即時償却と特別償却のメリット・デメリット | 中小企業の節税テクニックを解説
「即時償却」jは、一定以上の設備投資をすることで、一気に大きな「費用」を発生させる仕組みです。これにより、企業によっては大幅な節税効果を生むことが可能です。
今回は、中小企業が節税対策で知っておきたい即時償却について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
減価償却とは
即時償却や特別償却の違いを理解するために、はじめに基本となる「減価償却」からおさらいしていきます。
通常、設備を購入した際は「減価償却」が 適用され、その費用は定額法で定められた「法定耐用年数」に応じて、複数の年度に分けて「費用」として計上していきます。法定耐用年数の期間内は、毎年減価償却費が発生するので、節税効果を保てます。
減価償却における定額法と定率法について
引用元:減価償却を行うメリットと計算方法|クラウド会計ソフト freee
減価償却の重要なポイントとして「定額法」と「定率法」があります。法人の場合、通常は減価償却は定額法で計上されますが、機械装置・車両運搬具・器具備品にあたる資産については、定率法を選択して計上することも可能です。
- 定額法
- 毎年、資産の減価償却費を分割し同額を経費計上する
- 定率法
- 2年目以降、前年の減価償却費を差し引いた額を経費計上する
定率法は、1年目からの減価償却費が大きいため、節税効果は大きいです。見かけ上の利益を少なくできますので、損益通算した際の法人税を節税できます。また、資金の回収が早まることにより、金融機関からの融資も受けやすくなるメリットがあります。
即時償却とは
設備を購入した際、通常は先述した「減価償却」が適用され、購入費用は設備の耐用年数に応じて毎年分割で経費計上します。しかし、「即時償却」が適用されると、設備の購入費用を初年度に「全額」経費として計上できます。
これは、中小企業を支援するために設けられた「中小企業経営強化税制」による税制優遇です。
例えば、費用1000万円・法定耐用年数10年の設備投資を行なった場合、以下のように経費計上します。
- 減価償却
- 毎年「100万円」を10年にわたり経費として計上(定額法)
- 即時償却
- 初年度に「1000万円」を経費として計上
即時償却のメリット
即時償却をすることで、以下のようなメリットが得られます。
- 設備を購入した翌年の法人税の負担が抑えられる
- キャッシュフローが改善される
- 別の投資に使用するなど、資金を効率よく回せる
新型コロナの影響や物価の高騰など、先行きが不透明ななか、即時償却によって当面の法人税を抑えて、手元に資金を残すとことは、ひとつのリスクヘッジとして有効です。
即時償却のデメリット
即時償却では、減価償却のように2年目以降は費用として計上できなくなる点に注意が必要です。そのため、即時償却を活用する際は、例年以上に利益が多い年にタイミングを合わせられなければ、メリットが薄くなってしまいます。
即時償却の活用は、税理士と相談した上で判断することをオススメします。
特別償却とは
特別償却とは、通常の減価償却とは別で経費の追加計上ができる税制優遇措置です。
具体的には、設備投資による減価焼却費に、設備取得価格プラス30%の特別償却が可能で、青色申告を行う中小企業(資本金3,000万円以下の法人、個人事業主)が利用できます。
例えば、法定耐用年数10年の設備を1000万円かけて設備投資を行なった場合、以下のようになります。
- 減価償却
- 毎年「100万円」を10年にわたり経費として計上(定額法)
- 即時償却
- 初年度に「400万円(100万円+1,000万円×30%)」を経費として計上
特別償却のメリット
- 設備を購入した翌年の法人税の負担が抑えられる
- 適用年度を1年繰り越すことができる
特別償却のメリットも、即時償却と同様に、設備投資を行なった翌年の税金を節税できることがメリットの1つです。また、適用年度をずらすことが可能で、会社が赤字の場合は次年度に計上するという使い方もできます。
適用するタイミングに柔軟性があるため活用しやすい節税方法です。
特別償却のデメリット
- 適用年度をずらすと、会計処理が複雑になる
- 即時償却よりインパクトは落ちる
特別償却の適用年度の繰越は、メリットでもある一方、実際にやるとなると会計処理が複雑になる点に注意が必要です。会計士を雇っていない場合は、時間や金銭面のコストが発生します。
節税方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
即時償却 | 初年度に全額償却が可能(節税効果が高い) | 利益が多い年に合わせて使用する必要がある |
特別償却 | ・取得価格の30%の償却が可能 ・翌年に繰り越して適用出来る |
・会計上の計算が複雑になる ・即時償却よりはインパクトが薄い |
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中小企業経営強化税制(即時償却 or 税額控除)
即時償却と特別償却のメリット・デメリットを説明しましたので、実際に「即時償却」「特別償却」「税額控除」を活用できる税制優遇をご紹介いたします。
中小企業経営強化税制は、青色申告をする中小企業・小規模事業者による積極的な設備投資を後押しする優遇税制です。設備投資による取得価格の即時償却、もしくは7%( 資本金3,000万円超1億円以下の法人は10%)相当額の税額控除どちらかを選択・適用できます。
中小企業強化税制の対象となる設備は、A型類、B型類があります。それぞれ優遇税制を利用できる条件が異なります。
(参照元:中小企業庁|中小企業税制(PDF))
- A型類:経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備
(工業会等から証明書を取得する必要があり)- B型類:年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれること
(経済産業局から確認書を取得する必要があり)
A類型 (対象設備) | B類型 (対象設備) |
---|---|
・測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内) ・器具備品(30万円以上/6年以内) ・建物付属設備(60万円以上/14年) ・ソフトウェア(70万円以上/5年以内) |
・機械装置(160万円以上) ・工具(30万円以上) ・器具備品(30万円以上) ・建物付属設備(60万円以上) ・ソフトウェア(70万円以上) |
中小企業経営強化税制は、2023年3月末まで中小企業経営強化税制による即時償却または税額控除が利用可能です。
即時償却と税額控除はどちらがお得?
中小企業経営強化税制では、即時償却と税額控除を選択できます。どちらがお得かは、企業状況によって異なるという回答になります。
純粋に法人税の支払い総額が減るという意味では、税額控除のほうがお得といえます。即時償却は課税の免除や非課税ということではなく、あくまで減価償却を前倒しして節税効果が出るタイミングを早めているに過ぎません。その点、税額控除は特例的に税額の減少が認められます。
しかし、税額控除がお得というのは、設備の耐用年数全体を通しての話であり、設備の取得から早い時期での税額減少でいえば、即時償却のほうが効果が大きいです。投資資金の早期改修・キャッシュフロー改善に繋がる即時償却は、新型コロナウイルスの影響や経済の縮小など、先行きが不透明ないまの状況では投資リスクの回避に繋がります。
少し難しい話になりましたが、即時償却と税額控除は、個々の会社の状況によってどちらを適用すべきか異なります。専門家である税理士などに事前に相談し、検討することをおすすめします。
中小企業投資促進税制 (特別償却 or 税額控除)
中小企業経営強化税制は、中小企業・小規模事業者の積極的な設備投資を後押しする優遇税制です。設備投資の取得価格30%の特別償却(注1)、もしくは7%( 資本金3,000万円超1億円以下の法人は10%)相当額の税額控除どちらかを選択適用できます。
(注1)中古品、貸付の用に供する設備は対象外です。
●中小企業投資促進税制の対象設備
設備 取得価額要件 機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの 測定工具・検査工具 1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの (事業年度の取得価額の合計額が120万円以上のものを含む) 一定のソフトウェア 一定のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの (事業年度の取得価額の合計額が70万円以上のものを含む) 普通貨物自動車 車両総重量3.5t以上(注2) 内航船舶 全て(注3) (注2)普通貨物自動車は、道路運送車両法に規定する普通自動車で、貨物の運送の用に供するものが対象です。 (注3)取得価額の75%が対象となります。
(参照元:中小企業庁|中小企業税制(PDF))
節税と経費削減を同時に実現!自家消費太陽光発電
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)が導入を支援している自家消費太陽光発電は、先ほどご紹介した中小企業強化税制・中小企業投資促進税制のどちらも対象となっています。
中小企業経営強化税制(即時償却)を利用して導入した場合の節税ケース
上記の画像の条件で、1,000万円の自家消費太陽光発電を導入すると仮定します。中小企業経営強化税制による即時償却を適用した場合、取得価格の1,000万円をそのまま経費として計上できます。課税対象額が3,000万円から2,000万円まで減少し、約350万円の節税効果が生まれます。
太陽光発電は節税以外のメリットも豊富
自家消費太陽光発電では、太陽光パネルが発電した電気をそ施設内で使用できるため、電力会社から購入する電気の量を大幅に減らし、電気代削減効果が得られます。
また、電気使用の状況によっては、FIT(固定買取価格制度)を利用し、太陽光パネルで発電した電気を使い切れなかった場合や、休業日の発電分を電力会社に売ることも可能です。
(*FIT適用は、期日(例年12月ごろ)までに電力会社及び、経済産業省への申請認定が必要です)
このように、自家消費太陽光発電による設備投資は、「即時償却特」「特別償却」「税額控除」いずれかを活用すると同時に年間の電気代を大幅に削減することができます。
税制優遇を活用した自家消費太陽光発電のご相談はお任せ隊へ
中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制を受けるには一定の条件を満たしている必要があります。また、今回ご紹介しきれていない自家消費太陽光発電のお得な導入方法などもございます。節税対策をご検討されている企業様は是非一度、当社・ハウスプロデュースにご相談ください。
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