工場・倉庫・商業施設・医療福祉施設・学校など、屋上の面積が広い施設では、家庭用の太陽光発電より多くのソーラーパネルを設置し、高い費用対効果を発揮できるケースが多いです。
この記事では、法人・企業が自社施設の屋上や屋根を活用して、太陽光発電を設置するメリットや注意点、また導入までの流れや費用を抑えて導入する方法について解説します。
目次
太陽光発電を屋上に設置するメリット
まずは、屋上に太陽光発電システムを設置することで法人・企業にとってどのようなメリットがあるか解説します。
屋上設置のメリット1. 自家消費による電気代削減
施設の屋上に太陽光パネルを設置することで、発電した電気を屋内で使用(自家消費)できます。
これにより、電力会社から購入する電力量を減らして電気代を大幅に削減できます。
電力会社から購入する電力量が減るということは、再エネ賦課金や燃料コストの上昇といった外部要因による電気代上昇リスクを軽減することにもつながります。
屋上設置のメリット2. 遮熱・断熱効果により屋内の温度環境を改善
屋上に太陽光パネルを設置すると、太陽光パネルが屋根への直射日光を防ぐことで建物の遮熱性が、太陽光パネルと屋上の間に空気の層が生まれることで断熱性が向上します。
これにより、夏場は建物内の温度上昇を、冬場は温度低下を軽減します。
太陽光パネルによる遮熱効果は、エアコンを設置していない工場や倉庫での労働環境の改善や、牛舎など家畜の熱中対策にも注目されています。
屋上設置のメリット3. 工場立地法における環境設備に含まれる
工場立地法では、一定の規模以上の工場(特定工場)に対し、敷地の一部を緑地や環境施設に充てることを義務付けています。
具体的には、特定工場の敷地のうち、20%以上を緑地、25%以上を環境施設にしなければならず、これに違反すると罰金などのペナルティを受ける可能性があります。
太陽光発電システムは環境施設に含まれており、屋上を活用して太陽光パネルを設置することで、敷地を無駄にすることなく環境施設の割合を増やすことができます。
屋上設置のメリット4. 非常用電源として活用が可能
自立運転付きのパワーコンディショナーを採用すれば、停電時でも太陽光パネルで発電した電気を使用できます。これによって、照明や通信機器など、最低限の事業所機能を維持できます。
また、蓄電池を併設し電気を貯めておけば、悪天候の日や夜間にも使用できます。
太陽光発電を屋上に導入するうえでの注意点
屋上への太陽光発電導入には多くのメリットがあることをお伝えしました。一方で、注意すべき点もあります。
屋上にある程度の面積が必要になる
屋上に太陽光パネルを設置する際、太陽光発電設備の容量に合わせて、設置スペースを確保する必要があります。
太陽光発電の設備容量に対して、設置に必要な面積は下記の通りです。
容量 | 傾斜屋根の面積 | 陸屋根の面積 |
---|---|---|
10kW | 100m² | 150m² |
30kW | 300m² | 450m² |
50kW | 500m² | 750m² |
100kW | 1,000m² | 1,500m² |
表からわかるように、陸屋根より傾斜屋根のほうが、より少ない面積で多くの太陽光パネルを設置しやすい傾向にあります。
それは、太陽光パネルは角度をつけることで発電効率が上がるからです。傾斜のついた屋根であれば、もともとの屋根の角度を活かすことで太陽光パネルを敷き詰められます。
しかし、傾斜がない水平な陸屋根の場合、太陽光パネルに角度をつけて設置することがあります。その際は、前方のパネルの影が後方のパネルにかからないように間隔をとる必要があります。
立地条件によっては期待した発電量にならない可能性がある
いくら屋上の面積が広くても、日射量が確保できなければ、太陽光パネルで十分な発電量が保てない可能性があります。
自社の屋上に影をつくるような木や建物が周りにないかどうかや、屋根の方角なども含めて検討すべきでしょう。
屋上の形状によって架台が必要になる
太陽光パネルは角度をつけて設置するのが一般的です。そのため、水平な屋上や陸屋根の場合は、専用の架台に対する費用が追加で必要になるケースがあります。
旧耐震や強度の問題で設置できないことがある
そもそも、屋上や屋根の状態によっては太陽光パネルの設置が難しいケースがあります。
たとえば、設置対象の建築物が旧耐震基準である場合、屋根への太陽光発電設備導入は推奨されていません。新耐震基準に切り替わった1981年6月1日以降に建築認定申請を受けている必要があります。
また、屋根の材質や形状を踏まえて強度が足りなければ設置が不可能と判断されることもあります。建物への導入が可能かどうかは自己判断が難しいため、業者に相談し確認しましょう。
屋上の太陽光発電では防水加工も大切
屋上への太陽光発電導入では、設置場所の条件によっては屋根に防水加工を施したほうがよいことがあります。
太陽光パネルは30年近く稼働が見込まれる設備です。しかし、防水がそれ以下の耐用年数だと、太陽光発電パネルが寿命を迎える前に防水の大改修が必要になってしまいます。太陽光パネルが乗ったままの防水施工は容易ではありません。
そのため、必要に応じて以下のような防水加工を施すことがおすすめです。
ウレタン防水 | 液体状のウレタン樹脂を複数回塗ることでつなぎ目のない防水層を形成します |
---|---|
シート防水 | 塩化ビニールやゴム製のシートを、専用の接着剤や機械で屋上に固定します |
アスファルト防水 | 合成遷移不織布にアスファルトを含ませ、コーティングしたシートを貼り重ねます |
当社では、現地調査の際に防水加工の必要性も合わせてチェックし、必要に応じて屋上の防水施工を行います。その際、屋上や屋根に合った加工を行っております。
太陽光発電での雨漏りは大丈夫?トラブルを防ぐ対策
信用できる施工会社へ依頼する
何より大切なのは、施工面で信用できる施工会社を選定することです。太陽光発電の施工実績だけでなく、屋根設置のノウハウが豊富な業者が理想です。
不安な場合は複数業者に話を聞き、その業者がどうやって雨漏りを防ぐ工夫をしてくれるか、納得のいく回答をしてくれるかなどを踏まえつつ業者を選びましょう。
保証内容を確認する
雨漏りについて、太陽光発電メーカーが保証をしてくれることもありますが、施工による不具合については、施工会社によっては補償されないこともあります。施工会社の保証・補償内容はよく確認しておきましょう。
陸屋根の太陽光発電で雨漏りリスクを軽減するアンカーレス工法
画像提供|ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社
近年、普及している「アンカーレス工法」は、従来の工法に比べて「安い・軽い・追加の防水加工が必要ない」という特徴を持っています。
- 屋根に穴を開けずに施工するため防水加工は不要
- 当初の防水保証は継続
- アンカーがなくても風で飛ばない設計(メーカーによって異なるが、風速55m/sまで耐えられる)
- 従来に比べて荷重を大幅に削減
(※アンカー:さまざまな構造物を固定するためのボルトなどの器具)
アンカーレス工法 | 従来の工法 | |
---|---|---|
荷重(パネル含む) | 約15kg/㎡ | 約50kg/㎡ |
アンカーの必要性 | 不要 | 必要 |
漏水のおそれ | 無し | 穴をあけるため有り |
工期(10kW・電気工事含まない) | 約1日 | 約2日 |
搬入 | エレベーターでも可 | 基本的にクレーンが必要 |
風速制限による設置建物の制限が30メートル程度であるという注意点はあるものの、従来の工法よりコストが抑えられ、屋上への負担が少ないことは魅力です。
屋上に太陽光発電を設置する前に確認すべき事項
旧耐震基準
建築物が旧耐震基準である場合、屋上・屋根への太陽光発電設備導入は推奨されていません。新耐震基準に切り替わった1981年6月1日以降に建築認定申請を受けている必要があります。
影が落ちないか、室外機がスペースをとっていないか
屋上に影をつくるような木や建物が周りにあると、設置面積が広くても発電量が伸びない恐れがあります。また、屋上に室外機やキュービクルを設置している建物の場合、太陽光パネルを設置するスペースが減少する可能性もあります。
しかし、仮に影が入ったりスペースが限られていたりしても、設計の工夫によって発電量の減少を抑えることができます。そのためにも、設計力・施工の技術力を持った業者への依頼が大切です。
コストを抑えて太陽光発電を設置するポイントを抑える
屋上への太陽光発電設置にはメリットもデメリットもあります。コストを抑えて設置するためには、以下のようなポイントを意識しておくとよいでしょう。
- 技術力に優れ、素早く設置できる業者を選定(工期が長いと人件費がかさむ)
- 設計力がある業者を選定(設置後に十分な発電ができれば、費用の早期回収が可能になるため)
- 陸屋根の場合はアンカーレス工法を検討する
- 自社が対象となる補助金・税制優遇を利用する
屋上に太陽光発電を設置するまでの流れ
太陽光発電の業者へ設置を依頼する際の流れを解説していきます。
- 周辺環境の把握
- 日射状況を把握するため、近隣の建築物の配置状況について、図面などを用いて整理します。
- 日照条件の検討
- 設置場所の絞り込み・日射遮へい物の有無・日照時間などを調査し、建物が太陽光発電設備に適しているか、さらに深堀りします。
- 日照条件に適合する部材の検討
- 太陽光パネルの選定・最適なパネル角度や容量・屋根の耐荷重などを踏まえ、部材選定をおこないます。
- 最終的な導入判断
- 1から3の工程から作成した提案書をお客さまに提示し、最終的な導入判断をしていただきます。
まとめ|屋上を活用した太陽光発電が注目
太陽光発電の設備を建物の屋上に設置する際の、メリットや注意点・流れなどを解説しました。日本でも脱炭素社会の実現が叫ばれるなか、企業の取り組みとして再生可能エネルギー活用が当たり前になっていくといっても過言ではないでしょう。
自社の脱炭素経営を推進しながら、長期的な電気代削減や節税投資にもなる太陽光発電を検討し始めてはいかがでしょうか?
企業・法人の屋上への太陽光発電はハウスプロデュースにお任せください
ハウスプロデュースは、太陽光発電設備で6,500件以上、屋根修繕で12,000件以上の施工実績を積み上げてきました。そのノウハウを活かし、屋上への太陽光発電導入では、あらゆる状況に応じて適切な設計・施工を行います。
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- 屋根修繕工事1,2000棟の実績保有のノウハウを活かし、必要に応じて屋根工事から対応可能。
- 商社をはさまず、メーカーから直接交渉で部材調達が可能。高品質な国内パネルも安価に調達。
- ストリング最適化や高圧受電設備改造など、高度な電気工事も自社で対応。
- 利用できる補助金や税制優遇のご提案・申請サポート。2020年度から2023年度において補助金採択率90%。
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当社にて建物の屋上に太陽光発電を設置いただいたお客さまへのインタビュー記事では、導入後のリアルな感想をいただいております。そちらもぜひ参考にしてください。