経済産業省は、2024年度の固定価格買取制度(FIT)において、工場・倉庫の屋根に設置された太陽光発電で発電した電力の買取価格を引き上げています。
近年は、発電した電気を建物内で消費する「自家消費」が主流になっていますが、電気使用量が少ない企業も余った電気を売ることでメリットを出しやすくなるでしょう。
この記事では今回の公表についての説明と、今後の見通しについて解説します。
目次
2024年度FITの買取価格はどうなる? 工場・倉庫は最大3割増しの方針
2024年度のFITでは、工場・倉庫など、企業の「屋根に設置された太陽光発電システム」を対象として、地面に設置した太陽光発電と比べて高い価格(1kWhあたり12円)で電気を買い取ります。
FITによる買取価格は年度を追うごとに減少していくのが慣例であり、2021年のFIT改正では50kW未満の事業用太陽光発電の全量売電が廃止されたことで「実質的なFIT廃止」といわれました。
屋根上という条件付きとはいえ、今回初めてFIT価格の引き上げられることになり、注目が集まっています。
(参照元:再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します|経済産業省)
自家消費の太陽光発電にある課題
FITによる買取単価が高かった2010年代では「発電した電気を売って儲ける」売電を目的とした太陽光発電の活用がほとんどでした。
しかし、近年、FIT価格が低下する一方で電気料金の値上がり傾向が続いたことで、
2020年代は「発電した電気を自ら使用して電気代削減に繋げる」ことを目的とした「自家消費」が一般化しています。
設置条件が良ければ大きなメリットを生み出す自家消費太陽光発電の導入には課題も多く存在します。
自家消費を目的とした太陽光発電の難しい所は、設置場所と電力需給のバランスを考慮して採算を取れるように設計しなければならない点です。
設置場所の課題
太陽光発電の設置場所は、電気を使用する場所(施設)と距離が離れるほど、発電効率が低下し工事の規模も大きくなるため多額の資金が必要になります。
そのため、採算を十分に確保するためには、施設の屋根を活用して太陽光パネルを設置するケースが一般的です。
しかし、屋根で工事を行う場合、施設の周囲に足場を組み立てる必要るため、平地(野立て)と比べてどうしても工事費用が高くなってしまいます。
太陽光発電の発電量と電力使用量のバランスの課題
太陽光発電は設置容量(パネル枚数)が多いほど発電量が上がるため、「屋根面積いっぱいに太陽光パネルを設置すれば良い」と誤解される方も多いです。
しかし、たとえば太陽光発電の発電量が100%だったとして、そのうち60%の電気しか使用していなかった場合、40%の電気は捨ててしまうか安価な単価で売電することになります。
FITの買取単価が低下している現在では、発電した電気は極力、電気料金の削減に充てることが望ましいです。
そのため、屋根面積をあえて余らせて必要な枚数だけパネルを設置し、電力消費量と自家消費量の割合のズレを抑えることで、無駄な設備投資を防ぎ効率的な太陽光発電の運用に繋がります。
導入が進まなかった屋根への太陽光発電が期待される
2024年度は、太陽光発電の導入が進まなかった物流倉庫などへの導入促進に繋がることが期待されます。
一般的に物流倉庫は屋根面積が広く、多くの太陽光パネルを設置できるため、設置場所だけで判断すれば太陽光発電との相性が非常に良いと評価できます。
しかし、多くの物流倉庫では照明や換気以外に電気を使用する電気設備はあまり存在しません。
そのため、自家消費型の太陽光をやろうとしても、広大な屋根があるにも関わらず十分な枚数の太陽光パネルを設置する意義が薄く経済効果が出にくいケースが多くありました。
消費電力が少ない物流倉庫では全量売電の太陽光発電が視野に
2024年度のFITで買取単価が引き上げられるため、中〜大規模の倉庫では「全量売電」という選択肢が出てくるかもしれません。
消費電力が少なく自家消費型太陽光発電と相性が悪いのであれば、広大な屋根面積をフル活用して太陽光パネルを設置し、発電した電気を少しでも高い単価で売ることで採算を得る選択肢が有力になります。
注意点は、全量売電は50kW以上の太陽光発電が対象であることや、CO2削減効果やBCP対策などの効果は得られないことです。また、50kW以上の容量の太陽光パネルを設置する場合、目安として最低でも500㎡の屋根面積が必要です。
物流倉庫への太陽光発電導入は2024年度を待つべき?
ここまでの内容を踏まえると、「2023年度は控えて2024年に設置したほうがいいのでは」と思われるかもしれません。
しかし、昨今の電気代上昇の状況を踏まえると一概にそうともいえません。2022年度から燃料費高騰などの影響で電気代が上昇傾向であるうえ、政府による電気代の支援も2024年5月で終了見込みであり、電気代の値上がりは長期的な社会問題となっています。
加えて、本記事の内容はあくまで売電を想定したケースになります。冷凍・冷蔵倉庫のように電気使用量が多い倉庫の場合は、自家消費のほうが経済的メリットを出しやすいため、2023年度の太陽光発電システム導入に向けて動くことをおすすめします。
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まとめ
経済産業省は2024年度の固定価格買取制度において、制度の歴史上はじめて買取価格を引き上げることを決定しました。
引き上げ対象は、設備容量10kW以上かつ屋根設置型の太陽光発電とされています。
、工場への太陽光発電の導入はもちろん、今までなかなか進まなかった物流倉庫などさまざまな建物の屋根への設備導入にも大きな後押しになります。
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