REアクションとは?|中小企業の再エネ化に向けた取り組みを支援

再生可能エネルギー比率を高めて温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化を抑制する動きが世界的に進んでいます。

たとえば、2050年までに事業で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標とする国際イニシアチブ「RE100」が2014年に発足しました。2020年4月時点で230社が加盟しています。しかし、加盟できるのは条件的に大企業に絞られます。

一方、RE100の対象にならない中小規模の企業の電力需要は国内全体の40~50%、団体数は約400万団体にのぼるとみられています。

そこで、中小規模の企業や団体を対象として、RE100のような団体をつくることを目的として、2019年に「再エネ100宣言 RE Action(以下:REアクション)」が国内で発足しました。本記事では、「REアクション」の特徴や加盟のメリットを詳しく紹介します。

REアクションとは?【中小企業の再エネ100%へ向けた取り組み】

2019年10月に、グリーン購入ネットワーク(GPN)、イクレイ日本(ICLEI)、公益財団法人 地球環境戦略研究機関IGES)、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)の4団体によって発足、中小規模の企業・団体でも、使用電力の再エネ100%利用(RE100)を促進・実現することを目指す新たな取り組みです。

RE Action

消費電力量10GWh未満の企業・自治体・教育機関・医療機関等を対象とし、再エネ100%で事業活動を行うことを宣言し、再エネ100%利用を促進するという内容です。

参加団体は行政、非営利団体、企業など62団体が加盟し、総消費電力量787GWhに相当します。(2020年4月現在) REアクションへの参加により、企業や団体として「地球温暖化抑制に向け再エネ化が必要」とのスタンスを社会に発信することができます。

また、多くの団体が加盟して再エネ化を推進することにより、「再エネ電力の低価格化、低価格化による更なる需要の増加」が期待されています。

また、REアクションの特徴の1つに「アンバサダー」の仕組みがあります。

アンバサダーは、REアクション参加団体を支援する立場として、活動紹介・PRなどを行います。 中央省庁、都道府県、政令指定都市が対象で、2020年4月現在、10団体が参加しています。

RE100との違い

RE100とは、2050年までに事業で使用する電力の100%を再エネ由来の電力にすることを公約する世界的イニチアシブです。

参加企業は、環境経営を目指すことで経済メリットや企業価値の向上など、企業にとってメリットを得ることができる環境経済活動です。

しかし、RE100への参加条件として以下が求められます。

  • 世界的な企業、または国内で認知度や信頼度が高い企業
  • 主要な多国籍企業
  • 電力消費量が100GWh以上(日本企業は10GWh以上)の企業
  • RE100の目的に貢献できる、特徴や影響力を持っている企業

日本企業の場合、上記4項目の内、特に電力消費量が10GWhを超えているかどうかが重視されています。

いずれにしろ、大企業を対象にしています。日本の企業では、三菱地所株式会社、楽天株式会社、イオン株式会社など31社が参加しています。

一方、RE100の対象に当てはまらない企業の電力需要は国内40~50%、団体数は約400万団体とみられています。

REアクションは団体の規模や種類に関わらずに参加できる枠組みであり、社会全体で再エネ率を促進する枠組みとして発足しました。

RE100責任者のサム・キミンス氏は、「RE100」と「REアクション」が、日本で互いに協力し合いながら再エネの動きを加速することを期待するメッセージを発信していますこの2つイニシアチブにより、多くの事業者、団体を巻き込んだ再エネ化の動きになることが期待されています。

GPN:グリーン購入ネットワーク
持続可能な社会の基盤構築のため、あらゆる分野でのグリーン購入を普及させること使命とする団体。環境負荷低減を考慮に務める事業者から優先して製品(家具・資材・サービス・OA機器・衣類など)をすること(グリーン購入)を促進する団体。環境情報の整備・グリーンコンシューマーの育成・環境に配慮した製品サービスの製造、購入を促進する政策提言などを行う。
ICLEI:イクレイ日本
地方自治体による国際的組織。 持続可能な都市・地域の実現を目指し世界中に1700以上の自治体(イクレイ会員)から構成されてる世界最大規模の自治体ネットワーク。 世界中の都市政策リーダー・企業・NPO・研究者などを集い、都市の抱える持続可能な都市造りへの課題解決向けて議論や意見交換を行う場(イクレイ世界大会)を主催している。
IGES:アイジェス(公益財団法人 地球環境戦略研究機関)
1998年3月に日本政府のイニシアティブと神奈川県の支援により設立。 気候変動の調査研究・生態系保護・ガバナンスの整備・グリーンビジネスや雇用市場を含むグリーン投資の分析を研究し持続可能な社会(SDGs)実現に向けて活動している団体。
JCLP:日本気候リーダーズ・パートナーシップ
脱炭素社会への移行を「ビジネス市場」「次なる発展と機会」と捉えて、政権立案者・産業界・企業家とのコミュニケーションの場を設けて活動する日本企業グループ団体。 脱炭素・気候変動対策・RE100を経営課題として参加企業は事業を通じて実現を共に目指している。

REアクションへの加盟条件とは?

REアクションに参加するには下記の参加費が必要です。事業規模が小さいほど参加費が低く設定されています。

REアクション加盟の対象団体は「電力消費が10GWh未満など、RE100の対象にならない日本の企業、行政、教育機関、民間団体、公共団体等」であり、加盟条件は次の3点です。

遅くとも2050年までに消費電力を100%再エネ化する目標を設定し宣言すること

ウェブサイトでの公表(プレスリリース等)による宣言が必要です。その際には100%化に至る中間目標の設定、宣言も奨励されています。

消費電力量と再エネ率の年次報告を行うこと

報告内容はREアクションで集計され、webサイトで公開されます。

再エネ拡大に向けた政策提言への参加に合意すること

再エネの普及に関する政策に賛同するなどのスタンスが求められます。

REアクション加盟5つのメリット

REアクション加盟のメリットは主に次の5点です。

メリット1 ”RE Action”ロゴの使用

webサイト、名刺、団体案内に”RE Action”ロゴが使用できます。ロゴの使用により、環境問題への取り組みをPRできます。

メリット2 再エネ化に取り組んでいる団体間での情報交換

JCLP会員間の情報交換を目的に運営される「脱炭素情報プラットフォーム」に参加でき、再エネに関する事例などの情報交換ができます。

メリット3 RE100加盟企業との交流

RE100加盟企業など、環境問題の改善に取り組む日本の大企業と交流するチャンスがあります。

RE100に加盟するApple社では、Apple製品を製造するサプライチェーンにも再エネ導入を求めることが発表されています。

既に大手企業にとって、自社に関わる中小企業などのビジネスパートナーにも再エネ導入は必須事項であることが具体的な動きとして表面化してきています。

イオンをはじめ、REアクションに加盟する国内企業にとっても今後同様の動きが取られることが予測されます。

中小企業にとっても、企業としての信頼性向上、新規サプライチェーンの獲得にも繋がる再エネ導入が求められてくることは間違いありません。REアクションの加盟企業にはRE100同様、2050年までの100%再エネ化が求められます。

メリット4 アンバサダーによるPRや支援

RE Actionの特徴の1つである「アンバサダー」により、企業PRや行動を広げる取り組みなどの支援を受けることができます。京都市はREアクションのアンバサダーであり、京都市のウェブサイトで活動等を掲載しています。

メリット5 グリーンボンドによるREアクション加盟の促進

グリーンボンドとは、国内外のグリーンプロジェクト(明確な環境改善効果をもたらすプロジェクト)に要する資金を調達するために発行する債券です。グリーンボンドにより調達した資金で、再エネ・省エネ設備等を導入することができます。

ここで、芙蓉総合リース株式会社をご紹介します。

RE100に加盟企業であり、REアクションへの参加を促進するファイナンススキームの構築を目的に、グリーンボンドを発行するプログラムを提供しました。

  • REアクション、RE100加盟企業・団体を対象とした優遇ファイナンスプログラム
  • グリーンボンドにより資金を調達し、再エネ化プロジェクト推進に活用

本プログラムがグリーンボンド市場の裾野の拡大につながると評価され、2019年度に環境省によって創設された「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」のボンド部門の金賞(環境大臣賞)を受賞しました。

大企業向けのRE100による再エネ100%促進活動に続き、中小規模の企業や団体による再エネ化100%を推進するイニシアチブとして、2019年にREアクションが日本国内で発足しました。

加盟により、環境問題への取り組みをPRできるだけでなく、加盟企業・団体、RE100加盟企業とのビジネスチャンスが生まれます。

また、EGS投資をはじめとした融資面でもメリットが生まれつつあります。REアクションがどのように発展していくか、今後の展開が期待されます。

REアクション加盟企業の再エネ導入事例

敷地内に発電設備を導入し、自家消費する

神奈川県横浜市で印刷事業を行う株式会社大川印刷は、国内初となる「初期費用0円太陽光発電」を行った企業です。自社の屋根に容量90kWの太陽光発電設備を導入し、発電した電気を自社で使用する「自家消費」を行っています。

さらに、風力発電による電気を購入することで、自社のさらなる再生可能エネルギー利用を促進しています。

これにより、自社で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーにすることに成功しています。

(参考:再エネ100%宣言 RE Action|再エネ100へ【事例紹介】)

太陽光発電のPPAモデルとは?メリット・デメリットや契約時の注意点を解説

非化石証書の購入や再エネ由来の電気を使用

東京都江東区の株式会社SouGoは、トラッキング情報付き非化石証書やJ-クレジットといった「環境価値の購入」によって自社の再生可能エネルギー活用を進めました。

証書を購入するための費用として一時的に電気代が上昇しましたが、エアコンの入れ替えやデマンドコントロールの導入によって、電気使用量の1割削減にも成功しています。

(参考:再エネ100%宣言 RE Action|再エネ100へ【事例紹介】)

環境価値とは|3種類の証書や購入するメリット・注目される理由・今後の課題を解説 デマンドコントロールとは|電気代が抑えられる理由と太陽光との関係と解説

中小企業の再エネ化として注目される太陽光発電

今回解説したREアクションもRE100同様に、事業による再エネ利用率100%を公約する取り組みです。今後、中小企業においてもますます再エネ設備導入が拡大する流れとなってきました。

太陽光設置お任せ隊を運営する「株式会社ハウスプロデュース」では、企業の再エネ設備(自家消費型太陽光発電)の導入をサポートしております。

電力会社のプラン変更やLED電球の導入などの省エネ家電によっても電気料金は削減可能ですが、太陽光発電設備による自家消費では、年間の電気料金を50%以上の削減ができるケースもあり、既に多くの中小企業が再エネ設備(太陽光発電)導入を検討されています。

導入を検討されるお客さまには、電気使用量などお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

【徹底解説】自家消費型太陽光発電のメリット・デメリット・注意点・導入方法
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執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
全国累計5,000件以上の産業用太陽光発電システムのEPC工事(提案・設計・施工管理・O&M)を手掛ける当社の広報チーム。現在、第一種電気工事士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなど有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材で得た情報に基づき、EPC事業者として「現場から得たノウハウ」を反映させたコンテンツ作りに注力。
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REアクションとは?|中小企業の再エネ化に向けた取り組みを支援
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