再生可能エネルギー比率を高めて温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化を抑制する動きが世界的に進んでいます。
たとえば、2050年までに事業で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標とする国際イニシアチブ「RE100」が2014年に発足し、2023年時点で全世界で390社が加盟しています。しかし、中小企業がRE100の加盟条件を満たすことは非常に困難です。
一方、RE100の対象にならない中小規模の企業の電力需要は国内全体の40~50%、団体数は約400万団体にのぼるとみられています。
そこで、中小規模の企業や団体を対象として、RE100のような団体をつくることを目的として、2019年に「再エネ100宣言 RE Action(以下:REアクション)」が国内で発足しました。本記事では、「REアクション」の特徴や加盟のメリットを詳しく紹介します。
REアクションとは?【中小企業版のRE100】
2019年10月、グリーン購入ネットワーク(GPN)、イクレイ日本(ICLEI)、公益財団法人 地球環境戦略研究機関IGES)、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)の4団体によって発足したREアクションは、中小規模の企業・団体も使用電力の再エネ100%利用(RE100)を促進・実現することを目指す取り組みです。
対象は、消費電力量10GWh未満の企業・自治体・教育機関・医療機関等で、再エネ100%で事業活動を行うことを宣言し、再エネ100%利用を促進します。2020年4月では、行政、非営利団体、企業など62団体が参加し、総消費電力量は787GWhに相当します。
REアクションに参加することで、企業や団体は「地球温暖化抑制に向け、再エネ化が必要」とのスタンスを社会に発信することができます。また、多くの団体が加盟して再エネ化を推進することで、再エネ電力の低価格化や、低価格化によるさらなる需要増加が期待されています。
また、REアクションの特徴の1つに「アンバサダー」の仕組みがあります。アンバサダーは、REアクション参加団体を支援する立場として、活動紹介やPRなどを行います。対象は中央省庁、都道府県、政令指定都市で、2020年4月現在、10団体が参加しています。
REアクションへの加盟条件とは?
REアクション加盟の対象団体は「電力消費が10GWh未満など、RE100の対象にならない日本の企業、行政、教育機関、民間団体、公共団体等」であり、加盟条件は次の3点です。
- 2050年までに消費電力を100%再エネ化する目標を設定し、ウェブサイトで公表すること。
- 消費電力量と再エネ率の年次報告を行うこと。
- 再エネ拡大に向けた政策提言への参加に合意すること。
また、REアクションに参加するには、参加費が必要です。事業規模が小さいほど参加費が低く設定されています。
REアクション加盟5つのメリット
中小企業等がREアクションに加盟する主なメリットは、次の5つです。
- ”RE Action”ロゴの使用
- ウェブサイト、名刺、団体案内に”RE Action”ロゴを使用できます。ロゴの使用により、環境問題への取り組みをPRできます。
- 再エネ化に取り組んでいる団体間での情報交換
- 「脱炭素情報プラットフォーム」に参加でき、再エネに関する事例などの情報交換ができます。
- RE100加盟企業との交流
- RE100加盟企業と交流する機会を獲得できます。
- アンバサダーによるPRや支援
- 「アンバサダー」により、企業PRや行動を広げる取り組みなどの支援を受けることができます。
- グリーンボンドによるREアクション加盟の促進
- 再エネ・省エネ設備の導入するための資金を、グリーンボンドにより調達できる。
中小企業の再エネ化として注目される太陽光発電
REアクションもRE100同様に、事業による再エネ利用率100%を公約する取り組みです。今後、中小企業においても再エネ設備導入が拡大する流れとなっています。太陽光発電設備による自家消費では、年間の電気料金を50%以上の削減ができるケースもあり、多くの中小企業が導入を検討しています。