低圧太陽光発電と電気事業法上の義務

今回は低圧の太陽光発電と電気事業法の義務について説明していきます。改正FIT法となり、他法令遵守も必要となりました。電気事業法ももちろん他法令に含まれるため、万が一違反した場合はFIT認定取消となってしまいます。

まずは経済産業省の公示を紹介しながら、具体的にどのような義務があるのか、また注意点は何かを紹介します。知ることが大事だという経緯による公示ですので、この記事がきっかけで皆様が安心して太陽光発電をできる手助けとなれば幸いです。

低圧の太陽光発電とは

まず低圧太陽光発電について、簡単に紹介します。太陽光発電には低圧と高圧があり、10kW~50kW未満を低圧、50kW以上を高圧と区別しています。この違いによって、高圧ではより広範囲な土地を必要とします。

低圧では高圧よりも、少ない土地での太陽光発電を可能とします。このため一般的に家庭用太陽光発電のほとんどは、低圧太陽光発電となります。ここでは、その低圧太陽光発電と電気事業法について、以下お話ししていきます。

JIS(日本工業規格)とは 新旧規格の違い

 JIS(Japanese Industrial Standard)とは日本工業規格でJIS規格とも呼ばれています。これは、工業標準化法に基づいて日本工業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準であり日本の国家標準の一つです。様々な製品に見かける以下のマークをご存知でしょうか?こちらは規格の適合性を示すためのマーク、つまり規格をクリアした証でもあります。

<旧JISマーク>   


JISマーク01

 鉱工業品用

<新JISマーク>

        JISマーク02   JISマーク03 JISマーク04      

鉱工業品用     加工技術用     特定側面用

ここで新旧の違いついて説明します。まず、マークも細分化し従来一つだけだったものが、新JISマークでは3種類に分かれています。そして、規格基準も変化しています。その違いについてもう少し掘り下げて説明します。

JISは2018年10月1日に規格の変更をしました。少し専門的な話になりますが、一番の変更点はJISC8955(2004)から(2017)への変更です。この変更により従来の基準項目であった、3項目が削除されています。下図をご覧ください。


JIS規格01

(出所:経済産業省・産業保安グループ・電力安全課)

JISでは支持物の規格を定めています。太陽光発電事業おいての支持物とは、太陽光パネルを支える架台などをまとめた「架材」です。図のように防食といった3つの項目が削除されていますね。その代わりに、削除した項目を補足する形で新たな項目を追加しています。ではその詳細については次の図になります。

JIS規格02

(出所:経済産業省・産業保安グループ・電力安全課)

こちらも経済産業省に取材したところ、ここで一番の変更点は風圧加重が重くなった点です。それに伴い数値も変更しているという点です。これは設備の強度をより高める観点にあり、安全性を配慮しての変更です。風圧加重とはどれだけ風圧に耐えられるか、つまり設備の強度を測る一つの指標ということです。

JISの規格変更によって、安全面への配慮が従来よりも高まったと言えます。この安全面への配慮は、電気事業法上の義務にも繋がっているのではないでしょうか。国としても、再生可能エネルギーの普及と安全を両立を目指していると考えられます。

電気事業法上の義務とは

経済産業省は平成31年2月21日に、電気事業法の義務に関して以下の内容を指摘しています。太陽光発電の所有者となった方には、電気事業法に基づく所有者として、設備の安全性に関する責任が発生しています。

つまり、所有者自身も電気事業法を十分に理解した上で、太陽光発電の稼働を行ってほしいということです。販売会社に任せきりではいけないということです。なお、電気事業法はFIT法とは別の法律で、発電設備を所有する場合は、FIT法に基づく認定の有無に関わらず、守る義務があります。

そして経済産業令で定める技術基準に適合させる義務(電気事業法第56条第2項)があります。これは事業主だけでなく、個人事業者も安全上の責任を負うというものです。

電気事業法における注意点

ここで注意すべき点は、技術基準に適合していない場合は、FIT法における認定が取り消されることです。FIT法には他法令違反をした場合に、FIT法における認定取り消しがあります。技術基準に適合しないことは電気事業法違反となり、この他法令違反に該当してしますのです。くれぐれもこのようなことはないように注意しましょう。

そして、経済産業省職員による立入検査を受けることもあります。こちらは取材によると、現段階では明確な基準がある訳ではないようです。例えば同省に通達があった場合、同省員が道で気になった場合なども検査の対象となる可能性があります。

いずれにしろ、きちんと基準をクリアしているか、私たちの扱っているものに関して検証していきたいと思います。その上でみなさんに安心して頂ければというのが、一番の願いです。

その上で技術基準が鍵となります。技術基準に適合した安全な発電設備であるための、確認すべき資料は以下の7つです。こちらがすべてきちんと用意されていれば、まず安心して頂ければと思います。

設計図書

太陽電池モジュール仕様書

支持物の構造図と強度計算書

地質調査結果、載荷試験(杭、平板)結果

設備の配置図

電気設備の配線図(単線結線図)

施工記録

その上で現地調査を行う、図面類や配線図等に従った施工が行われているかの確認をしましょう。そして、設備の安全な稼働の確認となるのです。

ここで更に経済産業省電力安全課の方に話を伺ったところ、電気事業法上の義務とは「事業主が安全な設備を設置する」ことで、またその全責任も事業主に帰するという点です。こういう意味で厳しさも伴う法律です。

なので、ここではまずは皆さまにこの事実を知ってもらう必要があり、それが今回の経済産業省の公布に至った経緯でもあります。その上で上記7つの書類は、その安全な設備を説明する、補完的役割を果たすものとなります。

つまり事業主が行ってきた安全への配慮を説明できる書類として、最低限必要なものと経済産業省の方は認識しています。太陽光発電所を建てるにあたっては、小屋を建てるようにまずは地盤を知ることから始まります。

地質調査の中でも、「杭」も一つのキーワードとなります。杭が抜けて隣の民家に飛んだというケースもあり、杭に関する問題もいくつかあります。地質調査ではこの辺りもポイントとなります。

同様に施工記録に関しても明確な基準が現段階である訳ではありませんが、工事の段階において、大きなステージの変化は記録として残すことを推奨しています。例えば杭を打つ、架材をつくるといった段階です。写真による記録も重要となり、特に建設前のものは残しておくことを推奨しています。

電気事業法とは大枠を決めているが、後は事業主の自助努力に任せるという性質もあります。つまり、細かい制約や規制も現段階では存在していません。今回の通達をきっかけに、事業主だけでなく、販売会社にも安全とは何かを考えるきっかけをくれたのではないでしょうか。

検証 より安全な太陽光発電へ

ではここで、弊社ではこの基準を満たしているか検証を行いたいと思います。上記の7つの書類を用意できるかが重要な鍵となります。設計図書・太陽電池モジュール仕様書・支持物の構造図と強度計算書・設備の設計図・電気設備の配線図、これらは用意できます。

ここで課題となるのは次の2点です。それは「地質調査結果、載荷試験結果」と「施工記録」です。また太陽光発電事業主となる人にとっても、見極めのポイントとなるのも、この2点にどのように対応しているかになると思います。「地質調査」に関しても素人でもできる内容からで構わないので、建設前には実施すべきというのも経済産業省の見解となります。

太陽光設置お任せ隊(運営:株式会社ハウスプロデュース)は電気事業法上の義務を満たしています。電気事業法の認識もしていますし、改定FIT法によって他法令遵守の事実も把握しています。JISの規格変更も認識しており、こちらも規格を満たしています。

このように太陽光発電事業も法令によって、日々変化しています。このような変化の波をきちんとキャッチすることも大切です。

安全な太陽光発電のために

ここでは電気事業法の安全性における義務について紹介してきました。今まで販売会社に任せきりだったという人は、要注意です。改正FIT法になってから、他法令遵守も義求められています。これによって、電気事業法を守らなければなりません。

そしてこのことによって、低圧太陽光発電の安全性が確保されるのは私たちにとっても大切なことですね。これをきっかけに、安心安全な社会作りにも貢献しましょう!

ここでは太陽光発電所有者にも安全管理を知ってほしいという内容ですが、もちろん不明・不安な点のフォローはします。何か困ったことがあれば、お気軽にご相談下さい。みなさまの声をお待ちしています。

執筆者:株式会社ハウスプロデュース(広報部)
全国累計5,000件以上の産業用太陽光発電システムのEPC工事(提案・設計・施工管理・O&M)を手掛ける当社の広報チーム。現在、第一種電気工事士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザーなど有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材で得た情報に基づき、EPC事業者として「現場から得たノウハウ」を反映させたコンテンツ作りに注力。
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