コラム

中小企業経営強化税制とは|対象設備・優遇措置・申請方法を解説

中小企業の経営力を強化するためには、設備投資が不可欠です。しかし、十分な資金が調達出来ないため、設備投資を先送りしている企業も多いことでしょう。

この悪循環を打開するためには、中小企業庁など行政が提供している制度の利用を検討してみるのも一つの方法です。

中小企業経営強化税制は、2021年3月31日までの指定期間において行った設備投資に対して優遇措置を与えてくれる制度です。以下ではこの制度について解説します。

中小企業経営強化税制とは

即時償却または税額控除を受けられる制度

中小企業経営強化税制とは、中小企業の経営力を強化するために、青色申告書を提出している中小企業者を対象に、一定の設備投資をサポートする制度のことです。

具体的には、設備投資の費用を当年度の経費として即時償却したり、取得価額の10%を税額控除したりすることが可能 。ただし、税額控除に関しては、資本金3,000万円超1億円以下の法人に関しては7%の控除になります。

設備投資の対象となるものには、テレワークで使用する機器やテレビ会議システム、勤怠管理システム構築のために用いる費用も含まれます。オフィスでの勤務を縮小して、テレワークへシフトすることを検討している中小企業にとっても有り難い制度といえるでしょう。

ただし、中小企業経営強化税制の優遇を受けるためには、「中小企業等経営強化法」に規定されている「経営力向上計画」を作成して認定を受ける必要があります。この点については以下で詳しく説明します。

適用期間が2021年3月31日まで延長

中小企業経営強化税制は、2017年4月1日から2019年3月31日までの2年間のみの適用とされていました 。しかし、中小企業等の積極的な設備投資や生産性革命の実現に向け、2019年の税制改正によって2021年3月31日まで延長しています。

中小企業等経営強化法とは

この税制と密接に関係しているのが1999年成立、2016年に改正された中小企業等経営強化法です。

日本社会が直面している少子高齢化による人材不足や国際競争の激化などの問題は、中小企業にも多大な影響をもたらしてきました。中小企業がそれらの困難に立ち向かい、「稼ぐ力」を身に付けるために整備された経緯があります。

中小企業がこの法律に基づいた税制・金融面での支援を受けるためには、生産性を向上させるために具体的な取り組みを行っていることを証明する必要があります。その証明に用いられるのが経営力向上計画です。

中小企業等経営強化法について、以下の記事で詳しく解説しています。さらに知りたい方はぜひご覧ください。

経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、中小企業の経営力向上を目的とする、人材育成や財務内容の分析、ITの利活用、生産性向上に関連した設備投資等の計画です。

各企業は「日本標準産業分類」で該当する事業分野を確認し、対応する事業分野別指針を踏まえて特定の書式に基づいて経営力向上計画を作成します。作成した書類は、事業分野別の主務大臣に提出することで申請となります。

経営力向上計画を申請し、国から認定されてはじめて中小企業経営強化税制の優遇措置を受けられるようになることを念頭に置いておきましょう。

経営力向上計画について、以下の記事で詳しく解説しています。さらに知りたい方はぜひご覧ください。

中小企業経営強化税制の対象設備

A類型:生産性向上設備を対象

A類型は中小企業の生産性向上を目的とした設備ですが、具体的には以下のような設備と最低取得価額を指します。

  • 機械装置(160万円以上)
  • 測定工具および検査工具(30万円以上)
  • 器具・備品(30万円以上)
  • 建物付属設備(60万円以上)
  • ソフトウエア(70万円以上)

導入した設備が上記の類型に該当し、さらに以下の2つの条件を満たしていることを示すため、工業会などから証明書を取得します。

  • 一定期間内に販売されたモデル(最新モデルである必要はない)
  • 経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上していること

B類型:収益力強化設備

B類型は、中小企業の収益力強化を目的とした設備投資を指します。具体的には以下のような設備と最低取得価額に該当します。

  • 機械装置(160万円以上)
  • 工具(30万円以上)
  • 器具備品(30万円以上)
  • 建物付属設備(60万円以上)
  • ソフトウエア(70万円以上)

導入する設備が以上の類型に該当した上で、年平均5%以上の投資利益率の見込みを達成するために必要不可欠であることを、経済産業局から取得する確認書によって証明しなければなりません。

C類型:デジタル化設備

2020年5月1日にこの制度が拡充され、新たにC類型が追加されました。投資対象が、下記いずれかを達成するために必要不可欠な設備であることが条件です。

  1. 遠隔操作
  2. ●デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること

    ●事業を非対面で行うか、または通常業務を勤務場所以外で行えるようにすることのいずれかを目的とすること

  3. 可視化
  4. ●データの集約・分析をデジタル技術により行うこと

    ●データが事業や事業プロセスに関係するもので、その最新状況を把握し経営資源等の最適化を目的としたもの

  5. 自動制御化
  6. ●デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行えるようにすること

    ●指令が事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのもの

対象となる設備はB類型と同様です。

中小企業経営強化税制が適用される対象

制度が適用される法人

この制度の適用を受けられるのは、中小企業者等および中小企業等協同組合等であり、前述した経営力向上計画の認定を受けていることが必要です。

中小企業者等とは、青色申告をしている法人であり、中小企業者または農業協同組合等を指します。

また、ここにいう中小企業者とは、資本金額または出資金額が1億円以下の法人、あるいは資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人を指します。ただし、以下の法人は中小企業者から除かれます。

  • 発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
  • 発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
  • 受託法人

制度が適用される指定事業

中小企業経営強化税制が適用される指定事業は以下の通りです。電気業、熱供給業、水道業、娯楽業(映画業を除く)等は対象外です。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食業については、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業および沿岸運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

引用元:No.5434 中小企業経営強化税制|国税庁

中小企業経営強化税制の優遇措置

即時償却

中小企業経営強化税制にはいくつかの優遇措置がありますが、その一つが即時償却です。即時償却とは、設備投資の費用全額をその設備を取得した年度に経費として計上出来ることをいいます。

税額控除に比べて投資した資金をスピーディに回収出来る点が、即時償却の大きなメリットといえるでしょう。

税額控除と限度額

即時償却に比べて税額控除は、すぐに節税効果は得られません。しかし、長期間にわたって税額を控除出来るメリットがあるため、企業ごとの設備投資時の資金状況に応じて選択すると良いでしょう。

税額控除限度額は、設備投資に支払った費用の10%相当で、資本金額または出資金額が3,000万円超1億円以下の法人は税額控除限度額が7%になります。ただし、税額控除限度額は、当該年度法人税の20%相当額が限度になりますので、注意が必要です。

税額控除限度超過額の繰越し

税額控除限度額が設備投資を行った年度の法人税額の20%を越えると、その事業年度においては全額を控除することが出来ません。しかし、中小企業経営強化税制では、その超過額を1年間繰り越すことが認められています。

中小企業経営強化税制の申請までの流れ

A類型の申請までの流れ

中小企業経営強化税制のA類型を適用したい場合、中小企業は以下の手続きを行います。

  • 対象となる設備メーカーに証明書の発行を依頼します。これは工業会等に当該設備が生産性向上の要件を満たしていることを証明してもらうためのものです。
  • 工業会等から証明書を交付されたら、国(主務大臣)に対して経営力向上計画を申請します。その計画が認定されたら、導入を予定していた設備を取得することになります。
  • 即時償却か税額控除かを選択し、工業会証明書、計画申請書および計画認定書の複写を添付して所轄税務署の税務申告を行います。

B・C類型の申請までの流れ

B・C類型の申請は以下の手続きで行います。

  • 中小企業等は投資計画案を作成後、公認会計士または税理士(C類の場合は認定経営革新等支援機関)に提出し、事前確認書を発行してもらいます。
  • 投資計画案および事前確認書を添付し、所轄の経済産業局に確認書発行申請を行います。確認書が発行されたら、国(主務大臣)に経営力向上計画を申請します。認定後、当該設備を取得し、業務において使用します。
  • 税務署類に各書類の複写を添付して、税務申告をします。
  • 設備取得後に申請する場合の流れ

    以上で述べたように、中小企業経営強化税制の適用を受けるためには、原則として設備取得前に経営力向上計画を申請し、認定される必要があります。

    ただ、例外的に設備取得日から60日以内に経営力向上計画の申請が受理されれば、税制の適用を受けることは可能です。ただし、事業年度末までに経営力向上計画の認定を受ける必要があるため、通常では計画の受理から認定まで30日程度かかることを見越して準備するようにしましょう。

    もし設備取得日から60日以内に経営力向上計画を申請受理されても、年度をまたいで認定を受けた場合には、その事業年度には税制の適用を受けることは出来ません。

    設備の取得時期について

    画像引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き|中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_zeiseikinyu.pdf

    まとめ

    中小企業経営強化税制の概要、類型、適用される法人や指定事業、また申請の流れについてご紹介しました。この税制措置が適用されるのは、2021年3月31日までなので、設備投資を検討している場合には節税対策の観点から利用を検討してみてはいかがでしょうか。

    この税制を利用するための第一歩は経営力向上計画書の申請ですが、作成から認定までは時間がかかるため、事業年度末に慌てて対応しなくて良いように前もっての準備を行うことをおすすめします。

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