製造業では、売上を追求することはもちろん、経費の削減にも頭を悩ませている経営者も多いのではないでしょうか。
今回は、製造工場向けに「利益アップにつながるコスト削減」のアイデアと方法についてご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
目次
経費と利益の関係
本題に入る前に、経費と利益の関係を整理しましょう。利益を大きく分解すると以下のようになります。
つまり、利益をアップさせるためには「1. 売上をアップする」「2. コストを削減する」のどちらかになります。しかし、利益をアップさせるとなると、売上の増加というイメージのほうが先にどうしても来やすいのではないでしょうか。
「1. 売上をアップする」は販売量を増やしたり、単価を上げたり、マーケティング戦略を見直したりと、どれも労力がかかるものです。しかも、頑張ったからといってお客さまが購入してくれるとは限りません。
そこで目を向けていただきたいのが、「2. コストを削減する」です。
「今使っている費用のなかから、削減できないか?」と見直せるため、売上をアップさせるより、再現性があり、自社でコントロールもしやすいでしょう。
次の見出しから、工場の各種経費削減のアイデアをご紹介していきます。
工場の水道光熱費の経費削減アイデア
工場で削減しやすい経費は、水道光熱費です。さまざまな方法がありますので、それらの方法を挙げていきます。
LED照明への変更
LED照明には以下のようなメリットがあります。
- 従来の電球に比べて消費電力が少ない
- 従来の電球に比べて寿命が長い
- 交換の手間が少ない
LED照明は、従来の白熱電球に比べて初期費用は高いです。しかし、種類によっては白熱電球の約40倍もの寿命があります。そのため、今まで利用していた照明より長時間利用でき、交換の手間も少なく、長期的に経費を削減できるメリットがあります。
インバーター方式の照明へ変更する
インバーター方式と、従来のグロースターター方式を比較してみましょう。
- グロースターター
- スイッチオンから若干のチラつきがあるが、簡素な設計かつ安価なため一般的に広まった方式
- インバーター
- 電子回路で構成されており即時点灯できる。グロースターターに比べて明るく、調節ができるため電気代節約にもなる
LED照明と同様、初期投資がかかることはデメリットです。しかし、ワット数あたりの明るさが高く、明るさの調節機能があるため、電気代の節約に繋がります。
電気やガスの契約会社を見直す
電力とガスの自由化以降、法人・個人ともに自由に電力・ガス会社を選択できるようになりました。
そのため、契約している会社を見直し変更するだけでも「思いのほか工場の電気代やガス代が下がった」というケースがあります。
工場の所在地で利用できる電力会社・ガス会社を探してみるのも、経費削減の1つの手です。
省エネ性能の高い設備を導入する
業務に使用する工場機械の見直しも、経費削減に繋がる可能性があります。
古い機械は、電力の消費効率が悪いこともあります。一方、技術の進歩によって、省エネ性能の高い設備が開発されています。そのような機械を導入すれば月々の電気代削減に繋がります。
こちらも初期費用がかかりますが、長い目でみれば工場の経費を大幅に削減できるかもしれません。
節水弁の取付け
こちらは簡易的な手法です。今使っている水道の蛇口に、節水用の便を取り付けるだけなので、手間が少ないです。
劇的な節水に繋がるわけではありませんが、節水弁を4分の1開けると、約8%の節水に繋がるといわれています。
太陽光発電で自家消費する
太陽光発電設備を、工場の屋根や遊休地に設置します。そして、太陽光パネルで発電した電気を工場内で使用することで、電力会社から購入する電力量を減らし、自社の電気代を削減しましょう、という方法です。
とくに「消費電力が多い工場=電力会社から購入する電気量が多い工場」と相性がよく、導入することで大きな経済的メリットが得られることもあります。
また、経費削減効果だけでなく、近年叫ばれている「脱炭素経営」にも繋がります。ここまで紹介した方法に比べると初期費用は安くはありませんが、新たな設備投資として太陽光発電を選ぶ工場が増えています。
太陽光設置お任せ隊の施工事例に、工場への設置事例も掲載されています。
工場の水道光熱費以外の経費削減アイデア
オンライン会議を行う
「会議は顔を突き合わせて行なうもの」というイメージもありますが、最近のオンライン会議ツールは優秀で、資料を画面に移しながら説明することも可能です。
とくに複数事業所を持つなら、オンライン会議導入することで、定例会議のためにかかっていた交通費を削減できます。
通信費の見直し
通信費も、経費削減できる要素のひとつです。たとえば、以下のような方法が考えられます。
- 営業活動に使う携帯・スマホを法人一括契約にする
- 固定電話と携帯・スマホの通信キャリアを統一する
- 携帯・スマホのプランを見直す
- インターネット回線の乗り換えをする
事務用品を定期便で購入する
コピー用紙や封筒など、確実に使用する事務用品は、定期便を利用することもひとつの方法です。定期便では、割引や送料無料などのサービスが受けられることがあります。
1回の経費削減額は少なくても、それが積み重なっていけばそれなりの額になります。
損害保険料の見直し
工場や倉庫を持つ製造業であれば、どこも火災保険や賠償責任保険などの損害保険をかけているでしょう。
製造業は損害保険が適用される頻度が高く、保険料が高くなりやすいです。しかし、損害保険に相場というものはなく、会社ごとに値段が設定されています。
そのため、損害保険を見直すことで「補償内容に大きな差はないが、保険料は今より安くなる」可能性があります。
節税に繋がる投資を行い、特別償却や税額控除を適用する
製造業の経営ではさまざまな設備投資が必要になります。国としても、中小企業の製造業の設備投資を促進したいため、税制優遇を設けています。
たとえば、設備を導入して「中小企業経営強化税制」を利用する場合、以下2つのどちらかを適用できます。
- 設備投資の費用すべてをその年度の経費として即時償却
- 取得価額の10%を税額控除
経営状況やキャッシュフローを踏まえつつ、税制の利用を検討しましょう。
工場の経費削減に取り組む際の注意点
工場の経費削減に取り組む際の注意点を、2つ挙げます。
労働環境を悪化させない
経費削減を考える際、もっとも気をつけるべきことは「労働環境が悪化する経費削減はしない」ことです。
たとえば、人件費を削ることは、一時的に経費削減となるかもしれません。しかし、社員のモチベーションからすると、長い目で見れば有効といえません。
また、光熱費の削減方法を紹介しましたが、過度に照明の間引きをしてしまえば、作業効率が悪くなることもありえます。経費削減ができても他の部分でデメリットが生まれないよう、労働環境は維持するようにバランスを考えましょう。
材料費の質が落ちないようにする
経費削減で、もう1つ考えるべきことは「品質に影響する経費削減はしない」ことです。
品質が今と変わらない、または向上するなら、安い材料や機械を導入することは有効です。そうでなければ、他の経費削減方法を検討すべきでしょう。
商品は、会社の顔でもあります。品質に大きく影響する材料費の削減は、慎重に考えましょう。
まとめ|まずは取り組みやすいものから工場の経費削減をはじめよう
工場を持つ製造業は、もともとの経費が大きくなりがちです。そのため、経費削減がうまくいけば高い効果が得られるでしょう。
いきなり難しい方法を行なうのではなく、まずは取り組みやすい経費削減方法から始めてみることがおすすめです。そのあと工場内の業務改善に取り組みましょう。
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、記事内でご紹介した「企業向け太陽光発電」をご紹介しています。電気使用量が多い工場との相性が良く、大幅な経費削減に繋がるケースもありますので、以下の記事もぜひご覧ください。