工場・製造業の電気代削減方法10選!節電に繋がるポイントを解説
工場を持つ製造業は、消費電力が多く、電気代が高くなりやすい業種です。工場の規模によっては、電気代削減の対策をしているかいないかで、月々の電気代が数十万円や数百万円変わることも十分考えられます。
今回の記事では、工場の電気代を削減する方法を紹介するとともに、節電をするためのポイントを解説していきます。コスト削減に取り組みたい工場・製造業の方はぜひご覧ください。
目次
工場のコスト削減で取り組みやすいのは電気代
工場経営をするうえでは、主に以下の経費がかかります。
- 工場の固定資産税or賃料
- 材料費
- 人件費
- 光熱費
工場にかかる固定資産税や賃料は支払う額が決まっているので、削減のしようがありません。
材料費の値段は仕入れ先が握っているので、削減は難しいといえるでしょう。
人件費の削減にはリストラや減給を伴うため、従業員の士気が下がるほか、人的資源が減ってしまい、かえって売上が下がることにも繋がりかねません。不可能ではありませんが、あまりおすすめできるものではありません。
となると、削減しやすい工場の経費は光熱費です。とくに電気代は安くするための方法が複数あるため、経費削減におすすめです。
工場の電気使用の内訳は?
資源エネルギー庁によれば、工場など製造業の電気使用の内訳は、生産設備83%・空調9%・照明8%です。
電気代削減として有効な方法として、電力消費の割合が高い生産設備を省エネ性の高いものに交換することが考えられます。
最近では、そのほかにも少ない労力で実行できる方法や費用が大きい分見返りもある方法まで、工場にはさまざまな電気代削減の選択肢があります。
消費電力が多い工場は、電気代高騰への対策が必須
2021年9月からの石炭・天然ガスの輸入価格高騰や、2022年2月からのウクライナ情勢などの影響で、日本の電気代は上昇しており、さらにこの傾向は続くと見られています。(2022年7月現在)
とくに消費電力が大きい工場を持つ製造業では、電気代削減の対策をしていなければ「電気使用量が同じなのに電気代がすごく高くなってしまった・・・」という状況になることも考えられます。そのため、可能な電気代削減対策から始めることをおすすめします。
関連記事:燃料費調整額が高騰!制度の内容・値上がりの要因・電気料金との関係を解説
工場の電気代の削減にはどんな方法がある?
工場の電気代の削減には、主に以下の方法があります。
- 照明をLEDに交換する
- 空調を最新式に交換し、温度調節をする
- 電力会社の乗り換えをする
- 自家消費型太陽光発電設備を導入する
では次から、これらの電気代の削減方法について、一つずつ解説していきましょう。
電気代の削減方法1. 照明をLEDに交換する
工場で使っている照明をLED照明に交換すると、大きな節電効果が得られる可能性があります。
経済産業省の資源エネルギー庁の製造業向けの「節電対策メニュー」によると、白熱灯をLED照明に交換した場合の節電効果は85%にも及ぶといわれます。
このぶん電気の使用量が抑えられるため、電気代の削減が可能です。
電気代の削減方法2. 空調の買い替えと温度調節
工場で使っている空調設備を変えることでも、大きな節電効果が見込めます。古い空調設備は電力の消費効率が悪く、そのぶん電気代が高くなってしまうのです。
近年では、省エネ性能の高い空調設備が販売されています。こちらは家庭用のエアコンの場合の話ですが、経済産業省の資源エネルギー庁が運営する「省エネポータルサイト」によれば10年前のエアコンを最新式に変えることで約12%の省エネになります。
また、工場で使用する空調は、温度調節をすることでも節電効果があります。先ほど紹介した経済産業省の資源エネルギー庁の製造業向けの節電対策メニューによると、夏季と冬季、それぞれの節電に最適な温度と節電効果は以下のとおりです。(※北海道電力エリア以外の場合。北海道電力エリアは夏季6%、冬季21%の節電効果)
- 夏季…28度にすることで6%の節電効果
- 冬季…19度にすることで27%の節電効果
このように、夏季は工場の室温が28度、冬季は19度になるように設定すれば、節電効果が見込めます。とくに冬季の節電効果は27%(北海道は21%)と高いので、積極的に温度調整をするようにしましょう。
また、夏季は室外機の周辺にある障害物をどかし、なおかつ直射日光を避けることでも10%の節電効果があります。直射日光を避けるには、「よしず」(立てかけるタイプのすだれ)を室外機の前に立てるのが有効です。
関連記事:電力ピークシフトで電気代が下がる理由|太陽光発電と蓄電池が有効
電気代の削減方法3. 電力会社の乗り換えをする
電気代を安くするには、電力会社の乗り換えも有効です。
もともと工場では、東京電力などの従来の電力会社からしか電気を購入できませんでした。しかし現在は「電力の小売自由化」によって電気を従来の電力会社以外の「新電力会社」からも購入できるようになっています。
電力の小売自由化の対象は、以下のように段階的に広げられてきました。
- 2000年3月…特別高圧(大規模な工場など)
- 2004年4月・2005年4月…高圧(中小規模の工場など)
- 2016年4月…低圧(小規模の工場・一般家庭など)
このように、現在では「特別高圧」「高圧」「低圧」と、全ての区分の工場が新電力会社と契約可能です。
2016年4月の「電力の小売全面自由化」により、現在ではたくさんの企業が、新電力会社として電気の小売事業に参入しています。各新電力会社の間では、自社と契約してもらえるよう価格競争が起こっているため、今より安い新電力が見つかるかもしれません。
ガス会社も乗り換えれば、ガス料金+電気代の削減に
2017年4月には、電気に続いて、都市ガスの小売全面自由化も始まりました。
こちらも新ガス会社が多数参入したことで、従来のガス会社より、安い料金でガスの契約ができるようになっています。
ここでもう一つ注目したいのが、電気とガスの両方を提供している会社もあることです。こうした会社では多くの場合、ガスと電気をセットで契約することで、どちらか片方だけ契約するより、電気とガス両方の料金が安くなります。
電気とガス、両方の料金を削減したいなら、こうした会社を選ぶといいでしょう。
電気代の削減方法4. 蓄電池を導入してデマンドコントロールをする
先述したとおり、最大デマンド値によって契約電力が左右されるため、ここを削減するためにはデマンド値をコントロールする必要があります。
蓄電池は名のとおり電力を蓄えておける装置で、あまり電力を使わない時間帯や休日に電力を蓄えておけます。
そして電力使用が最大時(ピーク時)、または設定した電力量を超えそうな場合に、蓄電池から電力を使用すれば最大デマンド値を抑えられます。
蓄電池によっては「ピークカット機能」が搭載されており、設定した電力量を超えそうな時きは自動で切り替えられます。
電気代の削減方法5. 補助金を利用して省エネ設備に切り替える
省エネ化や経費削減を考えた際に、初期費用で足踏みしてしまうケースもあります。しかし、国や各自治体で補助金を用意していることもありますのでうまく活用しましょう。
たとえば経済産業省による「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」では、4つの事業に分けて広く支援する予定です。

(画像引用:【PR資料】先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金|資源エネルギー庁)
電気代の削減方法6. インバーターを活用する
インバーター装置とはモーターの回転をコントロールし、エネルギーを効率よく使えるようにするシステムです。
たとえばインバーターが搭載されていないエアコンの場合、電源のオン・オフしかない状態で、設定温度より高ければ運転し、低くなれば停止するため、室内温度が安定しません。
インバーター装置は運転開始時に高速でモーターを回転させ、設定温度に近づいたら低速にして温度を維持してくれます。そのため快適な室内温度に加え、無駄なエネルギーを使用しないように制御しています。
電気代の削減方法7. ビニールカーテンを設置する
ビニールカーテンにはさまざまな製品があり、空間を仕切るだけではなく「保温・保冷効果」を兼ね備えたものもあります。
一例として「扉だけでは外気がたくさん流れ込んでしまう」とか「遮熱効果のあるビニールカーテンで保冷・保温効果を高めたい」など、工場内の目的に沿った利用が可能です。
また、レイアウトの変更がしやすいため間取り変更にも対応しやすく、透明に近いビニールカーテンであれば明るさが確保できる利点もあります。
電気代の削減方法8. 断熱塗装を取り入れる
ビニールカーテンと同じく、塗料にもさまざまな製品があります。
そのひとつに遮熱・断熱効果のある塗料があり、屋根や直射日光が当たりやすい外壁、窓に塗ることで冷暖房の効率を上げられます。
また、内装に塗布するタイプもあり、室内の熱を逃がさない、エアコンの設定温度までの到達時間が短縮されるといった効果も得られます。
関連記事:太陽光発電設備は工場の断熱対策に有効? 断熱の方法別にコストも比較
電気代の削減方法9. 力率とうまく付き合う
「工場における電気代の計算方法」にて軽く触れましたが、力率と上手に付き合うことで電気代を削減できます。
力率は電力会社から供給された電力量に対して、「有効電力」と「無効電力」によって割り出されます。
- 有効電力:言い換えると消費電力であり、実際に使った電力量
- 無効電力:電圧と電流とのあいだでタイムラグが発生した際に、無駄となった電力
無効電力は使われることのない電力であるため、せっかく発電したエネルギーが無駄になるともいえます。そのため、電力会社は供給した電力を有効に使ってもらうために、力率を定めているのです。
力率を改善するにはコンデンサなどを取り入れ、無効電力をできるだけ発生させないようにする方法があります。
電気代の削減方法10. 自家消費型太陽光発電を導入する
ここまで、電気代の削減方法について説明してきました。
ここまで説明してきた方法でも、少額なら電気代を削減できますが、大幅な削減は見込めません。
電気代を大幅に削減したい事業者の方におすすめなのが、自家消費型太陽光発電設備の導入です。

産業用太陽光発電には、大きく分けて「投資型」と「自家消費型」の2種類があります。
投資型の太陽光発電では、発電した電気を電力会社に売ることで収入を得ます。一方で自家消費型は、発電した電気を電力会社に売らずに、自社で利用するタイプの太陽光発電です。
太陽光発電設備を導入すれば、設備の購入代金や設置工事の費用などのぶん、一時的に経費がかかります。
しかし、電気代を長期的に大きく削減できるため、大きな経費削減になります。さらに、中小企業による自家消費型太陽光発電の導入は今なら即時償却などの税制優遇を受けることができます。
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電気の「見える化」で使用量の把握
光熱費のなかでも電気代を削減するには「いつ・どこで・どれだけ」使用しているかを把握する必要があります。そこで有効なのが電気の「見える化」です。
電気の見える化によって、まずは工場内のどこで一番電力が使われているか、効率よく使用できているのかなどを把握します。
そのうえで無駄な電力が使われていないか、削減できる箇所や時間帯はないかなど、工場内のエネルギー使用量について見直しをすることが大切です。
関連記事:エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは|4種類の概要と市場規模
自家消費型太陽光発電で基本料金が削減できる
工場の場合、電気の基本料金は、以下の計算式によって求められます。
料金単価は、各電力会社が定めた1kWごとの単価です。「力率」は、電力会社から供給された電気のうち、実際に使用した電気の割合を指します。力率は85%(0.85)が標準で、85%を超えると電気代が安くなり、85%未満なら高くなります。
この式のうち、自家消費型太陽光発電によって影響を受けるのは「契約電力」です。
工場の契約電力は、過去1年間の各月の「最大需要電力(デマンド)」のうち、最も値が大きいものになります。最大需要電力とは、月間で最も電気の平均使用量が多い30分間の値を指します。
つまり、 過去12ヶ月で最も電気の平均使用量が多い30分間の値が契約電力になるのです。
契約電力を下げるには、この最大需要電力を下げる必要があります。それに役立つのが、自家消費型太陽光発電です。
太陽光発電で発電した電気を使えば、電力会社から購入する電気の使用量を抑えられます。
工場では多くの場合、電気の使用量が最も多いのは日中です。 日中は日射量が多く発電量も多いので、発電した電気をそのまま使うことで最大需要電力を低くできます。そうすれば、契約電力が低くなるぶん、基本料金もグッと安くなります。
自家消費型太陽光発電で電力量料金が削減できる
電力量料金とは、電気の使用量に応じて決まる料金です。電力量料金は、以下の計算式で計算できます。
電力量料金の「料金単価」は、月間に使用した電力量1kWhあたりの単価です。「燃料費調整額」は、火力発電の燃料費の価格変動を電気代に反映することで調整するためのお金です。
先述したとおり、太陽光発電で発電した電気を活用すれば、そのぶん電力会社から購入する電気の使用量を削減できます。使用電力量が大きく抑えられるぶん、電力量料金もグッと安くなります。
再生可能エネルギー促進賦課金も削減できる
日本では再生可能エネルギーの普及のため、事業者が太陽光発電や風力発電で発電した電気を、電力会社が固定価格で買い取っています。
再生可能エネルギー促進賦課金は、電力会社が事業者から再生可能エネルギーを買い取るため、電気の使用者である国民が負担している電気使用料金です。
再生可能エネルギー促進賦課金は、以下の計算式で求められます。
2022年度の再生可能エネルギー促進賦課金の単価は、1kWhあたり3.45円です。
これに月間の使用電力量を掛けたものが、その月の再生可能エネルギー促進賦課金になります。こちらも、自家消費型太陽光発電設備の導入によって使用電力量が抑えられるぶん、再生可能エネルギー促進賦課金も安くなります。
関連記事:上がり続ける再エネ賦課金とは|太陽光発電で負担を軽減
蓄電池との併用もおすすめ
また、自家消費型太陽光発電には「蓄電池」の併用がおすすめです。
日射量が多い晴天時と違って、雨天時は発電量が少なくなってしまいます。せっかく自家消費型の太陽光発電設備を導入しても、雨天時に電気の使用量を抑えられなければ最大需要電力を低くできません。
しかし蓄電池を使えば、雨天時や夜間にも蓄えておいた電気を利用できるため、最大需要電力を低くできます。
まとめ
工場経営には様々な経費がかかりますが、このうちの電気代には複数の削減方法があります。
電気代の削減方法には、照明をLEDに変えたり、空調を買い替えて温度調節をしたり、電力会社の乗り換えをするなどの他に、自家消費型太陽光発電設備の導入がおすすめです。電気代のもととなる基本料金と電力量料金、再生可能エネルギー促進賦課金の全てをグッと安くできるので、工場経営者の方はぜひ導入を検討してみてはどうでしょうか。
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