マンション・アパートの屋根に太陽光発電を設置する方法|オーナーが知るべき5つのメリット

売電や電気代削減などのメリットや環境への配慮から、マンションやアパートなどの集合住宅においても太陽光発電システムに対する注目度が高まっています。

賃貸・分譲・新築などマンションの形態によって、それぞれ太陽光発電の設置に必要な手続きや条件は異なります。本記事では、マンションの屋根上に太陽光発電を導入するメリット、太陽光発電と相性の良いマンションの特徴、設置するために必要な手順と注意点について解説します。

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マンション・アパートのオーナーは要注目!太陽光発電を導入するメリット

マンション屋上への太陽光設置事例
当社によるマンション屋上への設置事例

マンションの屋根上を有効活用できる

安全上、マンションなど集合住宅の屋根や屋上は開放できない場合がほとんどです。広いスペースがありながら、活用方法が少ないのが悩みどころです。

周辺に高い建造物が無い集合住宅の屋根上部分は、日当たりも良く太陽光発電に適しているため、このスペースを発電に活用できれば大きなメリットとなります。

また、屋根上にソーラーパネルを設置することで、強い日差しによる屋根の劣化や発熱を抑えることができます。

共有部分の電力をまかなうことができる

オーナーがマンション・アパートに太陽光発電設備を設置することで、ランニングコストを削減できます。

マンションの共用部分では、照明や空調設備などが24時間稼働している場合が多く、毎日電力を消費しています。太陽光発電設備を設置することで、共用部分で消費される電力の一部をまかなうことができます。

余剰電力を売ることで収益が得られる

経済産業省が施行するFIT(固定価格買取制度)の認定を受けることで、太陽光発電で発電した電気を電力会社に買い取ってもらえます。これにより、売電収入による家賃収入以外の収入源を確保できます。

マンションに付加価値が付く

省エネ性能が優れたマンションに与えられるBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の認証を受けられれば、環境に配慮していることをアピールできます。

BELSは、太陽光発電を設置をすれば必ず取得できるわけではありませんが、BELSの評価基準の1つとして太陽光発電による自家消費の項目が設けられています。太陽光発電はCO2を発生させず電力を作り出すことができるため、環境意識の高い入居希望者へのPRとしても有効です。

緊急時の非常用電源として利用できる

台風や地震など災害によって電力会社からの電力供給がストップすれば、マンション全体が停電になります。そのような事態でも、太陽光発電を自立運転モードに切り替えることで電気を使用できます。

太陽光発電のみでマンションのすべての電力をまかなうことは難しくても、共用部など最低限の電力を供給可能です。

また、太陽光発電は夜間や雨天には発電できないため、「共用部だけでも十分な停電対策を講じたい」という場合は蓄電池の併用も選択肢の1つです。

太陽光発電と相性が良いマンション・アパートの特徴

マンション・アパートで太陽光発電を導入する際、すべての建物で設置が推奨されているわけではありません。ここでは、太陽光発電システムの導入に適しているマンション・アパートの特徴を解説します。

低層階のマンションであること

太陽光発電と相性が良いマンション・アパートの特徴の1つとして、低層であることが挙げられます。

高層マンションは、地上よりも風速が強いため、屋上にパネルを設置する際の強固な取り付け方法や追加の構造強化が求められます。また、屋上へ機材を運ぶための施工費も発生します。そのため、導入費用が増加し、採算が合いにくくなります。

対照的に、低層マンションやアパートでは住宅と同様の設置工事で済むので、導入費用を抑えられ、採算を取りやすくなります。

マンションの屋根に傾斜がついていること

屋根の種類
屋根の種類

屋根が傾斜していることも、太陽光発電と相性の良いマンションの特徴の1つです。傾斜のある屋根とは、「切妻屋根」や「片流れ屋根」のような、多くの住宅やアパートで採用されている形状を指します。

太陽光発電のパネルを屋根に設置する際、穴を開けて固定することが多いため、屋根の排水能力が非常に重要となります。

この点から、陸屋根は注意が必要です。陸屋根は傾斜がないため、排水が悪く、雨漏りのリスクが高まる可能性があります。この問題を解決するための一つの方法として、セメントで固めたブロック架台を使用する方法がありますが、その際のコスト増加を考慮する必要があります。

マンションのオーナーが1人であること

太陽光発電の導入が容易なマンションの特徴として、オーナーが単独で所有していることが挙げられます。

分譲マンションでは多数の所有者がいるため、一般的に太陽光発電の導入に限らず建物の変更には多くの手続きと時間がかかります。

しかし、賃貸マンションや一棟マンションのように、一人のオーナーで所有しているマンションの場合、オーナーの判断だけで太陽光発電の導入が可能です。

マンション・アパートに太陽光発電を導入する流れ

賃貸マンション・アパートに後付けで設置する場合

賃貸物件のオーナーは建物・敷地の所有者であるため、基本的にオーナー自身の判断で屋上などに太陽光発電設備を設置することが可能です。

ただし、トラブルを避けるためにも居住者への許諾を得ましょう。一方、居住者が設置を希望する場合、共用部分・専有部分を問わずオーナーの許可を得る必要があります。

分譲マンションに後付けで設置する場合

分譲マンションは個人が所有する専有部と、マンション購入者全員の所有物である共有部があります。共用部の電力を賄うために、太陽光発電を導入するケースがあります。

マンションの管理組合が、共用部の電力削減を目的として設置する場合、管理組合の集会決議によって決定する必要があり、導入ハードルが高くなります。

新築マンション・アパートに設置する場合

近年は、スマートマンションやZEBと呼ばれる太陽光発電システムを導入した環境配慮型のマンションの建築が進んでいます。既存マンションの場合、太陽光発電設備を設置するには、さまざまなハードルがあります。

しかし、新築の場合は、発電設備をあらかじめ設置するため、既存マンションと違い居住者の許可を得る必要がありません。

※以下のようなマンションでは、費用対効果の面から太陽光設置のご提案が難しいケースがございます。あらかじめご了承ください。

  • 一定の高さを超えるマンション(目安は30メートル以上):高層階用の特殊な架台に対する費用や、屋上へ機材を運ぶための施工費などが発生するため
  • 高圧受電契約のマンション:キュービクル改造費などで追加の費用が発生するため
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マンション・アパートに太陽光発電を導入するうえでの注意点

マンションに太陽光発電を導入する際、自己所有であっても各居住者からの許諾が必要となります。

とくに、既存の分譲マンションの共用部に設備を接続する場合は、法律により管理組合の集会決議が求められます。そのため、大規模な分譲マンションでは多くのオーナーが関与するため、管理組合の理事会での合意形成は非常に難しいでしょう。

一方、賃貸マンションやアパートの場合、基本的にはオーナーの意向で設置が可能です。しかし、太陽光発電の設置に際しては、法律で定められた条件のクリアや建物の安全性の確保が必要です。設置を検討する際は、はじめに管理会社に相談することを推奨します。

全世帯に電力を供給するのは難しい

当社でもたびたび「全世帯に電力を共有できないか?」というご質問をいただきます。

結論からいえば、既存マンションに太陽光パネルを後付けする場合、設備面・コスト面から全世帯に電力を供給することは難しいです。

もともと太陽光発電の設置が想定されていないマンションにおいて、太陽光発電による電力を全世帯に供給するためには、その分、ソーラーパネルの設置枚数を増やす必要があるためです。

設置条件によっては採算をとるのが難しい

一定の高さ(目安としては30メートル)を超えるマンションや、高圧受電契約のマンションなどは、太陽光発電導入によるコスト面のメリットが出にくくなります。

一定の高さがある場合は、パネルなどの設備を運ぶための機材によって初期費用が増えるほか、マンションの屋根面積には限界があるためパネルの増設で採算をカバーすることも難しいです。

また、高圧受電契約の場合、キュービクルの改造費も発生するため、投資費用の回収年数が20年近くなるケースもあります。

太陽光発電導入の目的がCO2削減による他社との差別化である場合は、こういった条件でも設置を依頼していただくケースもありますが、実際には採算が合わず断念されるケースもあります。

ハウスプロデュースのマンション・アパートへの太陽光発電設置事例

株式会社ハウスプロデュースは、マンションやアパートの太陽光発電導入に関するご相談を多数いただいております。

下記表は、当社ハウスプロデュースの実際の導入事例より抜粋した、太陽光発電システムの想定収支です。

スレート屋根アパートへの導入事例

自家消費型太陽光発電の導入事例写真
マンション 屋根上 撮影
導入先 パインズエトワールⅡ 様
都道府県 京都府
設備容量 22.1 kW
設置時期 2021年8月
回収年数 7年
年間収益
(売電+電気代削減)
約43万円

スレート屋根マンションへの太陽光発電システム導入事例

自家消費型太陽光発電の導入事例写真
マンション 屋根上 撮影
導入先 グランオール 様
都道府県 埼玉県
設備容量 14.96 kW
設置時期 2021年5月
回収年数 7年
年間収益
(売電+電気代削減)
約30万円

陸屋根マンションへの太陽光発電システム導入事例

自家消費型太陽光発電の導入事例写真
マンション 屋根上 撮影
導入先 ユーミー猪崎 様
都道府県 京都府
設備容量 24.48 kW
設置時期 2021年6月
回収年数 7.5年
年間収益
(売電+電気代削減)
約46万円

表にあるように、実際に導入を決定する場合はおおよそ、10年以内で初期投資の費用を回収できるケースが多いです。

設置条件に応じて最適な設計で太陽光発電システムを導入いたします

多くのマンションオーナーは、屋根の全面を利用して電気を大量に発電・売電したいと考えています。

しかし、2020年度のFIT改正により、10kW以上50kW未満の太陽光発電システムの場合、発電した電気の30%以上を自家消費しなければならなくなりました。

この要件は、マンションの共用部の電力消費だけでは満たすのが難しく、経済的メリットが出しにくいという難点がありました。

そこでハウスプロデュースは、設置条件によっては住宅用として9.9kWの出力を保持しつつ、太陽光パネルを過積載で設置する提案を行っています。

これにより、30%の自家消費要件を回避し、発電した電気をより多く売電することで採算性を高めることが可能となります。先ほど紹介した当社事例もこの方法で費用対効果を高めております。

当社は、仮にマンション・アパートの設置条件が太陽光発電と相性が合わず、費用面のメリットが出にくい場合は、正直にお伝えします。無理な営業を行なうことはありませんので、太陽光発電を導入を検討されるオーナー様は、まずはお気軽にお問い合わせください。

太陽光発電で導入できる補助金・助成金

自治体によっては、マンションやアパートへの太陽光発電の導入に補助金・助成金を設けているところがあります。

たとえば神奈川県の「神奈川県共同住宅用自家消費型太陽光発電等導入費補助金」では、自家消費型太陽光発電システム・蓄電池に対して、経費の一部が助成されます。

対象設備 太陽光発電システムおよび蓄電池
補助対象者 県内の分譲共同住宅の管理組合
県内の賃貸共同住宅を所有する個人又は法人(国及び公共法人を除く。)
助成対象経費・助成率 自家消費型太陽光発電システム:1kWあたり5万円
蓄電システム等:蓄電システム1台あたり12万円

(参照元:神奈川県|令和5年度神奈川県共同住宅用自家消費型太陽光発電等導入費補助金

このように、各自治体で補助金を設けている場合があります。注意点としては、制度があっても申請期間が過ぎていたり、補助金の予算に到達して予定より早く終了したりといったケースがあります。補助金を適用しての導入を検討する場合は、早めの準備が必要です。

まとめ

太陽光発電の導入は、マンションやアパートにおいても共用部の電気代節約や売電収益など高い経済効果を期待できます。

低層マンションで、一人のオーナーが全ての部分を所有している場合、太陽光発電の導入に適しているケースことが多いです。一方、高層のマンションや複数のオーナーが所有する場合には、導入に際してのハードルが高まるため、より慎重な検討が必要となります。

また、マンションの建築として、傾斜のある屋根の方が、太陽光発電の設置に際してのコストを抑えやすく、雨漏りのリスクも抑えることができます。

しかし、大半の既存マンションは、太陽光発電の導入を前提として設計・建設されていません。そのため、導入を検討する際には、太陽光発電の設置が可能かどうかを専門家に調査してもらう必要があります。

「太陽光設置お任せ隊」を運営する「株式会社ハウスプロデュース」では、それら調査を含め、マンションやアパートの太陽光発電導入に関する豊富な実績を持っております。

導入をご検討のオーナーさま、ぜひ当社へ一度お問い合わせください。太陽光発電の設置可否の調査や見込める収支のシミュレーションなど無料で行わせていただきます。

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執筆者:太陽光設置お任せ隊

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EPC事業者として、全国6,500件以上の産業用太陽光発電の企画提案から設備導入まで一貫して手がける株式会社ハウスプロデュースの記事編集チームです。第一種電気工事士・第三種電気主任技術者・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍し、一次情報や専門家からの取材を基に、現場から得たノウハウを活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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