経済産業省の調達価格等算定委員会は、2025年度のFIT(固定価格買取制度)による再生可能エネルギーの買取価格を公開しています。
また、2026年度からは余剰売電の新たな方針が打ち出される方向です。。
今回の記事では、これから太陽光発電システムの導入を検討している方に向けて、FITに関する変更点や最新状況をお伝えします。
目次
FIT(固定価格買取制度)とは?
FITの正式名称は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」といいます。
再生可能エネルギーで発電された電気を、電力会社が同じ価格で20年間(家庭用太陽光は10年間)買い取ることを国が保証する制度です。
FITの対象となるのは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5つのエネルギーによって発電された電気です。
FITでは、年度や月ごとに電気の買取価格が変わらず、同じ価格で売却し続けられます。
長期の収支計画を立てやすいため、多くの企業・個人が投資目的で太陽光発電事業に乗り出し、太陽光発電が普及しました。
2025年度以降の太陽光発電のFIT買取価格
経済産業省の資源エネルギー庁は、2024年度以降のFIT買取価格を公開しています。
●住宅用太陽光発電の1kWhあたりFIT買取単価| 区分 | 2023年度(参考) | 2024年度(参考) | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|---|
| 10kW未満 | 16円 | 16円 | 15円 | 24円(〜4年目) 8.3円(5〜10年目) |
| 区分 | 2023年度(参考) | 2024年度(参考) | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|---|
| 10kW以上50kW未満 | 10円 | 10円 | 10円 | 9.9円 |
| 50kW以上(入札対象外) | 9.5円 | 9.2円 | 8.9円 | 8.6円 |
| 10kW以上かつ屋根設置 | 10円 | 12円 | 11.5円 | 19円(〜5年目) 8.3円(6〜20年目) |
(参照元:令和7年度以降(2025年度以降)の調達価格等について(PDF)|経済産業省)
10kW未満(住宅用)は2024年度から1円低下し15円
2025年度の10kW未満(住宅用)のFIT買取価格は、2024年度から1円低下し15円 / kWhとなりました。
10kW以上50kW未満は2024年度から0.1円低下し9.9円
2024年度の10kW以上50kW未満の太陽光発電のFIT買取価格は、2024年度から0.1円低下し9.9円 / kWhとなりました。
この区分では「地域活用要件」が適用されており、発電した電気のうち30%以上は自ら使用する必要がある点に注意が必要です。
50kW以上は2024年度から0.3円低下して8.6円に
2024年度の50kW以上250kW未満の太陽光発電のFIT買取価格は、2024年の8.9円 / kWhから0.3円低下し、8.6円 / kWhとなりました。
この区分では地域活用要件の適用がなく、発電した電気をすべて売ることができます。
250kW以上はFIPのみ選択可能に
2025年度に250kW以上の太陽光発電システムを導入する場合は、FIPのみ適用できる仕組みです。
- FIP:20年間固定価格で電力を売るFITと異なり、電力市場の価格によって電気の買取価格が変動する制度。
250kW以上の区分ではFIPしか選べません。規模が大きい太陽光発電システムを導入し、電気を売りたいと考えている場合は、FIPの仕組みを確認しておくべきでしょう。
【新制度】2026年度FITの変更点
2026年度から太陽光発電のFIT制度に導入される「初期投資支援スキーム」は、初期投資費用の回収を早めることを目的とした制度です。
具体的には、屋根設置型の太陽光発電に対して、はじめの4〜5年は売電価格を高く設定します。
主な内容は以下のとおりです。
| 対象 | 住宅用太陽光発電(10kW未満)と事業用太陽光発電(屋根設置、10kW以上) |
|---|---|
| 支援内容 | 4〜5年目まで買取価格を上乗せ
|
この制度により、初期投資費用の回収期間が短縮され、より導入しやすくなります。
とくに、屋根設置型の事業用太陽光発電では、高い買取価格が5年間適用されるため、導入メリットが大きくなります。
ちなみに、10kW以上50kW未満における「発電した電気のうち30%以上は自家消費する」という規定に変わりはなく、あくまで自家消費を前提とした制度となります。
2025年度10月から適用される見込み
上記の価格設定は、2025年度下半期(10月〜)から適用される予定です。
これは、2026年度のFIT適用を狙う個人・企業が増え、2025年度の太陽光発電導入が進まないことを懸念したためと考えられます。
企業によってはFIT余剰売電でメリットが出やすくなる可能性あり
2026年度にFIT認定を取得して、太陽光発電システム導入を検討する企業の方もいると思います。
電気代の高騰傾向が続く昨今は、FITより自家消費のほうが経済的なメリットが出やすい傾向にありますが、
以下のような企業はFITで余剰売電したほうがメリットが出やすい可能性があります。
- 電気使用量が少ない
- 屋根の面積が広い
- 日中はあまり電力を使用しない
これらの条件に当てはまる事業所では、自家消費型の太陽光発電システムを導入しても、もともとの電気使用量が少ないため、電気代削減効果が低くなるほか、発電した電気を消費しきれず余らせてしまいます。
そのため、広い屋根を活かして容量が大きい太陽光発電システムを導入し、FITによる売電で収入を得ることが有効です。
太陽光発電システムを本気で導入するなら
産業用太陽光発電システムは、企業の電力コスト削減やBCP対策(事業継続計画)に直結する重要な投資です。
システムの高効率な運用と企業の長期的な安定経営を支えるには、住宅用とは異なる専門性を持つ信頼できる施工パートナー選びが極めて重要です。
1. 産業用特有の高度な施工技術と安全管理
工場や倉庫の大型屋根などの施設への設置は、構造計算・電気設備の連系・そして法規制への対応など、住宅設置よりも高い技術力が要求されます。
大型案件(50kW以上など)の施工実績が豊富か、設置場所の構造に応じた最適な架台設計ができるか、また、高所作業や電気工事における安全管理体制が徹底されているかをよく確認しましょう。
2. 長期運用を見据えた保険などの体制
企業の安定稼働のためには、発電開始後のシステム管理が不可欠です。
万が一の故障や発電効率の低下時に、迅速に利益損失を防ぐための対応ができる組織体制が必要でしょう。
そのため、遠隔監視システムによる異常検知体制、定期点検の項目と頻度、そして緊急時の駆けつけ対応時間が契約で明確に定められているかを確認しましょう。
3. 資金計画と各種申請のサポート力
産業用太陽光の導入には、複雑な補助金申請・電力会社との系統連系申請などの手続きが伴います。
導入に関わる各種法令(特に工場立地法や建築基準法)への適合性を適切にアドバイスできるか、また、補助金や税制優遇に関するサポート能力を持っているかを総合的に評価することが、企業の負担を軽減し、投資をスムーズに進める鍵となります。
信頼できる専門パートナーとの連携こそが、太陽光発電を企業の競争力を高める戦略的な資産に変えるための第一歩です。
太陽光発電システムの導入は当社へご相談ください
ハウスプロデュースは、創業から30年、太陽光発電の施工において累計6,500件以上の実績を積み、自社でも太陽光発電所を保有することで設計ノウハウを蓄積してきました。
当社は設計・施工の技術に自信を持っており、お客さまの建物の立地や構造・電気使用状況などを丁寧にヒアリングし、FITを利用した余剰売電や自家消費など、どの方法がメリットが出るかをシミュレーションいたします。
小規模から大規模まで多数のシミュレーションに対応可能なほか「最短で初期費用を回収するための設計・部材選定」や「20年後・30年後も経済的なメリットが得られること」を追求した提案・設計を行います。
太陽光発電で電気代削減や脱炭素経営に取り組みたい企業の方は、まずはお気軽にハウスプロデュースまでお問い合わせください。
当社による、FITを活用した太陽光発電システムの導入実例
ハウスプロデュースが実際に太陽光発電システムの導入を支援させていただいたお客さまの中から、FIT認定を取得して余剰売電をおこなっている実例を紹介いたします。
自動車販売店舗の「ホンダカーズ石見浜田東店」さまでは、電気代削減しながら、余った電気を売ることで事業所の収益性を高める目的で、FITを利用した余剰売電型の太陽光発電システムを導入を支援いたしました。
売電収益と自家消費による電気代削減により、毎月50万円の経済メリットを生み出しているほか、販売店のCO2排出量削減によるブランディングにも貢献しています。
当社は、FITを利用した余剰売電だけでなく、自家消費型も含めて、お客さまの設置条件に合わせた太陽光発電システムを導入いたします。
下記の導入事例ページでは、実際に導入したお客さまへのインタビューも掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
まとめ
本記事のまとめです。
- 2025年度のFIT買取価格は、どの設置規模においても微減。
- 2026年度は、10kW未満の住宅用と、10kW以上の屋根設置型の太陽光発電において、はじめの4〜5年間はFIT買取価格が高く設定される。
- 上記の新制度によって、屋根が広いが電気使用量が少ない企業はFITによる余剰売電でメリットが出やすくなる可能性がある。
電気代の高騰傾向が続いている状況では、自家消費型のほうが経済的なメリットが出るケースが多いです。
しかし、企業によってはFITを利用して余剰売電をおこなうほうがメリットが出やすいこともあります。
依頼する業者とよく相談しながら、自社にとって最適な導入方法で太陽光発電システムの設置を進めることをおすすめします。





