自家消費型太陽光発電の導入に関して知っておきたいことの1つに「逆潮流」があります。逆潮流の防止が万全でなければ、システムの性能を最大限発揮できない可能性があります。
本記事では、逆潮流の知識や、逆潮流を防ぐために必要なRPRについてできるだけ易しく解説します。専門用語で聞き慣れないかもしれませんが、これから自家消費型太陽光発電を検討する企業の方は知っておくべき内容ですので、ぜひ参考にしてください。
目次
逆潮流とは
電力会社の発電施設から、送電線をつたって電力が家庭や企業に流れていくことを「順潮流」といいます。
一方、家庭や企業の建物で太陽光発電システムを設置している場合、発電した電力を自ら使い切らなければ、余った電力が自動的に送電線をつたって電力会社側へ流れていきます。 通常の電力消費とは流れが逆であるため、「逆潮流」とよばれています。
逆潮流が起これば停電の可能性も
逆潮流で流れる電力量が大きいと、停電が起きる可能性があります。
家庭や企業が太陽光発電を行うことで逆潮流が発生した場合、少量であれば近隣の建物に流れて消費されます。しかし、逆潮流で流れる電力量が大きく近隣で消費しきれなかった場合、大きな電力が変電所まで流れ込みます。これを「バンク逆潮流」といいます。
バンク逆潮流が発生すると、安定した電力供給ができず、停電してしまう可能性があります。そのため、太陽光発電で電力を売るための契約をする場合は、電力供給のバランスを保つ目的で「発電した電力のうち〇〇%までを流します」という割合を決めなければなりません。
太陽光発電システムにおける系統連系の種類
太陽光発電システムを電力系統に繋ぐ時の種類は、以下の3種類があります。
1.逆潮流あり
全量売電・余剰売電型の太陽光光発電を設置した場合は、発電した電力の全て、または余った分を逆潮流で電力会社に流します。 逆潮流するためには、系統に空き容量があることと、負担金の支払いが必要になります。
2.逆潮流なし
企業・法人が太陽光発電を導入し、発電する電力より自ら消費する電力のほうが多い場合に用いられます。 逆潮流をしない太陽光発電システムを導入する場合、RPR(詳しくは後述)など逆潮流が発生した時に発電をストップさせる機器の導入が電力会社から求められます。
3.自立切り替え型
おもに防災目的で適用されるシステムです。停電が発生した場合、発電した電気を系統から切り離し、特定の消費電力(避難施設など)に供給します。
逆潮流発生時に発電を停止するRPR(逆電力継電器)が必要
逆潮流の発生時に、発電を停止するためのシステムを「逆電力継電器(RPR:Reverse Power Replay)」といいます。電力会社と売電の契約を結んでいる場合は、逆潮流が前提となるため、RPRを設置する必要はありません。
一方、発電した電気を自ら消費する「全量自家消費型太陽光発電」では売電が目的ではないため、系統側に電気を流すことを想定していません。そのため、逆潮流を防止するためにRPRの設置が必要になります。
RPR(逆電力継電器)は極力作動させないことが重要
売電を想定していない「全量自家消費型太陽光発電」では、逆潮流が起きると発電が停止します。そして、発電量が消費電力を上回る状態では、再度発電してもすぐに逆潮流が起きて発電がストップしてしまいます。
これを繰り返していると、発電と停止を繰り返すため発電量がほぼゼロになり、太陽光発電システムの性能を発揮できません。また、必要以上に電源のオン・オフが繰り返されることで、システムの劣化が早まってしまう弊害もあります。
そのため、極力RPRが作動しないように自家消費型太陽光発電のシステムを構築することも大切です。
自家消費型太陽光発電で逆潮流を防ぐ方法
自家消費型太陽光発電で逆潮流を防ぐ方法例を挙げていきます。
消費電力を上回らないように太陽光パネルを調節する
自家消費型太陽光発電で逆潮流を防止するための方法の1つが、発電量が日中の消費電力を上回らないように太陽光パネルの枚数を調節することです。
これにより、逆潮流で発電が止まってしまうリスクが減ります。ただし、太陽光パネルの枚数を減らすことで発電量が減るため、電気代削減効果は小さくなる可能性があります。太陽光パネルの枚数を減らすか、逆潮流を防ぐ他のシステムを導入するか、どちらが経済的メリットが大きくなりそうか業者に相談してみましょう。
発電量を制御するシステムを導入する
施設ごとの電力消費傾向を把握して発電量を制御するシステムを導入する方法もあります。
(画像引用元:完全自家消費専用パワーコンディショナ 屋外仕様KPW-A-2シリーズ|オムロンソーシアルソリューションズ株式会社)
消費電力の傾向を把握したら、発電量を制御するシステムの導入を考えましょう。
たとえば、供給されている電力量をリアルタイムで制御コントロールする「負荷追従制御機能」があります。実際の電力消費傾向を基準にしてコントロールするため、発電量を最大限に保つことが可能です。
負荷追従制御機能を搭載した装置を導入すると、逆潮流を防ぎながらできるだけ多くの発電量を確保できます。
まとめ|自家消費太陽光では逆潮流対策が不可欠
自家消費型太陽光発電を導入する場合、逆潮流によって発電が停止しないよう対策を行いましょう。対策を怠ると、さまざまなトラブルの原因となってしまいます。
自家消費型太陽光発電は、契約から稼働まで数カ月かかることもあり、簡単に導入できるなシステムではありません。専門的な部分は業者とよく相談し、導入前の計画をよく練りましょう。
逆潮流を考慮した設計は当社にお任せください
逆潮流を防ぐ方法は、「PRRを活用する」以外にも「太陽光パネルの枚数を調節する」「太陽光発電設備の出力制御装置を設置する」「発電出力を制御する装置を導入する」などの方法があります。
さまざまな方法がありますが、コストを考慮しつつ自家消費型太陽光発電のメリットを最大限に発揮するシステム設計ができる業者を選ぶことが重要です。
太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)は、自家消費型太陽光発電の設計・施工に強みを持っており、最適な機器の選定や高品質なシステムの建設を行います。お客さまごとにに最適な自家消費型太陽光発電システムを設置できるよう、太陽光発電のプロがサポートいたします。当社で設置を検討される場合は無料シミュレーションを行っていますので、検討している方はぜひお問い合わせください。