倉庫運営において、大きなコストとなるのが電気代です。
とくに長時間稼働する倉庫では、電気代が膨大な額になることがあります。そのため、省エネ対策による電気代の削減は、健全な経営戦略に欠かせません。
また、省エネ対策は環境への配慮という視点においても、現代の企業経営における重要な要素でもあります。
とくに、温室効果ガスの排出削減が重視されている物流セクター、冷凍・冷蔵倉庫の運営においては、省エネ対策への積極的な取り組みが求められています。
そこで本記事では、倉庫の電気代を削済するための具体的な省エネ対策や電気代削減のアイデアをご紹介します。
電気代の高騰は倉庫業にも影響を与えている
2023年現在、世界的な社会情勢の変化に伴い、エネルギー価格の高騰が国際的な問題となっており、日本においても電気代の上昇が続いています。
大規模な物流倉庫や冷凍・冷蔵倉庫では、運営に必要な設備、照明、空調などに莫大な電力を消費するため、電気代の増加が企業運営に深刻な影響を与えています。
とくに、エネルギー効率が低い古い設備や機械を使っている企業では、さらに電気代が増加するという厳しい現実に直面しています。
このような状況を背景に、倉庫業界においても効率的なコスト削減を実現するための省エネ対策の必要性についての認識が広がっています。
物流・冷蔵倉庫の電気代削減方法
物流・冷蔵など倉庫業において、電気代を削減するための方法を解説していきます。
電気代の削減に向けた倉庫の設計
倉庫の設計は、電気代削減に繋がる省エネ対策における重要な要素の一つです。
例えば、窓や開口部の配置やサイズを工夫して、より多くの自然光を取り入れるように設計することで、日中の照明の稼働率を減らすことができます。
特に新しい倉庫の建設時には、この点を設計者と十分に検討することを推奨します。
さらに、倉庫内の通路やスペースの配置計画も非常に重要です。物品の受け渡しがスムーズになるように、物の配置や棚の高さも工夫すれば、作業効率が向上し消費電力の削減が見込めます。
従業員の節電意識向上のための体制構築
倉庫や物流センターでの省エネ対策を開始するにあたり、まずは組織的な管理体制を確立することが重要です。
会社の電気代は従業員個人が負担するわけではないため、節電を個々人の責任として認識するのは難しい場合があります。その結果、節電意識が定着しないケースもあります。
この課題を対処するためには、社員一人ひとりが問題意識を共有し、共通の目標と達成感を持てるようにすることが必要です。
そのためには、組織全体としての計画的な管理体制の整備が欠かせません。さらに、体制が構築された後も、その機能が確実に働いているかを定期的に振り返り、その結果を実感できる形で共有することが求められます。
LED照明への切り替える
倉庫内の照明は、作業効率と安全性の保持に不可欠な設備の一つです。
照明装置には様々なタイプがありますが、そのなかでも、LED照明は、従来の白熱電球や蛍光灯に比べ、消費電力を格段に抑えられ、寿命も長いため、大幅なコスト削減に繋がります。
とくに照明装置を多用する倉庫では、LED照明への切り替えが電気代を大きく削減できるため有効ですまた、LED照明は発熱が少ないので、空調設備の負担を軽減し、更なるエネルギー効率の向上に貢献します。
さらに、利用頻度の低いトイレや給湯室などには、人感センサー付きLED照明を設置することで、照明の不必要な使用を防ぎ、節電につなげることが可能です。
エアコンや冷蔵庫を適切に使用する
倉庫業において、エアコンや冷蔵庫は欠かせない設備の1つです。これらの空調設備を適切に使用することで、電気代の削減が期待できます。
エアコンの適切な使用例 |
|
---|---|
冷蔵庫の適切な使用例 |
|
また、エアコンや冷蔵庫の設置場所にも注意が必要です。設置場所が日当たりの悪い場所であったり、風通しが悪い場所であったりすると、無駄な電力消費につながります。
夏場の倉庫内の適切な温度はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省は、肉体労働の強度に応じて「WBGT基準値」を設定していますが、WBGT(暑さ基準値)によると、倉庫内での作業に適した温度は26〜30度とされています。機械や設備の定期的な点検とメンテナンス
倉庫内の機械や設備を定期的に点検して、必要に応じてメンテナンスを行うことは、不具合や故障を防ぐだけでなく、省エネ対策と電気代削減の観点からも重要です。
まず、機械や設備の点検を適切に行うことで、部品の磨耗や劣化、異音の発生といった問題がある箇所を早期に発見しやすくなります。このような問題を放置してしまうと、稼働効率は低下し、結果として電気代が増加します。
したがって、定期的な点検を実施し、早期に問題を発見して対応することで、稼働効率の改善と電気代の削減が期待できます。
メンテナンスには、それなりのコストがかかります。
しかし、稼働効率が低下した設備を長期間使用し続け、故障して交換する事態に陥るより、定期的にメンテナンスを実施した方が、結果的に余計なコストを抑制できる可能性が高いです。
電力会社との契約内容の見直し
電力会社との契約を見直し、実際の倉庫の電力使用状況に合わせた料金プランに変更することで、電気代を削減できる場合があります。
電力会社によっては、倉庫の省エネ化を推進するための具体的なアドバイスや、設備の点検、改修支援を行う「省エネ支援サービス」を提供している会社もありますので、そのような電力会社への乗り換えも有効な手段です。
屋根や外壁の遮熱・断熱塗装
倉庫の屋根や外壁に遮熱塗料や断熱塗料を使用することで、倉庫内の温度を一定に保つ役割を果たします。これらの塗料は、室内と室外の熱移動を抑制し、太陽光の日光を反射する特性を備えており、夏場は涼しく、冬場は暖かく室内温度を保つことができます。
このように、室内と室外での温度差を縮めることで、空調設備の稼働時にかかる負荷が軽減され、省エネや電気代の削減に繋がります。
太陽光発電の導入による省エネ化
倉庫の屋根や駐車場のスペースを利用して太陽光発電システムを導入することで、長期的かつ安定的なコスト削減が見込めます。
倉庫に太陽光発電システムを導入する主なメリットは下記の通りです。
- 太陽光で発電した電気をコスト0円で利用できる
- 余った電気を電力会社に買い取ってもらえる
- 自社ビジネスにおけるCO2排出量の削減につながる
- 屋根に設置した場合、太陽光パネルによって倉庫の屋根に遮熱効果が生まれる
- 補助金制度や税制優遇など導入支援が充実している
倉庫に太陽光発電システムを導入すると、電気代を削減しながら環境に配慮した取り組みも実現できます。企業による太陽光発電の導入は、社会的責任を果たしているというポジティブなイメージを築くことにも寄与します。そのため、企業の競争力を高める効果も期待されています。
倉庫への太陽光発電導入事例
当社ハウスプロデュースはおもに事業者向けに太陽光発電の導入サポートを行っております。さまざまな業種・規模のお客様の中から、倉庫業のお客様への導入事例を一部ご紹介します。
物流倉庫の年間消費電力を25%削減した事例
運輸・倉庫業を営む「グリーン物流株式会社」様の本社物流センターへ、自家消費型太陽光発電を導入を支援させていただきました。
物流センターの年間消費電力において25%削減が見込まれており、さらに物流業界に求められるCO2排出削減にも貢献しております。
- 導入の目的
- 電力コスト削減とカーボンニュートラルの推進
- 導入の成果
- ・本社物流センターの年間消費電力を約25%削減 ・年間で約154tのCO2削減効果(約10,934本の杉の木の年間CO2吸収量に相当)
税制優遇を活用し、初期投資を約2年で回収した事例
飲料品等の配達販売を行う「株式会社ナカヱ」様の新設の物流倉庫へ太陽光発電システムを導入させていただきました。
中小企業向けの税制優遇を活用し、固定資産税負担が3年間免除となったため、太陽光発電にかかる初期費用を約2年という短期間で回収できる見込みです。
- 導入の目的
- 設備投資による節税対策と継続的なランニングコスト削減
- 導入の成果
- 経営力向上計画に係る固定資産税の特例措置の活用により、新設倉庫の固定資産税負担が3年間免除・年間約40万円の電気料金を削減
【老朽化した屋根でもOK】倉庫の塗装修繕と太陽光発電設置をワンストップで承ります
「株式会社ハウスプロデュース」では、太陽光発電システムの設置に関する豊富な経験と知識を持ち、全国で6,500件以上の導入実績があります。
加えて、屋根修繕に関しまして、12,000件以上の工事実績があり、これら二つのサービスを組み合わせた効率的なワンストップサービスを提供しています。
屋根塗装と太陽光発電システムの同時施工により、納期の短縮とコスト削減が可能です。
無料の太陽光発電導入シミュレーションも行っているので、ご関心のある方は気軽にお問い合わせください。