《企業向け》停電対策に欠かせない蓄電池によるBCP対策|メリットデメリット解説
近年は自然災害による被害が甚大化しており、長期の停電が企業に被害を与えた事例もあります。そのため、企業の停電対策の重要性が今まで以上に認識されています。
この記事では、企業の停電対策を検討している方に向けて、BCPの一環としての停電対策を行う意義や、非常用蓄電池として蓄電池を導入するメリットをご紹介します。
目次
停電が企業に与える被害例
ソニーや日産の工場が停止した
2019年9月に発生した台風15号の例をみましょう。台風15号は、千葉県を中心に各地で記録的な暴風となりました。この影響で、大規模な停電、倒木、建物の破損などの被害が出ました。
台風15号は企業の活動にも大きな影響を与え、ソニーの千葉県内工場や日産の神奈川県内工場が一時的に操業停止に追い込まれました。
停電によって受ける業種別の悪影響と被害
このように、自然災害による停電は、業種によってさまざまな悪影響と被害をもたらします。中小企業庁の調査をもとに、東日本大震災における東京電力管轄内の計画停電で、中小企業が受けた影響を業種別にみていきましょう。
製造業では、工場を24時間稼働させている企業を中心に「生産計画の策定に支障が出る」「操業度が低下する」「生産体制を見直す必要が出る」「部品の入手が難しくなる」といった声が挙がりました。
そのほか、小売業・サービス業では、「停電により客足が遠のいた」「営業時間の短縮を余儀なくされ売上が低下した」、卸売業では、「商品の保管が難しくなった」、運輸業では、「製品出荷量の減少にともない荷物の動きが悪くなった」という声が出ています。
また、東京電力管轄外の企業でも、管轄内の企業と取引がある場合は、製造業・卸売業を中心に間接的な影響を受けたとされています。
(参考文献:中小企業庁|中小企業白書)
停電対策はBCP対策の一環になる

BCP対策とは
BCPとは日本語で「事業継続計画」といいます。BCP対策とは、企業が自然災害・感染症などの緊急事態が起きた時、事業の被害を最小限に食い止め、早期復旧するための方法・手段をあらかじめ決めておくことです。
緊急事態は予期せず発生するため、とくに経営基盤が強固でない中小企業は、有効な対処ができなければ事業の縮小や、最悪の場合は倒産するおそれがあります。そのような事態を防ぐためにも、普段からBCP対策を行うことが重要です。
BCP対策のポイントは、以下の5つです。
- 優先して継続・復旧する中心事業を選定する
- 緊急時の中心事業の目標復旧時間を決定する
- 緊急時に提供できるサービスを顧客と協議しておく
- 事業拠点活動・生産設備・仕入れの代替案を用意する
- 従業員と事業継続についてコミュニケーションをとる
BCP対策の意識が高い企業は、顧客や取引先からの信頼も得やすくなります。
BCP対策における非常用電源の重要性
とくに災害が広範囲になった場合、通信手段の確保が重要です。大切な情報の損失を防ぎ、従業員の安否確認や行動の指示を円滑に行うためには、通信手段が欠かせません。
国内外の事例でも、BCP対策を周到に準備していたにも関わらず、通信手段がうまく確保できなかったために、業務の復旧に時間がかかったケースがあります。
通信手段の確保には、「複数の通信手段を併用する」「複数の通信会社やネットワーク・プロバイダと契約する」といった方法があります。そのうえで、継続的に通信手段を利用するために「非常用電源」を準備することも大切です。非常用電源によって通信手段を含めた事業所の機能を維持すれば、緊急時の対応力が高まるでしょう。
非常用電源は停電対策にもなる
災害の範囲が広い場合、電気を含めたインフラの復旧が遅れる可能性があります。企業において長時間停電が続くと、以下のようなデメリットがあります。
- 設備の停止による事業的損失
- 機器の故障
- システムの誤作動
- 内部・外部との連絡停滞
- 介護施設などで、空調停止による入所者の体調面のリスク
このような事態が発生するリスクを軽減し、長期の停電に対処するためには非常用電源が重要です。非常用電源は停電対策にもなり、企業が非常時を切り抜けるために大切な「電気」を確保してくれます。
停電対策に繋がるBCP対策の方法
複数の受電設備の用意する
災害時に電力が停止する理由の1つに「回線トラブル」があります。回線トラブルを回避するためには、以下2つの方法が考えられます。
-
予備の回線を用意する本線だけでなく予備の回線を用意することで、片方に障害が出てももう一方の回線に切り替えて電力確保します。予備の受変電設備を用意する受変電設備とは、高圧の電力を低圧化して建物内の機器で使用できるようにする設備です。これが壊れると電力の供給ができないため、予備の受変電設備を用意して備える方法もあります。%を償却可能
事前に停電時の対応を考えておく
以下の手順で停電時の対応を考えておくことが大切です。
- 各機器の稼働に必要な電力量を調査する
業務に必要な機器の稼働に必要な電力量を知っておく必要があります。また、一定期間継続使用するために必要な電力も想定しておくといいでしょう。たとえば停電が3日続くと仮定するなら、3日間で各機器が使用する電力量を考えておきます。 - 停電時に優先的に使いたい機器を選ぶ
次に、停電時でも優先する事業や機器を選びます。たとえば通信手段となる機器や照明設備は、どの企業でも優先度が高いでしょう。 - バックアップ体制を整える
災害・停電の発生時に備えて、ふだんからデータのバックアップを取っておきましょう。停電によって作業中のデータだけでなく過去のデータが破損する可能性もあるため、クラウドへの保存や外付けストレージの活用がおすすめです。
発電機を導入する
「ディーゼル発電機」や「ガス発電機」の導入も1つの方法です。
ディーゼル発電機は軽油を使用するため発電効率が良く燃料の単価が安いのが特徴ですが、軽油の保存期間が短いのと排気ガスが出るため環境面では難があります。
ガス発電機の燃料となるLPガスは長期間の保存が可能なため燃料切れのリスクが少ないですが、燃料単価が高いことがデメリットといえます。
太陽光発電
太陽光発電は燃料が必要なうえ、火力発電と異なり発電時にCO2を排出しないため環境に優しいのが特徴です。もし停電がおきても、 太陽さえ出ていれば発電し続けてくれるため、停電対策としても効果的です。
逆にいえば、太陽光が出ていなかれば電気を供給できないため、停電対策の設備としては不安定な面があります。そのため、BCP対策として導入する場合は後述する蓄電池を併設することでそのデメリットを補う必要があるでしょう。
太陽光発電は、停電対策のほかにもさまざまなメリットがあります。たとえば設置条件が合えば大幅な電気代削減になるほか、CO2削減による脱炭素経営、税制優遇、屋根の断熱性向上という効果が得られます。
停電対策として蓄電池を導入するメリット
停電対策に有効な手段の1つが、蓄電池の導入です。蓄電池を導入するメリットをみていきましょう。
停電時にも電気が使える
災害の規模が大きい場合、電気を含めたインフラの復旧が遅れる可能性があります。近年は被害規模の大きい災害が発生しており、たとえば2018年6月の西日本豪雨では約1週間、2019年9月の台風15号では約2週間、停電が継続しました。
もし企業が1週間以上電気を使用できなければ、収益面の損失はもちろん、情報システムが作動しないリスクが発生します。
蓄電池を導入することで、停電時にも電気が使えます。産業用蓄電池で事業所全体をバックアップすれば、通常と変わらない業務ができる可能性もあります。しかし、産業用蓄電池は高額なため、あえて家庭用蓄電池を導入して一部の電源だけバックアップし、最低限の事業所機能を維持するケースもあります。
燃料が必要ではない
非常用電源の中には、蓄電池だけでなく非常用発電機もあります。非常用発電機は種類が豊富で幅広い出力に対応できますが、燃料費が別途かかります。
また、非常用発電機はエンジンを搭載しているため、振動による騒音が大きいことや、定期的なメンテナンスが必要になることがデメリットとして挙げられます。もしメンテナンスを怠れば、いざという時に作動しなかったり、法令による罰則が適用されたりする可能性があります。
その点、蓄電池は燃料がなくても稼働でき、非常用発電機のような大がかりなメンテナンスはないため、非常用電源よりも導入しやすいといえます。
蓄電池導入の課題

導入コストが高い
蓄電池の導入コストは、けっして安いとはいえないのが現状です(2021年2月時点)。
とくに産業用蓄電池は、経済産業省が設定する目標価格において、2020年度は本体価格のみで15万円 / kWでした。
産業用蓄電池としては容量が小さい20kWhの場合でも、単純計算なら本体のみで300万円が必要になります。50kWhの蓄電池の場合、本体のみで750万円かかる計算です。
小さめの事業所なら、家庭用蓄電池を導入するケースもあります。経済産業省が設定した2020年度の家庭用蓄電池の目標価格は、6万円 / kWhから9万円 / kWhです。家庭用蓄電池の容量が10kWhの場合、本体のみで60万円から90万円の費用がかかると想定されます。
メーカーの努力によって、家庭用・産業用ともに蓄電池の価格は低下傾向にありますが、まだまだ気軽に導入できる価格とはいえない課題があります。
(※蓄電池の種類・メーカーなどにより価格は変動します。本文の解説は購入価格を保証するものではありません。)
設置スぺースが必要
蓄電池導入におけるもう1つの課題は、設置スペースが必要なことです。とくに産業用蓄電池は稼働時に熱を大量に発生するため、本体を置くスペース以外にも熱を逃がす経路や設備のためのスペースが別途必要な点に注意が必要です。
また、屋外に蓄電池を設置する場合は、本体を雨風による劣化から守るための建屋が必要になる可能性があり、建屋を新たに設置する場合は建築物とみなされ、役場に申請しなければならないこともあります。
まとめ
企業のBCP対策の一環として、停電対策を策定しておくことは重要です。また、停電対策のためには非常用電源の導入が不可欠になります。
蓄電池は費用や設置スペースなどの課題はあるものの、非常用電源として導入すれば停電が起きても電気を使えるため、事業の早期復旧に役立つでしょう。
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