【企業向け】空調コスト削減方法10選|無料で取り組める対策も紹介

2022年に起きた電気代高騰は、多くの企業に影響を与えました。

経営においてコスト削減は常に重要な課題であり、なかでも多くの企業にとって消費電力のうち空調が占める割合が大きいため、効果的に削減したい項目の1つです。

本記事では、初期費用をかけずに実践できる対策や設備導入による対策など、空調コストを削減する方法を幅広く紹介していきます。

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電気代のうち空調コストの割合は?

空調は、オフィスビルや工場、商業施設、医療施設、データセンターなどさまざまな業種で用いられており、快適な業務環境を作り出すためには欠かせない設備です。

資源エネルギー庁から公開されている資料によると、全消費電力に対する空調コストが占める割合は20~50%間で推移しています。

特にオフィスビルや商業施設、飲食店などの空調コストが多い傾向があり、夏季のピーク時で全消費電力のうち空調コストは約40%と高い水準です。そのため、空調コストを削減すれば、電気代の大幅な負担軽減を期待できます。

また、製造工場の場合、生産設備の消費電力が高いものの、電気代を占める空調コストの割合は10%程度となっています。生産性を考慮すると生産設備の稼働率を抑えることは難しいため、空調の省エネが電気代削減のポイントです。

(参照元:夏季の省エネ・節電メニュー(PDF)|経済産業省 資源エネルギー庁)

空調コストを無料で下げる方法

空調設備の使い方を工夫することで、初期投資をかけずに空調コストを削減できます。ここでは、コスト削減につながる空調設備の使い方を解説します。

空調コスト削減方法1.使用時間の見直し

シンプルな方法ですが、空調の使用時間を短縮させることで空調コスト削減につながります。

他には終業時刻の30分前など、室内の滞在時間が残りわずかな場合は、空調の残熱利用をすることで無理せず電気代負担を軽減できます。
(※残熱利用:空調の電源を切っても、設定温度まで室温を調節できている状態を数10分維持できること)

ただし、空調は起動時の消費電力量が大きいため、使用時間の短縮を意識するあまり、短時間に停止・起動を繰り返さないよう注意が必要です。

人のいない状況が短時間なら、空調を稼働させ続けるほうが消費電力量の増加を抑えられる場合もあります。

空調コスト削減方法2.定期的なフィルター清掃

定期的にフィルター清掃を行えば、エアコンの消費電力量を15%前後削減でき、空調コスト削減につながります。

空調を稼働させた場合、フィルターを通して室内の空気を取り込みます。そのため、長期間フィルター清掃を怠るとホコリやごみなどが蓄積され、空調の循環効率低下に繋がってしまいます。

循環効率が低下すると、設定温度の維持が難しくなり、より多くの電力を消費しなければ室内の温度を調整できない状態へ陥ってしまいます。

業務用の空調は家庭用エアコンと構造が異なるものの、フロントパネルを取り外すことでフィルターも取り出せます。

清掃の際は、掃除機を用いてフィルターのホコリやごみを吸い取ります。また、飲食店などの場合は油汚れも付着しやすいため、洗剤を用いた方がいい場合もあります。

フィルターの一般的な清掃頻度は、2ヶ月に1回もしくは1ヶ月に1回程度です。

空調コスト削減方法3.室外機にかかる負荷を抑える

室外機にかかる負荷の軽減は、電気代削減に繋がります。すぐに取り組める方法は、室外機の吹き出し口周辺と温度の確認や見直しです。

室外機の吹き出し口からは、室内から取り出した熱風もしくは冷風が排出されます。風通しが悪いと放熱や冷却効率の低下に繋がってしまうため、吹き出し口付近に物を置かないようにしましょう。

また、室外機に搭載されている熱交換器は、室外機本体の温度変化による影響を受けます。

そのため、夏場は直射日光が当たらないようカバーなどで遮光し、冬場は温度低下を抑えるようにカバーを外して直射日光に当てる対策が有効です。

空調コスト削減方法4.推奨温度に設定する

前半でも触れたように、省エネという観点では空調の推奨温度を基準に温度設定を進めるよう心がけることが大切です。

冷房の推奨温度は28℃で、暖房は20℃です。無理のない範囲で空調の温度設定を見直すことで、1℃あたり10%程度の空調コスト削減が期待できます。

夏場の設定を28℃にすると暑く感じる人が多い場合でも、省エネの観点では26℃〜27℃までに抑えたり、扇風機を併したりすることが望ましいです。

また、各部屋の空調設定に対する室温を計測し、空調の設定温度を部屋ごとに決めることも重要です。

空調コスト削減方法5.自動運転モードを活用する

空調の風量調整を手動から自動運転にしたほうが、効率的に室内の温度を涼しくしたり暖めたりできます。

手動でこまめに風の向きや風量を調整した場合、快適に過ごせる状態になるまで時間がかかってしまうこともあります。

自動運転モードなら、室内の環境に合わせて風量や風向きなどを常に調整しながら稼働してくれます。さらに設定温度に達したあとは、風量弱モードより弱い状態で稼働するため、手動運転より消費電力を抑えられます。

空調コスト削減方法5.外気が入らないようにする

空調の外気導入量(外気取入量)を削減した場合も、電気代の削減効果が期待できます。

外気導入量とは、新鮮な外の空気を室内へ送り、室内の空気を外へ排出する換気機能のことです。

室内換気用に取り込んだ外気も、エアコンで冷やしたり暖めたりする必要があるため、外気を取り込めばとりこむほど、室内の空気を新鮮に保てる代わりに室内温度の調整に時間がかかります。

外気導入量を削減すれば、換気に伴う室内温度の変化を抑えられ、なおかつ空調の稼働率および消費電力量を削減できます。

ただし、外気導入量を削減する際は、ビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)に沿って、CO2濃度1,000ppmを超えないよう注意する必要があります。

空調コスト削減方法6.定期的なメンテナンスを依頼

空調の定期的なメンテナンスは、電気代削減に取り組むうえで大切です。

空調は、経年劣化や異常によって故障したり循環効率が低下したりします。また、室外機や室内機の熱交換機は、フィルターと同じくホコリが溜まりやすい部分で、効率低下の原因でもあります。

空調の性能が低下すると、設定温度まで室内温度を調整するために時間がかかります。空調のメンテナンスやクリーニングを実施できれば、性能改善によってそのまま運転するよりも電気代を削減できます。

とはいえ、空調の劣化状況などは一目で判断できませんし、簡単に修理交換できるものでもありません。

そのため、メンテナンスやクリーニングを実施する際は、機器点検や部品交換、修理や洗浄まで対応している専門業者へ依頼することをおすすめします。

(参照元:省エネ・節電のポイント「空調機器編:低圧負荷機器1」|関西電気保安協会)

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さらに効率的に空調コストを削減する方法

日々の使い方を工夫するだけでは、どうしても削減できる空調コストに限界があります。より大きな電気代削減を実感するためには、初期投資をかけて設備の強化を検討する必要があります。

続いては、空調コストを削減するために役立つ設備の紹介や実践方法について解説します。

空調コスト削減方法7.デマンド制御装置の導入

高圧電力の中で50kW~500kW以下の電力契約(高圧小口)を交わしている場合は、デマンド制御装置の導入によって、電気代の削減効果を得られる可能性があります。

高圧小口は基本料金の計算にデマンド値が用いられます。デマンドは30分間ごとの平均使用電力量で、過去12ヶ月のうち最も高いデマンド値が基本料金の計算に使用されます。

つまり、デマンド値を抑えられれば、その分基本料金の負担を軽減できます。

空調のデマンド制御装置とは、空調の稼働状況を常にモニタリングし、効率的かつ消費電力が少ない稼働状況となるよう自動で設定を調整するシステムのことです。

デマンド値の上昇を抑えながら自動制御してくれるため、手動で電気使用量を調節するより負担を抑えられますし、デマンド抑制を実現できます。

デマンドコントロールとは|電気代が抑えられる理由と太陽光との関係を解説

空調コスト削減方法8.外付けの熱交換器を設置

空調関係の製造販売業者は、エネルギー効率改善に向けたさまざまな製品を開発しています。

中でも外付けの熱交換器は、室外機の吹き出し口に取り付けるタイプで、冷媒の冷却や加熱をさらに効率よく進められる機器です。

熱交換の効率が改善すれば空調の圧縮機にかかる負担を削減でき、電気代の削減効果を高められます。

空調コスト削減方法9.室外機に散水装置を設置

散水装置で室外機を冷却すれば、夏場の電気代を削減できます。

外付けの散水装置は、室外機の上部へ設置するタイプの設備です。室外機全体を水で冷却した場合、室内の熱を外部へ放出したり減圧(冷媒の温度を下げる)させたりする際の消費電力量を削減できます。

散水装置を検討する際は、水道水と不純物の少ない純水どちらを活用するか、定期的なクリーニング費用と導入費用を比較しておくのが大切です。

  • 純水タイプ:水道水タイプよりは設置費用が高いが、不純物の付着を抑えられる。
  • 水道水タイプ:設置費用は純水タイプより安いが、不純物が付着して効率が低下するため、定期的なクリーニングが必要。

空調コスト削減方法10.AIやIOTに対応した空調設備の採用

近年では、空調の電気代削減方法にAIやIOT技術が活用されています。

AI・IOT技術による空調の自動管理システムは、前段で紹介したデマンド制御と異なり学習機能を搭載しているのが特徴です。

たとえば、温度センサーを備えたIoTデバイスを建物内に設置した場合、各センサーで記録した温度や湿度などの情報をもとに、適切な室温になるよう自動調整してくれます。

さらに学習機能を活用することで、室内の環境や使用状況に応じた空調管理を維持できます。

空調の電気代削減策で注意すべきこと

空調の電気代を削減する時は、従業員の体調使用時間や温度設定に気を付ける必要があります。

無理な使用制限や温度設定の変更禁止といった措置は、夏場なら熱中症、冬なら寒さによる体調不良といったリスクに繋がります。

電気代削減策を検討する際は、空調の温度設定や使用時間の調整だけでなく、メンテナンスやフィルター清掃、再生可能エネルギーの導入といった複合的な対策で対応しましょう。

最新の空調へ買い換える場合は補助金制度をチェック

経年劣化などによって性能が低下している空調を使用している場合は、最新の空調システムへ交換することで、消費電力量を抑えながら効率よく室内の温度を調整できます。

しかし、自社ビルや工場など建物全体の空調システムを交換する場合、規模に寄っては数百万円以上かかる場合もあります。費用負担を抑えながら空調設備の導入や交換を行うため、補助金制度の状況について確認しておきましょう。

国や自治体では、空調や脱炭素化につながる省エネ性能の高い空調やその他設備に関する補助金制度を実施しています。

たとえば2022年度の事例では、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」で1事業あたり20万円、「中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業」なら限度額1,000万円の補助金が交付されました。

以下に空調関連のおもな補助金制度の概要を紹介します。

先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金 ・指定設備導入事業では高効率空調の導入費用を補助
・補助金額:1年度あたり上限1億円、1事業あたり下限20万円
中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業 ・高効率換気設備や熱交換型換気設備、換気・空調一体型設備の更新や増設、新設費用を補助
・補助金額:対象経費の3分の2(上限1,000万円)
大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業 高機能換気設備や空調設備などに関する導入費用を3分の2補助(上限2,000万円)

2023年度の補助金制度は2023年4月時点で情報が少ないため、今後省庁や自治体HPから公開される情報を定期的に確認しながら、申請の準備を進めてみてはいかがでしょうか。

空調コストを含む全体の電気代削減なら太陽光発電が有効

太陽光パネルを屋根に設置することで、電気代の節約に加えて施設の遮熱性能の向上が期待できます。

とくに空調設備の稼働率が高まる夏場では、室内の温度上昇を3℃〜5℃程度抑える効果が見込まれます。夏場の遮熱性能が向上することで、室内の推奨温度を保ちやすくなり空調コストの削減に繋がります。

さらに、太陽光パネルによって発電した電気を自家消費することで電気代をさらに効率的に削減できます。

太陽光発電による電気代削減の効果は、設置容量や周辺環境など条件によって異なりますが、電気使用量の多い製造工場や商業施設の場合、年間ペースで数百万円から数千万円の電気代削減に繋がります。

【実例付き】自家消費型太陽光発電とは?仕組み・メリット・デメリットを分り易く解説

また、太陽光発電の導入には数百万円から数千万円の初期投資が必要となりますが、近年では「PPAモデル」という仕組みを利用して初期投資0円で太陽光発電が導入できるようになりました。

【事例あり】PPA太陽光とは?仕組み・メリット・デメリットを解説

屋根への太陽光パネル設置は専門家にご相談ください

空調コストを削減する方法には、空調設備の使い方を工夫することで無料で実践できる方法と、初期投資をかけて大きな削減効果を得る方法がありアプローチの方法も様々です。

空調設備の運用方法や稼働率などは施設によって異なるため、自社にとってどの方法がもっとも費用対効果が高いのかを調査する必要があります。

また、空調コストに加えて施設全体の電気代を効率良く削減する方法として、屋根への太陽光パネルの設置が有効です。

「株式会社ハウスプロデュース」は、太陽光発電設備の導入から設備の保守点検まで徹底サポートしております。

太陽光発電による電気代削減効果が気になる導入による費用対効果を無料でシミュレーションを承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース広報部

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当社は、産業用太陽光発電システムのEPC工事を専門に手がけています。経験豊富な電気工事士やエネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材を基に、EPC事業者としての「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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