エネルギー基本計画とは|脱炭素社会に向けた取り組み・制度を紹介

政府によるエネルギー関連の政策動向が活発に報道されていることから、情報を意識的にチェックしている方も多いのではないでしょうか。エネルギー関連のニュースのなかでよく紹介される用語に「 エネルギー基本計画」があります。

今回の記事では、エネルギー基本計画の基礎知識と現状のエネルギー状況、脱炭素社会に向けた動きを紹介します。

エネルギー基本計画の概要

エネルギー基本計画とは「エネルギー政策基本法」に基づいて政府が策定したものです。

政府はエネルギー政策基本法によって“エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画を定めなければならない”と定めており、これを「エネルギー基本計画」と呼んでいます。

2003年の策定以降、概ね3年ごとに見直しが行われており、現在(2021年4月現在)は2018年に閣議決定された第5次エネルギー基本計画が進行中です。

エネルギー政策基本法とは

エネルギー政策基本法は2002年に施行された法律です。
「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」を基本方針とし、国・地方公共団体・事業者などの責務、国民の努力、相互協力などが掲げられています。

安定供給の確保として、 石油などの一次エネルギー輸入を特定地域に過度に依存しない、エネルギー供給源の多様化、エネルギー自給率の向上などが盛り込まれており、環境への適合では太陽光や風力といった再生可能エネルギーの推進、化石燃料の効率的な利用などが掲げられています。

先述したように、これらの基本方針をもとに政府は「エネルギー基本計画」を定めなければいけないとしています。

おもなエネルギー基本計画の内容

エネルギー基本計画は2003年に策定後、2007年・2010年・2014年・2018年にそれぞれ改正されています。
2010年の第3次エネルギー基本計画では、電源構成の比率を2030年までに再生可能エネルギーと原子力で約70%を目標に掲げました。

しかし、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故を発端に大規模な調整が必要となり、2014年の第4次エネルギー基本計画では、

  1. エネルギーの安定供給(Energy Security)
  2. 環境への適合(Environment)
  3. 経済効率性の向上(Economic Efficiency)

上記の3つのEに加えて、安全性(Safety)が追加され、「3E+S」を基本方針としています。

第5次エネルギー基本計画

第5次エネルギー基本計画では「3E+S」を基本方針としつつ、2030年・2050年に向けて「より高度な3E+S」という方針が示されています。
しかし「福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組む」ことを前提にしており、可能な限り原発への依存度を低減させるといった内容も含まれています。

2030年に向けた対応

2030年に向けた対応として「温室効果ガス26%削減に向けて」「エネルギーミックスの確実な実現」を掲げています。

まず、エネルギーミックスとは「さまざまな電源の構成割合」を指し、電源構成とも呼ばれています。2018年度時点では非化石電源としては「再生可能エネルギー:11.7%」「原子力:2.8%」に留まり、残りの85.5%は化石電源(天然ガス・石炭・石油)となっています。

2030年度には、「再生可能エネルギー:22%から24%」「原子力:20%から22%」「天然ガス:27%」「石炭:26%」「石油:3%」の目標を掲げ、非化石電源の割合44%を目指しています。

「温室効果ガス26%削減」もこのエネルギーミックスと大きく関係しており、化石電源を減らし非化石電源を確保することが重要とされています。

福島第一原子力発電所事故により、原子力に対する懸念が残っていますが、原子力に対しては安全を最優先としたうえでの稼働を掲げています。加えて、エネルギー起源CO2排出量の削減、省エネ化の実現なども合わせ、「温室効果ガス26%削減」を目指しています。

2050年に向けた対応

2050年に向けた対応として「温室効果ガス80%削減」と「エネルギー転換・脱炭素化への挑戦」を掲げています。

現段階では脱炭素化エネルギーシステムは開発途上であり、各国でもさまざまな試行錯誤が繰り広げられています。
日本ではすでに水素・蓄電池・原子力といった脱炭素化技術の基盤があり、技術間競争が高まっています。ただし、未だ明確な技術は開発されておらず「不確実」な状態です。

そこで「エネルギー転換・脱炭素化を目指した全方位での野心的な複線シナリオ」を採用しています。これには、先行する主要国情勢から得られる教訓、エネルギー選択の多様化などが判断基準として採用されています。

第6次エネルギー基本計画策定に向けた議論を開始

経済産業省・資源エネルギー庁は2020年10月13日、第6次エネルギー基本計画策定に向けた議論を開始しました。
第5次エネルギー基本計画策定後の状況変化を踏まえたうえで、国際・国内情勢の変化、3E+Sの課題整理、2030年目標の進捗とさらなる取り組みの検証などが議論されています。

エネルギー政策に関する「意見箱」

資源エネルギー庁では、ホームページにてエネルギー政策に関する「意見箱」を設けています。エネルギー基本計画の見直しの参考資料として利用されるもので、期限内であれば誰でも意見を送ることが可能です。

過去の意見箱には、原子力発電所再稼働を急ぐ政策に多くの反対意見が寄せられたケースもあります。

エネルギー政策に関する「意見箱」|経済産業省

導入メリットや電気代削減、節税効果などを詳しく解説

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現状のエネルギー自給率と今後の目標

画像出典元:エネルギー基本計画って?|電気事業連合会

日本のエネルギー自給率はとても低く2017年の時点で9.6%で、これを2030年には24%まで上げることを目標に掲げています。
2010年では約20%ありましたが、東日本大震災によって原子力発電所が停止した影響で2012年には6.7%まで落ち込んでいます。

エネルギー自給率とは国内の資源で作られたエネルギーの割合ですので、約90%を国外からの資源で得ている状況です。

資源確保は国際情勢の影響を受けやすく、また化石燃料には限りがあります。エネルギーバランスが崩れると安定した電源供給が行えなくなるため、エネルギーミックスの実現は重要な課題といえます。

脱炭素社会に向けたさまざまな取り組み

パリ協定、SDGs、RE100など、脱炭素社会に向けた取り組みは多く存在しています。環境に配慮した取り組みは企業PRになり、イメージアップに繋がります。

地球温暖化対策の国際的な取り組み「パリ協定」

パリ協定とは、2020年以降の地球温暖化対策に関する国際的な枠組みです。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
引用:世界共通の長期目標|資源エネルギー庁

日本ではこのパリ協定の枠組みを受け、エネルギー基本計画の見直しと目標設定が行われています。

100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す「RE100」

RE100とは「Renewable Energy 100%」の略で、自らの事業運営で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な取り組みです。
具体的には化石燃料や原子力に頼らない発電を目指すもので、参加企業は再生可能エネルギーに関する目標の設定および実行が求められます。

2050年カーボンニュートラルの実現を目指す取り組み

2020年10月に菅総理は所信表明演説で「2050年カーボンニュートラルの実現を目指す」と宣言しています。
カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを意味しています。

具体的には省エネ化の推進や、再生可能エネルギーを活用した脱炭素化などによって温室効果ガス排出量を削減することが求められています。
そして削減しきれない部分は植林による二酸化炭素の吸収、二酸化炭素を回収して貯めておく「DACCS」「BECCS」といった「ネガティブエミッション技術」を活用し、温室効果ガスの排出量の正味ゼロを目指しています。

省エネ・再エネに関する支援制度

省エネ・再エネに関する支援制度は多く用意されており、環境省のホームページでは「令和3年度(2021年度)脱炭素化事業(エネ特)一覧」として67件の事業が確認できます(2021年4月現在)。

一例として「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業」を見てみると、「工場・事業場の設備更新、電化・燃料転換、運用改善による脱炭素化に向けた取り組み」を支援する制度があります。

事業目的として「業務部門・産業部門における2030年目標や2050年目標の達成に向けて、工場・事業場における先導的な脱炭素化に向けた取組を推進する。」と明記されており、エネルギー基本計画に沿った支援制度だとわかります。

また「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」が新設されています。この制度に該当する設備導入に対して、税額控除が最大10%又は特別償却50%を受けられ、「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた内容となっています。

そのほか「地域未来投資促進税制」や「中小企業設備投資税制」なども一部延長されています。省エネ・再エネに関する支援制度は随時更新、新設されていますので、利用できるものがないかこまめに確認することをおすすめします。

まとめ

エネルギー政策基本法に基づいてエネルギー基本計画は策定されており、3年から4年ごとに見直しが行われています。現状では2030年・2050年に向けた取り組みが中心となり、エネルギーミックスの実現や、2050年カーボンニュートラルの実現を目指す取り組みが多く盛り込まれています。

エネルギー基本計画の実現を目指すための支援制度も多く用意されていますので、再生可能エネルギー設備の導入や温室効果ガスの排出量削減への対策も練りやすいともいえます。
地球温暖化対策への取り組みは、企業アピールにも繋がりますので、積極的に導入しましょう。

太陽光設置お任せ隊では、企業の脱炭素経営に向けた自家消費型太陽光発電の導入による再エネ調達を支援しております。
再生可能エネルギーによる電力調達によって事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減や、電気代削減、停電対策や優遇税制による即時償却など企業経営にとって多数メリットが期待できます。

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 執筆者
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太陽光設置お任せ隊編集部
太陽光発電及び屋根工事のプロとして全国で5,000件以上の産業用太陽光発電の企画・設計・施工管理を手がける太陽光設置お任せ隊の記事編集チーム。豊富な実績より培ったノウハウと専門家からの取材に基づいた情報を初めての方でも分かりやすくお伝えします。現在、第一種電気工事士・宅地建物取引士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザー等有資格者が在籍。
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