農地に太陽光発電設備を設置するためには「農地転用」の手続きが必要になります。この記事では農地転用の概要や手続き、太陽光発電用地としての活用方法について解説していきます。
目次
農地転用とは
農地転用とは、農地として使用していた土地を、農業以外の目的で使用することをいいます。農地以外とは、たとえば住宅地・店舗・駐車場などがあり、太陽光発電所も含まれます。
農地は、国民にとって必要不可欠な食糧を生産する場所とされています。食糧の生産拠点を守るためにも、農地を農業以外の用途に変更する「農地転用」は、関係機関への手続きを行う必要と決められています。
農地の一時転用とは
農地の一時転用とは、農地を「一時的に」農地以外の目的で利用することです。一時転用には以下のような例があります。
- 建設現場の資材置き場
- イベントの臨時駐車場
- 地質調査
- 野立ての太陽光発電所
基本的に申請手続きは通常の農地転用と同じですが、一時転用の場合は以下の条件がつきます。
- 目的の用途に使用したあとは農地に復元する
- 申請書に、農地に復元する工事の完了日を記載する
- 工事の進捗報告が義務づけられている
農地はすべて転用可能?区分ごとの違い
ひとくちに農地といっても、所在地や営農条件によってさらに細かい区分に分けられます。区分ごとに、農地転用が許可基準が異なります。
第二種・第三種農地で一時転用の許可が得やすい理由
第二種・第三種農地は、他の農地区分に比べて一時転用の許可が得やすい農地です。
国としては「農地はできるだけ農地として使ってね」というスタンスをとっています。ただ、第二種・第三種農地は「市街化が見込まれる地域や、すでに市街化が進んでいる地域内に存在する農地」にあたるため、農業生産性が低い傾向にあります。
そのため「農地以外の用途で使いたいです」と申請したとき、許可が下りやすいのです。
第三種は、すでに市街化が進んでいる地域にあたるため、基本的に農地転用の許可が通ります。第二種も基本的には転用許可が下りますが、周辺地域の土地で事業を行うことが可能と判断されれば、許可が下りないこともあります。
第一種・甲種・農用地区域内農地で一時転用が難しい理由
第一種・甲種・農用地区域は、原則的に転用許可が下りません。
これらの農地は、第二種・第三種と異なり、農業生産性が高いとされる農地です。日本の農業生産力を保つため、これらの農地は原則転用が許可されていません。
ただし、例外的に許可される場合があるため、どうにかして農地を使用して事業を行いたい場合は、各市町村の農業委員会へ問い合わせてみることをおすすめします。 詳しくは、以下の表をご覧ください。
区分 | 営農条件や周辺の状況 | 農地転用許可の方針 |
---|---|---|
農用地区域内農地 | 自治体が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内にある農地 | 原則不許可 |
甲種農地 | 市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった土地(8年以内)など、とくに良好な営農条件を備えているとされる農地 | 原則不許可 |
第一種農地 | 10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地など、良好な営農条件を備えているとされる農地 | 原則不許可 |
第二種農地 | 鉄道の駅が500メートル以内にあるなど、市街化が見込まれる農地や、比較的生産性が低いとされる土地 | 周辺の土地や第三種農地を転用するのが難しい場合などに許可 |
第三種農地 | 鉄道の駅が300メートル以内にあるなど、すでに市街地化した区域や、市街地化が進んでいる区域にある農地 | 原則許可 |
農地転用で必要な手続き
農地の転用や権利の譲渡を行う場合、都道府県または農林水産省に指定された市町村の首長の許可が必要です。
農地転用は、自分の農地を自ら転用する場合と、自分の農地を事業者などに売ったり貸したりして、その買主が転用する場合があります。本人が申請する場合は農地法第4条の許可、代理で申請をする場合は農地法第5条の許可が必要です。
本人申請の場合 | 代理申請の場合 | |
---|---|---|
適用される農地法の種類 | 第4条 | 第5条 |
対象となる行動 | 農地を転用すること | 農地を転用するために権利の移転や譲渡をすること |
許可申請をする人 | 農地の所有者 | 農地の権利を取得する者と農地の権利を譲渡または移転する者が連名で申請 |
許可を出す人 | 都道府県知事や指定市町村の長 | |
許可が不要なケース | ・国・都道府県・自治体が転用する場合 ・市町村が土地収用法対象事業のために転用する場合 など |
農地転用にかかる費用は?
個人で申請する場合
農地転用の手続きは、所有者本人が行う場合、土地の登記事項証明書や地図などの発行で約1万円の費用がかかります。
これら書類は自分で用意できますが、非常に時間と労力がかかります。また、わからないことが出てくればその都度、自分で解決する必要があります。
時間的な余裕があれば個人での申請を試みてもよいでしょう。時間的な余裕がない方や、早く転用を済ませたい方は施工・販売店や行政書士に依頼しましょう。
施工・販売店や行政書士など専門家に依頼した場合
依頼する相手にもよりますが、農地転用の手続きを専門家に依頼した場合、およそ15万円から20万円の費用がかかると想定されます。
ただし、測量が必要な場合や、農用地から除外する場合のように、特別な手続きが必要な時は、申請代行の料金が上がる可能性があるため注意が必要です。
無許可で農地転用するとどうなる?
農地に太陽光発電設備を設置する場合、農地転用の許可を得る必要があります。
事前の許可を得ずに譲渡・賃貸を行ったり建築物などを設置したりすれば、多くの場合は撤去命令や取消要請が行われます。また、場合によっては「3年以下の懲役または300万円以下の罰則」や、法人なら「1億円以下の罰金」が科されることもあります。
行政によるペナルティを避けるためにも、農地転用をする場合は必ず申請して許可を得るようにしましょう。
使っていない農地は太陽光発電用地として活用できます
ハウスプロデュースでは、使用していない農地・田畑の買取や、賃貸での活用のご相談を承っております。
第二種・第三種農地は売却・賃貸が可能
ハウスプロデュースでは、お客様が使用していない農地・田畑を直接買い取り、太陽光発電用地として活用する事業を行っています。
第二種・第三種農地は基本的に農地転用が可能です。しかし、農地は一般的に不動産として扱いにくいとされており、不動産業者の買い取り先がなかなか見つからないケースがあります。
当社・ハウスプロデュースにて買い取りをさせていただく場合は、農地転用の煩雑な手続きも全面的にサポートいたします。
第一種・甲種・農用地区域内は営農型太陽光発電という選択肢がある
第一種・甲種・農用地区域内の農地は原則転用不可のため、太陽光発電用地として売却することはできません。
そのような土地を、地目は「農地」のまま活用するための方法の1つとして「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」があります。
営農型太陽光発電では、農地に支柱を立てて上部に太陽光パネルを設置し、農業を継続しながら太陽光発電事業を行います。作物の販売収入に加えて、発電した電気を売ることでもう1つの収入源を作ることができます。
自ら農業をしない場合は、農業を他の人に任せて太陽光発電事業のみを行うことも可能です。
ハウスプロデュースは、農地転用と太陽光発電の両方のノウハウを持ち、お客さまが安心して依頼できる体制を整えています。
農地買取強化中!他社より早く現金化します
農地の扱いにお悩みの方、太陽光発電用地としての活用を検討されたことはありますか?
- 交通の利便性が悪い
- 田舎なのでアパートや賃貸物件としての活用が難しい
- 農地を相続したが農業に関する知識がなく困っている
- 土地が広大で利用用途がわからない
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひハウスプロデュースにご相談ください。
広い土地に設備を設置する「野立て」の太陽光発電は、投資向けとして普及してきました。2021年現在は、法人が太陽光発電設備で発電した電気を、離れた場所にある事業所に送って使用する「自己託送」という方法が認知され始めています。
国としても2050年までに「温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標を掲げており、法人にも積極的に環境への取り組みを行うよう推進しています。
このような背景もあり「広い土地を使用してクリーンエネルギーを活用しよう」という法人が増加しているため、需要が高まっています。
ハウスプロデュースはすでにそういったご相談をいただいており、新しい買主がすぐに見つかりやすい状況にあります。つまり、他社より早く現金化が可能です。
まとめ
農地を活用するためには、農地転用の手続きが必要なケースがあります。
農地転用には複雑な手続きが必要ですので、個人で行うよりも信用できる業者に依頼するほうがスムーズに進みます。
ハウスプロデュースは、農地を太陽光発電用地として活用するノウハウを保有しています。農地の売却・賃貸・営農型太陽光発電としての活用など、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
※以下の条件の場合は、太陽光発電用地として活用が難しいため、買取をお断りしております。
・300坪以下の土地
・第一種農地・農業振興地
・木の伐採や建物の解体が必要な土地
・道路に接していない土地