エネルギー管理士とは?職務内容と資格取得の方法について解説

政府が環境保護のための具体的な政策を打ち出すなか、各企業もエネルギーの効率的な利用を求められています。

また、同じ趣旨で日本の省エネ法は特定業種において「エネルギー管理士」を選任し、エネルギーの有効利用を担保する制度を設けています。この制度背景やエネルギー管理士の職務内容、資格の取得方法などについて解説します。

エネルギー管理士とは?

エネルギー管理士の制度

エネルギー管理士とは、エネルギー管理士免状の交付を受けた方のことで「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(通称「省エネ法」)に基づいた国家資格です。

省エネ法では、一定量を超えるエネルギーを使用する工場を「第一種エネルギー管理指定工場」としています。第一種エネルギー管理指定工場とは、熱電気を合算して年間使用量が原油換算で3,000kl以上の工場を指します。

このなかでも特に製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業の5業種については、エネルギー使用量に応じて1人から4人のエネルギー管理士をエネルギー管理者として選任するよう義務付けられています。

エネルギー管理士の職務

エネルギー管理士の職務は、「省エネ法」に従いエネルギーを効率的に運用することです。

この職務の根拠となる省エネ法の第11条では、第一種エネルギー管理指定工場などごとに「第一種エネルギー管理指定工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関し、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を管理する者を専任しなければならない。」と定められています。

また、同法45条1項でも、エネルギー管理者は第11条の職務を「誠実に行わなければならない」とし、3項では「エネルギー管理者等が選任された工場等の従業員は、これらの者が行う上で必要であると認めてする指示に従わなければならない」と規定しています。

具体的な職務内容としては、工場内のエネルギー監視や改善、設備維持などです。先述した第一種エネルギー管理指定工場では、膨大なエネルギーを使用するため、どこでどれだけのエネルギーが使用されているのか明らかにし、省エネに向けた改善策の提示および指導することなどがエネルギー管理士の職務となります。

エネルギー管理士が必要とされる背景

エネルギー管理士が必要とされる背景

多くのエネルギーを使用する工場では、免状の交付を受けた資格者であるエネルギー管理士の選任が義務付けられています。それにはどんな背景があるのでしょうか?

国内のエネルギー供給が不安定

2018年における日本の一次エネルギー供給構成の割合を見ると、石油が37.6%、石炭が25.1%、LNGが22.9%であり、全体の85.5%が化石燃料に依存していることが分かります。しかし、これらの化石燃料は国内にはほとんどなく、海外からの輸入に依存しています。

日本の一次エネルギー供給構成の推移

画像引用:経済産業省 資源エネルギー庁|2020-日本が抱えているエネルギー問題

日本のエネルギー自給率は2010年には20.3%でしたが、2011年の東日本大震災に起因する原子力発電所の停止などにより下落しつづけ、2014年には6.4%まで低下しました。2018年には11.8%まで回復しましたが、その依存度はまだ非常に高いといわざるを得ません。

工場やオフィスビルでのエネルギー需要増大

2018年度において、企業・事業所他部門は最終エネルギー全体の62.7%を占めました。そのなかでも製造業が占める割合は高く、全体の70%を占めています。つまり、最終エネルギー消費全体の約40%は製造業のエネルギー消費ということです。

最終エネルギー消費の構成比(2018年度)

画像引用:経済産業省 資源エネルギー庁|令和元年度エネルギーに関する年次報告

また、企業・事務所他部門には、事務所・ビル、デパート、ホテル・旅館、劇場・娯楽場、学校、病院、卸・小売業、飲食店、その他のサービスの9業種からなる業務他部門も含まれています。1975年まではホテル・旅館がエネルギー消費量の最大シェアを占めていましたが、1976年以降は事務所・ビルがその地位を占めるようになり、2018年においても依然として第1位です。

これら業務他部門において電気やガスの消費は増加傾向を示しているため、徹底したエネルギー管理が必要になります。

省エネ法によるエネルギー管理者の設置要請

省エネ法は、設置している工場等(本社・工場・支社・営業所・店舗等)すべての年間エネルギー使用量合計が、原油換算で1,500kl以上の場合は「特定事業者」に指定しています。同様にフランチャイズチェーン本部は、設置している工場等すべて及び一定条件を満たす加盟店の年間エネルギー使用量合計が、1,500kl以上の場合は「特定連鎖化事業者」に指定されます。

さらに特定事業者、特定連鎖化事業者が設置している工場等のうち、年間エネルギー使用量が3,000kl以上の工場等については第一種エネルギー管理指定工場等に指定され、前述したように免状の交付を受けたエネルギー管理者の選任が義務付けられています。

1,500kl以上3,000kl未満の工場等は「第二種エネルギー管理指定工場等」となり、指定工場等毎に1名エネルギー管理員(エネルギー管理士または、エネルギー管理講習修了者)の選任が必要です。

省エネ法については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。

エネルギー管理士免状取得の2つの方法

エネルギー管理士免状取得の2つの方法

以上の理由により注目されているエネルギー管理業務ですが、なかでもそのエキスパートであるエネルギー管理士の需要は今後も高まることが考えられます。この免状取得のためには、エネルギー管理士試験に合格または、エネルギー管理研修の修了のどちらが必要です。また、免状交付のためにはそれぞれの条件を満たしたうえで、申請が必要です。

エネルギー管理士試験

受験資格・受験科目・試験科目の免除制度

エネルギー管理士試験の受験に求められる資格はありません。ただし、試験に合格するだけでは免状は交付されず、1年以上の実務経験が必要です。この実務経験は、試験を受ける前後は問われません。

試験課目には必須基礎区分(課目Ⅰ)の「エネルギー総合管理及び法規」があり、以下の内容から構成されています。

  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び命令
  • エネルギー情勢・政策、エネルギー概論
  • エネルギー管理技術の基礎(判断基準の理解・実践について)

その上で受験者は熱分野専門区分(課目Ⅱ~Ⅳ)または電気分野専門区分(課目Ⅱ~Ⅳ)のいずれかを選択します。合格するためには各課目60%以上の得点が必要です。

●熱分野専門区分
  • 科目Ⅱ 熱と流体の流れの基礎
  • 科目Ⅲ 燃料と燃焼
  • 科目Ⅳ 熱利用設備及びその管理
●電気分野専門区分
  • 科目Ⅱ 電気の基礎
  • 科目Ⅲ 電気設備及び機器
  • 科目Ⅳ 電力応用

なお、各課目において合格基準点以上の場合は「課目合格者」となり、その合格した試験が行われた年の初めから3年以内に同一選択分野の受験をする場合には、合格した課目については受験が免除されます。

エネルギー管理士の試験概要

エネルギー管理士試験は年に1回のみです。2021年の試験概要に関してはまだ発表されていないため、ここでは2020年(第42回)の内容についてご説明します。

■試験日:2020年8月30日(日) ■受験申込:郵送とインターネットいずれかで行います。 ■受験手数料:17,000円(非課税) ■試験地:北海道、宮城県、東京都、愛知県、富山県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 ■試験の方法:マークシート方式 ■ 試験時間:以下の通りですが、試験課目の順番と試験時限の順番が一致していないことに注意してください。 ●熱分野専門区分
  • 1時限目 9:00〜10:20(80分)課目Ⅰ
  • 2時限目 10:50〜12:40(110分)課目Ⅱ
  • 3時限目 14:00〜15:50(110分)課目Ⅳ
  • 4時限目 16:20〜17:40(80分)課目Ⅲ
●電気分野専門区分
  • 1時限目 9:00〜10:20(80分)課目Ⅰ
  • 2時限目 10:50〜12:40(110分)課目Ⅲ
  • 3時限目 14:00〜15:50(110分)課目Ⅳ
  • 4時限目 16:20〜17:40(80分)課目Ⅱ
■合格までの流れ(2020年の場合)
  • 5月7日から6月12日:受験申込
  • 7月14日から:受験票発送
  • 8月30日:試験日
  • 10月中旬:合格通知

試験合格者は経済産業大臣に免状交付を申請しますが、その際1年以上の実務従事証明書を提出し、エネルギー管理士の免状を取得できます。

試験の難易度・合格率

過去5年間(2015年から2019年)にわたるエネルギー管理士試験の受験者数は1万人前後で推移しており、2019年は9,830人でした。合格率は2016年において20.1%だったものの、2019年においては32.6%、つまり3人に1人は合格できる試験です。

ただ、受験者はほとんどが実務経験者であることを考えると、けっして易しい試験ではなく、しっかりとした準備と対策が求められます。

エネルギー管理研修

研修は7日間に渡り、6日間の講義と1日の修了試験で構成されます。 講義課目はエネルギー管理士試験と同じく、エネルギー総合管理及び法規(課目Ⅰ)は必須課目であり、その上で熱分野専門区分か電気分野専門区分かを選択します。

修了試験の時間割は以下の通りです。また、エネルギー管理士試験はマークシート方式ですが、エネルギー管理研修の修了試験は記述式の試験であることに注意しましょう。

●熱分野専門区分
  • 1時限目 9:30〜10:50(80分)課目Ⅰ
  • 2時限目 11:20〜12:50(90分)課目Ⅳ
  • 3時限目 13:50〜15:40(110分)課目Ⅱ
  • 4時限目 16:10〜17:30(80分)課目Ⅲ
●電気分野専門区分
  • 1時限目 9:30〜10:50(80分)課目Ⅰ
  • 2時限目 11:20〜12:50(90分)課目Ⅱ
  • 3時限目 13:50〜15:40(110分)課目Ⅳ
  • 4時限目 16:10〜17:30(80分)課目Ⅲ

エネルギー管理研修の概要・流れ

エネルギー管理研修もエネルギー管理士試験と同じく、年に1回のみの実施です。2021年の日程はまだ発表されていないため、2020年の研修概要、流れをご説明いたします。

■研修受講料 70,000円(非課税) ■研修地 宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県 ■研修の流れ
  • 9月14日から10月20日:申込受付期間(郵送のみ、インターネット申込はなし)
  • 10月初旬から11月初旬:エネルギー使用合理化実務従事証明書の記載内容に基づいて、研修の受講資格審査が行われます。
  • 12月14日から12月19日:講義
  • 12月20日:修了試験
  • 2月下旬:合格発表、修了書交付

合格者は資源エネルギー庁に認定申請を提出し、経済産業大臣よりエネルギー管理士の免状が交付されます。

まとめ

今後もエネルギー分野の仕事は重要度を増していきます。また、業種にかかわりなくエネルギーの効率的な消費はますます求められていくことでしょう。

現在、エネルギー管理業務に携わっている方はエネルギー管理士免状を取得し、この分野でのエキスパートを目指してみてはいかがでしょうか。2021年の試験・研修の概要が発表され次第、すぐに準備を始めることをおすすめします。

エネルギー管理士に関連して、省エネ法にかかわる業種の省エネ対策記事を以下にまとめています。こちらもぜひご覧ください。

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