【2023年最新】太陽光発電の税制優遇を解説|中小企業経営強化税制なら即時償却も可能
コスト削減や環境対策の一環として、自社の施設・駐車場・私有地などを利用して、太陽光発電を導入する企業が増えています。
CO2削減への流れからも、国や全国の自治体では企業の太陽光発電導入支援として「中小企業経営強化税制による税制優遇」が実施されています。
中小企業経営強化税制は、設備投資を実施する中小企業が、設備取得額の即時償却または10%(7%)の税額控除を適用できる税制優遇制度で、太陽光発電設備も対象です。
目次
【2023年2月追記】税制優遇の期限が延長される見通し
2022年12月に、税制改正についての大綱が公表され、中小規模の事業者を対象とした税制について、以下の方向性が示されました。
- 中小企業経営強化税制の適用期限が2025年3月31日まで延長
- 中小企業投資促進税制の適用期限が2025年3月31日まで延長
- 赤字の事業者も対象とした、設備投資に関する固定資産税の特例措置の新設
(参照元:令和5年度(2023年度)経済産業関係 税制改正について(PDF)|経済産業省)
今後は閣議決定、国会を経て正式決定される見通しですので、随時更新していきます。「中小企業経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」は、本記事でも解説していますので、ぜひ続きもご覧ください。
税制優遇で太陽光発電の投資回収を短縮
太陽光発電では、導入する設備規模によって異なりますが、数百万円〜数千万円の初期投資が必要になり、投資回収は8年から12年程度になるケースが多いです。
しかし、太陽光発電を導入する際に今回ご紹介する税制優遇をうまく活用することで、初期投資の回収期間を2~3年程度も早めることが可能です。
太陽光発電の導入で使える4つ税制優遇
企業が自社に太陽光発電を導入する際に、活用できる主な税制優遇は以下の4つです。
- 中小企業経営強化税制
- 中小企業投資促進税制
- 固定資産税の特例
- カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象事業者
中小企業経営強化税制(設備投資減税)とは?
中小企業経営強化税制は、太陽光発電設備(特定の設備)を導入した際に「税額控除」または「即時償却」の税制支援が受けられる制度です。
中小企業経営強化税制における節税メリット
-
- 即時償却
- 設備費用の全額を初年度に一括償却
-
- 税額控除
- 設備費用の税額を最大10%控除(※1)
- 資本金3,000万円以下の場合(3,000万円超~1億円以下の場合、設備費用の7%が税額控除の対象となる。)
上記のどちらか選択して適用できるため、企業の金銭的負担を軽減できます。
【令和5年度】中小企業経営強化税制は適用期限どうなる?
中小企業強化税制は過去数回の延長が繰り返されており、現行制度の適用期日は2023年度(令和5年)3月31日までとなっています。
また、この適用期日は「申請の期限」ではなく「認定の期限」を指しているため、申請書類の作成や認定までの期間など時間を考慮したうえで準備する必要があります。
対象設備の太陽光発電は「自家消費率50%以上」
「中小企業経営強化税制」では、発電した電気をすべて自家消費する太陽光発電、または余剰売電を行う場合は「自家消費率50%以上」の太陽光発電が対象設備となります。
そのため、売電を主目的とした全量売電の太陽光発電は適用対象外となります。
「自家消費率50%未満」の場合は中小企業投資促進税制
中小企業強化税制と名称も内容も似た制度として、「中小企業投資促進税制」があります。
「中小企業投資促進税制」は、自家消費率が問われません。
そのため、余剰売電を行う場合は「自家消費率50%未満」の太陽光発電も対象設備に含まれます。
ただし、「中小企業強化税制」同様に全量売電の太陽光発電は適用対象外となります。
関連記事:中小企業投資促進税制とは|対象設備・優遇措置・申請方法を解説
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中小企業経営強化税制の「税額控除」と「即時償却」
上述の通り、中小企業経営強化税制は税額控除」と「即時償却」のいずれかを適用できます。それぞれメリットや条件が異なるため詳しく解説します。
優遇措置1.「税額控除」
税額控除では、設備費用に対して課税される税金が控除される税制優遇です。また、企業の資本金・出資金によって以下のように控除率が異なります。
-
- 資本金3,000万円未満の企業の場合
- 設備費用の10%を税額控除
-
- 資本金3,000万円超〜1億円未満の企業の場合
- 設備費用の7%を税額控除
税額控除はどちらも適用年度の法人税額または所得税額の20%が上限になります。
優遇措置2.「即時償却」
即時償却とは、設備費用の全額を経費として計上することができる税制優遇です。
即時償却を行うことでで、その年の法人税を大きく節税することができます。
減価償却した場合
通常、設備を導入して経費を計上する場合、設備費用を耐用年数に応じて、「1年目」「2年目」「3年目」…費用を分割して計上します。

通常、太陽光発電の課税方法は、上記の「減価償却」が適用されます。
- 太陽光発電の耐用年数は諸条件によって異なります。
即時償却した場合
即時償却では、設備費用の「全額」を1年目にまとめて一括で計上することができます。

「1年目」に設備費用の全額まとめて経費として計上することで、「1年目」に得た利益を圧縮してその年の税金を大幅に軽減することが可能です。
そのため、即時償却は「投資回収を早めたい」「すぐに別の設備投資も行いたい」といった場合に選択されることが多いです。
即時償却と税額控除どちらを選ぶべき
まず、税額控除と即時償却のメリットとデメリットは以下になります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
税額控除 | 最終的な納税額が減る | 利益が出ていない場合は節税効果が少ない |
即時償却 | 早期にキャッシュを回収できる | 最終的な納税額は減らない |
一般的には最終的な納税額を減らす「税額控除」が有利です。しかし、設備の取得金額や資金繰りの状況などによっては、「即時償却」を選択した方が有利になる場面もあります。
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中小企業経営強化税制の対象企業
中小企業経営強化税制のおもな適用条件は以下の3つです。
- 青色申告者であること
- 個人事業主または中小企業等であること
- 対象業種であること
対象条件1.「青色申告者」であること
過去に税務署に青色申告し、承認を受けている必要があります。
対象条件2.個人事業主または中小企業等であること
ここでいう「中小企業等」とは以下の条件に該当する事業者を指します。
- 資本金が1億円未満の企業
- 常時使用する従業員数が1,000人未満の企業
- 中小企業に該当する協同組合等
ただし、下記のいずれか条件に当てはまる場合は、適用の対象外となります。
- ひとつの大規模法人(※1)から2分の1以上の出資を受けている法人。
- ふたつ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている法人。
「大規模法人」下記のいずれかに該当する法人を指します。
- 資本金または出資金が1億円以上
- 資本金または出資金を持たない法人の内、常時使用する従業員数1,000人以上
- 前3事業年度の所得金額の平均額等が15億円を超える法人
協同組合の適用条件
下記の条件に該当する協同組合は「中小企業に該当する協同組合等」に該当するため、適用対象となります。
- 資本金1億円未満
- 常時使用する従業員100人未満
- 卸売業に属する事業を主にしているもの
対象条件3.対象業種であること
事業内容によっても対象条件が定められています。
太陽光発電の場合、「発電した電気をどのような事業で使用する」かによって判断されます。
製造工場に太陽光発電を導入する場合には「製造業に使用する電気を創る機械」に該当するため、対象業種となります。
中小企業経営強化税制では、以下が対象業種となります。
電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象外となります。
中小企業経営強化税制の対象設備
中小企業庁が提示する対象設備には、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)の2種類あり、それぞれ手続きや仕組みが変わってきます。
類型 | 生産性向上設備(A類型) | 収益力強化設備(B類型) |
---|---|---|
要件 | 生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 |
確認者 | 工業会等 | 経済産業省等 |
対象設備 | 機械装置(160万円以上/10年以内) | 機械装置(160万円以上) |
- 太陽光発電は「機械装置」に該当します。
「A型類」「B型類」どちらを選ぶべきかも重要なポイントです。
太陽光発電は「A型類」を選ぶ企業が多い
A型類・B型類どちらも受けられる税制優遇は同じです。
しかし、「B型類」は経済産業局の確認等が必要になり、手続きが煩雑になるため「A型類」を選択する企業が多いです。
ただし、「A型類」の対象設備は「10年以内に販売開始された設備」と限定されるため、そうでない場合は「B型類」を選択する必要があります。
固定資産税の特例とは?
「固定資産税の特例」とは、 中小企業経営強化税制 と同じく税制優遇を受けられる制度です。
太陽光発電の場合、工場や倉庫・店舗など事業用建屋を新設する際に、設備費用の合計が300万円以上の太陽光発電設備を導入することで、最大3年間の固定資産税がゼロまたは1/2に軽減されます。
- 固定資産税の軽減割合は市区町村によって異なります。
関連記事:生産性向上特別措置法を解説|太陽光発電設備は対象となるのか?
A型類を利用するまでの手順
- 設備ユーザーがメーカーに証明書の発行依頼
- 設備メーカーが工業会に証明書の発行申請
- 工業会が証明書発行
- 取得した証明書を添付した計画申請書を主務大臣に申請
- 計画の認定
認定を受けた設備は、他の税法上の要件を満たせば、税制上の優遇措置の適用を受けられます。
B型類を利用するまでの手順
- 申請書を作成
- 公認会計士か税理士が事前確認を受け「事前確認書」をもらう
- 「申請書」と「事前確認書」を経済産業局に持参
- 投資計画が適切だと判断されれば1ヶ月以内に「確認書」が発行される
- 取得した「確認書」を添付した計画確認書を主務大臣に申請
- 計画の認定
設備の取得時期にも注意
A型類・B型類ともに中小企業経営強化税制における適用期限(令和5年3月31)までに、認定を受ける必要があります。
A型類の場合、工業会から証明書を発行してもらうまでに約2ヶ月かかります。B型類の場合、「経済産業局による確認書」の発行までに約1ヶ月が目安です。
また、期限が近づけば申請が立て込むことも予想されるため、さらに余裕を持って準備し始める必要があります。
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カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

参照元| 環境経済室|エネルギー利⽤環境負荷低減事業適応計画
「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」達成に向けて創設された税制優遇です。
中小企業強化税制は、下記の生産設備を導入する際の優遇措置に加えて、最大0.2%の利子補給などの金融支援も受けられます。
- 大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備
- 生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備
太陽光発電は「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備」が該当します。
続いて、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の具体的な税制措置の内容は、下記の通りです。
項目 | 生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備 | |
---|---|---|
対象設備 | 機械装置・器具備品・建物附属設備・構築物 | |
適用要件 | 3年以内に炭素生産性を10%以上向上 | 3年以内に炭素生産性を7%以上向上 |
措置内容 | 特別償却50%または、税額控除10% | 特別償却50%または、税額控除5% |
対象設備は「機械装置」「器具備品」「建物附属設備」「構築物」に分類される資産に限定されており、「建物」「車両運搬具」「ソフトウエア」などは対象外です。
例えば、①新築時の建物本体、②改築時の建物の内装工事(建物計上する部分)、③オフサイト型で発生しうる発電設備の電力会社と連系するための工事費用である連系工事負担金などは、繰延資産に該当するため対象外となります。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象事業者
- 青色申告書を提出する法人
- 産業競争力強化法の改正法の「事業適応計画」の認定を受けること
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は、中小企業に限らず「大手企業」も対象となります。
「事業適応計画」を作成し、経済産業省の認定を受ける必要があります。
太陽光発電は節税以外のメリットもある
本記事では企業・法人が太陽光発電を導入することで適用可能な税制優遇を紹介していますが、ここからは太陽光発電そのもののメリットを解説していきます。
電気代削減
企業が自社の建物の屋根や遊休地に太陽光発電設備を導入し、発電した電気を自ら使用すれば、電力会社から買う電力量が減るため自社の電気代削減に繋がります。、設置条件が次第では、従来の電気代の30%から50%程度の電気料金を削減できます。
また、2022年春以降は化石燃料価格の高騰などが影響し、電気代が急上昇しています。太陽光発電によって電力会社への依存度を下げていれば、影響を受けて電気代が上がってしまうリスクを低減できます。
関連記事:太陽光発電で企業・法人の電気代削減!
CO2排出削減
工場を持つ製造業では、自社のCO2排出量がどうしても多くなりがちです。昨今の脱炭素の風潮からすれば、近いうちにCO2排出量に対して課税されたり、規制の対象になったりということが予測されます。
太陽光発電は火力発電と異なり、発電の過程で排出するCO2の量がほぼありません。そのため、導入した企業の脱炭素経営に大きく貢献します。近年は、大手企業だけでなく、、大手企業と関わりのある中小企業にも脱炭素に関わる取り組みが求められています。その一環として、太陽光発電を行う企業が増えています。
非常用電源の確保
「自立運転機能」が付いたパワーコンディショナーを採用すれば、停電が発生した時でも太陽光発電の電気を利用できます(※日中で晴れの場合)。
また、蓄電池を導入して電気を貯めておけば、夜間や悪天候の日にも一部の電気を使用できます。ただし、製造機械のように多くの電力を使用する設備をまかなうほどの蓄電池は高額です。そのため、家庭用規模の蓄電池を設置し共用部のみの電気をバックアップする使い方が2021年時点では現実的です。
今回のまとめ
企業が自社に太陽光発電を導入する際に、活用できる主な税制優遇は以下の4つが活用できます。
- 中小企業経営強化税制(即時償却または、最大10%の税額控除)
- 中小企業投資促進税制(最大7%の税額控除、自家消費率の制限なし)
- 固定資産税の特例(最大3年間の固定資産税ゼロまたは1/2に減免)
- カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象事業者(最大10%の税額控除、大手企業も適用可)
中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、固定資産税の特例の、適用期限は、2023年度(令和5年)3月31日までとなっております。
また適用期限は「認定の期限」となります。準備から認定を受けるまでに、最速でも2カ月から3カ月かかることが想定されますので余裕をもって取り組むことを推奨します。
自社で太陽光発電を導入する際は、これら税制優遇の活用も視野にいれておくことで、、太陽光発電の回収期間をグッと短縮することができます。
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