住宅や企業の建物に太陽光パネルを設置することが普及する中で、「どのくらいの年数使用できるのか?」は気になる点の一つです。
太陽光発電のメリットの一つは、システムの寿命が長いことです。しかし、機械である以上、一度設置すれば永久的に使えるわけではありません。
本記事では、太陽光発電システムの主要な設備である太陽光パネルやパワーコンディショナの寿命について詳しく解説します。さらに、寿命を延ばし長期的に使用するための対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
太陽光パネルの寿命は意外と長い
太陽光発電システムはまだ歴史が浅い設備であり、「寿命はこれくらい」という公的なデータはありません。ただし、期待寿命は20年から30年といわれています。
太陽光パネルの一般的な寿命
定期的なメンテナンスを継続し、劣化・故障のリスクを抑えることで、太陽光パネルは20年・30年と長い期間に渡って稼働するといわれています。製造やメンテナンスの技術が向上すれば、さらなる長寿命の太陽光パネルの生産に繋がっていくことが期待されます。
パワーコンディショナの寿命
太陽光パネルは30年近くの稼働が期待できる一方で、パワーコンディショナ(通称:パワコン)の寿命は約10年から15年が目安とされています。
設置から約10年が経過する頃には、点検を行うことが推奨されています。
この時、コンデンサーや半導体の劣化が見られる場合、部品の交換や製品自体の更新が必要になることがあります。
太陽光発電の法定耐用年数と寿命は何が違う?
工場の建物や車、機械などには「法定耐用年数」というものが設定されています。
太陽光発電設備の法定耐用年数は、通常17年とされています。
この「法定耐用年数」とは、設備を減価償却資産として扱う際に国税庁が定める「税務上の利用期間」を意味します。
そのため、太陽光発電システムの寿命を指すわけではありませんので、この法定耐用年数を経過しても、太陽光発電システムが稼働する限り、設備を利用し続けることができます。
太陽光パネル・パワーコンディショナが劣化・故障する原因
太陽光発電システムは、屋根上、遊休地、駐車場などの野外に設置されます。
そのため、風雨に長期間さらされることでシステムの劣化が進行します。
以下は、太陽光発電システムの劣化や故障に繋がる主な原因です
- 経年による太陽光パネルの材料(ガラスや封止材)の劣化。
- 飛来物による太陽光パネル表面の破損。
- 太陽光パネルに影が入ることで、ホットスポットが発生する
- 内部機器(ダイオードなど)の損傷や故障。
また、太陽光パネルだけでなく、パワーコンディショナも設置場所の環境により、フィルターの目詰まりや経年劣化による故障のリスクもあります。
次の見出しでは、これらの劣化や故障のリスクを軽減し、長期にわたる安定稼働を実現するためのポイントをご紹介します。
太陽光発電の寿命を長くし、耐久性を保つ方法
先に挙げた太陽光発電システムの劣化や故障の原因を考慮すると、太陽光発電に関連するリスクが大きく感じられるかもしれません。
しかし、適切な維持管理とトラブルの早期発見によって、長期的に安定して稼働させることは十分可能です。そのためのポイントをいくつか紹介します。
1.太陽光発電システムの監視や定期点検を行なう
太陽光パネルを建物の屋根に設置する場合、人目に付きづらい位置であるため、システムの劣化や故障を早期に発見するのが難しいことがあります。
システムの劣化や故障の原因を長期間放置してしまうことで、結果として収支計画に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、遠隔監視システムを利用して太陽光発電システムを監視し、早期に劣化や故障を発見して解決することが有効です。
また、太陽光発電システムの長期運用には、定期的なメンテナンスが必要です。
これにはパネルの清掃や点検、電圧やその他の数値の検査、配線の点検などが含まれます。
システムの劣化を最小限に抑えるためには、経験と信頼性のある専門業者による定期的なメンテナンスが推奨されます。
2.知見豊富な専門業者に依頼する
太陽光発電システムを長期的に使っていくためには、見積もりの価格だけでなく、設置後のことも含めて考えて業者を選ぶことをおすすめします。
長期的に稼働していくためには、施工品質が重要です。工事単価が安くても、不具合が生じれば、結局は費用がかさんでしまいます。長い目でみれば、初期費用の安さではなく、適正価格で品質の高い工事をしてくれる業者を選ぶことが、有効な選択肢といえるでしょう。
3.こまめにモニターチェックをする
画像引用元:Solar Monitor(ソーラーモニター) の特徴|エナジー・ソリューションズ株式会社
太陽光発電システムを導入する際、発電量や電気使用量をチェックできるモニターを同時に設置することが可能です。
先述したように、屋根上に設置した太陽光パネルの不備を定期的に確認するのは難しいでしょう。しかし、モニターをチェックすれば、過去の同じ月や1週間前の発電量と比べられるため、感覚値ではなく数値で不具合を察知しやすくなります。
4.メーカーや施工業者の保証・補償を活用する
メーカーや施工業者が設けている保証(補償)を活用することで、万が一のトラブルのリスクを減らせます。主要な保証の種類は以下のとおりです。
- メーカー保証
- 太陽光発電システムには、多くの場合10年間以上のメーカー保証がつけられています。
- 出力保証
- 初期状態からの劣化が一定以上になったとき、無償で修理・交換される保証です。たとえば「初期の性能を100%として、10年以内に80%未満に落ちてしまったら保証します」といった具合です。
- 自然災害補償
- 10年間から15年間の自然災害補償を設けているメーカーもあります。おもな補償内容は、火災・台風・落雷などです。台風やゲリラ豪雨が起きやすい地域の方は、積極的に付けておきたい補償です。
- 施工保証
- 太陽光発電システムを設置する際の工事が原因でトラブルが発生した場合に補償されるものです。適用年数は施工業者ごとに異なります
上記のような保証内容は、メーカーや施工業者ごとに異なります。また、メーカーの認定がない施工業者の場合はメーカー保証が受けられない可能性があるため気になる方は確認しておきましょう。
太陽光パネルの寿命がくる前に検討したいこと
廃棄する可能性を踏まえ、費用を捻出しておく
太陽光パネルの寿命が尽きた際には、修理やメンテナンス、新しいパネルへの買い替えを通じて事業を継続するか、または事業を終了してパネルを廃棄するかの選択が必要です。
経済産業省の資料によれば、太陽光発電設備の廃棄費用は導入費用の約5%とされています。
例えば、導入費用が2,000万円であれば、廃棄する際の目安としては100万円程度が考えられます。
また、太陽光パネルは産業廃棄物に分類されるため、廃棄を検討する際には、適切な処理を行うことができる専門業者に依頼する必要があります。
(*参照元:太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討②(PDF7ページ)|経済産業省 資源エネルギー庁)
投資向けであれば売却も視野に
太陽光発電システムの寿命が近づくと、設備の売却が難しくなります。
とくに、固定価格買取制度(FIT)認定を受けている投資用の太陽光発電システムでは、FIT期間が終了すると、電力の買取価格が大幅に下がると予想されます。
この結果、売電収入が設備の維持管理に要するコストを下回るリスクがあります。
また、FIT認定を受けた太陽光発電システムは、設置から10年が経過すると廃棄費用の積立が義務化されます。
これらの点を考慮すると、設置から10年目で太陽光発電システムを売却することで、廃棄費用の積立が不要になり、同時に太陽光発電事業における利益を確定することができます。
まとめ:長寿命の太陽光発電のためにすべきこと
一般的な太陽光パネルの寿命は約20年から30年といわれています。
しかし、必ずしもその寿命期間内に不具合が発生しないことが保証されるわけではありません。定期的な点検やメンテナンスを行うことで、長期間に渡ってメリットを得ることが可能となります。
また、導入業者の選定も重要です。豊富な実績と高品質な施工、充実した保証を提供できる業者を選ぶことをお勧めします。
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