「非化石証書」という言葉をご存知ですか?
CO2を出さない「再生可能エネルギー」で発電された電気には、環境的な価値があります。再生可能エネルギーは、「非化石」で発電できるため、CO2を排出せず地球温暖化抑制に貢献します。
その環境価値を取り出して、証書として実在化し、売買できるようにしたものが「非化石証書」です。
この記事では、「非化石証書」の概要と、再生可能エネルギー発電の1つである「自家消費型太陽光発電」についてご説明します。
目次
非化石証書とは
冒頭でも触れましたが、非化石証書とは、作られた電気が化石燃料を使用していない「非化石」の電気であることを示すものです。この非化石証書は、2018年5月にスタートした「非化石価値取引市場」で売買することが可能です。
非化石証書は、「FIT非化石証書」と「非FIT非化石証書」に分かれます。
FIT非化石証書 | 太陽光発電、風力発電、小水力発電などFIT(固定価格買取制度)が 適用される発電方法で発電された電気に対する証書 |
非FIT非化石証書 | FITの期間が満了した再エネ発電や大型水力発電、 原子力発電などで発電された電気に対する証書 |
非化石証書が導入された背景
非化石証書が導入されるようになった背景には、日本が火力発電に依存してきた状況を変え、再生可能エネルギー普及を促進するという目的があります。
再生可能エネルギーの普及
2019年の統計では、日本の発電方法の約75%は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を使用しているという結果が出ています。化石燃料を使用すると、CO2が排出されるため、地球温暖化の原因になります。このCO2排出量を減らすことは、日本だけでなく世界の課題となっています。
また、発電事業者から電気を調達し販売する「小売電気事業者」は、調達する電気のうち、「非化石電源(化石燃料を使っていない電気)の割合を2030年度までに44%以上にする」ことが求められています。この比率は、「エネルギー供給構造高度化法(高度化法)」によって定められています。
小売電気業者は、非化石証書を購入することで、CO2フリーの電気を需要家に販売でき、高度化法で定められた「非化石電源44%」の目標達成に利用できます。
非化石証書は、非化石電源である再生可能エネルギーで発電した電気を実在化し、価値を与えることで、再生可能エネルギーを普及させるという目的を持っています。
再エネ賦課金による国民負担の軽減
非化石証書のもう一つの目的は、「再エネ賦課金」の負担を軽減することです。
太陽光発電など、再生可能エネルギーで発電した電気は、2012年にFIT(固定価格買取制度)が始まるまで、発電コストが高く、あまり導入が進んで来ませんでした。
そこで、国はFITを制度化し、電力会社が固定価格で買い取ることで、再生可能エネルギーの普及を狙いました。この買取費用は、「再エネ賦課金」として国民の電気代に加算されているため、再エネ賦課金の負担増加が問題視されています。
非化石証書の取引で生まれた売上は、再エネ賦課金の原資にあてられます。そのため、非化石証書取引の活発化によって、国民負担の軽減が期待されています。
日本初の非化石価値取引入札は4円/kWhが最高価格
日本で初めての非化石価値取引市場は2018年5月14日開始され、5月18日に結果が通知されました。
この取引で販売された非化石証書は511万5738kWhで、入札に参加した26社によって1kWhあたり最安1.3円、最高4円で落札されました。
この取引では、2017年4~12月に発電された固定価格買取制度(FIT)の認定設備によってつくられた電気の非化石証書が取引対象となりました。
非化石証書を購入した小売電力会社は、販売する電気に非化石証書を活用できるようになり、「再生可能エネルギーの販売」「CO2フリー電気の販売」を実質的に謳うことができます。
非化石価値取引市場の今後
2020年度以降は、一般企業も非化石証書を活用しやすい状況が作られるかもしれません。
2020年度以前は、証書の売り手が「費用負担調整機関」、買い手が「小売電気事業者」となっていました。簡単に言えば、発電事業者側に収益は生まれない仕組みだったのです。
しかし、2020年度からは「発電事業者」が条件付きで証書の売り手に回ることが可能です。
●証書の売り手・買い手の整理
FIT電源非化石証書 | 非FIT電源非化石証書 | |
---|---|---|
買い手 | 小売電気事業者 | |
売り手 | 費用負担調整機関 (証書による収入は再エネ賦課金の軽減に使用) |
発電事業者 (証書による収入は事業収入として計上) |
非FIT非化石証書では発電者が売り手に
2020年度から、「非FIT非化石証書」が新たに加わりました。対象の電源は、大型水力・原子力・FIT適用外の再生可能エネルギーです。国が指定する認定を取得し、発電電力量の認定を受けたうえで、発電事業者が発行します。
FIT適用外の再生可能エネルギー発電で、発電事業者となれる発電方法のひとつが、「自家消費型太陽光発電」です。次の見出しから解説していきます。
自家消費型太陽光発電とは?
「自家消費型太陽光発電」とは、工場・倉庫・店舗などの事業所の屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電気を事業所内で使用するタイプの太陽光発電です。
電気の地産地消を行うと、これまで電力会社から購入していた電力量がカットされ、大幅に電気代を削減できます。初期費用は10年前後で回収でき、それ以降は発電した分(=電力を買わなくて済んだ分)がまるまる浮いた経費となります。
法人の電気代は2030年まで上昇すると言われており、「高い電力を買う」よりも「自社で作る」方がお得な時代に突入しています。
初期費用0円で設置することも可能
太陽光発電による経費削減に興味はあれど、「決して安くはない初期費用がネック」という経営者の方や設備担当の方もいます。
その場合、初期費用0円で太陽光パネル等の設備を設置できる「PPAモデル」や「リース」といった方法をとることも可能です。
自社で購入するより、電気代の削減額は減少しますが、資金なしでも導入できることが魅力です。「PPAモデル」や「リース」については、以下の記事で解説していますので、そちらもご覧ください。
まとめ
今回は、非化石証書について、また非化石証書と関連の深い太陽光発電についてご説明しました。
今後、企業の温室効果ガス削減に向けて、再エネ発電の比率はさらに高まるでしょう。その流れで、今以上に非化石証書の取引が活発になるかもしれません。
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