自家消費型の地域活用要件とは|営農型太陽光発電・ソーラーシェアリングとの関係

FIT(固定価格買取制度)の認定を受けた事業用太陽光発電事業者は、20年間にわたり発電した電気を電力会社に売却することで売電収益を得ることができます。

しかし、2020年度の法改正によって認定基準に地域活用要件が設定されたことで、小規模発電事業の事実上の全量売電が廃止されました。

今回は、固定価格買取制度に新たに組み込まれた地域活用要件によって、発電事業がどのように変化したのか、また地域活性化や経営改善に向けた営農型太陽光発電の取り組み事例についても紹介いたします。

自家消費型の地域活用要件とは

自家消費型の地域活用要件とは

地域活用要件とは、2020年度のFIT改正から設けられた新しい認定基準です。

地域活用要件は営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を含む小規模事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)が対象であり、50kW以上の事業用太陽光発電は対象外となります。(2021年5月現在)

地域活用要件では、小規模事業用太陽光発電の地域での信頼の獲得と長期安定的な事業運営を進めるため「災害時のレジリエンス強化やエネルギーの地産地消に資する」ことが求められています。

そのため、2020年度以降から小規模事業用太陽光発電に限り自家消費を前提とした導入計画でなければ、固定価格買取制度の認定を受けられなくなりました。

ただし、特定営農型太陽光発電設備として災害時の利活用の要件が満たされていてば、地域要件としてみなされます。

30%以上の自家消費比率

30%以上の自家消費比率

地域活用要件によって、小規模事業用太陽光発電(ソーラーシェアリングを除く)では、太陽光で作った電気の30%以上を事業などで消費することが求められす。

そのため、自家消費が可能な設備であることを確かめる目的で、従来の設備認定に加えて「自家消費等計画」の策定・提出が必要です。自家消費等計画には、以下の情報を記載する必要があります。

  1. 該当再エネ設備の発電量の見込み(年間ベース)
  2. 自家消費した電気の用途とその電力量の見込み(年間ベース)
  3. 01.02にもとづいて計算された自家消費等の比率(年間ベース)

既築建造物に再エネ発電設備を設置する場合は、事業認定申請から過去1年間の電力消費量がわかる資料の提出が求められます。

また、計画上の見通しだけでなく事業開始後も自家消費比率が30%を下回ることを避けるために、要件を満たす設備構造になっていることも確認されます。

自家消費比率の確認方法として売電量から自家消費比率を逆算し、実態が疑わしいものに関しては状況確認が実施される見込みです。その際、具体的な状況の確認を実施することができない場合については認定が取消される可能性があります。

そのため、具体的な状況確認が行えるよう以下の資料を準備しておきましょう。

  • 小売電気事業者との需給契約に係る電気料金請求書など・検針票
  • 発電電力量の記録(パワーコンディショナー に表示される発電電力量を写真で保存するなど)

上記の資料を少なくとも3年間にわたり記録・保管しておきましょう。

自立運転機能を有すること

自立運転機能

地域活用要件を満たすためには、災害時のブラックスタートが可能である設備(外部電源がなくても発電できる電源)であることが求められます。 地域活用要件では、以下の設備を設置することが定められています。

  • 自立運転機能付きパワーコンディショナ
  • 給電用コンセント

自立運転機能がないパワーコンディショナの場合、たとえ太陽光発電が稼働していても停電時に電気を使用することができなくなります。

それに対し、自立運転機能を備えたパワーコンディショナでは、太陽光発電の電気があれば停電時でも給電用コンセントを経由して電気を使用することができます。

地域活用要件において、小規模事業用太陽光発電では「自家消費比率30%以上」「自立運転機能を有する」の2つの条件を満たす必要があります。

営農型太陽光発電の場合

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)においては、地域活用要件のうち「自家消費率30%以上」を満たすことは求められません。ただし「自立運転機能を有する」という要素については満たす必要があります。

また、農地に立てる支柱に係る農地転用許可の期間が3年間を超えるものについては、FIT認定後3年以内に転用許可が得られない場合は認定取消となります。

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、農地にソーラーパネルを設置して営農と発電事業を両立する取り組みです。

ソーラーシェアリングを行うことで、農業生産による作物の販売収入に加えて太陽光発電による売電収益、または発電した電力の自家利用によって継続的な農業経営の改善が期待できます。

従来の営農のみの収益と比べて、太陽光発電を組み合わせることで20年間の平均売上額が約1.5倍、利益(税引前)は約1.5倍になった事例もあります。

また先述のとおり、2021年度では10kW以上50kW未満の太陽光発電であっても、ソーラーシェアリングに限っては、FITの認定基準において全量売電が認められています。(2021年6月時点)/p>

営農と発電の両立が可能に

農地の上部空間にソーラーパネルを設置する場合、⽀柱となる基礎部分について、農地の一時転用許可(農地を農地以外の目的に転用するための許可)が必要です。

農地の一時転用許可期間は3年間と定められています。 太陽光発電のFITにおける電力の買取期間は20年間となるため、3年ごとに再許可手続を行う必要があります。

ただし、2018年5月の農地転用許可の取扱いの見直しによって下記条件に該当する場合は、一時転用許可期間が3年以内から10年以内に延長されます。

  • 認定農業者などの担い⼿が下部の農地で営農を⾏う場合
  • 荒廃農地を活⽤する場合
  • 第2種農地⼜は第3種農地を活⽤する場合

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の課題

農業経営の収益性を高めるソーラーシェアリングですが、導入にあたり課題点もあります。

ソーラーシェアリングは、「営農の適切な継続」と「発電事業」を両立することがポイントです。 農地での発電事業では、農作物の生産などに支障がないかなどを年に1度、農林水産省農業委員会に報告する義務があります。

また、地域の平均的な単収データがない場合や、当初数年は収穫が見込めない果樹などの場合には、知見を有する者(地域農業改良普及センター、試験研究機関、JA等の職員など)に意見書もらい報告書に添付する必要があります。

「同年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減収した」場合や、「荒廃農地の再利用で捨作り(種だけまいて放置している)をしている」場合などが発覚した際は場合、設備を撤去して農地に復元することが求められます。

ソーラーパネルを農地の上部空間に設置することで一定量の日光が遮断されてしまうため、農作物の種類によっては品質や収穫量に影響を及ぼすことがあります。

そのため、ソーラーシェアリングでは一般的にトマトやナスなど陽性植物は不向きとされています。日陰でも育ちやすいニラなどの陰性植物または、ほうれん草などの半陰性植物がソーラーシェアリングと相性が良いとされています。

ソーラーシェアリングについては、こちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の導入事例

ハウスでの水耕栽培との組み合わせ

ハウスでの水耕栽培との組み合わせ

群馬県高崎市にある農地では、水菜やパクチーなど葉物野菜を栽培しているビニールハウスの屋根を利用してソーラーシェアリングが行われています。

ソーラーパネルは、ビニールハウス内の防水シートからの反射光も発電に利用できる両面透過型パネルを採用しており、年間約133,000kWh(売電収益 約490万円/約)の発電を行います

ビニールハウス内で栽培した野菜は、露地栽培と比較して収穫量が約300%を保っており発電事業と農業生産の両立に成功しています。

また、栽培した野菜には再生可能エネルギーを活用して生産した野菜であることを示すシールを貼って差別化を図することで作物の販売促進にもつながります。

地域資源を活用した地域活性化

地域資源を活用した地域活性化

千葉県いすみ市にある農家では、営農者と発電事業者が連携したソーラーシェアリングを行なっています。

発電事業者が地元金融機関からの資金調達によって農地の約3分の1(約1000平方メートル)にあたるブルーベリー畑に発電設備を設置しています。

ソーラーシェアリングの設備費用の回収には売電収入(約200万円/年)が当てられます。 ソーラーシェアリングとブルーベリーの栽培は非常に相性が良いとされています。

この農園ではソーラーシェアリングで育てたブルーベリーの平均糖度は15度以上(通常糖度12から13度)となっており生長による収益増加が見込まれています。

またソーラーシェアリング下部の畑を観光農園として運用することで地域活性化に寄与すると期待されています。

荒廃農地の解消と地域農業の継続

荒廃農地の解消と地域農業の継続

(画像引用元:農林水産省|営農型太陽光発電 取組事例集(一覧)PDF

千葉県匝瑳市にある大豆農地では、支柱を設置したソーラーシェアリングを導入しています。

発電事業者などの出資によって農地所適格法人を設立し営農と発電事業を両立しています。 ソーラーシェアリングによる農地活用と営農者の雇用創出により、地域の荒廃農地の解消と地域農業の継続に寄与しています。

また、年間の売電収入約200万円のうち約8万円を地域への還元として農地所適格法人に支払われます。

市民農園の有効活用と市民の農業理解を促進

株式会社宝塚すみれ発電では宝塚市との連携によって、市民農園の有効活用と再生可能エネルギーの導入を両立しています。

市民農園に営農型太陽光発電を導入することで、市民の農業理解の促進とともに、売電収入の一部を農園利用料の割引に充てることで、近隣住民に市民農園の利用を促し市民農園の空き区画の発生防に寄与しています。

宝塚市の市税条例により、災害時に市が利用できる非常用電源を設置することで5年間の固定資産税の免除が適用されています。

中山間地における産業開拓

静岡県浜松市の天竜地区の中山間地では、約700平方メートルの茶畑にソーラーシェアリングが導入されています。

年間売電収入220万円の一部は、高齢化によって放置された茶畑の再生のための産業開拓として後継者事業や茶製品開発などをの資金として使用されています。

まとめ

地域での信頼の獲得と安定した事業運営を進めるため、10kW以上50kW未満の小規模事業用太陽光発電の事業認定の条件として「自家消費比率30%以上」あること、また「地域で活用できる電源である」ことが地域活用要件として追加されました。

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)においては自立運転機能と給電用コンセントを有することで全量売電によるFIT認定も受けられます。(2021年5月現在)

ただし、2022年度以降はFIT改正により、ソーラーシェアリングの全量売電が廃止される可能性があることも視野に入れておきましょう。

そのため、ソーラーシェアリングを検討されている農家様などは、収益面を考えて早い段階で導入を決断されることを推奨します。農地運営と発電事業による収益を得ることで、収益改善だけでなく地域貢献につながります。

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