法人・企業の電気代削減・節約の方法4選【2022年から始められる】
「会社の電気代を削減したい。何か良い方法は無いものか…」
こんなお悩みはありませんか?法人の電気代を見直し、節約できれば、経営者や設備責任者の方にとってはありがたいですね。
今回の記事では、法人の電気代を節約する方法を、4つピックアップしてご紹介していきます。自社の電気代削減を行う際は、ぜひ参考にしてください。
目次
法人・企業の電気料金の仕組みとは?
法人契約の電気料金は、以下の内訳で計算されています。
電気料金=基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)
さらに「電力量料金」の内訳は
電力量料金=電力量料金単価 + 使用電力量 ± 燃料費調整額
となっています。
「再エネ賦課金」や「燃料費調整額」については、次の見出しで解説します。

また、法人の場合、少し難しいのが基本料金に含まれる契約電力です。法人向けの契約電力は特別高圧、高圧大口、高圧小口の3つの種類があります。
特別高圧 | 高圧大口 | 高圧小口 | 低圧 | |
---|---|---|---|---|
契約電力 | 2,000kW~ | 500kW~1,999kW | 50kW~499kW | 50kW未満 |
主な契約先 | 大規模な工場・倉庫・病院・商業施設・オフィスビル 等 | 中規模の工場・倉庫・オフィスビル・スーパー等 | 小規模な工場・倉庫・オフィスビル・コンビニ等 | 家庭・店舗等 |
電気料金設定 | 協議制 | 協議制 | 実量制 | 実量制 |
高圧小口と低圧に関しては、実際の電気使用量を基に料金が決められます。
特別高圧と高圧大口の場合は協議制と言われ、主に自社の電気使用量や使用設備などを基準にとして、協議によって契約電力を決める方法です。仮に、協議で決定した契約電力以上を使用した場合、超過分に応じた違約金が発生してしまいます。
法人・企業の電気代が高くなる要因
経営者の方や、設備管理の担当の方であれば、法人の電気代を確認した時に、「電気代が高くなっているな」と感じたことはありませんか?なぜ電気代が高いのかを知ろうにも、電気代の仕組みは難しく、原因の追求に至らないこともあるでしょう。
電気代が高くなっている要因としては、3つのポイントが挙げられます。
- 火力発電所増加に伴う値上げ
- 再エネ賦課金の値上げ
- 燃料費調整額
順番に解説していきます。
火力発電所増加に伴う電気料金の値上げ
2011年の東日本大震災以降、 原子力発電が停止した分の発電を補うため、石油火力やLNG火力の発電所が増加し、電気料金の値上げが続きました。
それに加えて、同時期は原油やガスの価格が高かったため、震災が起きる前の2010年度から2014年度にかけて、産業用の電気料金単価は38%も増加しました。
その後、原油価格が低下したため、一時的に電気料金が低下しましたが、2016年度からは再び電気料金が上昇しました。

政府としては、電気の自給率を高めて、原油の価格変動の影響を受けにくい仕組みを整えることや、2016年度に開始した電力自由化による事業者間の価格競争、安全を最優先したうえで原発の再稼働などを行い、電気料金の低下をめざしています。
再エネ賦課金の上昇
2012年にFIT(固定価格買取制度)が開始されてから、再生可能エネルギーの設置容量は急速に伸び続けてきました。
FITでは、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が固定価格で買い取ります。
この買取費用は電気の利用者が「再エネ賦課金」として負担しています。
また、この再エネ賦課金は、2012年度は「0.22円/kWh」でしたが、2022年度では「3.45円/kWh」まで上昇しています。
再エネ賦課金の上昇によってどれくらい電気料金が上がるのか、例を用いて解説します。たとえば30人規模の工場であれば、年間500,000kWh程度の電気使用量が一般的です。
●年間電気使用量が500,000kWhの事業所の場合の再エネ賦課金の比較
・2012年度:500,000kWh × 0.22円 = 110,000円
・2020年度:500,000kWh × 3.45円 = 1,725,000円
年間電気使用量が500,000kWhの場合、8年の間に再エネ賦課金だけで161万円も電気代が高くなっています。
この再エネ賦課金は、2030年まで値上がりが続くと予想されています。
そのため、対策をしていないと2030年度になった時には、さらなる電気代上昇に直面することは確実でしょう。
燃料費調整額の変動
「燃料費調整額」とは、火力発電の燃料(原油・天然ガス・石炭)の価格変動に応じて、毎月自動的に調整される価格です。
化石燃料の価格には基準がもうけられていて、基準価格を下回る場合はマイナス調整、上回る場合はプラスの調整が行われます。簡単にいえば、燃焼の価格が高騰すれば電気代も上がります。
日本は燃料の調達を海外に依存しているため、社会情勢の影響を受けやすいため、原油が豊富な中東の情勢によっては燃料調整額が高騰します。
最近の事例では、2022年2月からのロシア・ウクライナ情勢によって天然ガスの供給が不安定になれば、世界的に天然ガスの価格が高騰し、電気代も上がる可能性があります。(2022年3月追記)
関連記事:燃料費調整額が高騰!制度の内容・値上がりの要因・電気料金との関係を解説
法人・企業の電気代上昇は節電努力だけではコントロールができない
ここまでご紹介した「火力発電所増加に伴う電気料金の値上げ」「再エネ賦課金」「化石燃料の価格」は、企業の節電努力でコントロールできません。
既にこまめな消灯や、電気を使用する設備の使用回数を減らすなど、節電になる行動をすること自体は素晴らしいです。しかし、節電意識を高めているのに、>そもそも電気代が上がっているから削減できないという皮肉な事態に陥る可能性があります。
では、法人の電気代上昇を防ぐためには、どんな対策をすればよいのでしょうか。次の見出しから解説していきます。
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法人・企業の電気代削減方法1. 省エネ機器の導入
事業所の電気代削減の方法の1つは、省エネ機器を導入することです。
LED照明の導入
電気代削減に効果的な設備の1つが「LED照明」です。
LED照明の電気代は、従来の白熱球の約8分の1と言われています。そのうえ、電球の寿命は白熱球の20倍以上なので、交換の回数が少なく、とても効率の良い電球です。
また、白熱球に比べて発熱の低いLED電球は、室内温度を上げにくいため、空調に負荷をかけないメリットもあります。
電球自体の価格は白熱球の10倍以上ですが、長く使うことを考えると確実にお得といえます。
24時間電力を消費するコンビニや、ホテルなどの宿泊施設、電灯の多いパチンコ等の娯楽施設、学校など、設置条件によっては、年間200万円から300万円以上の電気代削減例もあります。
電子ブレーカーの導入
電子ブレーカーを導入することで、電気代削減効果が見込めます。
今までの主流であった熱源感知ブレーカーは、許容範囲を超えた電流が流れると安全装置が働き、いわゆる「ブレーカーが落ちた」状態になります。マンションや工場などでは、突然の停電が大きな被害に繋がる可能性があります。
思わぬ事故を防ぐため、熱源ブレーカーの場合は使用電力の最大値を予想し、その最大値よりさらに余裕を持った容量での電力契約をすることが一般的です。そのため、電気をあまり使わなかった月でも、高い電気料金を請求されることがあります。
一方、電子ブレーカーは、モーターの動きを細かく感知し、使用した分の電力量に応じた電力契約に収めてくれます。大手企業やコンビニチェーン等で導入が進んでおり、電気代の大幅削減に成功しています。
有名な企業の例を挙げると、大手自動車タイヤメーカーであるブリヂストングループの自動車メンテナンスショップ「タイヤ館」では、約100店舗で電子ブレーカーを導入し、電気料金の大幅削減に成功したことを公表しています。
(参照元:株式会社エスコ|ブリヂストン/タイヤ館 様の導入事例)
空調設備の新調
10年以上前に建設されたビルや事業所では、空調設備の新調も検討材料になります。
近年では、エネルギー効率の良い業務用エアコンが増えています。機種にもよりますが、2010年製の業務用エアコンと2020年最新の業務用エアコンでは、5.0kWなら年間4万円程度、11.2kwなら年間10万円程度、コストに差が出ると言われています。
法人・企業の電気代削減方法2. 電力会社の乗り換え
「電力会社の乗り換え」とは、2016年4月の電力自由化によって電気の小売業界に参入した「新電力」へ切り替えることを指します。
電力自由化以前は、管轄エリアの大手電力会社が定めた電気料金で契約するしかありませんでした。しかし、電力自由化以降は、多数の企業が電気の小売業界に参入しました。
これにより、健全な価格競争が発生し、各社から独自の料金プランも登場しています。
たとえば、基本料金はゼロ円で、使った分だけ電気料金を支払うプランや、環境に配慮したプランなど、多様なプランが用意されています。
新電力との電力契約では、「料金システムが複雑」「契約期間が決まっていて、途中解約すると違約金が発生する」といったデメリットもありますが、自社に合ったプランなら、10%から20%の電気代削減が期待できます。
電力自由化と、電力会社切り替えに関して、以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
法人・企業の電気代削減方法3. 基本料金を決めるデマンド(最大需要電力)を抑える
高圧受電の契約をしている法人・企業では、電気代の基本料金は「デマンド(最大需要電力)」をもとに決められます。そのため、デマンドを抑えられれば、電気代の基本料金を下げることが可能です。
デマンドのイメージは以下のとおりで、ある月のある時間に大量の電気を消費すれば、それがデマンド値となります。他の月に節電しても、基本料金はデマンド値をもとに算出されてしまいます。

デマンドコントロールシステム
「デマンドコントロールシステム」は、あらかじめ設定した目標デマンド値を超えないように、電気を使用している設備の電源を自動でオフにしたり、出力を弱めたりしてくれます。
次の見出しで説明するデマンド監視装置とは異なり、自動で制御してくれるため人的ミスが発生しないのがメリットです。
デマンド監視装置
デマンドを下げる方法の1つが「デマンド監視装置」です。デマンド監視装置は、あらかじめ設定した目標のデマンド値を超えそうになると、ブザーやメールなどで通知してくれる機能があります。
デマンドコントロールシステムよりは安く導入できますが、自動制御はしてくれないので、手動で電子機器を調整する必要があります。
関連記事:デマンドコントロールとは|電気代が抑えられる理由と太陽光との関係
法人・企業の電気代削減方法4. 自家消費型太陽光発電

法人の電気代を削減するための選択肢として、「太陽光発電を事業所の屋根や空きスペースに設置し、発電した電気を建物内で使用する」という方法もあります。この設置方法を「自家消費型太陽光発電」といいます。
自家消費した分の電気代を削減
太陽光発電で作った電気を自社の建物で使えば、電力会社から購入する電気量を減らせるため、電気代の削減に繋がります。
先にご紹介した「再エネ賦課金」は、電力会社からの供給される電力にのみ適用されるため、太陽光発電で自家消費した電気には再エネ賦課金がかかりません。
再エネ賦課金がかからないと言うことは、現状の電気代削減効果だけではなく、将来高騰する再エネ賦課金のリスクからも避られる事を意味しています。
自家消費型太陽光発電の導入シミュレーション

太陽光発電により自社で電気を発電し使用すれば、電気はその分のすべて0円で使用できます。賄えきれない電気はこれまで通り電力会社から購入しますが、使用料金を削減することで、それに付随する消費税・再エネ賦課金も削減します。
自家消費型太陽光発電について、以下の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。
税制優遇の対象となる
太陽光発電システムの導入では、「中小企業経営強化税制」が利用できます。 様々な企業さまが、重機や機械の導入などで利用している制度です。
太陽光発電の場合、システムを新規に取得し、事業に使用した場合、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超~1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択し、適用できます。
導入するためには、2021年3月31日までに設備の連系が必要です。
資本金・出資金 | いずれかの場合に使用可能 | |
---|---|---|
償却 | 法人税の控除 | |
3,000万円以下 | 100%即時償却 | 取得価格の10%税額控除 |
3,000万円超~1億円以下 | 100%即時償却 | 取得価額の7%税額控除 |
●中小企業経営強化税制適用のモデルケース

また、「中小企業経営強化税制」の認定がなくても活用できる税制として、「中小企業投資促進税制」があります。
こちらは、中小企業が対象設備(太陽光発電システムの場合は160万円以上)を新規取得した場合、取得価額の30%の特別償却、または7%の税額控除を選択・適用できる制度です。
自家消費型太陽光発電は節電以外のメリットも
太陽光発電システムを事業所に設置するメリットは、節電以外にもあります。
BCP対策
「BCP対策」とは、災害などの緊急事態に陥った場合に、企業の被害を最小限にとどめて、早期に事業の復旧・継続をするための対策です。
太陽光発電は、事業所のBCP対策に「電源の確保」という面で貢献します。蓄電池とセットで導入すれば、さらに効果的です。
当社・ハウスプロデュースへのお問い合わせにおいても、「休みなく動いている工場なので、一日でも止まると困る。いざという時の電源確保として太陽光を検討している。」といった内容のものが意外に多く、経営者さまや技術責任者さまのBCP対策への意識が高まっていることが伺えます。
BCP対策について、以下の記事でも解説していますので、こちらもご覧ください。
環境経営に貢献する
化石燃料を使用しない太陽光発電は、地球温暖化の原因であるCO2排出量の削減に貢献し、CSR(企業の社会的責任)活動としてアピールできます。
近年、大手企業を中心に「環境への取り組み」を重視する風潮が強まっています。その流れで、取引先を選定する時に「環境経営」を1つの指標として考える企業が増えています。そのため、環境への取り組みによって、思わぬビジネスチャンスが到来する可能性があります。
中小企業が環境経営を行うための取り組みとして、「REアクション」や「エコアクション21」などがあります。れらの取り組みについて解説している記事がありますので、そちらもご覧ください。
自家消費型太陽光は設置費用が無料の「PPAモデル」も可能
太陽光発電システムを自社購入する場合、けっして安くはない費用がかかります。
それでも環境を経営を検討したい場合は、太陽光発電を設置費用が無料で導入できる「PPAモデル」という方法もあります。

PPAとは、PPA事業者に自社の屋根やスペースを貸す代わりに太陽光発電システムを導入し、太陽光パネル経由分の電気代をPPA事業者に支払うという仕組みです。無料と聞くと怪しそうにも聞こえますが、業界でも確立された設置方法であり、大手企業も多数この方法で導入しています。
注意点としては、太陽光発電システムに関する初期費用がかからない代わりに、導入後の電気代削減効果は自社購入に比べて薄いことがあります。自社の状況を踏まえながら、購入かPPAモデルかを選択しましょう。
まとめ
今回の記事では、法人の電気代削減の方法についてご紹介してきました。
現在の電気使用の状況や、かかる費用によって、どの方法で節電に取り組むかを決定しましょう。
長期的にみれば節電効果が1番高いのは、自家消費型太陽光発電です。長い目でみれば、1番電気代を大きく削減できるでしょう。
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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