【2023年】太陽光発電の保険・メーカー保証の種類や保険料を分かりやすく解説!!加入すべき理由とは?
電気代削減などを目的に太陽光発電システムの導入を検討する家庭や企業が急増しています。しかし、太陽光発電は決して安い設備投資ではありません。
業者に提案されるままに太陽光発電システムを導入し、発電不良や故障などが起きれば事業計画に大きな狂いが生じてしまいます。
そのため、太陽光発電システムは「導入した後のこと」も十分に計画しておかなければなりません。
本記事では、おもに以下の内容について徹底解説しますので、これから太陽光を検討する方はぜひご覧ください。
- 太陽光発電の保険やメーカー保証の基礎知識
- 太陽光発電関連の保険料の相場
- 加入しておくべき保険
目次
太陽光発電の保険は大きく分けて4種類
太陽光発電の保険は、大きく4種類に分かれます。
- 火災保険
- 地震保険
- 施設賠償責任保険
- 休業損害保険
保険1.火災保険
火災をはじめ落雷や風災、雪災、盗難などにより発電所に損害が生じた場合に備える保険です。
図のように自然災害が補償の対象となるほか、残存物の片付けや再発防止対策に対しても補償が出るのが一般的です。
また、ひとくちに火災保険といっても、さらに細かく種類が分かれています。代表的なものは以下の3つです。
- 普通火災保険
火災・落雷・台風・水害などで、保険の対象となる設備に損害が生じた際に保険金が受けとれます。 - 動産総合保険
不動産以外の財産(動産)のうち、火災保険や工事保険などの損害保険でカバーできないもの(破損や盗難、自然災害、事故など)に対して、発生した損害を補償します。 - 企業向け包括保険
工場・事務所・倉庫等、企業が所有する複数の物件を、1つの契約で補償できます。複数の発電所や、複数の事業所などを所有していて、まとめて保険加入したい場合に向いています。
ただし、太陽光発電の保険として考える場合は、上記3つの補償内容にそこまで差はありません。保証内容によっては細かな違いがある場合もありますので、施工会社や保険代理店などに相談してみましょう。
火災保険の加入率
産業用太陽光発電における、火災保険の加入率は以下のとおりです。
- 低圧:56%
- 高圧/特別高圧:79%
とくに高圧以上の区分では加入率が高くなっています。大規模な発電所での事故に対して、補償が受けられなければ多大な損失となってしまうため、加入率が高いのも納得です。
(参照:資源エネルギー庁|平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査))
保険2.地震保険
地震保険は、「地震・噴火・津波による損害」を補償する保険です。
一般的に、地震は火災保険の補償の対象外となっているため、地震に備えるためにはこちらの保険に加入します。
地震保険は、火災保険とあわせて契約する必要があることに注意しましょう。
地震保険の加入率
産業用太陽光発電における地震保険の加入率は以下のとおりです。
- 低圧:6%
- 高圧/特別高圧:6%
地震保険は、火災保険に比べるとかなり加入率が低いです。
具体的な金額については後述しますが、地震保険は保険の中でも保険料が高く設定されていることが、加入率の低さの原因でしょう。「数十年以内に大きな地震が起こる可能性が高い」といわれていることもあり、保険料が高くなっていると考えられます。
そのため、地震に備えておきたい反面、高い保険料から加入を見合わせているケースが多いのです。
(参照:資源エネルギー庁|平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査))
保険3.施設賠償責任保険
火災保険や地震保険は、「自らの発電所への被害」を補償するものです。
そのため、太陽光パネルが飛散して第三者や他の建物に被害が出た場合には補償対象となりません。このようなケースに備えるためには、第三者への被害が補償対象となる保険に加入する必要があります。
施設賠償責任保険では、自然災害や管理不備などによって、「他者」や「他人の建物」などに損害を与えた場合に備えるほか、「残存物片付け費用」「お見舞金」なども「事故時の発生費用」として受け取ることができます。
賠償責任保険の加入率
産業用太陽光発電における、賠償責任保険の加入率は以下のとおりです。
- 低圧:15%
- 高圧/特別高圧:32%
賠償責任保険は、火災保険に比べると加入率が高い保険とはいえません。建物の立地条件によっては、加入しなくてもリスクが低いからだと推測できます。
ただし、「周辺に建物や住宅が多い場所」「人や車の通行量が多い場所」に太陽光発電システムを導入する場合は、近隣住民の安心・安全のためにも積極的な加入が求められる保険です。
(参照:資源エネルギー庁|平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査))
保険4.休業損害保険
太陽光発電システムが自然災害などで発電できなくなった際、その間の「売電収入の低下」などによる損失を補償する保険です。
休業損害保険の加入率
産業用太陽光発電における休業損害保険の加入率は以下のとおりです。
- 低圧:13%
- 高圧/特別高圧:44%
休業損害保険の加入率は、低圧で約10%である一方、高圧/特別高圧では50%近くと差があります。
これは、発電量が多い高圧/特別高圧規模では、太陽光発電システムの停止期間が長くなった場合の損失が非常に大きいためと考えられます。
(参照:資源エネルギー庁|平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査))
太陽光発電の保険が必要な理由
産業用太陽光発電を継続していくうえで、保険への加入が必要な理由を挙げていきます。
理由1.太陽光発電の保険加入が努力義務化されている
経済産業省の資源エネルギー庁は、太陽光発電設備の保険加入の努力義務化について、以下のような記述をしています。
2020年4月より、再エネ特措法に基づく事業計画策定ガイドラインにおいて、出力10kW 以上の太陽光発電設備については、「災害等による発電事業途中での修繕や撤去及び処分に備え、火災保険や地震保険等に加入する」ことが努力義務化されています。
また、発電設備の異常または破損により地域への被害が発生した場合、第三者への損害賠償が発生するおそれもある他、突発的な損害による廃棄に備えるなど、様々なリスクに対応した備えをしておくことが重要です。
これらのリスクに対応した事業継続の備えとして保険を活用することが有効であることから、太陽光発電を行う事業者の皆様方の取組を後押しするものとして、以下の通り、民間保険会社が販売する保険商品をご紹介します。
(引用元:資源エネルギー庁|太陽光発電)
「努力義務」であるため、2022年8月現在は法的な強制力はありません。
しかし、「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」にも保険への加入努力義務が明示されており、太陽光発電を行う事業者は保険加入への積極的な対応が求められています。
理由2.自助努力による廃棄費用積立の必要性
「エネルギー供給強靭化法」が成立したことにより、太陽光パネルの廃棄等の費用を確実に担保するため、FIT(固定価格認定制度)の11年目から20年目は外部機関によって廃棄費用を積み立てる制度が開始します(2022年7月より順次)。
積立前〜積立中に自然災害等によって太陽光発電事業の縮小や撤廃が起きる可能性はゼロではありません。
そのような万が一の事態に備えて、保険加入によって対策をしていくことが大切だという認識が広がっています。
理由3.近隣住民とのコミュニケーションや賠償責任
「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」では、地域住民とのコミュニケーションが努力義務化されています。
そこで、太陽光発電システムの不具合や土砂の流出など、万が一の損害賠償責任を負う場合の適切・誠実な対応が求められます。
そのためには賠償責任を適切に行うための資産も必要ということで、保険に加入しておくことが推奨されています。
太陽光発電の保険加入にかかる保険料
動産総合保険の年間保険料の相場は、初期費用の2.5%から3.5%といわれています。また、その他の保険は初期費用の0.3%から3.0%が年間保険料の目安とされます。
太陽光発電システムの規模が大きくなればそれだけ保険料は高くなりますが、もしものケースを想定し加入しておくべきでしょう。
下記の表は、資源エネルギー庁が太陽光発電事業者から取得したアンケートから算出した「各保険の月額費用の平均値」の数値です。
保険の種類(n=回答数) | 低圧(円/kW・月) | 高圧/特別高圧(円/kW・月) |
---|---|---|
火災保険 低圧n=326、高圧/特別高圧n=109 |
144 | 78 |
地震保険 低圧n=20、高圧/特別高圧n=17 |
214 | 166 |
施設賠償責任保険 低圧n=20、高圧/特別高圧n=17 |
88 | 41 |
休業損害保険 低圧n=20、高圧/特別高圧n=17 |
43 | 9 |
(参照:資源エネルギー庁|平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査))
上記の表の費用を踏まえると、たとえば火災保険の規模別の年間の保険料は以下のようになります。
規模 | 年間の保険料相場(火災保険のみ) |
---|---|
49kW(低圧) | 84,672円 |
500kW(高圧) | 468,000円 |
1MW(高圧) | 936,000円 |
※太陽光発電の保険の費用感はさまざまな要因によって変化します。資源エネルギー庁のアンケート数値はあくまで平均値であるため、参考としてご覧ください。
太陽光発電の保険の費用に影響を与える要因
太陽光発電の保険にかかる費用に影響を与える要因を解説します。
立地条件
保険料は、都道府県など立地条件によって大きく変わります。
それは、地域によって自然災害や地震の発生率や発生時のリスクが異なるためです。
自然災害のリスクが大きい地域とそうではない地域の保険料は、数倍の差になるケースもあるようです。
例として東京海上日動が提供する「太陽光発電設備 廃棄費用&賠償責任保険 ~努力義務化対応~」という保険商品において、地震や暴風雨などに備える場合をみてみましょう。システム容量50kWとすると、年間保険料の目安は以下のとおりです。
北海道8,750円 | 東京都12,200円 | 滋賀県15,050円 | 香川県8,650円 |
青森県10,350円 | 神奈川県11,150円 | 京都府16,100円 | 愛媛県8,500円 |
岩手県10,750円 | 新潟県13,450円 | 大阪府16,750円 | 高知県11,650円 |
宮城県10,800円 | 山梨県13,200円 | 兵庫県14,950円 | 福岡県11,350円 |
秋田県10,450円 | 富山県13,450円 | 奈良県15,050円 | 佐賀県11,750円 |
山形県10,550円 | 石川県12,700円 | 和歌山県16,400円 | 長崎県10,850円 |
福島県10,250円 | 福井県13,500円 | 鳥取県8,750円 | 熊本県11,750円 |
茨城県11,550円 | 長野県12,350円 | 島根県8,700円 | 大分県11,150円 |
栃木県11,000円 | 岐阜県13,650円 | 岡山県9,400円 | 宮崎県12,000円 |
群馬県11,150円 | 静岡県14,500円 | 広島県8,700円 | 鹿児島県11,000円 |
埼玉県12,850円 | 愛知県13,600円 | 山口県8,100円 | 沖縄県10,750円 |
千葉県11,600円 | 三重県16,750円 | 徳島県11,900円 |
(参照元:太陽光発電事業者の努力義務化に備える保険(※2023年1月4日時点)|東京海上日動)
上記の表からみても、地震や台風のリスクがあると予測される地域では保険料が割高になっていることがわかります。
ただし、50kW規模の発電所で年間10,000円から15,000円で幅広いリスクヘッジができるため、できればこのような保険は加入を検討したいところです。
保険のプラン
保険会社は1つではありませんし、同じ保険会社でもさまざまなプランが設けられています。
自社の発電所にはどんなプランが最適なのか、よく調査する必要があるでしょう。
設置工事にかかる費用
太陽光発電システムの設置工事にかかる費用も、保険料を決定する要素の1つです。もちろん保険金を受け取る際の金額にも影響します。
「設置工事にかかる費用」に土地代なども保険料の基準に組まれてしまっていないか確認しておきましょう。
加入時期
2022年10月から、大手損害保険会社の多くが火災保険の値上げを行う見込みです。その要因の1つは、近年多発する大型台風やゲリラ豪雨などの被害により、損害保険会社が取り扱う火災保険の収支が悪化していることです。
このように、自然災害が多発した数年後のタイミングなどで保険料の値上げが行われる可能性があります。
保険金請求の流れ
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- 保険会社または保険代理店に連絡
-
損害を確認したら、速やかに保険会社(または保険代理店)に連絡します。保険証書や契約書類などに連絡先が記入されています。
【保険会社へ連絡する内容】
契約者、証券番号、事故の日時や場所、事故の状況や原因、損害の程度、連絡先など
-
- 施工会社へ見積もりを依頼する
-
施工会社へ状況を説明し、修理にかかる費用の見積もりを依頼しておきます。
-
- 保険会社からの回答
-
加入している火災保険などの内容を確認し、補償の内容や今後の進め方などについて説明を受けます。
-
- 必要書類の送付
-
保険金の請求に必要な書類を準備します。損害状況によっては、「罹災(りさい)証明書」などが必要になる場合もあります。また、損害箇所の写真の提出などが求められる場合もあるので、事前に用意しておくことをおすすめします。
【準備する書類例】
- 事故内容報告書
- 損害明細書
- 損害部分の分かる写真
- 修理見積書
- 保険金請求書
- 罹災(りさい)証明書 など
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- 保険金支払い
- 調査をもとに保険金の支払いが行われます。入金後は明細などが届くので、契約通りに支払われているか確認しましょう。
施工会社や保険代理店のサポート体制も重要
このように、保険金の請求には連絡や書類の準備など工数がかかります。
太陽光発電の導入では、「施工会社や保険代理店がどこまで保険金請求をサポートしてくれるか」も重要です。
メーカー保証の種類
太陽光発電システムに使用される「ソーラーパネル(モジュール)」や「パワーコンディショナ(パワコン)」には、一般的に製品保証と出力保証の2種類の保証が付帯しています。
製品保証とは?
製品保証の主な対象は、ソーラーパネルとパワーコンディショナです。初期不良や不具合が起きた際に無償で修理または交換といった保証が受けられます。保証期間はそれぞれ、ソーラーパネルで20年から25年、パワーコンディショナで10年から15年が一般的です。
また、周辺機器や架台なども含めて同じメーカーに統一することで、ソーラーパネルやパワーコンディショナーだけでなく、パッケージでシステム全体を保証してくれる場合もあります。
出力保証とは?
出力保証は、太陽光発電システムの発電性能を一定期間保証するものです。簡単にいえば、「20年までに発電効率が82%にまで低下します。それまでに、このラインを下回ったらパネルを無償で交換します。」というような保証です。
一般的な出力保証の保証期間は20年から25年です。また、出力保証には「ステップ保証」と「リニア保証」の2種類があります。
「ステップ保証」と比べて「リニア保証」の方が保証でカバーできる範囲が広くなります。海外メーカーの多くはリニア保証を採用しています。
メーカー保証で注意すること
太陽光発電のメーカー保証における注意点を解説します。
注意点1 製品保証と出力保証の違い
製品保証も出力保証もどちらも製品に不具合があれば、修理・交換に対応してもらえるという保証ではありますが、実は保証でカバーできる範囲に違いがあります。
出力保証は、製品の性能(出力)に対する保証であり、製品保証の場合はガラス割れやホットスポットによる製品不良や故障に対する保証になります。
「製品保証20年+出力保証25年」のソーラーパネルを設置して「21年目で規定値より出力が下がってきたから交換してよ」といっても、出力低下の原因が製品の故障や不具合によるものである場合、製品保証として区分される可能性があります。
この場合、製品保証は20年で満期を迎えているため、有償の交換になってしまうケースがあります。
上記の例は、稀なケースではありますが可能性は十分に考えられます。メーカーや製品によって保証内容が異なりますので十分に確認しておきましょう。
注意点2 メーカー保証は新設時のみ適用できる
メーカー保証は、太陽光発電システムを新設する際のみ加入ができる保証です。
これから太陽光発電を導入する家庭や法人企業は、メーカー保証がどういった対象範囲なのか、自然災害補償は付帯されているのかなど、よく確認しておきましょう。
すでに太陽光発電システムを導入している場合は、メーカー保証の内容を変えることはできません。そのため、後から保証の内容を見直したい場合は「保険」で補う必要があります。
施工会社の保証制度も要チェック
保険会社の保険と同様に、施工を依頼する業者の保証体制もチェックしておきましょう。 万が一、施工会社の瑕疵により施工中、施工後に事故や不具合が起きた際、補償がでれば出費を抑えることができます。
ハウスプロデュースは20年間長期施工保証
太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」は、
太陽光発電関連の累計施工実績5,000件を積み上げるなかで培ったノウハウを活かし、お客さまごとに最適な設計・施工を行うEPC業者です。
施工の瑕疵による不具合や事故に対して、20年間の長期施工保証を設けています。
一般的に施工補償は1年や数年の期間であることが多いですが、ハウスプロデュースは施工力に自信があるからこその長期保証となっています。
大手保険会社と保証契約を締結し、各種保険についても併せてご相談いただける体制を整えておりますので、太陽光発電でコスト削減や脱炭素経営を推進したい企業・法人の方はお気軽にお問い合わせください。
電気使用量の明細等を提示いただければ、無料で導入シミュレーションを行います。
ハウスプロデュースにお気軽にご相談ください
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