SBTイニシアチブ“企業版2℃目標”|メリットや手続き方法などを解説

地球温暖化が叫ばれる昨今では、日本国内においてもさまざまな取り組みが行われています。省エネや脱炭素計画など多くの施策のなかで、今回注目するのが「SBTイニシアチブ」です。

この記事ではSBTイニシアチブの概要や目的、企業の加入メリットや手続き方法について具体的に解説します。

SBTイニシアチブとは?

SBTイニシアチブとは、企業を対象にした国際的な温室効果ガス輩出削減目標 です。まず、その概要と目的について理解していきましょう。

SBTイニシアチブの概要と目的

SBTとは、「Science Based Targets」の略称で、「科学と整合した目標設定」と訳されます。これはパリ協定が求めている世界の平均気温上昇を、産業革命前より2℃を十分に下回る水準、あるいは1.5℃に抑えるためのCO2排出削減目標に基づいています。

SBTイニシアチブは、CDP(機関投資家向けに世界主要企業の環境活動についての情報を開示している組織)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)、UNGC(国連グローバルコンパクト)の4つの団体によって運営されており、目標を設定する企業の認定を行っています。

SBTが削減対象とするサプライチェーン排出量

SBTが削減対象とするのは、事業者自らの排出だけでなくサプライチェーン排出量、つまり事業活動に関わる原材料調達・製造・物流・販売・廃棄まで、一連の流れ全体の排出を含みます。

このサプライチェーン排出量はScope1・Scope2・Scope3それぞれの排出量の合計で表されます。

  • Scope1:事業者自らの温室効果ガス直接排出
  • Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • Scope3:それ以外の間接排出(全部で15カテゴリに分類)

サプライチェーンでの排出量の算定は、設定した目標に基づき、算定対象範囲の確認、排出の伴う活動をカテゴリごとに分類し、そのデータ収集する流れで行われます。

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SBTへ加入するメリット

1.対投資家へのメリット

SBTイニシアチブの運営団体のひとつであるCDPは、2020年1月時点で世界8,400社の環境データを有しており、525の機関投資家のESG投資をサポートしています。ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉で、この3つの観点から企業を分析して投資を行うことを「ESG投資」と呼びます。

企業はSBT設定により持続可能性と安定性をアピールすれば、CDPから高評価を得られて投資を呼び込みやすくなります。機関投資家には年金基金等が含まれており、中長期のリターンを期待しているため、特に企業の持続可能性に注目しています。

2.対顧客へのメリット

前述したように企業のSBT設定は、サプライヤーの活動も対象に含まれます。リスク意識の高い顧客は調達元にも高い水準の取り組みを求めますが、SBT設定によりその期待にも応えられます。

SBTにコミットした企業185社の企業役員を対象に行われたアンケートによると、全体の55%がSBT設定により競争力が高まったと感じており、対顧客へのメリットを実感していると伺えます。それは、自社の事業継続のリスクを抑えて、新たな機会の獲得に繋がります。

3.対サプライヤーへのメリット

SBT設定により、企業は自社のみならずサプライヤー(提供者)にもCO2削減の取り組みを求めることになります。

短期的な視点で見れば、サプライヤーに負担を強いるように思えますが、ESG投資が主流になっている現状でいつまでも対策をとらないことは、サプライチェーンの寸断リスク(気候変動・人災・価格高騰)や評判低下にも繋がります。

サプライヤーへの削減目標設定により、長期的にみればサプライヤーの調達リスク低減や、新しい技術開発を促進に繋がるなどのメリットがあります。

SBTに取り組むデメリット

資金調達・設備導入・人材確保への懸念

SBTへの取り組みは今後長期的なメリットをもたらすことは確かですが、短期的にはいくつかのデメリットがあります。その1つはSBT設定に伴う設備導入、そして資金調達が必要になることです。

資金が豊かでない企業にとっては負担を強いることになり、十分な見通しや準備のないまま踏み切ることになれば、その後の資金繰りにも悪化をもたらします。

また、SBTにおいて目標を設定し、具体的な取り組みを行うためには専門的な知識が必要になり、人材確保への懸念もデメリットの1つといえるでしょう。

環境省によるSBT支援事業

環境省は2019年度に「SBT目標設定支援事業」と「中小企業向けSBT・再エネ100%目標設定支援事業」を実施しました。

SBT目標設定支援事業では、応募企業を対象とした合同説明会や、そのうち20社程度の企業に面談が実施されました。SBTの英語文献を読まなくても、概念や認定基準や手法に関する最新情報を入手できます。過去には63社にSBT目標設定の支援を行い、そのうち17社が認定を取得しました。

中小企業向けSBT・再エネ100%目標設定支援事業は、中小企業向けの支援事業で、15社程度を対象に面談形式で削減の中長期の目標設定や、再エネ導入に対する助言が提供されました。

今後の実施については2020年11月時点で不明ですが、環境省から発表される情報に注目しておき、機会があれば積極的に活用しましょう。

中小企業向けのSBT

大企業を中心にSBTへの意識が高まっており、すでに認定された企業もあります。しかし、日本企業の99%を占める中小企業抜きでSBTを論じたとしても、環境問題対策としては不十分です。ここでは中小企業向けのSBTを紹介します。

中小企業向けのガイドライン

前述したように環境省は中小企業向けにSBT支援事業を行っており、SBTに取り組んだ企業の資料を提供しています。資料を通して各企業の削減目標案や、どのようなリスク分析を行ったのか、目標設定の背景や期待する効果などについて知ることができます。

SBTに向けた取り組みのイメージがわかない場合、さまざまな企業事例を入手できるため、自社に類似した事例を参考にしてみましょう。

中小企業の取り組み事例

太陽光発電に関係した事業を行う、中小企業2社のSBT事例を紹介します。

株式会社ジェネックス

産業用太陽光発電設備の設計・施工・販売などを手掛ける株式会社ジェネックスでは、2030年度に2017年度比で54.6%の削減目標を立てました。具体的には、主要排出源である社用車を今後EVにすること、2024年までにサプライヤーにもSBT目標を設定するなどの取組をしています。

株式会社横浜環境デザイン

4拠点、従業員76人を抱える株式会社横浜環境デザインでは、2020年度中に2018年度比で60%削減目標を設定。具体的には、ガソリン使用量の削減を図って、環境マネジメントシステムの運用や再生可能エネルギーの切り替えを推進するなどしています。

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SBTの申請方法と認定基準

最後に、企業の規模を問わず多くのメリットがある、SBTの申請方法や認定基準についてご紹介します。

SBT申請の方法と流れ

●SBT申請の流れ

  1. 2年以内にSBT設定をする宣言「Commitment Letter」を事務局に提出(任意)
    →企業情報・連絡先・日付・場所・署名を記載
  2. 目標を設定してSBT認定を申請
    定められたTarget Submission Form(企業情報や削減目標など7項目)を事務局に提出する。
  3. SBT事務局による目標の妥当性確認・回答(有料) 
  4. 認定されればSBT等のウェブサイトで公表される
  5. 年1回、排出量と対策の進捗状況を報告・開示
  6. 定期的に目標を再設定

●費用
最大2回までの審査に対して4,950米ドル、以降の目標再提出は1回につき2,490米ドル

SBTの認定基準

  • 範囲 原則として、子会社を含む企業全体のScope1及び2
  • 基準年と目標年 公式提出時点から最短5年、最長15年以内
  • 目標水準 最低でも2℃を十分に下回る水準に抑える削減目標を設定しなければなりません。さらに 1.5℃目標を目指すことが推奨されています。
  • 再計算 最低でも5年ごとに目標の見直しが必要

まとめ

SBTの概要や目標、企業がSBT認定を目指すメリットや申請方法についてご説明しました。これまでは大企業を中心に行われてきたSBTですが、中小企業にも確実に波及し始めています。

環境省も積極的に支援を行っていますので、将来を見据えて最新情報を入手しておきましょう。また、サプライヤーである中小企業も否応なしに影響を受けますので、今のうちからこの取り組みについてよく理解しておくことが大切です。

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 執筆者
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太陽光設置お任せ隊編集部
太陽光発電及び屋根工事のプロとして全国で5,000件以上の産業用太陽光発電の企画・設計・施工管理を手がける太陽光設置お任せ隊の記事編集チーム。豊富な実績より培ったノウハウと専門家からの取材に基づいた情報を初めての方でも分かりやすくお伝えします。現在、第一種電気工事士・宅地建物取引士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザー等有資格者が在籍。
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