世界的に「RE100」という国際イニシアチブが広まってきています。
この流れを受けて、国内でもグローバルに展開する大企業を中心にRE100への加盟が増えています。そこで今回は、RE100の内容や、企業がRE100加盟に加盟するための条件とメリットについて紹介していきます。
目次
RE100とは?
RE100の目標
RE100とは、事業運営に使用するエネルギー(電力)の100%を再生可能エネルギーで調達することを目標とする、国際的な企業連合です。
RE100の名称
RE100は、「Renewable Energy 100%」の頭文字からとられています。Renewable Energyとは、「再生可能エネルギー」を意味します。
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーとは、自然界に常に存在し、枯渇しないエネルギー源のことです。具体的には、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが再生可能エネルギーにあたります。
RE100と再生可能エネルギーの関係
RE100は、2014年にイギリスで発足しました。RE100は世界に広まり、2023年7月時点では、世界的な企業を中心に390社(日本企業75社)が加盟しています。RE100に参加する企業は、おもに以下の方法で再生可能エネルギーを調達しています。
- 太陽光発電など再生可能エネルギー発電設備を設置する
- 再生可能エネルギー由来の電力を購入する
- 再生可能エネルギークレジットを購入する
RE100は、企業が事業活動における環境負荷を削減し、脱炭素社会の実現に貢献する取り組みとして注目されています。
企業がRE100に加盟するための条件
RE100の加盟基準
RE100には、すでに400社近い企業が加盟しています。RE100に加盟できるのは、以下の4つの基準のうちいずれかに該当する企業です。
- 世界的な企業、または国内で認知度や信頼度が高い企業
- 主要な多国籍企業
- 電力消費量が100GWh以上(日本企業は10GWh以上)の企業
- RE100の目的に貢献できる、特徴や影響力を持っている企業
日本企業の場合の加盟基準
日本企業の場合、特に電力消費量が10GWhを超えているかどうかが重視されています。これは、日本は再生可能エネルギーの普及が遅れているため、大規模な電力消費量を抱える企業の参画が、脱炭素社会の実現に大きなインパクトを与えると期待されているためです。
RE100の加盟企業に求められるもの
RE100の加盟企業は、2050年までに事業運営に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標としています。また、中間目標として以下の基準が定められています。
- 2020年:再エネ割合 30%
- 2030年:再エネ割合 60%
- 2040年:再エネ割合 90%
- 2050年:再エネ割合 100%
ただし日本においては、諸外国と比べて再生可能エネルギーの普及が遅れていることを考慮して、これらの中間目標は必須ではなく推奨となっています。
企業がRE100に加盟するメリット
RE100は、事業運営に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする、国際的な企業連合です。RE100に加盟すると、以下のメリットがあります。
ESG投資において、投資家や金融機関からの評価が高まる
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点から企業を評価する投資手法です。RE100は、ESGの観点から見ても優れた取り組みであるため、RE100に加盟している企業は、ESG投資において投資家からの評価が高まります。
エネルギーコストの高騰リスクを回避できる
電力(エネルギー)を作り出すために必要となる資源(化石燃料)は有限であり、将来的に価格が高騰する可能性があります。RE100に加盟し、再生可能エネルギーを活用し、化石燃料に依存しない電力調達を図ることで、将来的なエネルギーコストの高騰リスクを回避することができます。
再エネ先進国の企業との情報交換ができる
RE100には、世界各国の企業が加盟しています。再エネ先進国の企業には、再生可能エネルギーの導入や普及に関する豊富なノウハウがあります。RE100に加盟することで、再エネ先進国の企業と情報交換を行うことができ、自社の再エネ導入や普及を加速させることができます。
RE100に加盟している日本企業(2023年7月時点)
2023年7月時点、RE100に加盟している日本企業の一例としては以下のとおりです。
- イオン株式会社
- ソニー株式会社
- 株式会社リコー
- 積水ハウス株式会社
- 大和ハウス工業株式会社
- 丸井グループ株式会社
- 大東建託株式会社
- 東急不動産株式会社
- 株式会社野村総合研究所
- 株式会社髙島屋
- ワタミ株式会社
製造業や小売業、金融業など、業種問わずRE100に加盟されています。RE100は、企業の脱炭素化に向けた取り組みを促進する上で、重要な役割を果たしています。そのため、今後も国内外から加盟企業が増えていくことが予想されます。
中小企業から見たRE100の重要性
RE100の加盟条件を考えれば、中小企業がRE100に加盟するのは難しいと言えるでしょう。しかし、RE100は中小企業にとっても重要です。
その理由は、RE100の加盟企業の中には、取引先にも再エネ化を求める企業もあるからです。
例えば、RE100の加盟企業の一つであるイオンは、提携企業にも再エネ化の協力を求めています。また、RE100の加盟企業であるアップルでは、取引先を選ぶ基準として、その企業が再エネ化に取り組んでいるかを含めると公言しています。
このような、ビジネスチャンスを逃さないためにも今後は中小企業でも再エネ化の取り組みが重要になってくるのです。
中小企業の再エネ導入メリット
ビジネスチャンスを逃さないこと以外にも再エネ設備を導入して再エネ化を進めることには、中小企業にとって大きなメリットがあります。ここでは、その主なメリットについて紹介していきます。
J-クレジットとしてCO2削減分を現金化できる
再エネ設備を導入すれば「J-クレジット制度」を利用して、現金を得られます。
J-クレジット制度とは、中小企業などが再エネ設備を導入したり、森林の管理をしたりすることによって、二酸化炭素などの温室効果ガスを削減した際、それを国が「クレジット」として認証する制度です。
このJクレジットは購入希望者に販売できます。
クレジットを購入した企業は、購入した分だけ自社での二酸化炭素の排出量を減らしたと見なされます。これにより、購入側の企業も環境配慮への取り組みを対外的にアピールできるのです。
販売側にはお金が入り、購入側は企業評価が向上するため、J-クレジット制度は双方にメリットのある制度だと言えるでしょう。
温暖化対策への取り組みPRができる
J-クレジット制度を活用することで評価が高くなるのは、購入側の企業だけではありません。むしろ再エネ設備を導入しているクレジットの販売側の企業の方が、対外的な企業の評価は高くなると言えるでしょう。
Jクレジットを販売する側の企業は、再エネ設備を導入している時点で二酸化炭素の排出量の削減、ひいては地球環境に配慮していることになるからです。再エネ設備を導入した企業は、温暖化対策に取り組んでいることをアピールできます。
企業のお客さんに対してはもちろん、先ほど紹介したESG投資においても高い評価と信頼を得ることができます。
新しい取引先の開拓の際、有利になる
再エネ設備を導入していれば、新しい取引先の開拓にも役立つはずです。
先ほども説明したとおり、RE100の加盟企業のなかには取引先にも再エネ化を求めているところもあります。こうした企業と取引したい場合、再エネ設備の導入は十分なアピールポイントになります。
RE100に加盟していない企業が相手でも、再エネ設備があることを話せば相手の企業から好印象を得られる確率は高いと言えるでしょう。
RE100は、世界的な注目を集めている国際イニシアチブです。加盟した企業はESG投資などで高い評価を得られるほか、将来的な化石燃料の高騰リスクにも備えられます。
RE100に加盟できない中小企業も再エネ化を進めることでこうしたメリットを享受できるので、ぜひ再エネ設備の導入を検討してみてはどうでしょうか?
RE100企業も注目する自家消費型太陽光発電とは
RE100普及の流れで注目度が高まっているのが「自家消費型太陽光発電」です。自家消費型とは、会社・工場・店舗などの屋根や空いたスペースに太陽光パネルを設置し、発電した電気を自分たちで使用するタイプの太陽光発電です。
自家消費型太陽光発電によって、企業は以下のメリットを得られます。
- 電気代削減
- CO2排出量の削減(環境価値の創出)
- BCP対策
- 税制優遇
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)では、企業向けに太陽光発電に関するご相談を承っております。当社へご相談いただいた案件のなかには、「取引先のRE100加盟企業からの将来的な要請に対応するため」という目的を含めて検討いただいた中小企業様もいます。
導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。