がかかる
自然災害の発生時は、電気・ガス・水道といったインフラへの被害が発生するリスクがあります。以下の表は、近年発生した大規模な自然災害と、停電が続いた期間の事例です。
自然災害の名称 | 発生日 | 電気の完全復旧までの期間 |
---|---|---|
平成30年7月豪雨(西日本豪雨) | 2018年7月 | 7日間 |
大阪北部大地震 | 2018年6月 | 3時間 |
熊本地震 | 2016年4月 | 6日間 |
東日本大震災 | 2011年3月 | 6日間 |
(参照元:内閣部|災害情報のページ内資料)
先述したように、自然災害の被害を直接受けていない企業でも、取引先の操業停止によって間接的に影響を受ける可能性があります。
日本ではどの地域でも災害リスクがあるため、企業にはBCP対策の一環として自然災害への対応力が求められます。
企業のさまざまなリスクに臨機応変に対応しやすくなる
企業のBCP対策が重要な理由の1つは、緊急時に、事業の早期復旧に向けて対応できる体制が整えられることです。
あらかじめ緊急時の行動指針を策定しておくことで、いざという時に事業へのダメージを最小限に抑えられます。
また、BCPを策定する過程で、自社が抱えるリスクの洗い出しと、それらへの対応方法を考えておくことで、計画時には想定していなかった事態が発生しても臨機応変な対応がしやすくなります。
体外的な信用度に繋がる
BCP対策を行い、緊急時に対する準備をしている企業からすれば、取引先の中小企業が事業継続力に不安を持っていると、自社のBCPの実効性にも影響します。
逆にいえば、中小企業がBCP策定をしておくことは、事業停止リスクへの対応力を高めるだけでなく、信用度の向上・競争力の強化にも繋がります。
BCP対策で太陽光発電システムを導入するメリット
自社の事務所の屋根・空きスペース・駐車場などに太陽光発電システムを設置することが、有効なBCP対策となる理由を解説していきます。
外部との通信手段を確保できる
企業は、台風や地震などの自然災害が発生したときに、従業員の安否確認や取引先への連絡をするための通信手段を確保しなければなりません。
災害発生時は電話が非常につながりにくい状態になるため、近年は災害発生時に無料のWi-Fiが開放されています。しかし、停電が長期化して通信機器の電源が切れれば、そのサービスを使うこともできません。
その点、太陽光発電システムを導入していれば、停電によって電力会社からの電気の供給がストップしても、日中は発電した電気を建物へ送ることができます。
これにより、通信手段の電源を確保し、社内や社外への連絡がしやすくなります。
事業を継続・早期再開できる
企業は、たとえ数日でも生産活動がストップすれば、その間は収益を上げられないため、経営に支障が出かねません。
BCP対策として太陽光発電システムを導入していれば、停電時でも電気を事業所に供給できるため、最低限の事業を継続しながら復旧に向けた準備を進めることができます。
地域への貢献に繋がる
非常時に、太陽光発電システムで発電した電気を地域住民に提供することで、地域貢献にも繋がります。
停電が起こるとスマートフォンやPCなどを充電できなくなるほか、災害が発生したタイミングが暑い夏や寒い冬だと、エアコンが利用できなくなり体調を崩してしまうかもしれません。
そこで、災害発生時に避難場所として事務所を解放し、地域住民を受け入れ電力を提供することで、被害に遭った人々を支援できます。
通常時は電気代削減やCO2排出量削減にも繋がる
太陽光発電は、平常時に自社の電気代削減やCO2排出量削減に繋がることが大きなメリットです。
ここが、非常時の備えとしての意味合いが大きい非常用電源や蓄電池と異なる点といえます。
とくに、2022年のように電力代の高騰傾向が続く状況では、太陽光発電システムによる電気代削減は、経営上の重要なメリットとなります。
また、CO2排出量削減による脱炭素経営やブランディングを進めたい企業にとっても有効な施策となるでしょう。
蓄電池と併設することで長時間の停電に対応しやすくなる
大規模な停電が発生した際、完全復旧までは1週間近くかかるケースもあります。その間は、電力会社から電気が供給されません。
蓄電池は停電対策としてよく挙げられますが、長期化する停電のなかでは、復旧前に電気を使い切ってしまうでしょう。そのため、発電が可能なシステムの併設が必要になります。
非常用発電機を導入する方法もありますが、平常時は自社の電気代削減やCO2排出量削減に繋がる太陽光発電は、経済的メリットも生み出すという点で有効といえます。
BCP目的で太陽光発電を設置する場合に対象となる補助金
BCP対策として太陽光発電を導入する際、対象となれば補助金を受けられる可能性があります。
たとえば環境省の補助事業「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」では、太陽光発電と蓄電池の併設を条件としており、対象企業は太陽光発電システム1kWあたり4万円から5万円の補助が受けられます。
このように、BCP対策に取り組む企業への補助金制度が設けられています。ほかにも太陽光発電システムを対象とした補助金制度が設けられているため、自社が対象となるかどうかを調査しながら、導入時期を検討しましょう。
BCP対策として太陽光発電を導入する際の注意点
ただ非常用電源を導入するだけでは、完全なBCP対策とは言えません。ここではBCP対策として太陽光発電を導入する際の注意点を解説します。
非常時にどの設備や機器を稼働するか事前に決めておく
実際に非常事態が発生した時に、冷静に対処するためには、事前にどの設備や電子機器・通信機器を使用するのか決めておくことが大切です。
これを取り決め、社内に周知しておかなければ、どのように電気を配分するか判断できず、優先度が低い機器で電気を消費してしまう可能性があります。
太陽光発電システムが日中にどれくらい発電できるのか計算し、電話や照明機器など、どの範囲まで電気を供給できるか把握しておきましょう。
長時間の停電には太陽光発電と蓄電池を併用しなければ対応が難しい
太陽光発電のみの場合、昼間の時間帯かつ晴れの状況でなければ発電できません。そのため、BCP対策として長期間の停電に対応するためには、蓄電池との併用が必要になります。
太陽光発電システムと蓄電池を併用している場合は、日中に太陽光パネルが発電した電気を蓄電池に貯めておき、夜間や悪天候の時に供給することが可能です。
BCP対策目的で太陽光発電システムを導入する場合、将来的に蓄電池を併設することも考慮してスペースを確保しておくことが大事です。
BCP対策を目的とした太陽光発電の施工実例
水産加工業を営む「株式会社瀬戸水産」様からは、自社のBCP対策を進めるうえで太陽光発電に着目されていたなかで、ハウスプロデュースにご相談をいただきました。
太陽光発電を導入していたことで、2022年の電気代高騰の影響を抑えることに成功したほか、防災・減災の事前対策に関する計画を策定したことで、中小企業庁の「事業継続力強化計画認定制度」の取得を実現されています。
- 工場のBCP対策や、電気代削減によるランニングコストの削減を主な目的として導入。
- 事業継続力強化計画認定取得(BCP対策)
- 工場での電気使用量を約30%削減
- 設備導入にあたり神奈川県の補助金に採択(かながわスマートエネルギー計画)
まとめ
BCP対策として太陽光発電システムを導入すると、日中は常に発電ができるため事業を一部継続することで取引先との連絡をスムーズに行ったり、市場への供給の被害を最小限に抑えたりできます。
また、蓄電池を併設できれば夜間や電気使用量が多い時間帯でも、電気を供給しやすくなります。
BCP対策の一環として、停電対策と電気代削減を同時に実現できる太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
BCP対策を考慮した太陽光発電の導入はプロにご相談ください
太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」は、太陽光発電において累計6,500件以上の導入をするなかで培った設計・施工のノウハウを活かし、安全かつ効率の高い発電システムを設置します。
BCP対策やCO2削減、電気代削減など、さまざまな経営課題に関わるご相談に対して、太陽光発電のプロが丁寧に受け答えさせていただきます。
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