太陽光発電所の草刈りを自分でするには?

産業用の太陽光発電所を運用するのなら、施設内の草刈りをすることは避けて通れません。
草刈りは業者に外注する人が多いのですが、自分ですることも可能です。
今回は草刈りを自分でする方法や注意点などについて、紹介していきます。
目次
太陽光発電所の草刈りを怠ることで起こりうるリスク
そもそも、なぜ太陽光発電投資をするうえでは、草刈りが欠かせないのでしょうか?
この理由は、草刈りをせずに施設内の雑草がどんどん伸びることには、以下のリスクがあるからです。
1.影ができることによる発電量低下のリスク
2.ホットスポット現象によるパネルの故障や火災のリスク
3.雑草の繁茂による近隣トラブル発生のリスク
雑草の背が太陽光パネルより高くなると、パネルに影ができます。パネルに影ができると、その部分は発電ができなくなるため、発電量が落ちてしまうのです。
そればかりか、影ができた部分は電気抵抗となり、その部分が発熱する「ホットスポット現象」が起こります。
ホットスポット現象が起こると、パネルが故障したり、発火したりして、最悪の場合、雑草に火が燃え移って火災が起こる危険すらあるのです。
また、雑草が伸びると、景観が悪化し、害獣も発生しやすくなります。これらが原因となって、太陽光発電所の近隣に住む人たちとトラブルになる可能性も高くなるのです。
太陽光発電所の草刈りの方法は2種類ある
ここまで説明したようなリスクを避けるためにも、太陽光発電所の草刈りはしっかり行っておきましょう。
太陽光発電所の草刈りの方法は、自分で草刈りを行うか、業者に草刈りを委託することも可能です。
では次から、それぞれの方法についての費用やメリットデメリットに解説していきましょう。
太陽光発電所の草刈りを自分でする方法
太陽光発電所の草刈りを自分でする場合、電動の草刈り機を使って行うのが一般的です。
草刈り機には、主に以下3種類があります。
メリット | デメリット | |
バッテリー式 | ・価格が安い 動作音が小さい |
・電源が必要 |
電動式 | ・価格が安い ・動作音が小さい |
・価格が安い ・動作音が小さい |
エンジン式 | パワーが強い | 価格が高い |
「バッテリー式」は充電タイプの草刈り機で、安価かつ、動作音が小さいのがメリットです。
ただし駆動時間が限られているため、長時間の草刈りには向きません。パワーが弱く、固くなった雑草を刈りづらい点もデメリットです。
「電動式」は、コンセントから電気を供給するタイプの草刈り機です。
低価格で、動作音が小さい点はメリットですが、こちらもパワーが弱く、コードの届く範囲でしか使えないというデメリットもあります。
一番のおすすめは、ガソリンを燃料にするタイプの「エンジン式」です。エンジン式の草刈り機はバッテリー式や電動式に比べて高価ですが、パワーが強いため、固くなった雑草も刈りやすくなっています。
また、燃料の供給が容易なので、長時間の作業にも向いています。
ただし動作音が大きいため、近くに民家がある場合は注意しましょう。
自分で草刈りをする場合の注意点
自分で草刈りをする場合は、事故や、太陽光発電設備のケーブルを切断してしまうリスクあります。
エンジン式の草刈り機はパワーが強いため、誤って足を切ってしまって、けがを負うリスクがあります。万が一のために、すぐに助けを呼べるように、草刈りは2人以上で行うようにしましょう。
草刈り中は、土に埋められたケーブルを誤って切断してしまうリスクもあります。この場合、設備が故障したり、感電してしまう危険もありますので作業の際は、十分に注意してください。
これらのリスクを低くするのにおすすめなのが、「ナイロンカッター」を使うことです。
ナイロンカッターは、ナイロン製の紐を高速回転させることで雑草を刈り取るタイプの刃です。これなら、怪我やケーブル切断のリスクを低くできます。
ただしナイロンカッターは、回転する刃に当たった小石などがはねて飛んでくる恐れがありますので、草刈りの際は、はねた小石が目に当たらないよう、防護用のゴーグルを着用しましょう。
自分で草刈りをすることの最大のメリットは、お金がかからない点にあります。
太陽光発電所が自宅から離れた場所にある場合、旅行ついでに発電所のメンテナンスを行う方も多いです。
ご自身で作業する際は、怪我や設備に気を配り、2人以上で作業することをお勧めします。
また、作業後の草の処理にはトラックも必要な場合があり、往復の交通費など費用や段取りを予め決めておきましょう。
太陽光発電所の草刈りを業者に外注する方法
発電所が遠過ぎたり広過ぎたりする場合は、自分で草刈りができないケースもあるでしょう。
これらの場合は、業者に草刈りを外注するのも一つの方法です。料金は業者によって異なりますが、安いところで、1㎡につき50円で草刈りをしているところもあります。
草刈りを業者に外注する場合の注意点
草刈りを外注する場合、業者は料金の安さより、品質や信頼性の高さを基準に選んだ方が安心です。
各業者のホームページで、過去の実績などをチェックしておきましょう。
専門業者に外注した場合も、ケーブル切断などの事故が起こる可能性があるので、損害賠償保険に加入しているかどうかは重要なポイントです。
また、草刈りのビフォー&アフターを写真付きで報告してくれるかどうかも、確認しておくと良いでしょう。写真付きの報告書をもらえるのなら、嘘の報告をされる心配はほとんどありません。
太陽光発電所の除草対策の種類と費用
太陽光発電所の除草には、草刈り以外にも以下の方法があります。
防草手段 | 内容 |
自身で除草作業 | 手で雑草を抜いたり、草刈機で刈ったりします。手で草を抜くなどは最も簡単に始められますが、体力仕事であり、また草の再発を防ぐことは難しいです。 夏場、雑草が盛んに伸びる時期などは何度も作業を行わなければならず、発電所が近くにないと困難でしょうし、毎日通えたとしても非常に手間がかかる方法です。 |
除草剤 | 薬剤はホームセンターなどに売っているので入手しやすく、価格も安価です。 散布は機器などを使ったりしながら、手作業になると思いますが、こちらもその手間を長期間に渡って行えるのかを考えなければなりません。 また、薬剤の効果が短いので、ものによっては数週間~数か月おきに散布する必要があります。 田畑をされていたり、薬剤に敏感な方から、使用を嫌がられることもあります。 |
防草シート | 遮光性の高いシートを地面に敷くことで、植物の光合成を防ぎ成長を食い止めます。 遮光カーテンのように製品によって日光を遮る力に差があり、価格も1㎡数千円~1万円程度と異なってきます。 土地にシートを敷き詰めるだけですので、自分で設置することも出来る容易さがポイントです。遮光力が弱かったり、シートの隙間などから草が生えてくることがありますので、定期的にメンテナンスが必要です。 |
砂利敷き | ガーデニング用の砂利を敷き詰める事で地面へ遮光し、防草効果を期待するものですが、砂利単独では時間と共に土とまじりあい効果が薄いようです。 ガーデニングでは化粧砂利といい見栄えを整える目的が強いので、防草シートとの併用が推奨されています。 太陽光発電所の防草なら景観に拘らない限り、最初から防草シートのみを設置する方が早いといえます。 |
コンクリート | コンクリートで地面を固めてしまい、土の露出をなくすことで植物が生えないようにする方法です。効果は高いですが、土木工事となるので業者に頼んだり、材料費もかさむのでコストは高くなります。しかし、効果は最も長持ちする確実な方法です。 |
草刈りと並行して、これらの対策もしておくと、より効果的です。
太陽光発電所の草刈りを自分で行うという方は、安全性に十分配慮したうえで取り掛かりましょう。
投資家向け太陽光発電投資コラム